??? VS ??? のデュエル、ダイジェスト版です
互いの名は直ぐ判明しますが、今作の本編で初の出番なので一応シークレット仕様に
前回のあらすじ
キモイルカ「ワクワクが……ワクワクが次々に失われている…………だが安心してくれ! 直ぐに私が向かう!! 今作の本編のGX編辺りに到着予定だ!!」
アクターの精神的なアレコレは一旦脇に置いておき――
テッド・バニアスと同じく、「打倒! 全米チャンプ!」の夢を掲げるもう一人の青年、城之内 克也は双六の勧めによりある2人のデュエリストのデュエルを観戦していた。
「ボクのターン、ドロー!」
そのデュエリストの一人、緑の髪色のボブカットの青年、エスパー絽場は引いたカードを視界に入れ、ニヤリと笑う。
「フフフ、このカードでようやくボクのエースが呼び出せるよ――速攻魔法《サイクロン》を発動!」
フィールドに竜巻が渦巻く。
「トムッ! 君のフィールドの永続罠《暴君の自暴自棄》を破壊させて貰うよ!!」
そしてもう一方のデュエリストの短い金髪にそばかすと前歯の抜けた少年、トム。
そのトムのフィールドの相手をイラッとさせそうなダンスを踊る裸に短パンとマントを羽織ったメタボの王様が竜巻によって吹き飛ばされていく。
「これでやっと効果モンスターが呼び出せる……」
その裸の王様の相手をイラッとさせる踊り――ではなく永続罠《暴君の自暴自棄》は効果モンスターの召喚・特殊召喚を封じる効果を持っている。
それゆえにエスパー絽場の切り札たるカードを呼び出すことが出来なかったのだ。
しかし、その呪縛は今、解かれた――エスパー絽場は己が切り札を呼ぶために1枚のカードを示す。
「ボクはさらにこのカードを使わせて貰うよ!! 魔法カード《洗脳-ブレインコントロール》!」
緑がかった巨大な両手がトムのモンスターに向けてワシャワシャと動く。
「このカードはライフを800払い! 君のフィールドの通常召喚可能な表側表示モンスター1体を選択して発動! そのカードをこのターンの終わりまで頂くよ!」
エスパー絽場LP:2800 → 2000
トムのフィールドのモンスターは3体。
黒い装甲に金と赤の豪華な装備で身を固めた《機械軍曹》が剣を振り上げ、攻撃に備え、
《機械軍曹》
星4 炎属性 機械族
攻1600 守1800
赤いヘルメットと肩のアーマーに緑の防具を付けたフットボール選手を模したロボット、《バトルフットボーラー》が身体を低く構えて、いつでもタックルを実行できるようにエスパー絽場の様子を伺っている。
《バトルフットボーラー》
星4 炎属性 機械族
攻1000 守2100
そして正体不明のセットモンスターが1体。
「ボクは《機械軍曹》を選択だ! さぁ、行けっ!!」
その《洗脳-ブレインコントロール》の緑の巨大な手が、《機械軍曹》を捕らえるべく、襲い掛かるが――
「させない! 僕は《洗脳-ブレインコントロール》にチェーンして、リバーストラップオープン!! 罠カード《
ざっくばらんな赤い髪の霊使いの姉御肌の少女、《火霊使いヒータ》が勝気な笑みを浮かべて陣を描く。
「このカードは僕の炎属性モンスターを1体リリースして発動できる!! その効果でリリースしたモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与えます!!」
その陣には「紅」の文字が浮かび、周囲に火の玉が浮かび――
「僕は貴方の《洗脳-ブレインコントロール》の効果の対象になった《機械軍曹》をリリースし――」
その火の玉は《機械軍曹》に灯り、その機械の身体を取り込んで瞬く間に巨大な炎となる。
そして《機械軍曹》を捕らえようとしていた《洗脳-ブレインコントロール》の緑の巨大な手は狙っていた対象を見失った。
やがてその巨大な手はキョロキョロと辺りを見回す様に動くも、仕事を果たせなかったことを両の手を合わせてエスパー絽場に謝罪する。
その後に軽く手を上げ、エスパー絽場に帰る旨を伝え、スゥッと消えた。
「サクリファイス・エスケープだと!?」
エスパー絽場の魔法カードの効果を不発させた《
「――そして貴方に1600ポイントのダメージを与える!! 行けぇ!!」
そのトムの言葉と共に放たれる巨大な火の玉に焼かれるエスパー絽場。
「ぐぁあああああ!!」
エスパー絽場LP:2000 → 400
――くっ……弟たちが見えなかったカードか!?
