王朝戦乱記   作:藤種沟

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あけましておめでとうございます。
大分投稿が遅れてしまいました。(いわゆるスランプってやつです)どうも申し訳ありませんでした(ー ー;)

これからは正月のだる〜んとした気分からシャッキっとして、頑張っていきたいと思います‼︎




名臣捕縛

こちら名臣の陣。

 

目の前には喜条軍。

皇帝の旗が立っているところを見ると、どうやら長盛直々に出陣してきたらしい。

しかしどうも数が少ない。おそらく、長盛は急いでかき集めた質の悪い兵を信用できなくて、自分直属の兵のみを連れて出陣したのだろう。

 

「今度は、大した手柄を立てねばならんな…………」

 

そう。名臣は最近こう思い始めてきた。

今喜条家の天下はまだ不安定である、と。

今を置いて他に、喜条軍を倒す機会はない、と。

 

「さてと…」

 

名臣は、まだ日も昇らぬうちに起きて、槍の手入れをしていた。

 

 

逆賊喜条 長盛を討ち果たす。

 

 

 

名臣はこの戦で決着をつけるつもりでいた。

その小説の主人公として、やはり最後に悪を討ち果たすのは自分だと意気込んでいた。

 

そして、逆賊長盛を討ち果たした後、晴れて王朝を再興する。

 

名臣は、皇帝から預かり、肌身離さず持っていた、三種の神器の一つ、「蛇の剣」を握りしめ自らを奮い立たせていた。

 

 

 

 

「やあ名臣殿、張り切ってますな〜」

 

しばらくすると武花家の家臣たちも起き出して、戦の準備に取り掛かる。すでに鎧も装着した名臣は、あとは攻めろと号令がかかればすぐに出撃できる態勢である。

 

喜条軍の本隊と戦うというのに、武花軍は余裕である。やはり、先の戦で自信をつけたのだろう。

武花も準備ができたらしく、もう攻めよと号令をかけるだけだ。

 

名臣の頭上には、まばゆいばかりの星々が輝く。

まるで喜条軍と戦う武花軍を鼓舞するように。

 

「今喜条軍のところにつかわした間者が戻ってきました。やはり喜条軍は寝静まっている様子。」

 

「うむ。」

 

武花が馬にまたがったのと同時に日が昇り始める。喜条軍はまだ寝静まっているはずだ。

今が攻撃のチャンス。

 

 

 

 

「進めぃ‼︎今こそ逆賊喜条 長盛を討ち果たす時ぞ‼︎」

 

武花の言葉と同時に一斉に喜条軍に襲いかかる。

敵はまだ寝静まっているだろう。一気に喜条軍を叩きのめしてやる。

 

 

「ワアアア‼︎」

 

怒号の勢いで喜条軍の陣に攻めかかる武花軍。

名臣はその先頭に立って突っ込む。

 

この戦いは自分の主君の弔い合戦でもある。

だからこそ逆賊喜条 長盛の首は援軍である武花軍ではなく自分がとるのだ。

喜条軍の陣まであと少し。

あと数歩。

あと一歩…………

 

 

 

 

 

 

ダダダダーン‼︎

 

銃声。

 

名臣の頬を銃弾がかすめる。

名臣の後ろを駆けていた騎馬武者数人が倒れた。

 

武花軍の進軍が一瞬止まる。

しかし喜条軍の銃撃はやまない。

 

 

どういうことだ⁉︎喜条軍は寝静まっていたはず‼︎

 

「ふはははは、馬鹿め‼︎この天下の喜条軍が夜襲を警戒しないとでも思ったのか⁉︎」

 

鉄砲隊の後ろで誰かがからからと笑っている。

 

「それ‼︎今まで負けてきたが、喜条軍の強さを見せてやれ‼︎」

 

喜条軍は鉄砲でひるんだ武花軍に騎馬で突撃してくる。

今まで連戦連勝で、油断していた武花軍はおもしろいように蹴散らされていく。

喜条軍は、馬の上から矢を放ち、槍を振り回し、武花軍を倒していった。

 

名臣は今何が起こっているのか分からなかった。ただ周りは喜条軍と武花軍で入り乱れ、次第に武花軍は後退していた。

 

 

もはや長盛の首をとる以外にこの戦に勝つ方法はない。

 

 

 

そう思った名臣は一心不乱に喜条軍本陣に突撃する。

名臣についてきた武花軍の兵士も数人いたが、皆混乱の中倒れた。

 

しばらく馬を走らせていると、皇帝の印の旗が見える。

 

見えたぞ‼︎あれが長盛の居場所‼︎

 

「長盛ぃぃぃ‼︎」

 

単騎、若武者は敵に突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ‼︎」

 

いきなり地面に穴が開いた。

 

馬にまたがったまま、名臣は穴に吸い込まれていく。

 

「かかったぞ‼︎落とし穴に敵がかかったぞ‼︎」

 

穴の外から声が聞こえる。

 

名臣は、体勢を崩し、頭から落ちていった。

穴の底に頭がついた瞬間に、名臣の目の前は真っ暗になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと、名臣は薄暗く、狭い空間にいた。

 

頭がズキズキする。あの落とし穴で頭を強打したのだろう。

 

手で頭を押さえようと思ったが、手が後ろで動かない。

どうやら縛られているようだ。

 

ふとまわりを見ると、そこに鉄格子の扉があった。どうやらここは牢屋らしい。

 

「どうやら敵に捕まったのらしいな………」

 

