マインドクラッシュは勘弁な!   作:あぱしー

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前回のあらすじ
シャチ子「我が華麗なる演舞がデュエルに敗れるとは……こうなれば『デュエルが出来るシャチ』として名を馳せるしかない!!」

(ZEXALのデュエルが出来る犬)
忠吉「まずは前足でカードを引く練習ぜよ!」

(GXのデュエルが出来る猿)
SAL「ドローはこうデス!!」





第97話 海の男の下に集うは猛者

 

 

 城之内の4枚のセットカードをじっと見やる梶木。

 

「守りに入ったか……じゃが! その程度の守りじゃ大自然の脅威は防げんぜよ!!」

 

 しかしその程度では梶木は止まらない。その城之内のガードを崩す手段は梶木の手札に揃っていた。

 

「ワシのターン! ドローじゃあ!! まずは魔法カード《マジック・プランター》で永続罠――《竜巻海流壁(トルネードウォール)》を墓地に送って2枚ドローじゃ!!

 

 梶木のフィールドの竜巻が収まっていく。

 

 折角の守りの要である永続罠《竜巻海流壁(トルネードウォール)》を墓地に送る梶木――その意味が分からぬ城之内ではない。

 

「此処で《竜巻海流壁(トルネードウォール)》を墓地に? まさか!!」

 

「そのまさかじゃ!! ワシは――」

 

「だったら、ちっとばかし待ってもらうぜ! 梶木!! 俺は罠カード《ギャンブル》を発動!! コイントスを1度行い裏か表かを当てる!」

 

 罠カード《ギャンブル》には「自分の手札が2枚以下で、相手の手札が6枚以上」という厳しい発動条件がある。

 

 だが、今の城之内の手札は0、そして梶木の手札はちょうど6枚――条件は満たされている。

 

「当たれば俺はデッキから手札が5枚になるようドロー! 負ければ俺の次のターンをスキップだ!!」

 

「かなりリスキーなカードじゃのう……」

 

「まぁな! だがよ、俺はお前相手にリスクなしで勝てるとは思っちゃいねぇぜ! 俺は表を選ぶ!!」

 

 厳しい発動条件に加えて「自身のターンのスキップ」という重いデメリット――しかし城之内は怯まない。ここで臆せば目指す先へは届かないのだと感覚的に理解しているゆえに。

 

 

 そして運命のコインが宙を舞う。その結果は――

 

「成功だ!! 手札が5枚になるようドロー!!」

 

 城之内の宣言と同じく表。よって城之内の手札は一気に回復する。

 

「手札を随分増やしたようじゃの……」

 

 これで仮に梶木が《海竜(リバイアドラゴン)-ダイダロス》の効果でフィールドのカードを全て破壊しても、城之内には戦況を立て直すだけの力は残る――手札が残っていればの話だが。

 

「ワシは前のターン伏せとった魔法カード《ワン・フォー・ワン》を発動じゃ! 手札のモンスターを1体捨てて、デッキからレベル1のモンスターを特殊召喚するぜよ!!」

 

 梶木のフィールドに小さな水柱が上がる。

 

「ワシはレベル1の《海皇子(かいおうじ)ネプトアビス》を特殊召喚!! 《伝説の都 アトランティス》の効果でパワーアップ!」

 

 その水柱を割り歩みでたのは海のように青い色の鎧を纏った黒い長髪の青年。その方には三又の槍を担ぎ、背からは帯のような布がいくつも揺れる。

 

海皇子(かいおうじ)ネプトアビス》

星1 水属性 海竜族

攻 800 守 0

攻1000 守 200

 

 そして《伝説のフィッシャーマン》へ向けて軽く会釈する《海皇子(かいおうじ)ネプトアビス》――海に生きるモノとしての関係性がある模様。

 

「そして効果発動じゃ!! コイツは1ターンに1度! デッキから自身以外の『海皇』モンスターを1体墓地に送って、デッキから自身以外の『海皇』カードを手札に加えるぜよ!!」

 

 《海皇子(かいおうじ)ネプトアビス》はその名の通り、「海の皇子」――つまり王族だ。ゆえに上に立つものとして自身が臣下へ指示を出す。

 

「ワシはデッキから《海皇の狙撃兵》を墓地に送り、デッキから《真海皇 トライドン》を手札に加えるぜよ!!」

 

 《海皇子(かいおうじ)ネプトアビス》が三又の槍を指示した個所から小さな海竜が梶木の手札へ飛び立って加わり、その後からボウガンを持った魚人が顔を出す。

 

「さらに水属性モンスターの効果を発動するために墓地に送られた《海皇の狙撃兵》の効果発動!! セットされた相手のカード1枚を選択して破壊じゃい!!」

 

 その海から顔を出した《海皇の狙撃兵》は城之内のセットカードへとボウガンを向け――

 

「ワシは城之内! お前から見て一番右のカードを破壊するぜよ!!」

 

 そして梶木の宣言に従い、狙いを修正して矢が放たれた。

 

「ま、まった! まった! その効果にチェーンして永続罠《真紅眼の鎧旋(リターン・オブ・レッドアイズ)》を発動!!」

 