エスパー絽場が把握していなかったカードでの反撃にエスパー絽場は歯噛みする。
この一撃でエスパー絽場の残りライフは危険域どころではない数値に達した。そして一方のトムのライフは1600ポイント。
エスパー絽場はかなり追い詰められている事実に焦りを覗かせる。
「なら! 魔法カード《精神汚染》を使わせて貰うよ! ボクは手札のモンスター1体、《サイバー・レイダー》を捨てて魔法カード《精神汚染》の効果を発動!」
エスパー絽場のフィールドに小さな放電が奔る。
「捨てたモンスターと同じレベルの相手モンスター1体を選択して、そのコントロールをエンドフェイズ時まで得る!! 捨てた《サイバー・レイダー》のレベルは4! よって君のフィールドにいるレベル4の《バトルフットボーラー》を頂く!!」
その放電は棘の生えたヘルメットを装着し、黄色いラインの入った青いレーシングスーツのようなものを着た《サイバー・レイダー》を形作る。
そして守りの構えで佇む《バトルフットボーラー》にその放電状の《サイバー・レイダー》が落ち、機械の中枢部に放電して身体を操り、《バトルフットボーラー》はよろよろとエスパー絽場のフィールドに奪われていった。
「そして《バトルフットボーラー》をリリースして《人造人間-サイコ・ショッカー》をアドバンス召喚!!」
顔の赤外線スコープを煌かせ、黒い拘束服のような衣服で《人造人間-サイコ・ショッカー》が腕を組みながら現れる。
このカードこそがエスパー絽場の切り札たるカード。
《人造人間-サイコ・ショッカー》
星6 闇属性 機械族
攻2400 守1500
「させない! 僕は《人造人間-サイコ・ショッカー》の召喚に対して――」
リバースカードが起き上がるエフェクトが起こる前に《人造人間-サイコ・ショッカー》のスコープからレーザーが放たれ、そのリバースカードを打ち抜いた。
やがて逆再生されるかのように戻っていくトムのリバースカードにエスパー絽場は得意気に語る。
「無駄だ! 《人造人間-サイコ・ショッカー》がフィールドに存在する限り全ての罠カードの効果を発動できず、フィールドの罠カードの効果は無効化される!」
そしてエスパー絽場は相手の動揺を誘う為、お得意の技を披露する。
「勿論! 今、君が発動しようとした罠カード《落とし穴》もね! 君のカードはボクの超能力ですべてお見通しさ!」
その言葉にトムはこのデュエルが始まってから続くエスパー絽場の妙技に驚きを隠せない。
――僕の手札からセットカードまで、全て見抜くなんて!?
トムはそんな恐るべき観察眼を持つエスパー絽場に変わらぬ尊敬の眼差しを向けている。
なおトムのリバースカードをピタリと当てた妙技はエスパー絽場の観察眼などではなく、建物の屋上からトムの手札を盗み見るエスパー絽場の4人の弟たちから、エスパー絽場の耳の通信機を通じて教えて貰っているだけだ。
つまりイカサマである。
イカサマに気付かないトムの尊敬の眼差しを受けつつ、エスパー絽場は自身の相棒に指示を出す。
「さぁ行けっ! サイコ・ショッカー! セットモンスターに攻撃!
