マインドクラッシュは勘弁な!   作:あぱしー

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前回のあらすじ
トムの勝ちデース!(勝ったとは言っていない)



第88話 頑張れ絽場、弟の人生がかかっているぞ

 デュエルが再開され、城之内はドローした手札を見て負けられないとやる気を漲らせる。

 

「俺はまず魔法カード《手札抹殺》を発動! 互いは手札を全て捨てて、捨てた分だけドローだ!!」

 

 早速の手札入れ替えカード。

 

 城之内と共に手札を入れ替えたエスパー絽場の苦悶の顔色を見る限り、相手にはいい塩梅に作用したようだ。

 

「そして魔法カード《予想GUY(ガイ)》を発動! コイツは俺のフィールドにモンスターが存在しない時! デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚するぜ!」

 

 城之内のフィールドにスパークが起こり――

 

「来いっ! 《アックス・レイダー》!!」

 

 そこから城之内のデッキの切り込み隊長的な扱いの《アックス・レイダー》が斧を振り回し、気合タップリな姿を城之内に見せつける。

 

《アックス・レイダー》

星4 地属性 戦士族

攻1700 守1150

 

「お次がコイツだ! 魔法カード《蛮族の狂宴LV(レベル)5》を発動! 俺の墓地のレベル5の戦士族モンスターを2体まで特殊召喚だ!! 頼むぜ!! 《バーバリアン1号》! 《バーバリアン2号》!!」

 

 決闘者の王国(デュエリストキングダム)でも城之内を幾度となく助けてくれた本田から貰ったカードである《バーバリアン1号》と《バーバリアン2号》が互いの棍棒をぶつけ合わせ、互いに鼓舞し合う。

 

《バーバリアン1号》

星5 地属性 戦士族

攻1550 守1800

 

《バーバリアン2号》

星5 地属性 戦士族

攻1800 守1500

 

「コイツで特殊召喚したモンスターは効果は無効化されちまうし、このターンは攻撃出来ねぇが今は最初のターンだ! 関係ねぇぜ!」

 

 3体のモンスターをフィールドに並べた城之内だが、その展開はまだ終わらない。

 

「墓地の《カーボネドン》を除外して効果を発動! 俺のデッキからレベル7以下のドラゴン族の通常モンスター1体を守備表示で呼び出すぜ! 俺が呼ぶのは《ベビードラゴン》!!」

 

 バトルシティからのニューフェイスにも関わらず、過労死でお馴染み《カーボネドン》。

 

 その身体の黒い甲殻をパージすると、そこには遊戯から託された《ベビードラゴン》が小さな羽を広げ、口から小さな炎を吐く。

 

《ベビードラゴン》

星3 風属性 ドラゴン族

攻1200 守 700

 

「ここで! 魔法カード《馬の骨の対価》を発動して、俺のフィールドの効果モンスター以外の――《ベビードラゴン》を墓地に送って2枚ドロー!!」

 

 そしてそのまま空を飛んだ《ベビードラゴン》は光の粒子となって城之内の手札を潤す。

 

「そして永続魔法《冥界の宝札》を発動し――《アックス・レイダー》と《バーバリアン1号》の2体をリリースしてアドバンス召喚!!」

 

 《アックス・レイダー》の斧と《バーバリアン1号》の棍棒が打ち鳴らされる――その衝撃で斧の方が欠けたが気にしてはならない。

 

「早速出てきな! 俺のエース! 《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》!!」

 

 その2体の戦士は炎の柱となって混ざり合い、空で弾けた先にあるのは頼もしい黒き身体――《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》が悠然と翼を広げる。

 

真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)

星7 闇属性 ドラゴン族

攻2400 守2000

 

「2体のモンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功したことで、永続魔法《冥界の宝札》の効果で2枚ドローだぜ!」

 

 新たに補充したカードで城之内は更に動く。

 

「まだまだ行くぜ! 魔法カード《死者蘇生》発動! 俺は墓地の《漆黒の豹戦士パンサーウォリアー》を蘇生させるぜ!」

 

 飛び上がるのは紫のパンサーの戦士。

 

 緑のマントを風に揺らしつつ手に持つサーベルと盾を打ち鳴らし、城之内の隣に着地する。

 