 その矢に対して、むざむざ破壊される訳にはいかないと城之内は慌てて狙われたカードを発動させる。

 

「1ターンに1度! 俺のフィールドに『レッドアイズ』モンスターがいるとき、墓地の通常モンスター1体を特殊召喚できる!!」

 

 その言葉に城之内のフィールドの《真紅眼の遡刻竜(レッドアイズ・トレーサードラゴン)》が自身の存在を示すかのように翼を大きく広げ、雄叫びを上げる。

 

「俺のフィールドには『レッドアイズ』モンスター! 《真紅眼の遡刻竜(レッドアイズ・トレーサードラゴン)》がいる!! よって墓地の《メテオ・ドラゴン》を守備表示で特殊召喚!!」

 

 その雄叫びに呼ばれて海面から飛び出してきたのは、先程融合素材となった《メテオ・ドラゴン》。隕石から生える手足頭を引っ込め、カメの様に丸まり海に浮かぶ。

 

《メテオ・ドラゴン》

星6 地属性 ドラゴン族

攻1800 守2000

 

「…………そう慌てんでも、表側になったカードは《海皇の狙撃兵》の効果では破壊されんぜよ」

 

 あまりの城之内の慌てぶりに溜息を吐く梶木――色々城之内の実力を感じ取り、それを認めていた矢先ゆえに、その眼はどこか呆れ気味だ。

 

「なんだ、そうなのかよ……思わず焦っちまったぜ……」

 

「じゃが折角モンスターを呼んでも結局は無駄になるぜよ! ワシは墓地の《フラッピィ》の効果を発動じゃ!!」

 

 城之内の何とも言えぬ反応を梶木は振り切り、城之内の布陣を崩すべく舵を切る。

 

「……墓地と除外ゾーンの《フラッピィ》が合計3体おるとき! 墓地の《フラッピィ》の1体を除外することでワシの墓地のレベル5以上の海竜族モンスターを蘇生させるぜよ!!」

 

 梶木のフィールドに《フラッピィ》が海面にプカプカ浮かぶ――その数3体。

 

「いつの間に3枚…………ッ! 《イマイルカ》の時に!?」

 

 驚く城之内の言う通り、3枚の《イマイルカ》の効果で墓地に送られた水属性モンスターは3体とも《フラッピィ》だったようだ――剛運である。

 

「その通りじゃ!! 甦れ!! 海の神!! 《海竜(リバイアドラゴン)-ダイダロス》!! 《伝説の都 アトランティス》でパワーアップじゃ!!」

 

 《フラッピィ》を海へと還し、現れたのは《ワン・フォー・ワン》の発動時に墓地に送られていた《海竜(リバイアドラゴン)-ダイダロス》。

 

 その長大な身体をくねらせ、海面を大きく波立たせる。

 

海竜(リバイアドラゴン)-ダイダロス》

星7 → 6

水属性 海竜族

攻2600 守1500

攻2800 守1700

 

「やっぱり《竜巻海流壁(トルネードウォール)》を墓地に送ったのはコイツの効果を使うからか!!」

 

 《海竜(リバイアドラゴン)-ダイダロス》の効果は自分フィールドの《海》のカードを墓地に送ることでフィールド全てを破壊しつくす強力なもの。

 

 その際に永続罠《竜巻海流壁(トルネードウォール)》も墓地に送られるため、ドローに変換したのだと城之内は予想する。

 

「半分正解じゃ!!」

 

「半分? ま、まさか!」

 

 しかし実際の梶木の手はその先を行く――城之内も遅れてその可能性に気付いた――《海竜(リバイアドラゴン)-ダイダロス》には最終形態たる姿があることに。

 

「そう! その『まさか』ぜよ!!」

 

 その効果は遊戯とのデュエルでは発動こそされなかったが、発動されていれば遊戯と言えどもただでは済まない究極の力。

 

「《海竜(リバイアドラゴン)-ダイダロス》をリリースすることで!! 真の姿を現すぜよ!!」

 

 宙に飛び立った《海竜(リバイアドラゴン)-ダイダロス》の周囲に海の水も後に続くように舞い上がり、水の繭にくるまれる《海竜(リバイアドラゴン)-ダイダロス》。

 

「いでよ! 究極海神! 《海竜神-ネオダイダロス》!! 《伝説の都 アトランティス》でパワーアップ!!」

 

 水の繭が弾け周囲に雨を降らせながら現れたのはより長大にその姿を変異させた海の神、《海竜神-ネオダイダロス》。

 

 その2つに別れた頭で城之内を見下ろし、伸びた背ビレは海を裂く。

 

《海竜神-ネオダイダロス》

星8 → 7

水属性 海竜族

攻2900 守1600

攻3100 守1800

 

「さぁ! 海の怒り、見せてやるぜよ!! 《海竜神-ネオダイダロス》の効果発動! ワシのフィールドの《海》として扱う《伝説の都 アトランティス》を墓地に送り――」

 

 《海竜神-ネオダイダロス》の天を裂かんばかりの咆哮により《伝説の都 アトランティス》が崩れていき、更に海水も全て巻き上げられていく。

 

「――自身以外の互いの手札・フィールド上のカードを全て墓地へ送るぜよ! 全て吹き飛ばすんじゃ! アルティメット・デストラクション!!」

 