《人造人間-サイコ・ショッカー》の両手の間に球体状のエネルギーが集まり、そのエネルギーが手を押し出す様にして放たれる。
そのエネルギーはセットモンスターに衝突し――
円盤型のUFOを甲羅代わりにした緑の亀が苦悶の雄叫びと共に爆散した。
《UFOタートル》
星4 炎属性 機械族
攻1400 守1200
「うわっ! で、でも今戦闘で破壊された《UFOタートル》の効果を発動!」
爆発の中から《UFOタートル》の甲羅部分であるUFOがフラフラと飛び立ちトムのフィールドに着地――というより墜落。
「《UFOタートル》の効果でデッキから攻撃力1500以下の炎属性モンスター、《ギガテック・ウルフ》を攻撃表示で特殊召喚!!」
銀の装甲で覆われたオオカミ型のロボットがUFOの外壁を砕きながら現れる。
そして背中の小さな翼と4本の尾の動作を確認するかのように動かした。
《ギガテック・ウルフ》
星4 炎属性 機械族
攻1200 守1400
「さらに機械族の《UFOタートル》が戦闘で破壊されたことで永続魔法《
爆炎の中からキャタピラの音が響く。
「同じ属性のそのモンスターより攻撃力の低い、機械族モンスター、《人造木人
丸太で作られたゴーレムに金属の装甲を張り付けた胸に「18」と書かれたロボットが脚部のキャタピラを唸らせ、爆炎の中からトムを守るように立ち塞がる。
《人造木人
星5 炎属性 機械族
攻 500 守2500
その守備力は2500――《人造人間-サイコ・ショッカー》の攻撃力2400では超えられない数値だ。
「ハハハッ! そうやって壁モンスターで凌ぐつもりかい? 無駄だよ!」
しかしエスパー絽場は自信たっぷりに笑う。
トムの手札を盗み見た弟たちの情報では今のトムの手札に《人造人間-サイコ・ショッカー》を突破する術はなく。《人造木人
「――しかし惜しかったね! 君のフィールドの永続罠《バックファイア》が永続魔法だったなら今の攻防で君が勝てたかもしれないのに」
トムに思わぬ形で追い詰められた
だがエスパー絽場のそんな挑発にもトムは何も返さず頭を働かせる。
――確かに、ボクのフィールドの永続罠《バックファイア》はボクの炎属性モンスターが破壊される度に相手に500のダメージを与えられる……
この効果を後1度でも適用することが出来ればエスパー絽場の残り僅かなライフを削り切れる。
今のトムに罠カードを封じる《人造人間-サイコ・ショッカー》を撃破する手立てがない以上、打てる手はそれしかない。
「サイコ・ショッカーさえどうにかできれば……」
思わずそう呟くトムの姿を嘲笑うエスパー絽場。
「君に勝利はない! あるのは敗北の未来だけさ! カードを2枚伏せてターンエンド!!」
しかし、トムの瞳に陰りは見えない。その瞳には此処にはいない数多の困難を討ち果たしてきたチャンプの背を見据えていた。
「何を言われようとも僕は諦めない!! 僕のターン、ドロー!!」
引いたカードは悪くない。勝利の女神はまだトムを見捨ててはいなかった。
しかしその手札を弟の連絡から知ったエスパー絽場は足踏みさせる狙いも込めて言い放つ。
「《馬の骨の対価》か……いいカードを引いたじゃないか、そのカードで逆転のカードが引けるといいねぇ」
そのエスパー絽場の姿にトムは内心で舌を巻く。
――ボクの表情と仕草だけでカードを言い当てるなんて……なんて凄いデュエリストなんだ……
表情で悟られぬようにトムは気を付けていたが、それが一切通じない事実に実力の差をトムは強く感じる――それがイカサマによるものだとは夢にも思っていない。
だがトムは迷わない。
「――僕は魔法カード《馬の骨の対価》を発動! フィールドの通常モンスター《ギガテック・ウルフ》を墓地に送り2枚ドロー!!」
壁となるモンスターを減らすことを恐れぬトムの闘志に応えるように《ギガテック・ウルフ》は遠吠えを響かせる。
その2枚のカードはトムに勝利を呼び込む一手となりえる。
――このカードなら!!
そう内心で喜色を見せるトム。
その2枚のカードは2通りの道を指し示す。今のトムには攻めに転じるか、守りに徹するか、の選択が強いられていた。
だがそんなトムの手札を盗み見る弟たちの連絡を受けたエスパー絽場は状況の悪化に毒づく。
――《禁じられた聖杯》だと!? くっ……マズイ……このままでは守備を固められては……
速攻魔法《禁じられた聖杯》――発動ターンの終わりまでモンスター1体の効果を無効にし、攻撃力を400上げるカード。
その効果を《人造人間-サイコ・ショッカー》がトムの炎属性モンスターへの攻撃時に発動されば罠封じの縛りは解け、トムの永続罠《バックファイア》の効果で500のダメージを受けて残りライフ400のエスパー絽場は敗北する。
それゆえにエスパー絽場の攻撃は封じられたと言っても過言ではない。
さらに先程発動された罠カード《
しかしエスパー絽場には勝利の道筋が見えていた。
――だけど相手フィールドに攻撃表示のモンスターがいれば、話は違う!