《漆黒の豹戦士パンサーウォリアー》

星4 地属性 獣戦士族

攻2000 守1600

 

「装備魔法《愚鈍の斧》をパンサーウォリアーに装備! これでパンサーウォリアーの攻撃力は1000アップ!」

 

 《漆黒の豹戦士パンサーウォリアー》のサーベルに間抜け顔のワッペンのようなものが取り付くと、そのサーベルが巨大な斧へと変貌していく。

 

《漆黒の豹戦士パンサーウォリアー》

攻2000 → 攻3000

 

「代わりに装備モンスターの効果が無効にされちまうが、逆にパンサーウォリアーの攻撃時に自分のモンスターをリリースしなきゃならねぇデメリット効果が無効になる! 願ったり叶ったりだぜ!」

 

 その《愚鈍の斧》は《漆黒の豹戦士パンサーウォリアー》に侵食するようにその腕と一体化していくが、当の本人は気にした様子もない。

 

 むしろ身体が軽くなったとばかりに腕を回していた。

 

「カードを1枚伏せてターンエンドだ! さぁ! どっからでもかかって来やがれ!!」

 

 

 城之内はフィールドにパワー重視のモンスターを3体並べてエスパー絽場を迎え撃つ。

 

 

「ならボクのターン! ドロー!」

 

 だがエスパー絽場は自分の手札を見た後で不敵に笑う。

 

――この程度の相手にボクの切り札たるサイコ・ショッカーを使うまでもない!

 

 その内心の様子が表に出たように自信をもってカードを発動させた。

 

「まず魔法カード《闇の量産工場》を発動! 墓地の通常モンスター2体――《メカ・ハンター》と《ブロッカー》を手札に回収させて貰うよ!」

 

 ベルトコンベアーを駆け抜けるのは丸い身体に翼と7本のアームを取り付けた《メカ・ハンター》とばらばらになった人形のそれぞれの部位がひとりでに動く《ブロッカー》の姿。

 

 何だか《メカ・ハンター》が《ブロッカー》のスプラッターな姿に恐怖しエスパー絽場の手札に逃げ込んでいるようにも見えるのは気のせいなのか。

 

 だが城之内は別のところに意識が向く。

 

「《メカ・ハンター》!? ソイツはキースが使っていた!」

 

 そう、キースと直に戦ったことのある城之内にはそのキースが使用していた《メカ・ハンター》の存在の方が気になった模様――普通に販売されているカードだが、やはり使い手が使い手だけに気になるのだろう。

 

 

 しかしエスパー絽場はその城之内の認識を鼻で笑う。

 

「一緒にしてもらっちゃ困るな! ボクはあのチャンプのように態々捨て身の戦術を取る気はないよ!」

 

 エスパー絽場はキースとは違うことを強調し声を荒げる――それは真似ただけのデッキと思われるのを嫌ったゆえか。

 

「魔法カード《シャッフル・リボーン》を発動! このカードの効果でボクのフィールドにモンスターがいない時! ボクの墓地のモンスター1体を蘇生させる! 蘇れ! 《KA-2 デス・シザース》!!」

 

 地面から周囲の土を押し払い、水色の装甲を持ったカニを模したロボットが「KA-2」と印字された大きなハサミを城之内に向けてガシャガシャ動かす。

 

《KA-2 デス・シザース》

星4 闇属性 機械族

攻1000 守1000

 

「もっとも、《シャッフル・リボーン》で蘇生したモンスターの効果は無効になり、エンドフェイズに除外されるけどね!」

 

 そのエスパー絽場の言葉に《KA-2 デス・シザース》はハサミを持ち上げたまま、背後の主に振り向く――自分の未来が見えてしまったゆえに。

 

「だがこのカードでその過程も無意味だ! 魔法カード《トランスターン》!!」

 

 その《KA-2 デス・シザース》の予想通りに周囲に赤い装甲が浮かぶ。

 

「このカードの効果で《KA-2 デス・シザース》を墓地に送り、同じ属性・種族でレベルの1つ高いモンスターをデッキから特殊召喚する!!」

 

