王朝戦乱記   作:藤種沟

8 / 9
投稿がか〜な〜り〜遅れてしまいました‼︎
どうもすみませ〜ん‼︎(汗)

なんかこんなの最近続いてますよね………なるだけ投稿スペース早めます(不安)


兄弟喧嘩

「今帰ったぞ………兄者………‼︎」

 

そこには、ふらふらになっている喜条 長隆の姿があった。

 

「おお、長隆‼︎」

 

長隆の兄、喜条 長盛が弟の肩をたたく。

 

「よくぞ帰ってきたぞ‼︎わが弟よ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間は一瞬だった。

 

名臣の目の前に鮮血が飛び散る。

 

そうかと思うと、今まで皇帝の威厳を持って立っていた長盛が、どうと倒れる。

 

長隆に目を向けると、さっきまでふらふらしていたのが嘘のようにピンと立っていて、その手には赤く染まった刀があった。

 

「ふふふ、愚かな兄よ。」

 

長隆は、実の兄を殺したというのに顔の筋一つピクリとも動かない。

 

「おい‼︎このおぞましいやつをどっかに片付けておけ‼︎」

 

「はっ‼︎」

 

主君を殺されたというのに家来はおとなしくその主君の仇に従っている。

 

「兄は俺が天下を取る為の踏み台だったのさ。」

 

長隆が名臣の方を向いていう。

 

「おまえは幸せだ。こうして捕虜の身でありながらこの歴史的瞬間を見ることができたのだからな。」

 

名臣は、今自分の目の前で起こったことが理解できず、口をパクパクさせている。

 

「事前に手は打ってあった。兄をクーデターに誘導し、兄を利用して兵を集め、そして家来たちには自分が兄を殺してもついてくるようにと根回しをした。金で釣ったり家族を人質にとったり………」

 

長隆の言葉は、名臣にとっては遠い、遠いところで発せられている雑音でしかなかったが、ただ言えるのは今回の騒動の黒幕がこの男だ、ということである。

 

「ふふふ、やっと天下は俺のものだ………」

 

長隆はその哀れな姿となった兄から三種の神器の一部である勾玉と蛇の剣をもぎ取ると、それを自身に装着した。

 

「兵を集めよ‼︎新皇帝の挨拶じゃ‼︎」

 

また長隆が名臣の方を振り返り、

 

「おまえも一緒に来い。おまえがいつまでも前の王朝にこだわっているからな。新たな王朝の始まりを見せて、おまえをくだらない夢から覚ましてやるよ。」

 

とあざ笑いながら言った。

 

 

 

 

 

早急に喜条軍五十万は洛城の門の前に集められた。

 

そして、洛城の門の外から一番よく見える城の高台に長隆は立っていた。

「名臣よ。こんな光栄なことはないぞ。捕虜のくせして新皇帝の横で挨拶が聞けるのだから。」

 

長隆は大きな声で兵たちに語る。

 

「皆の者‼︎今より朕が、新皇帝に即位する‼︎我が兄長盛は愚かな戦を繰り返し、兵の命も無駄にした。よって成敗したものである。これからは朕に従い、不正義をくじき、平和を築こうではないか‼︎」

「オー‼︎」

 

喜条軍の兵たちは主君を殺した男に対してとても好印象を持っているようだ。

 

「ふふふ、所詮誰彼構わず集めた烏合の衆。金で釣れば心を掴むのも容易い。」

 

そう呟いた長隆は、横にいた付き人に指で指図すると、その付き人は何やら大きな箱を持ってきた。

 

「そおら‼︎今まで愚かな皇帝に束縛されていた民たちよ‼︎受け取れ‼︎我が兄が蓄えていた財産だ‼︎」

 

そう言って長隆は箱の中に入っている宝物を兵たちに投げた。

 

その宝物の中には、ほこりかぶり、古ぼけたようなものもあった。

 

「何ということを‼︎王家の家宝を雑兵どもに投げ与えるとは⁉︎」

 

宝物を振りまく長隆の後ろで一人の老臣が叫んだ。

 

「我が王朝の復興の為に尽力してきた長盛様を殺し、家宝を捨てる逆賊め‼︎恥をし………」

 

 

ダーン…………

 

 

 

 

一瞬長隆は宝物をばらまく手を止めると、振り返りピストルでその老臣を撃った。

 

「ふん、うるさいクソジジイめ。いつまでも過去のことにこだわるやつが結局馬鹿を見るんだ。」

 

「ぬぬぬ………長盛…様…」

 

その老臣はばたりと倒れた。

 

飛び散る血を見ながら、長隆はぼそりと呟いた。

 