イカサマの手札の盗み見によって得られた情報ゆえに可能な抜け道が。
「おいおい、どうしたんだい? さっきまでの威勢はどうしたのかな? 『諦めない』とか何とか言っていたけど――ここにきて臆病風に吹かれたのかい?」
安い挑発だった。
だが年相応の少年であるトムはその挑発を受け流せる程に大人ではない。
「――ッ!! なら!! 僕は《人造木人
《人造木人
そこから銀に輝くアーマーに左目と左肩、そして背中に黄金の歯車、そして右肩にはミサイルランチャーを構えた機械の戦士がトムの怒りに呼応するように3つの歯車を回転させる。
《ガジェット・ソルジャー》
星6 炎属性 機械族
攻1800 守2000
「サイコ・ショッカーと同じ六つ星モンスターか、でもその攻撃力はたった1800! そんなカードはいくら出しても無駄だよ!」
望んだ攻撃表示のモンスターが出たことで、エスパー絽場は煽りに煽る――己が勝利を確信したゆえに。
そのトムのカードへの侮辱とも取れるような煽りはトムから冷静な思考を奪っていく。
「僕のデッキに無駄なカードなんてありません! 魔法カード《トランスターン》を発動!!」
それゆえにトムは己が持つ最高の力を見せるべく、攻めに転じていく。
「僕は《ガジェット・ソルジャー》を墓地に送ることでデッキから同じ種族・属性のレベルが1つ高いモンスターを特殊召喚します!!」
《ガジェット・ソルジャー》の銀のアーマーが光を放つ。
そんな思わぬカードの発動にエスパー絽場は驚きを見せる。
「――レベル7のモンスターだと!?」
――まさか最上級モンスターを持っていたとは……最上級モンスターともなれば相応のステータスと効果を持っている筈……今のセットカードだけで対処できるか?
エスパー絽場は「挑発し過ぎたか?」と内心で焦るが――
「レベルアップッ! スターチェンジッ!! 現れろ! レベル7! 《TM-1ランチャースパイダー》!!」
光が収まると、そこには背中に巨大な2つのミサイルランチャーを装着した緑の装甲の機械のクモがその8本の足を踏み鳴らし、赤い頭部の瞳と牙がギラリと光る。
《TM-1ランチャースパイダー》
星7 炎属性 機械族
攻2200 守2500
このカードはエスパー絽場も同じ機械族デッキの使い手として知っていた。
「そ、そのカードは全米チャンプキース・ハワードも使っていた――」
そう、過去に全米チャンプであるキース・ハワードが愛用していたカードとして――今現在は度重なるチャンプのデッキ調整の波に呑まれ、ベンチ入りになっているが、その知名度は中々のものだ。
「はい! これが僕のデッキのエースです!」
憧れのデュエリストのカードの雄々しい姿にトムの怒りも一旦収まり、笑顔を見せる。
しかし、その有名さゆえに《TM-1ランチャースパイダー》の情報は周知の事実だ。
ゆえにエスパー絽場は拍子抜けだと声を上げる。
「だけどそのカードは何の効果も持たない通常モンスター! 攻撃力もボクのサイコ・ショッカーには届かない数値だ!!」
そう、《TM-1ランチャースパイダー》は「通常」モンスターであり固有の効果は何もない。
さらにはステータスもそこまで秀でている訳ではないのだ。
「無駄だよ! そんなのでボクのサイコ・ショッカーを倒せる訳がないだろう!」
そのため、エスパー絽場は先程の焦りは杞憂だったと鼻で笑う。
だがトムとて無策ではない――自身のフェイバリットカードの力を見せてやる、とカードを示す。
「どんなカードだって組み合わせ一つで輝けるんです! 僕は魔法カード《右手に盾を左手に剣を》を発動!! これによりフィールドの表側のモンスターの元々の攻撃力と元々の守備力を、エンドフェイズ時まで入れ替えます!!」