 その赤い装甲は次々に《KA-2 デス・シザース》の身体に装着されていき――

 

「現れろ! レベル5!! 機械なる捕食者! 《ニードルバンカー》!!」

 

 赤い装甲を持ったサソリ型のロボットへと生まれ変わる。

 

 生まれ変わった己を誇るように赤いハサミを城之内に向けつつ、尾の先の刃をユラユラと動かす。

 

《ニードルバンカー》

星5 闇属性 機械族

攻1700 守1700

 

「ここで速攻魔法《魔力の泉》を発動! 君のフィールドの表側の魔法・罠の数だけドローし! ボクのフィールドの表側の魔法・罠のカードだけ手札を捨てる!」

 

 城之内のフィールドの表側の魔法・罠カードは《冥界の宝札》と《愚鈍の斧》の2枚、そしてエスパー絽場のフィールドには《魔力の泉》のみ。

 

「君のフィールドのカードは2枚! ボクのフィールドは1枚! よって2枚ドローして1枚捨てる!!」

 

 手札から墓地に送られ、パーツごとに落ちる《ブロッカー》はこれ以降の出番があることを信じるしかなかった。

 

「そして次の君のターンの終わりまで君のフィールドの魔法・罠カードは破壊されず、無効化されない!!」

 

 そう言いつつもエスパー絽場は城之内に次のターンを与える気などなかった。

 

「まだまだ行くよ! ボクは今引いた魔法カード《チューナーズ・ハイ》を手札のモンスターの《メカ・ハンター》を1枚捨てて発動!!」

 

 周囲に運動会でよく流れる音楽が木霊する。

 

「この効果で捨てたモンスターと同じ属性・種族でレベルが1つ高いチューナーモンスター1体をデッキから特殊召喚する!!」

 

 《メカ・ハンター》はその音楽に背を押され、加速していき――

 

「ボクが今捨てた《メカ・ハンター》のレベルは4!! よって呼び出すのは――レベル5のチューナーモンスター!! 《A(アーリー)・マインド》!!」

 

 その加速の先に待ち受けていたのはより球体状に近くなったマシンボディ。

 

 その丸みを帯びた黒い身体からは多数のコードが伸びており、身体の電極から電波が迸り、同じく球体状のモノアイがギョロリと周囲を見渡した。

 

A(アーリー)・マインド》

星5 闇属性 機械族

攻1800 守1400

 

「『チューナー』にこんな使い方があったのかよ……」

 

 城之内も《共闘するランドスターの剣士》という「チューナーモンスター」を持っているが、殆ど「ただの効果モンスター」程度の認識しかない。

 

 師である双六に尋ねたときも「新しく出たカードゆえに情報があまりない」としか語られなかった。

 

 そんな城之内の姿にエスパー絽場は挑発気に笑いつつ返す。 

 

「フッ! ボクの力はまだまだこんなものじゃない!! このターン! ボクはまだ通常召喚していない!! よって《サイバー・レイダー》召喚!!」

 

 エスパー絽場の声と共に跳躍するのは黄色いラインの入った青いレーシングスーツのようなものを着た《サイバー・レイダー》。

 

 その頭部の棘のあるヘルメットからエネルギーが迸る。

 

《サイバー・レイダー》

星4 闇属性 機械族

攻1400 守1000

 

「そして《サイバー・レイダー》が召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、フィールド上のモンスター1体に装備されたカードに効果を及ぼす!!」

 

 《サイバー・レイダー》が狙うのは《漆黒の豹戦士パンサーウォリアー》の手の《愚鈍の斧》。

 

「その装備カードを『破壊する』か、『自身に装備させる』かをね!! ボクは当然君のフィールドの装備魔法《愚鈍の斧》を《サイバー・レイダー》に装備!!」

 

 《魔力の泉》の耐性はあくまで「効果が無効にされない」と「破壊されない」ことだけだ、カードの「装備先の変更」は防げない。

 

 

 それゆえに《漆黒の豹戦士パンサーウォリアー》がいかに踏ん張ろうとも《愚鈍の斧》は《サイバー・レイダー》に引き寄せられ宙を舞った後でその手に収まった。

 