 やがて天に浮かぶ海となった大海がフィールドの全てを呑み込まんと襲い掛かった。

 

 その一撃は互いの手札まで及び、文字通り《海竜神-ネオダイダロス》以外の全てを消しさる一撃だ。

 

 

 荒れ狂う海の光景を目に焼き付けるかの如く静かに佇む《伝説のフィッシャーマン》。

 

 

 だがその必要はない。

 

「させるかよ!! 速攻魔法《禁じられた聖杯》!! モンスター1体の攻撃力をターンの終わりまで400上げる代わりに、その効果を無効にするぜ!!」

 

 天上から現れた金色の聖なる聖杯から血のように赤い雫が落ち、《海竜神-ネオダイダロス》に触れる。その変化は劇的であった。

 

「これで《海竜神-ネオダイダロス》の効果は無効!! 更に《伝説の都 アトランティス》は墓地に送られちまったぜ!!」

 

 《海竜神-ネオダイダロス》の意思の下一つになっていた海はその制御を失い崩れ、ただの濁流となって消えていく。

 

 その身に突如宿った神の雫を拒絶するかのように《海竜神-ネオダイダロス》は叫びを上げるも、抗う術はなかった。

 

《海竜神-ネオダイダロス》

星7 → 8

攻3100 守1800

攻2900 守1600

攻3300

 

「くっ……《伝説の都 アトランティス》を無駄にしちまったぜよ……」

 

 《海竜神-ネオダイダロス》の効果を発動する際に《海》のカードを墓地に送るのは「コスト」――つまり墓地に送って発動する為、《海竜神-ネオダイダロス》の効果が無効になれば《海》は戻らない。

 

 ゆえに墓地に送られた《伝説の都 アトランティス》は無為に消え、その強化も消えていく。

 

《海皇子ネプトアビス》

攻1000 守 200

攻 800 守 0

 

「コイツを止めるとはやるのう、城之内! じゃがまだ海の猛攻は終わっちゃいないぜよ!」

 

 自身の必殺の一撃が不発に終わった梶木はすぐさま別の手を打つ――海は千変万化に姿を変える大自然の脅威。その気高き力はあらゆる形を持っている。

 

「魔法カード《サルベージ》を発動! 墓地の攻撃力1500以下の水属性モンスターを2体手札に戻すぜよ! 2枚の《フラッピィ》を手札に!」

 

 梶木の手札に舞い戻る2体の《フラッピィ》――しかし《フラッピィ》は墓地にいてこそ真価を発揮するカード。つまりこの後には――

 

「そして魔法カード《手札抹殺》を発動じゃあ!! 互いに手札を全て捨てて、捨てた分だけドローじゃ!!」

 

 すぐさま墓地に送られる。しかしこれで梶木の手札は姿を変え、新たな戦術に切り替わるのだ。

 

 だが城之内の声が響く。

 

「この瞬間! 《エレクトリック・スネーク》の効果を発動! コイツが相手のカード効果で手札から墓地へ捨てられた時、俺は新たに2枚ドローする!!」

 

 その声の先にあったのは緑のコブラ。だがその細長い身体の先端の尾には電流が球体状にバチバチと放電している。

 

「そんな手を隠しとったとはの!」

 

「どんなもんよ! 墓地に送られた《エレクトリック・スネーク》は2体! よって4枚ドローだ!!」

 

 その《エレクトリック・スネーク》は2体――その尾の先の電流が城之内のデッキから新たなカードを引き寄せ、最後は全身を小さくスパークさせた後に消えていった。

 

 これで城之内の手札は現在9枚――何が飛び出してきてもおかしくない数だ。

 

「ならワシは《深海のディーヴァ》を召喚!!」

 

 梶木のフィールドに現れたのは薄っすらと赤みがかった白い人魚。その魚の半身から人の上半身まで全てが白く、どこか神秘的ですらある。

 

《深海のディーヴァ》

星2 水属性 海竜族

攻 200 守 400

 

「そして召喚時に効果発動ぜよ! デッキからレベル3以下の海竜族モンスター1体を呼び出すぜよ! 現れるんじゃ! 《海皇の重装兵》!!」

 

 その《深海のディーヴァ》が歌声を流すと共に縦に二つに分かれた大盾を持った魚人、《海皇の重装兵》が降り立ちシンバル替わりにその歌声に合わせて大盾をかち鳴らす。

 

《海皇の重装兵》

星2 水属性 海竜族

攻 0 守1600

 

 これで梶木のフィールドのモンスターは――

 

 《伝説のフィッシャーマン》・《海竜神-ネオダイダロス》・《海皇子 ネプトアビス》・《深海のディーヴァ》・《海皇の重装兵》の5体。

 

 ステータスの秀でたカードは少なくとも梶木のフィールドに並んだその姿は壮観である。

 

 しかし梶木の布陣はここからであった。

 

「ワシのフィールドの水属性モンスター2体をリリースすることで、墓地から眠れる海の猛者を呼び起こすぜよ!!」

 

 地面から地鳴りのような音が響く。

 

「ワシはフィールドの水属性モンスター! 《海皇子 ネプトアビス》と《海皇の重装兵》をリリースして特殊召喚!!」

 