《TM-1ランチャースパイダー》の装甲の一部が展開し、更なる爆薬を覗かせる。
《TM-1ランチャースパイダー》
攻2200 守2500
↓
攻2500 守2200
「確かに貴方のサイコ・ショッカーの攻撃力は僕のデッキのどのモンスターよりも高いです! でもその守備力は決して高い方じゃない!!」
一方の《人造人間-サイコ・ショッカー》は攻撃機能を捨てるように全身から煙を上げ、己が体内を循環するエネルギーを抑えるように腕を交差させる。
《人造人間-サイコ・ショッカー》
攻2400 守1500
↓
攻1500 守2400
これにて互いのエースのパワーバランスは逆転した。
「バトル!! ランチャースパイダーでサイコ・ショッカーを攻撃!! ショック・ロケット・アタック!!」
《TM-1ランチャースパイダー》のミサイルランチャーから無数のミサイルが《人造人間-サイコ・ショッカー》を爆殺せんと殺到する。
このバトルによってエスパー絽場が受けるメージは1000――残り400のエスパー絽場のライフを削り切るには十分だ。
このまま何事もなく攻撃が通れば、だが。
エスパー絽場の挑発に乗り、攻めに転じたトムの姿に罠にかかった獲物だと意気揚々とエスパー絽場はセットカードを発動させる。
「かかったね!! その攻撃宣言時、速攻魔法《虚栄巨影》を発動!! これでサイコ・ショッカーの攻撃力はこのバトルフェイズのみ1000ポイントアップ!!」
《人造人間-サイコ・ショッカー》が放つ電磁波が《人造人間-サイコ・ショッカー》の虚像を作り、その本体を覆い鎧の様に纏われる。
《人造人間-サイコ・ショッカー》
攻1500 → 攻2500
「さらに続けて速攻魔法《リミッター解除》も発動! さらにサイコ・ショッカーの攻撃力は倍増!!」
さらにダメ押しとばかりに自身の回路を全開にまで開き、《人造人間-サイコ・ショッカー》は己の限界を超えたパワーを引き出す。
《人造人間-サイコ・ショッカー》
攻2500 → 攻5000
「返り討ちだ! サイコ・ショッカー!! フルパワー!! ハイパーエナジーショック!!」
《人造人間-サイコ・ショッカー》の限界以上にまで増幅されたエネルギーボールが発射され、《TM-1ランチャースパイダー》の放ったミサイルの弾幕を破壊していき、《TM-1ランチャースパイダー》に着弾。
そのエネルギーに呑まれた《TM-1ランチャースパイダー》はその攻撃に苦し気に耐えようとするも爆散し、その爆風がトムを襲った。
「うぁあああああああ!!」
トムLP:1600 → 0
そんなデュエルの終わりを見届けた双六は城之内を見やる。
「どうじゃ? 城之内――あれがお前さんが戦うデュエリストじゃ」
しかし城之内よりも先に本田が心配そうに声を上げた。
「おいおい、爺さん、無茶じゃねぇか? 『心を読む』なんて強そうな相手にどうやって立ち向かえばいいんだよ?」
いかにもな強者風のエスパー絽場に「城之内でも厳しいのではないか」と案ずる本田。
だが城之内は作戦を立てるといった「頭を使う」ことが苦手ながらも頑張ってひねりだした攻略法を自信なさげに言い放つ。
「そ、そりゃぁ……ほら、あれだよ! 『無心』になるんだよ!」
「いや、そんな無茶苦茶な……」
大分フワッとした攻略法に御伽も頬を引きつらせるが、双六は拙いながらも苦手な分野で懸命に足掻く城之内に笑みを見せた。
「ホホッ――いやいや、あながち間違ってはおらんぞ、城之内。そもそもエスパー絽場くんは相手の心を読んでおる訳ではないんじゃ」
「だがよ、じいさん。現にあの野郎はトムのカードをピタリと言い当ててじゃねぇか」
指を一つ立ててそもそもの話を始める双六だが、本田からすれば『心を読む』以外に相手の手札を見通すなど出来る筈がないといった様子。