《漆黒の豹戦士パンサーウォリアー》

攻3000 → 攻2000

 

《サイバー・レイダー》

攻1400 → 2400

 

「最後に永続魔法《マシン・デベロッパー》を発動! これによりフィールドの機械族モンスターの攻撃力は200ポイントアップ!!」

 

 背後に出来た機械工場のような《マシン・デベロッパー》にチューンを受けてパワーアップしたモンスターたちはその機械音で雄叫び代わりに叫びを上げる。

 

《ニードルバンカー》

攻1700 → 攻1900

 

A(アーリー)・マインド》

攻1800 → 攻2000

 

《サイバー・レイダー》

攻2400 → 攻2600

 

「バトルだ! 《サイバー・レイダー》でパンサーウォリアーを!」

 

 《サイバー・レイダー》はその巨大な斧を振りかぶり、

 

「《A(アーリー)・マインド》で《バーバリアン2号》を!」

 

 《A(アーリー)・マインド》は自身を高速回転させながら、

 

「《ニードルバンカー》でレッドアイズにそれぞれ攻撃だ!!」

 

 《ニードルバンカー》は《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》を目掛けて走り出す。

 

「この一斉攻撃で君は終わりさ!!」

 

 そのエスパー絽場の勝利宣言に城之内は鼻を鳴らす。

 

「へん! 何言ってんだ! 仮に俺のレッドアイズを弱体化させて破壊出来たとしても俺のライフは十分に残るじゃねぇか!」

 

 エスパー絽場の最後の手札の効果で《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》の攻撃力が0になろうとも、戦闘ダメージで城之内の全てのライフを0にすることは出来ない城之内の計算だ。

 

 しかしエスパー絽場の計算は違う。

 

「そんなことはないさ! 《ニードルバンカー》が戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った時! その破壊したモンスターのレベル×500ポイントダメージを与えるからね!!」

 

 《ニードルバンカー》の効果による効果ダメージを合わせれば――

 

「君のレッドアイズのレベルは7! よってそのダメージは3500!! さぁ、分かっただろう! このバトルフェイズで君の負けだってことがね!!」

 

 城之内のライフ4000を容易く削り取れる計算だった。

 

 

 だが計算では測れない男が城之内だ。

 

「そう簡単に終わらせるかよ! 永続罠《連撃の帝王》を発動! この効果で俺は相手ターンに1度! そのメインフェイズかバトルフェイズにモンスター1体をアドバンス召喚出来るぜ!!」

 

 その城之内の最後のリバースカードはあくまで召喚権を増やすもの。直接的にエスパー絽場のモンスターをどうこうするものではない。

 

 

 それゆえにエスパー絽場の余裕は崩れない。

 

「無駄だよ! 今更何を呼ぼうともボクの勝ちは揺るがない!! むしろ君を守る壁となるモンスターが減る分だけ敗北は早まるだけだ!」

 

 そんなエスパー絽場の言葉に城之内はニヤリと笑う。

 

「なら目ん玉かっぽじって、よーく見な!! 俺はパンサーウォリアーと《バーバリアン2号》、そしてレッドアイズの3体をリリースしてアドバンス召喚するぜ!!」

 

「なにっ!? 3体のリリースだって!?」

 

 レベル7以上の最上級モンスターをアドバンス召喚する為のリリースは2体だ――3体リリースすることなど本来は出来ない。

 

 つまりこれは秘められた効果を持つゆえのもの。

 

「今こそ真の力を見せな!! 《ギルフォード・ザ・ライトニング》!!」

 

 竜と戦士の力を受け、稲妻の騎士、《ギルフォード・ザ・ライトニング》がフィールドに降り立ち剣を振るうと周囲に突風が舞う。

 

《ギルフォード・ザ・ライトニング》

星8 光属性 戦士族

攻2800 守1400

 

 城之内のフィールドに佇む《ギルフォード・ザ・ライトニング》のプレッシャーにエスパー絽場は一抹の不安にかられるも、強気に返す。

 

「くっ……だがその攻撃力は2800!! その程度じゃボクの攻撃は止まらない!! これで君の負けだぁ!!」

 