 その地鳴りに向かって三又の矛を突き刺す《海皇子 ネプトアビス》とそれに付き従う《海皇の重装兵》。

 

 やがて地面のヒビは大きくなっていき、その2体を呑み込み――

 

「――浮上せよ!! 《城塞(じょうさい)クジラ》!!」

 

 大地を砕き宙に躍り出るのは、どこか《要塞クジラ》の面影を強く残した巨大なクジラ。

 

 その頭には巨大な角が一本、天を突き、その大きな背には大量の砲塔がズラリと並ぶ。

 

城塞(じょうさい)クジラ》

星7 水属性 魚族

攻2350 守2150

 

「コイツは……!? 《要塞クジラ》とよく似ちゃいるが、一体……?」

 

「アイツは新たな力を得たんじゃい!! ソイツを見せてやるぜよ! 特殊召喚に成功した《城塞(じょうさい)クジラ》の効果発動!! デッキから《潜海奇襲(シー・ステルス・アタック)》を1枚フィールドにセットするぜよ!」

 

 空を舞う巨大な要塞――否、城塞が如き身体から全てを震わせる雄叫びが上げられる。

 

 その雄叫びは大地を揺らし、梶木に秘策を授けた。

 

「シー・ステルス? 何だそりゃ?」

 

「直に分かるぜよ!! 見てのお楽しみってヤツじゃ!」

 

 聞き慣れぬ単語に疑問符を浮かべる城之内に豪快に笑って返す梶木。どの道、今すぐに使えるカードではないが。

 

「さらに水属性モンスターの効果を発動するために墓地に送られた《海皇子 ネプトアビス》の効果発動!!」

 

 《城塞(じょうさい)クジラ》の贄となった《海皇子 ネプトアビス》の残滓が梶木のフィールドに舞い戻る。

 

「墓地の《海皇子 ネプトアビス》以外の『海皇』モンスター1体を蘇生させるぜよ! 来るんじゃ! 《真海皇 トライドン》!!」

 

 それは小柄な深い青の4足の海竜――しかしその頭部には王冠のような角にも見える甲殻が銀に煌き、その尾の先のハンマーのような銀色の球体で地面を叩く。

 

《真海皇 トライドン》

星3 水属性 海竜族

攻1600 守 800

 

「ん? ひょってして《海皇の重装兵》にも――」

 

 《海皇子の狙撃兵》に《海皇子 ネプトアビス》といった「海皇」と名の付くカードの共通点に気が付き始める城之内。

 

「おうよ! 水属性モンスターの効果を発動するために墓地に送られた《海皇の重装兵》の効果で相手フィールドの表側のカードを1枚破壊じゃ!!」

 

 その予想は間違いではないことを示す様にひょっこり顔を出した《海皇の重装兵》。

 

「毎ターンの蘇生効果は厄介ぜよ!! 永続罠《真紅眼の鎧旋(リターン・オブ・レッドアイズ)》を破壊じゃぁ!!」

 

 《海皇の重装兵》はそのまま城之内のフィールドの永続罠に向かって体当たりして砕き、一仕事終えたと墓地へと返っていった。

 

「うおっ! 折角ダイダロスの効果は防いだってのに……さすがだな、梶木!」

 

 しかし城之内はニヒルに笑う。

 

「だが相手によって破壊された《真紅眼の鎧旋(リターン・オブ・レッドアイズ)》は更なる効果を発揮するぜ!!」

 

 思わぬ形で展開の術の一つを失った城之内だが、ただでは転ばないのがこの男である。

 

「俺の墓地の『レッドアイズ』モンスター1体を特殊召喚だ!! 舞い戻れ!! 《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》!! 守備表示だ!!」

 

 その想いをくみ取るように《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》は大翼を広げ、ゆっくりと城之内を守るようにフィールドに降り立った。

 

真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)

星7 闇属性 ドラゴン族

攻2400 守2000

 

「そんな効果があったとは!? じゃが、後々邪魔になりそうなもんはいなくなったぜよ!」

 

 城之内の展開を助けるような結果に梶木は迂闊だったかと思いつつも、直に頭を振る――毎ターン墓地のドラゴンを永続的に呼ばれる方が危険だったと。

 

「最後の一押しじゃ! 《真海皇 トライドン》の効果を発動じゃい!!」

 

 《真海皇 トライドン》に力を分け与えるように歌声を奏でる《深海のディーヴァ》

 

「自身とワシの海竜族モンスター1体、《深海のディーヴァ》をリリースして、手札もしくはデッキからその海の覇者たる真の姿へと改進するぜよ!!」

 

 その歌声が響くと共に《真海皇 トライドン》の身体はメキメキと音を立てて変貌していく。

 

「――凱旋せよ! 深海の覇者!! 《海皇龍 ポセイドラ》!!」

 

 その《真海皇 トライドン》の巨大に、そして力強く変貌した身体はまさに海の覇者たる風格を備えており、猛る力を示す様に三又の槍の様になった銀の尾で大地を切り裂いた。

 

《海皇龍 ポセイドラ》

星7 水属性 海竜族

攻2800 守1600

 