しかし双六は手品のタネを明かす様に立てた指の先を回す様に揺らす。
「勿論タネがあるんじゃ、大体のデュエリストは無自覚である程度はやっとる」
そう定義した双六は城之内にレッスンだと問いかける。
「そうじゃな……城之内、さっきトム君も使っておったモンスター《UFOタートル》を相手が召喚したとき、相手のデッキはどんなものじゃろうか?」
「そりゃぁ炎属性のデッキじゃねぇのか? それがどうかしたのかよ」
双六の問いかけに《UFOタートル》のデッキから炎属性のモンスターを呼び出す効果からそう答えるも、城之内には双六の問いかけの意図がいまいち読めない。
しかし傍の御伽が自分の指を鳴らし、真相に辿り着く。
「そうか! でも、そうだとするとエスパー絽場くんの実力はかなりのもの……」
エスパー絽場の実力の高さに城之内が心配になってきた御伽。
そんな御伽に双六はエスパー絽場のタネを説明していく――此方もイカサマなどとは夢にも思っていない様子だ。
「気付いたようじゃの御伽君。そうやって相手のデッキの中身を予想していけば、相手の所作や言動、さらにはどうプレイするかによって、自ずと相手の手札も分かってくるんじゃよ」
言われてみれば手品のタネはシンプルなものだが、言うは易く行うは難しというもの、ゆえに本田は懐疑的な声を上げる。
「理屈は分かるけどよ……そんなこと本当にできんのかよ?」
「多少の方針を固める程度なら儂にも出来る。じゃがカードを言い当てる絽場君のレベルとまでなると――豊富なカードの知識と経験が必須になるじゃろうな……まだ若いのに大したもんじゃ」
その本田の言葉に双六は城之内のステップアップには相応しい相手だと縦に首を振る。
「おいおい、そんなスゲェ奴が相手で城之内は大丈夫か?」
ある意味、城之内の師匠の双六を超えた技に本田は思わず城之内へ心配の声を上げるが――
「いや、相手にとって不足はねぇ! 俺はアイツを乗り越えて上のステージってヤツにいってやるぜ!」
デュエルで高みを目指す城之内からすれば尻込みなどしない――むしろそんな強者とのデュエルに燃えていた。
「よっしゃ! 絽場! 次は俺とデュエルしてくれよ!!」
そう言いながら手を上げつつ人混みをかき分け歩み出る城之内を視界に収めたエスパー絽場は「見た顔だ」と自身の記憶を巡り――
「君は……確か
「おう! 城之内 克也だ! お前にデュエルを申し込むぜ!!」
そう意気揚々と答える城之内にエスパー絽場は考える素振りを見せる。
――ベスト4に残ったと言ってもほとんど運で勝ち上がったようなデュエリストか……カモだな。
「構わないよ。それでパズルカードは何枚賭けようか?」
楽な相手だと、どうせパズルカードは1枚しか持っていないだろうと思いつつ確認を取るが――
「俺は今、持ってる2枚! 全部を賭けるぜ!」
城之内は2枚のパズルカードを提示する――それは自身を追い込む背水の陣。
そんな城之内の姿に一瞬呆気に取られるも、好都合だと内心でほくそ笑む。
――まさか2枚持っているとはね……しかも全賭けを相手の方から言い出してくれるとは……もう少し揺さぶっておくか。
「OKだ。ボクも手持ちの2枚全てを賭けよう。でも代わりにボクの方からも条件があるんだ」
「ん? 条件?」
エスパー絽場からの条件に僅かに身構える城之内。自身の条件はエスパー絽場が呑んだ為に、断り難い。
「ああ、レアカードも2枚賭けにしよう」
「レ、レアカードも!」
その提案に城之内は戸惑いを見せる。
それもその筈、お金の大切さを知る城之内からすればレアカードが1枚アンティされるだけでも、精神的ダメージは計り知れない。
それが2枚ッ! 倍ッ! 2倍であるッ!