 そのエスパー絽場の声に押され、《ニードルバンカー》がハサミを動かしながら一番槍だと《ギルフォード・ザ・ライトニング》に飛び掛かるが――

 

「そいつはどうかな! 俺は3体のモンスターをリリースしてアドバンス召喚された《ギルフォード・ザ・ライトニング》の効果を発動!! 相手フィールドのモンスターを全て破壊する!!」

 

 その《ギルフォード・ザ・ライトニング》の大剣には目にハッキリ見える程に膨大な雷が蓄積されているのが見て取れる。

 

「唸れ!! ライトニング・サンダー!!」

 

 そしてその大剣の雷は《ギルフォード・ザ・ライトニング》の大剣の一閃により放たれ、エスパー絽場のフィールド全体を蹂躙する。

 

 その雷の奔流に呑まれた先頭の《ニードルバンカー》を巻き込みながら、その後ろの《A(アーリー)・マインド》と《サイバー・レイダー》を呑み込んでいく。

 

「ぐぅうううっ!! ボクのモンスターが!!」

 

 雷の奔流が収まるころにはエスパー絽場のフィールドのモンスターは0――《マシン・デベロッパー》だけが虚しく残る。

 

「どんなもんよ! ――っと、2体以上のモンスターをリリースしてアドバンス召喚したことで永続魔法《冥界の宝札》で2枚ドローさせて貰うぜ!」

 

 相手モンスターの一掃に手札の補充までこなした城之内は満足気だ。

 

「くっ……機械族モンスターが破壊されたことで永続魔法《マシン・デベロッパー》の効果でこのカードにジャンクカウンターを2つ置く……」

 

ジャンクカウンター:0 → 2

 

 《マシン・デベロッパー》にカウンターが乗るも、今のエスパー絽場にそれを活かすだけの余力はない。1ターンで一気に勝負に出たゆえにエスパー絽場の手札は相応に消耗していた。

 

「墓地の《シャッフル・リボーン》を除外して自分のフィールドのカード――《マシン・デベロッパー》をデッキに戻し、カードを1枚ドロー!!」

 

 ゆえに新たな可能性という名のドローに舵を取る。

 

「――カードを2枚伏せてターンエンドだ!! エンドフェイズに《シャッフル・リボーン》の効果で手札を除外するが、ボクにはその手札はない!」

 

 苦し気にターンを終えたエスパー絽場。

 

 その姿に城之内は発破をかけるように言い放つ。

 

「どうしたよ! 得意のカード予想で、俺の手札のカードは見抜けなかったのか!」

 

 今の城之内はエスパー絽場が「イカサマをしていない」可能性を信じていた――例え今の攻防で城之内のカードをエスパー絽場が何一つ見抜いていなかったとしてもだ。

 

 それは城之内も同じように兄としての立場ゆえに信じたい思いが見て取れる。

 

「俺のターン! ドロー!」

 

 そんな精神状態でカードを引いたゆえか城之内の手札はいまいちパッとしない。

 

――とはいえ、俺の手札も微妙だなぁ……

 

 そんな何とも言えない手札ゆえか城之内の手も僅かに緩む。

 

「君、手札が見えそうになっているよ」

 

「おおっと、危ねぇ――ありがとな!」

 

 その手の緩みをエスパー絽場の指摘を受けて慌てて治す城之内――その心にあるのは「キチンと指摘してくれる相手がイカサマなどしない、ゆえにきっと何かの間違いなのだ」と。

 

「フフ、どういたしまして」

 

――相手の手札は《スケープゴート》に《名推理》、《馬の骨の対価》か……

 

 そうエスパー絽場は内心でほくそ笑む――全然反省していなかった。いや、負けられないデュエルゆえに手段を選んでいる余裕がないゆえかもしれない。

 

 まぁこの場合は手札が見えそうな状態になるまで気が緩んでいた城之内側の問題でもあるが。

 

「俺は魔法カード《名推理》を発動! さぁ好きなレベル選びな!」

 

 そうとは知らない城之内はやる気を漲らせ、その頭上にルーレットが回る。

 

「ならレベル4を選ぶ!!」

 

 そのルーレットは4の文字を表し、城之内のデッキのカードを次々と墓地へ送っていく。

 