「そして相手の全てのモンスターの攻撃力は300ポイントダウン!!」

 

 《海皇龍 ポセイドラ》から有り余る力を示すかのように放たれた咆哮は城之内のモンスターに確かな恐怖心を植え付ける。

 

真紅眼の遡刻竜(レッドアイズ・トレーサードラゴン)

攻1700 → 攻1400

 

真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)

攻2400 → 攻2100

 

《メテオ・ドラゴン》

攻1800 → 攻1500

 

「バトルじゃ!!」

 

 梶木のモンスターは5体から4体に数を減らしたが、その総攻撃力は先ほどの比ではない。

 

「《城塞(じょうさい)クジラ》で守備表示の《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》を攻撃!! ボンバー・エアレイド!!」

 

 《城塞(じょうさい)クジラ》の背中の全砲門が火を放ち、砲弾の雨が《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》を呑み込んでいく。

 

 だが《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》は躱すことなどしない――その背には守るべき主がいるのだから。

 

 やがてその想いと共に《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》はその身を散らす。

 

「くっ! レッドアイズ!!」

 

「次じゃぁ! 《海皇龍 ポセイドラ》で守備表示の《メテオ・ドラゴン》を攻撃!! ポセイドン・ブレス!!」

 

 《海皇龍 ポセイドラ》から放たれた鉄砲水が如く水撃に《メテオ・ドラゴン》の身体はガリガリと削られ、やがて吹き飛ばされる。

 

 これで城之内を守るモンスターは残すは1体。

 

「まだまだァ! 《海竜神-ネオダイダロス》で《真紅眼の遡刻竜(レッドアイズ・トレーサードラゴン)》を攻撃! アルティメット・ストォォオオオオム!!」

 

 《海竜神-ネオダイダロス》の2つの頭から放たれた高圧水流による水のレーザーは《真紅眼の遡刻竜(レッドアイズ・トレーサードラゴン)》の身体を貫き、その先の城之内を襲う。

 

「ぐぁああああああ!!」

 

城之内LP:4000 → 2500

 

 これで城之内を守るモンスターはいない――そして梶木にはまだ攻撃可能なモンスターが残っている。

 

「最後に行くんじゃ! 《伝説のフィッシャーマン》! ダイレクトアタックじゃぁ!!」

 

 《伝説のフィッシャーマン》が宙をシャチに泳がせ、城之内の頭上を取って(もり)の一撃を放つが――

 

「――これ以上、やらせるかよ! 罠カード《徴兵令》を発動!! コイツで相手のデッキの1番上のカードを1枚めくり、ソイツが召喚可能なモンスターだった時! 俺のフィールドに呼び出すぜ!」

 

 魔法・罠カードだった場合は相手の手札に加わるが――

 

 

 城之内のフィールドにボウガンを片手に持つ魚人、《海皇の狙撃兵》が現れた。

 

 だが反対側のフィールドに主たる《海皇龍 ポセイドラ》がいることに瞠目している模様。

 

《海皇の狙撃兵》

星3 水属性 海竜族

攻1400 守 0

 

「ならそのまま《海皇の狙撃兵》を撃破じゃ! 《伝説のフィッシャーマン》! ハンティング・アタック!!」

 

 動揺収まらぬままに《海皇の狙撃兵》は《伝説のフィッシャーマン》の(もり)の一撃に沈む。

 

「凌ぎおったか……ワシはカードを1枚伏せてターンエンドじゃ」

 

 城之内へかなりのダメージは与えられたものの、ダイレクトアタックが届かなかったことに梶木は警戒を強める――この一連の攻防を梶木は城之内の「運」で済ませるようなことはしない。

 

「そのエンド時に《禁じられた聖杯》の効果も終了して《海竜神-ネオダイダロス》の攻撃力と効果が戻るぜ」

 

 異物感がなくなったことに身体を伸ばす《海竜神-ネオダイダロス》。

 

《海竜神-ネオダイダロス》

攻3300 → 攻2900

 

 

 

 城之内への警戒を強める梶木だったが、城之内もまた梶木の強さに冷や汗を流しながら言葉を放つ。

 

「大型モンスターが4体かよ! やっぱお前はスゲェぜ、梶木!!」

 

 決闘者の王国(デュエリストキングダム)では梶木の実力を漠然と「凄い」程度にしか分かっていなかった城之内だが、今はその実力をハッキリと感じ取っている――それは城之内が相手の強さを感じ取れるまでに強くなった証だ。

 

 

「だが俺も負けちゃいられねぇ!! 俺のターン、ドロー!! まず墓地の《伝説の黒石(ブラック・オブ・レジェンド)》の効果発動!」

 

 墓地から《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》が半透明な身体になって、ゆっくりと城之内の背後に佇む。

 

「墓地のレベル7以下のレッドアイズ――《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》をデッキに戻し、《伝説の黒石(ブラック・オブ・レジェンド)》を手札に戻す!」

 

 やがてその《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》の姿はみるみる内に小さくなり、時の流れが巻き戻るように卵に、《伝説の黒石(ブラック・オブ・レジェンド)》へと姿を変え、城之内の手札に加わった。

 