「まぁ、勝つ自信がないなら――」
そんなエスパー絽場の挑発を言い切る前に城之内は決断する。
「いいぜ! やってやろうじゃねぇか!!」
そしてやる気をなお漲らせる――負けられない理由が一つ増えたのだと。
「なら早速! デュエルと行くぜ!」
そう気合十分でデュエルディスクを展開させる城之内にエスパー絽場は「扱いやすそうな奴」などと思いながらデュエルディスクを構えた。
「 「デュエル!!」 」
デュエルディスクが指し示した先攻のプレイヤーは城之内。初期手札も悪くないとデッキに手をかける。
「まずは俺の先攻! ド――」
そしてデッキからカードを引き抜く前に聞き覚えのある声が響いた。
「そのデュエル、待ったや!!」
その声の主はダイナソー竜崎。その様相は怒り心頭と言ったところ。
「――ロー! って何だぁ!?」
思わぬ邪魔に城之内は勢いを失うも見知った顔の只ならぬ様相に問いかける。
「ん? 竜崎じゃねぇか 後ろの兄弟は誰だ? エスパー絽場の奴に似てるが……」
そう疑問を呈する城之内を無視して竜崎はエスパー絽場に近づいていき――
「お前ぇ!! 『手札の盗み見』なんて舐めたマネしよってからに!!」
そうエスパー絽場を指さしながら憤慨する竜崎。その後ろのエスパー絽場の弟たちは小さく縮こまっていた。
「な、なんのことかな?」
己のイカサマがバレたことを知りつつもエスパー絽場は惚けて見せる。
周囲には先程のトムとのデュエルの時の観客がかなりいる為、この場でおいそれとイカサマの事実を認める訳にはいかない。
「とぼけても無駄や! このチビ共から話は聞きだしたわ!!」
「だとしても、それが何の証拠になるんだ? まだ彼らは幼い。ただ勘違いしてるだけ――」
共犯のエスパー絽場の弟たちの証言でイカサマを追求する竜崎だったが、エスパー絽場は弟たちの年齢ゆえに証言能力はないと突っぱねようと試みる。
その反省の色がゼロなエスパー絽場の姿に竜崎の額に青筋が浮かんだ。
「ほ~あくまで認める気はないっちゅう訳やな?」
「認めるも何もボクはそんなこと――」
周囲の懐疑的な視線を振り切るようにエスパー絽場は否認を続けるが――
「せやったらお前の耳の通信機持って出るとこ出よか――KCのゴッツイ技術やったら通信データの一つや二つ、あっちゅうまに調べられるで?」
竜崎はそう言ってエスパー絽場に手を差し出す――ネタは上がっているのだと。
確実な証拠はエスパー絽場自身が握っていた。
「お前がホンマに無実っちゅうんやったら――渡して貰おか?」
そう詰め寄る竜崎にエスパー絽場は後退る。
ここでどうにかして耳の通信機を破棄しても周囲の目があるゆえにイカサマを認めたと同義だ。
この場を逃れる手段を脳内で模索するエスパー絽場。
しかし思わぬところから救いの声が上がる。
「待てよ、竜崎! もっと簡単に真実を確かめる方法があるぜ!」
今エスパー絽場とのデュエルを始めたばかりの城之内だ。
「こいつが相手の手札を見通せる程の読みが出来るってんなら――俺くらいのデュエリストなんて直ぐ倒せるはずだぜ!」
そんな城之内の如何にもデュエリストらしい解決法に竜崎は勢いを削がれたように力なく返す。
「つまりデュエルで白黒付けるって言うんか? 確かに一理あるかもしれんが、実際に被害に遭った奴がおるんや。そら許せるもんやない――」
竜崎もデュエルを中断させるような真似はしたくはないが、「被害者の存在」と「まだデュエルが始まったばかりな事実」からこの場での解決を選択させる。
しかしその城之内の提案を支持するものがもう一人。
「僕は構いませんよ、城之内さん」
それは先程、エスパー絽場のイカサマにより敗北した少年、トム――
デュエルの問題はデュエルで解決するもの――それがデュエリストなのだ。そういうものなのだ。
「……トム、ありがとな」
思わぬ援護射撃に城之内は鼻をかく――背を押された事実が城之内を認めていることの表れの様に感じたゆえに。
「いや、話進めとるとこ悪いけどワイは了承した訳やあらへ――」
そんなデュエリストのやり取りに流されそうになりつつも竜崎はこの場での解決を望む――その条件では城之内が負けた場合は追及できなくなってしまう為だ。