 その空白の時間がエスパー絽場にはとても長く感じられる――出てきたモンスター次第ではこのターンの城之内の攻撃を防ぎきれない可能性もあるのだから。

 

「ならデッキの上からカードを墓地に送って――残念! レベル3だ! よってそのまま特殊召喚だぜ! 来いっ! 《格闘戦士アルティメーター》!!」

 

 青いバトルスーツの《格闘戦士アルティメーター》が軽快なフットワークと共に《ギルフォード・ザ・ライトニング》に並び立つ。

 

 その目はまだまだ自分も負けていられないと言葉以上に雄弁に語っていた。

 

《格闘戦士アルティメーター》

星3 地属性 戦士族

攻 700 守1000

 

「バトルだ!! 《ギルフォード・ザ・ライトニング》でダイレクトアタック!! ライトニング・クラッシュ・ソード!!」

 

 《ギルフォード・ザ・ライトニング》が下段に大剣を構え、そのままエスパー絽場に向かって疾走する。

 

「そうはさせないよ!! 速攻魔法《鈍重(どんじゅう)》を発動! フィールドの表側のモンスター1体の攻撃力をターンの終わりまで、そのモンスターの守備力分だけダウンさせる!!」

 

 だがその手の大剣が突如として重量を増し、《ギルフォード・ザ・ライトニング》の手を離れ、地面に落ちた。

 

 その大剣は地面にめり込んでおり、《ギルフォード・ザ・ライトニング》には持ち上げられない。

 

 そして大剣を失い無防備になったゆえに《ギルフォード・ザ・ライトニング》の攻撃力はその守備力の1400分だけダウンする。

 

《ギルフォード・ザ・ライトニング》

攻2800 → 攻1400

 

 だが大剣を失おうとも《ギルフォード・ザ・ライトニング》には大剣を振るう為に鍛えた鋼のごとき肉体がある。

 

 その剛腕から繰り出される拳がしたたかにエスパー絽場を打ち抜いた。

 

「ぐぅうう……!!」

 

エスパー絽場LP:4000 → 2600

 

「次だ! アルティメーターでダイレクトアタック! アルティメット・スクリュー・ナックル!!」

 

 素早くエスパー絽場に迫った《格闘戦士アルティメーター》は全身の筋肉をバネとしてねじり、その力を拳に乗せて打ち抜く。

 

「ぐわぁ!!」

 

エスパー絽場LP:2600 → 1900

 

「よっし! 絶好調だぜ! 俺はバトルを終了して2枚目の魔法カード《馬の骨の対価》を発動! フィールドの効果モンスター以外――《格闘戦士アルティメーター》を墓地に送って2枚ドローだ!」

 

 仕事は終えたと《格闘戦士アルティメーター》は城之内に拳を向けた後、光となって城之内の新たな可能性となるドローカードへとその身を変える。

 

「そんでもって! 俺はカードを3枚セットしてターンエンドだ!! ターンの終わりにはお前の《鈍重》の効果も消えるぜ!」

 

 地面にめり込んだ大剣の重さが戻ったことを確認した《ギルフォード・ザ・ライトニング》は大剣を持ち上げ、肩に担ぐ。

 

《ギルフォード・ザ・ライトニング》

攻1400 → 攻2800

 

 その《ギルフォード・ザ・ライトニング》の姿を見つつ、城之内は「良い調子だ」と静かに拳を握る。

 

 しかしエスパー絽場を見つめる城之内の視線に気の緩みは見られない。

 

 今までの攻防はあくまでエスパー絽場の油断を突いたものだと城之内は理解していた。

 

 

 その証拠にエスパー絽場の城之内を見る目は油断や慢心が消え、鋭さを増している――ここから「エスパー絽場」と呼ばれたデュエリストの本領が発揮されるのだと言わんばかりに。

 

 




魔導ギガサイバー(戦士族)「なぁ……俺の出番は?」

魔鏡導士(まきょうどうし)リフレクト・バウンダー「ある訳ないだろ。『機械族』の俺ですら『光属性』だからって弾かれたんだぞ」

チューナーズ・ハイ「……恐らく原因は私だ……すまない……本当にすまない……」



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