「次に《予想GUY(ガイ)》を発動! コイツは俺のフィールドにモンスターが存在しない時! デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚するぜ! 来いっ!《アックス・レイダー》!!」

 

 城之内のフィールドに放電が奔り、《アックス・レイダー》が斧を肩に担いでシュタッと着地する。

 

《アックス・レイダー》

星4 地属性 戦士族

攻1700 守1150

 

「更に! 俺のフィールドのモンスターの数が相手のモンスターの数より2体以上少ないとき! コイツは手札から特殊召喚できるぜ!」

 

 梶木のフィールドのモンスターは4体、城之内のフィールドは1体――その差は3体、条件は満たされている。

 

「奔れ! 紫電なる戦士!! 《魔導ギガサイバー》!!」

 

 上半身の全体を白い棘がいくつも付いた黄色の鎧に身に纏い、腰から足もとにかけて伸びる青いローブが風にたなびく。

 

《魔導ギガサイバー》

星6 闇属性 戦士族

攻2200 守1200

 

「次は手札を1枚捨てて、装備魔法《D(ディファレント)D(ディメンション)R(リバイバル)》を発動! 除外されている《カーボネドン》を特殊召喚!!」

 

 異次元のゲートから《カーボネドン》が疲労感タップリにヨロヨロと降り立つ。

 

《カーボネドン》

星3 地属性 恐竜族

攻 800 守 600

 

「そして魔法カード《モンスターゲート》を発動!」

 

 その《カーボネドン》の足元に丸い陣が浮かび上がる。

 

「コイツは俺のモンスターを1体リリースして、デッキからカードをめくり、通常召喚可能なモンスターが出たらソイツを特殊召喚! 後のカードは墓地に送る!! 俺は《カーボネドン》をリリースして――」

 

 やがてその陣に《カーボネドン》は消え、城之内のデッキからカードが墓地に送られて生き――

 

「呼び出せるのはコイツだ!! 《バーバリアン2号》!!」

 

 その陣から棍棒片手に躍り出たのは《バーバリアン2号》。その棍棒を地面に擦らせ、城之内のフィールドの2体のモンスターと並び立つ。

 

《バーバリアン2号》

星5 地属性 戦士族

攻1800 守1500

 

「まだまだぁ! 墓地の《カーボネドン》を除外して、デッキからレベル7以下のドラゴン族通常モンスターの――《ベビードラゴン》を守備表示で特殊召喚!!」

 

 《カーボネドン》が気力を頼りに飛び上がり、光へと消えた後に現れるのは《ベビードラゴン》。

 

 その《ベビードラゴン》は小さな身体を精一杯広げ、梶木のモンスターたちを威嚇する―――

 

《ベビードラゴン》

星3 風属性 ドラゴン族

攻1200 守 700

 

「3枚目の魔法カード《馬の骨の対価》で《ベビードラゴン》を墓地に送り、2枚ドロー!!」

 

―――のだが、梶木のモンスターたちの眼光に怯え、《ベビードラゴン》は逃げ――戦略的撤退を敢行し、城之内の手札の糧となった。

 

「ここで! 魔法カード《龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)》を発動して、墓地のカードを除外してドラゴン族融合モンスターを融合召喚する!!」

 

 しかしフィールドに浮かび上がった《龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)》からは《ベビードラゴン》が再度己を奮い立たせて、フィールドに戻ろうとする姿。

 

「俺は墓地の《ベビードラゴン》と《ワイバーンの戦士》を融合!!」

 

 その《ベビードラゴン》の想いをくみ取り、《ワイバーンの戦士》もフィールドへ戻るべく追従する。

 

「融合召喚!! 飛翔せよ! 《ドラゴンに乗るワイバーン》!!」

 

 やがて我先にと進み《龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)》の鏡から無理やり同時に飛び出した結果、いつの間にやら《ベビードラゴン》の背に《ワイバーンの戦士》が乗った状態で城之内のフィールドに舞い戻った。

 

《ドラゴンに乗るワイバーン》

星5 風属性 ドラゴン族

攻1700 守1500

 

「ここで永続魔法《連合軍》を発動! これで俺のフィールドの戦士族はフィールドの戦士族と魔法使い族の数×200ポイント攻撃力がアップだ!!」

 

 フィールドの3体の戦士たちが拳をかち合わせ、互いに鼓舞し合う――ドラゴン族である《ドラゴンに乗るワイバーン》は気持ちだけ盛り上がっておく。

 

《アックス・レイダー》

攻1700 → 攻2300

 

《バーバリアン2号》

攻1800 → 攻2400

 

《魔導ギガサイバー》

攻2200 → 攻2800

 

「じゃが、それだけじゃぁ、ポセイドラやダイダロスには届かんぜよ!」

 

 全体的に攻撃力を上昇させた城之内だが、梶木の言う通りこのままでは決定打には至らない。

 

「慌てんなよ! 速攻魔法《天使のサイコロ》!! サイコロの出た目の数×100だけ攻撃力をアップさせる!!」

 

 天使の羽の生えたピンクのシルクハットをかぶった小さな妖精が身体全体を使って青いサイコロを放り投げる。

 

 そのサイコロの数字は「6」。

 

「よっしゃぁ! 最高値だぜ!!」

 