エスパー絽場が確実に「黒」である以上、万が一の可能性は許してはならない。
『なら僕が了承しよう』
しかし、またしても竜崎の声を遮るような声が「上」から響く。
周囲の人間が音の先を見れば、そこにあるのは街頭のディスプレイ。
そのディスプレイには「KC」の文字だけが写っていた。
「の、乃……じゃなくて、だ、誰や!?」
その乃亜の声に咄嗟に名前を呼びそうになる竜崎だが、すんでのところで誤魔化す。今の竜崎の立場は「一参加者」、大会の運営側とは関係ないのだと。
乃亜の言葉は続く。
『話は聞かせて貰ったよ。この大会の運営を取り仕切る僕の権限で許可しようじゃないか』
KCの運営側からのアクションにエスパー絽場は光明を見出す。
『エスパー絽場、君がこのデュエルに勝てば「君」への疑いは不問にしよう。だが、もし城之内克也が勝った場合は――言わなくても分かるね?』
「何のことかは知らないが、これ以上訳の分からない言い掛かりを止めてくれるなら願ってもない限りさ」
エスパー絽場はヤレヤレといった様子でその乃亜の提案に全力で乗りにかかった。渡りに船な提案ゆえに。
『では取り決めを――』
取り決めを説明していく乃亜だが、先ほどの城之内とのやり取りと大きな相違はなかった。
違うのは互いが賭けるレアカードの2枚――そのエスパー絽場側への取り決めだ。
それはエスパー絽場が賭けるレアカードの2枚の内の1枚に先程トムからアンティした《TM-1ランチャースパイダー》を賭けることのみ。
『不正の有無はそうだな……ダイナソー竜崎くん。この一件を突き止めた君に一任しようじゃないか』
「よっしゃ! ワイがバッチリ、ジャッジしたるで~!!」
乃亜の言葉に竜崎は不正は逃さないとやる気を漲らせた――やはり内心では竜崎もデュエルでの解決を望んでいたのだろう。
「おう、文句ねぇぜ! 公平なジャッジを頼むぜ! 竜崎!!」
「ボクも異存はない! さぁ! デュエルの再開といこうか!!」
そう竜崎に手を上げて返す城之内にエスパー絽場も自信ありげに返す――この程度の相手、城之内には負ける筈がないと。
エスパー絽場は気付かない――この勝負に勝とうが負けようが逃げ場などないことに。
TM-1ランチャースパイダー「キース……俺は居場所を見つけたよ……」
ガジェット・ソルジャー「自分も海馬社長からリストラされましたが無事に再就職が決まりました……」
BM-4ボムスパイダー「そんな2人の愛の結晶です(違う)――キースさんのところに行ってきます!」
デビルゾア「( ゚д゚)…………( ゚д゚ )」
メタル・デビルゾア「悔しいでしょうねぇ(フィールド魔法《
~入りきらなかった人物紹介~
トム
遊戯王DM にて登場
ペガサスの「トムの勝ちデース!」の言葉で全てお分かりいただけるだろう……
でもキチンとした紹介もしておきます。
短い金髪にそばかすと前歯が抜けているのが特徴のアメリカ人の少年。
――原作にて
キース・ハワードがペガサスに挑戦状を叩きつけデュエルした際、
ペガサスはマインドスキャンを使いキースの手の内を読み、必勝の方法をメモ。
そして、観客席から少年トムを呼び、上述のメモを渡してトムがその通りにデュエルした結果、キースは敗北。
トムの勝利後、ペガサスが言った台詞「トムの勝ちデース!」が印象的。
こうしてキースはデュエルモンスターズの宣伝のダシに使われてしまい、全てを失った。
ちなみにトムが原作でその後どうなったかは不明。
さらに遊戯王GXに登場した
ギースにジェリービーンズマンのカードを奪われた少年もまた「トム」という名前だが別人である。
――今作では
キレイなペガサスのアドバイスの元、キレイな全米チャンプ、キースとデュエルしたラッキーボーイ。
キースとペガサスは互いに同じデッキだったがそんなことは些事である。
その経験はトムをデュエリストとして大きく成長させた。
さらにそのデュエルの後、トムが買ったカードパックから出た《TM-1ランチャースパイダー》のカードは彼の宝物に。
その腕にはキースのファンの証、米国旗のバンダナが巻かれている。
そのデュエルの実力は中々のもの。
しかしそれよりも真っすぐに、そしてとても楽しそうにデュエルする姿が印象的。
通り名は「ラッキートム」