名臣はそう呟く。

その狭く、薄暗い牢屋の中で、名臣はこれから待ち受けるであろう自分の運命を覚悟したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「名臣 翔彦‼︎皇帝陛下がおまえに会いたいそうだ‼︎早く来い‼︎」

 

しばらくして、名臣は長盛に呼ばれた。

 

名臣は、手を後ろで縛られたまま、看守に連れられ、長盛の待つ場所へ行く。

どうやらあそこは地下牢であったらしく、やたらと階段を上っていく。

 

階段を上り、しばらく歩くと大きな扉の前に出た。

 

「名臣 翔彦を連れてきたと陛下にお伝えくだされ。」

 

看守が扉の前に立つ番兵にそう話しかける。

 

しばらく待っていると重そうな扉が開き、名臣は中に入った。

 

「皇帝陛下、ご命令通り、名臣 翔彦を連れて参りました。」

 

「うむ。」

 

そこには、三種の神器の一つ、勾玉の首飾りをかけ、そして名臣の持っていた「蛇の剣」を携えて座る、喜条 長盛の姿があった。

 

「よう、名臣君。我が居城、洛城へようこそ。私も一時期君と同じ主君に仕えていたからね、君の噂はかねがね聞いていたよ。」

 

「敵に捕まった将は首を刎ねられるが世の常。早々に首を刎ねるがいい‼︎」

 

名臣はそう叫んだ。

 

「そうカッカするな。首を刎ねたいなら君が気を失っている時にすでに首は刎ねてたさ。たった一騎で私のところに突っ込んできた勇気は賞賛に値するよ。」

 

「貴様の賞賛など受けたくはないわ‼︎亡き皇帝陛下の恩を忘れてクーデターを起こした謀反人め‼︎」

 

「ふふふ、謀反人とは………ふふふ、君の主君も我が父に謀反を起こして国を建てた。その息子が父の仇をとる。これは謀反かね?」

 

「何を………‼︎」

 

「武花軍も私に負けて一旦引き上げたよ。私がかき集めた五十万の兵はこの勝利で士気も上がるだろう。近く、その五十万の兵で武花城を攻め落とすつもりだ。」

 

「そんなことはさせんぞ‼︎」

 

「ふふふ、なぜ君はこんなにも無謀な戦をしようとするんだ。武花軍は敗れ、私も三種の神器のうち二つを持っている。もう君に勝ち目はない。君たちの王朝は終わったのさ。」

 

「そんなことはない‼︎」

 

名臣は、城が壊れんばかりの大声で叫んだ。

名臣の声が、城の中でこだまする。

 

 

 

 

 

「君も、確かこの洛城を攻めたことがあったね。」

 

こだまが消えた頃、長盛はおもむろに口を開いた。

 

「その昔、この国はいくつもの国に分かれ、お互いに争っていた。私の家が治めていたのは小国だったが、大国の間で命脈を保っていた。

 

そんな小国がこの国を一つにまとめようと立ち上がったのは、………そうだな、私の四世代前くらいかな。その頃はすでに大国がこの国の統一を目指していたが、いたずらに戦を繰り返すばかりでちっとも決着がつかない。そこで、我が先祖は立ち上がったのだ。

 

最初、小国からスタートした我が先祖は、瞬く間に隣国を支配し、国を統一していった。

四世代前のご先祖様は志半ばで病死したが、それを我が祖父が継ぎ、そして我が父の代でこの国の統一がほぼ完成した。ようやく平和がこの国に訪れたのだ。

 

 

 

だが、その平和をおまえの主君がぶち破った。

 

 

 

おまえの主君、武候王は我が一族の本拠地だったこの洛城を攻め、そして我が父、母、その他我が一族数十人を皆殺しにした。いわゆる反乱だ。私は運良く難を逃れ、『喜条 長盛』と名を改め、仕方なく我が一族の仇に従っていたのだ。

 

いつか、いつか我が一族の仇はとってみせる、と固く決心しながらな………」

 

「………」

 

名臣は、自分も洛城攻めを手伝ったのをよく覚えている。

 

「私は………私はついに我が一族の仇を討ち、我が一族の王朝の再興を実現したのだ‼︎」

 

「………」

 

名臣は、言う言葉も無かった。

 

 

 

 

「まあ、そんな話は置いといて、私がなぜ君を呼んだのかというとな………」

 

少し間をおいて、長盛は話し始める。

 

「君に私の家来になって欲しい。我が弟、長隆と互角に渡り合えるその槍の腕、たった一騎で私のところに突っ込む勇気。これから私に必要なのは君のような家来だ。

どうだろう。私の家来になってはくれないか。」

 

長盛が席から立ち上がって、名臣の手を握る。

名臣は顔を上げていった。

 

「……………どのような事情があれ、私は武候王の家来であり、あなたは我が主君の仇です。………そのような申し出は………受ける訳には参りません。」

 

名臣がそう言うと、長盛はこう言った。

 

「………そうよなあ………自分の愛する人を殺した人間に頭を下げるっちゅうのは辛いことだもんなぁ………」

 

長盛はそばにいた兵に、「もう良い。牢屋に戻しておけ。」と静かに言った。

「はっ」と返事した兵は、名臣を連れて、部屋を出ようとした。

 

その時だった。

 

 

 

 

 

 

「兄者………今帰ったぞ………」

 

扉の前で、今まで行方不明であった長盛の弟、喜条 長隆が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次話、長盛と長隆が大変なことに………お楽しみに‼︎
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