 青いサイコロが弾けると共に光が城之内のフィールドを包み、城之内の全てのモンスターに力を漲らせた。

 

《アックス・レイダー》

攻2300 → 攻2900

 

《バーバリアン2号》

攻2400 → 攻3000

 

《魔導ギガサイバー》

攻2800 → 攻3400

 

《ドラゴンに乗るワイバーン》

攻1700 → 攻2300

 

「最後に《魔導ギガサイバー》に装備魔法《天命の聖剣》を装備してバトルだ!!」

 

 銀色に輝く宝剣と盾を《魔導ギガサイバー》が手に取るが、特にパワーアップはしない――この剣の力が発揮されるのは今ではない。

 

「フィールドに《海》のねぇフィッシャーマンは丸腰同然だぜ!! 《アックス・レイダー》で《伝説のフィッシャーマン》を攻撃!! 疾風斬り!!」

 

 一番槍ならぬ一番斧だと言わんばかりに《アックス・レイダー》が斧を振りかぶり《伝説のフィッシャーマン》を両断せんと切りかかる。

 

「甘いぜよ! 城之内!! 海の男はそう簡単に倒れはせん!! 永続罠《潜海奇襲(シー・ステルス・アタック)》を発動!!」

 

「来るか!!」

 

 その城之内の言葉を肯定するかのように海の男は勇猛果敢な叫びを上げる。

 

「このカードの発動時にワシは手札もしくは墓地から《海》を発動できるぜよ!! 《海》として扱うフィールド魔法《伝説の都 アトランティス》を墓地から発動じゃぁ!!」

 

 その海の男の魂の叫びは再びフィールド全体を海で満たし、海底神殿である《伝説の都 アトランティス》が顔を覗かせる。

 

「《伝説の都 アトランティス》により水属性モンスターはパワーアップ!!」

 

 そして水を得た魚の如く、梶木の最上級モンスターたちは《伝説のフィッシャーマン》へと力強く雄叫びを返した。

 

城塞(じょうさい)クジラ》

星7 → 6

攻2350 守2150

攻2550 守2350

 

《海皇龍 ポセイドラ》

星7 → 6

攻2800 守1600

攻3000 守1800

 

《海竜神-ネオダイダロス》

星8 → 7

攻2900 守1600

攻3100 守1800

 

「だが《アックス・レイダー》はもう《伝説のフィッシャーマン》の目の前だぜ! 今更《伝説のフィッシャーマン》の効果で攻撃を躱すことは出来ねぇ!!」

 

 既に攻撃対象に選ばれた後ゆえに《海》がある時の《伝説のフィッシャーマン》の「攻撃対象にされない」効果も時既に遅しだ。

 

「だから甘いと言っとるじゃろうが!! 永続罠《潜海奇襲(シー・ステルス・アタック)》の本領は此処からぜよ!!」

 

 海の男の本領は此処からだった。《伝説のフィッシャーマン》の瞳がギラリと光る。

 

「ワシのフィールドに《海》がある時! 永続罠《潜海奇襲(シー・ステルス・アタック)》の効果で元々のレベルが5以上の自分の水属性モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時にその相手モンスターを破壊できるんじゃあ!!」

 

 《アックス・レイダー》が振り下ろした斧は空を切る。そこにはいつの間にやら《伝説のフィッシャーマン》の姿はない。

 

「《伝説のフィッシャーマン》のレベルは5!?」

 

「さぁ、海での狩りを見せてやるんじゃ! フィッシャーマン!! シー・ステルス・アタック!!」

 

 やがて《アックス・レイダー》の背後の海面から勢いよく飛び出した《伝説のフィッシャーマン》の(もり)の一撃が《アックス・レイダー》を打ち抜き、そしてシャチに海に引き摺り込まれ、海の藻屑と消えた。

 

「ア、《アックス・レイダー》!!」

 

 どんな圧倒的な攻撃力を持とうとも、どれ程強固な防御力を持ってしても海には――《潜海奇襲(シー・ステルス・アタック)》の前では無力。

 

「そして城之内! お前の『戦士族』が減ったことで永続魔法《連合軍》の効力は弱まる!――海の前にそんじょそこらのモンでは無力じゃ!!」

 

 周囲の海を警戒するように背中合わせになる2体の戦士たち――その不安感が戦士の力を削ぎ落す。

 

《バーバリアン2号》

攻3000 → 攻2800

 

《魔導ギガサイバー》

攻3400 → 攻3200

 

「なら《魔導ギガサイバー》で《海竜神-ネオダイダロス》を攻撃だ!!」

 

 《天命の聖剣》片手に《海竜神-ネオダイダロス》へ切りかかる《魔導ギガサイバー》。

 

「血迷ったか城之内! 永続罠《潜海奇襲(シー・ステルス・アタック)》にターン内の回数制限はないぜよ!!」

 

 しかし《海竜神-ネオダイダロス》は海へと姿を消し、今度は《魔導ギガサイバー》の足元から大口を開け、食らいつく。

 

 長大な《海竜神-ネオダイダロス》の身体で空高く打ち上げられた《魔導ギガサイバー》。その身体は海竜の顎の餌食となる。

 

 如何に《魔導ギガサイバー》の攻撃力が高くとも、《潜海奇襲(シー・ステルス・アタック)》の前には無力であった。

 

 

 だが《海竜神-ネオダイダロス》は悲鳴のような雄叫びを上げながら2つの頭から血を流し、海面に倒れ伏す。

 

 やがて空から自然落下した《魔導ギガサイバー》が海面に水しぶきを上げながら着地した――その身体には傷一つない。

 

「なんじゃと!?」

 

梶木LP:3100 → 3000

 

「ワシの《潜海奇襲(シー・ステルス・アタック)》をどうやって……」

 

 そう呆然と呟く梶木――如何に攻撃力で上回っていても、《潜海奇襲(シー・ステルス・アタック)》の問答無用の破壊効果からは逃れられない筈だと。

 

「装備魔法《天命の聖剣》の効果さ! コイツを装備したモンスターは1ターンに1度だけ戦闘か効果では破壊されねぇ!」

 

 その城之内の説明に合わせて《魔導ギガサイバー》が《天命の聖剣》を誇るように掲げる。

 

「成程の! じゃが、他のモンスターはそうは行かんじゃろ!!」

 

 梶木の言う通り装備魔法《天命の聖剣》の効果で守られるのは装備モンスターである《魔導ギガサイバー》のみである。

 

 他のモンスターでは梶木の《潜海奇襲(シー・ステルス・アタック)》を前に梶木のモンスターを倒す術のない現状は変わってはいないのだから。

 

 そう「モンスターを倒す術」は。

 

「そうでもねぇぜ! 俺の《ドラゴンに乗るワイバーン》は相手のフィールドに地・水・炎属性しかない時、そいつ等を飛び越えてダイレクトアタックが出来るのさ!!」

 

 《ドラゴンに乗るワイバーン》が何者にも届かぬ大空へと舞い上がる。

 

 梶木のフィールドのモンスターは「水属性」のみ――その進撃を遮るものなどない。

 

「行けっ! 《ドラゴンに乗るワイバーン》! 滑空剣(グライド・ソード)!!」

 

 

――筈だった。

 

 

「させんぜよ! 海が荒れるとき! 空もまた荒れるんじゃ!! 永続罠《バブル・ブリンガー》を発動!!」

 

 空に大量の泡がシャボン玉のように浮かび《ドラゴンに乗るワイバーン》の行く手を遮る。

 

 その泡は《ドラゴンに乗るワイバーン》が触れた途端に大きな衝撃と共に弾け、連作的に弾けていく泡の衝撃に《ドラゴンに乗るワイバーン》は梶木に近づくことすら出来ない。

 

「なっ! 《ドラゴンに乗るワイバーン》が!?」

 

「永続罠《バブル・ブリンガー》がフィールドに存在する限り、互いにレベル4以上のモンスターはダイレクトアタックを封じられるぜよ!」

 

 《ドラゴンに乗るワイバーン》のレベルは「 5 」――届かない。

 

「くっ……届かねぇか……」

 

 だが城之内にマイナスばかりな結果でもない。

 

 強力な効果を持つ《海竜神-ネオダイダロス》を破壊できたのだから――特殊な召喚条件を持つモンスターゆえに普通に蘇生することは叶わず、再度呼び出されることはそうない。

 

「くっそー! なら俺はバトルを終了! そして墓地の魔法カード《シャッフル・リボーン》を除外して、永続魔法《連合軍》をデッキに戻して1枚ドロー!」

 

 攻撃力があろうとも梶木の《潜海奇襲(シー・ステルス・アタック)》は超えられないゆえに《連合軍》の強化を止め、戦術を切り替える城之内。

 

「カードを4枚伏せてターンエンドだ! エンド時に《シャッフル・リボーン》の効果で手札を除外しなきゃならねぇが、俺の手札は0だ!!」

 

 そして4枚のセットカードで梶木の出方を窺う。ターンの初めにあれだけあった城之内の手札は今や0――この結果は梶木と城之内とのデュエリストとしての距離を示しているようにも思えた。

 

「そして《連合軍》と《天使のサイコロ》の効果も消えるぜ!」

 

 エンドフェイズに《天使のサイコロ》の効果も消えていく。

 

《バーバリアン2号》

攻2800 → 攻2400 → 攻1800

 

《魔導ギガサイバー》

攻3200 → 攻2800 → 攻2200

 

《ドラゴンに乗るワイバーン》

攻2300 → 攻1700

 

 すぐさま守りを固めた城之内の姿に梶木は顎をさすりながら言葉を零す。

 

「まさか初見の《潜海奇襲(シー・ステルス・アタック)》に一矢報いるとはのう……」

 

 梶木にとって城之内の実力は当初の想定よりも遥かに上だった――その事実に梶木は嬉しい誤算だと笑う。

 

 デュエリストであれば相手が強ければ強い程、魂が燃え上がるものなのだから。

 

 

 

 






城塞(じょうさい)クジラ「兄貴ィ! 俺の活躍どうでしたかッ!」

要塞クジラ「悪くない一撃だったぞ!」



伝説のフィッシャーマン二世「…………(悔しさのあまり握りこぶし)」

伝説のフィッシャーマン「…………(肩をポン)」


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