「兄上も、このジジイも、ここにいる名臣も、いつまでも過去の栄光にしがみついていたから、自らの固定概念にしがみついていたから、関係のない武花家や、ここにいる五十万の民衆を巻き込んで戦乱になったんだ。頑固な自己中どものせいで一体どれだけこのような血が流れたことか………。

いくら過去に忠義を誓っても、それのせいで現在において問題が起きたら何にもならない。」

 

 

 

長隆が宝物をばらまくのを終えると、名臣はまた牢に閉じ込められた。

 

牢のある地下からでも、おそらく長隆の即位パーティーであろう声が聞こえた。名臣はその騒ぎ声を聞きながら、その日は何も言わずに眠りについた。

 

地下牢の天井の方にある窓から見える月は、今日も美しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、武花軍もただ負けてすごすごと帰ったわけではない。

 

〜砦、武花 冴長の部屋〜

 

武花が一人で何かを読んでいる。

どうやら手紙らしい。

 

「♪〜♪〜………月宮姫から毎日手紙が………これはなんとしてでも勝利を収めて姫の王朝を再興しなければ………次は前のように負けはせんぞ………そして最後は結こ…」

 

「殿、何を見てらっしゃる?」

 

驚いて振り返ると、武花の後ろには一人の家来が立っていた。

 

「なんだ、じいか………脅かさないでくれよ………」

 

武花がじいと呼ぶこの男。

武花家に三代に渡って仕えている武花家筆頭家老、幽田 玄太夫である。先の喜条軍との戦いでは、この砦の守備を任されていた男である。

 

「なぜ手紙を見て殿は鼻の下を伸ばしていたので?」

 

「い、いやなんでもない。………ところで何のようだ?」

 

「あ、そうだ………軍議の時間でございます。殿もこちらに参られい。」

 

「おう。」

 

軍議の部屋に行くと、もう既に武花家の家中は全員集まっていた。

 

「おう皆、既に集まっておったか。」

 

部屋にいる家臣たちは、皆顔が険しい。

 

「殿、今回は殿に話があってきました。」

 

「何?」

 

その異常なほどの険しさに、武花は思わず背筋を正した。

 

「殿、もうこの戦から手を引きましょう。もとは武候王の家中と喜条家の揉め事。我々には関係のないことでございます。」

 

「そうです、その昔我々と喜条家は親しくしておりました。我々は負け戦の後ですから対等な講和は結べないかもしれませぬが降伏ならば受け入れてくれるはず。そうすれば殿は今までどおり武花城で民を導くことができます。」

 

ワイワイガヤガヤと家臣たちが降伏しろと騒ぐ。

 

「さあ殿‼︎ご決断を‼︎」

 

家臣たちが武花に迫る。

 

「殿………」

 

普通ならここまで迫られては降伏しないと言えないだろうな、と幽田が思うほど、家臣たちが激しく迫る。

 

幽田は決断を乞う目線を武花に向ける。

この若き当主は、一体どのような決断を下すだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………寝ぼけたことを言うでない。………」

 

しばらく言われるがままであった武花がおもむろに口を開く。

 

「もし降伏をしたら姫はどうする?捕まった名臣殿はどうなる?討死した青龍寺殿はどうなる?」

 

武花は、思わず熱く語った。

しかし、家臣たちはあくまで冷静に話す。

 

「しかし殿、………殿の気持ちは分かります。分かりますが………このまま争いを続けてもどうしようもありません。その王朝の生き残り数人の為に我が軍の兵士が何万と死ぬのです。………殿、分かってください。」

 

「我々が降伏を申し出たところでそれを相手が受け入れると思うか?あと一歩で勝てる戦をわざわざ終わらすと思うか?相手にとって私は昔の敵。脅威以外の何物でもないだろう。

今勝てないのなら一旦退いて形勢を立て直せばいい‼︎」

 

さらに武花は熱くなる。

 

「しかし、戦って勝てるでしょうか。敵は五十万の大軍。前の十万とは訳が違います。勝てる保証のない戦に挑んでも、それは誰も勇気だとは認めません。」

 

「幽田殿も何かひとこと言ってください。」

 

困り果てた家臣たちが幽田に助けを求める。

 

皆の視線が幽田に集まる。

 

家臣たちは当然降伏する、と幽田が言うことを期待し、武花は幽田が戦う、と言うことを期待した。

 

さっきまで口をつぐんでいた幽田が口を開いた。

 

「私は………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は、皆の者が言うように降伏をすることが望ましくないと考える。」

 

「幽田殿⁉︎」

 

「あなた正気か⁉︎」

 

家臣たちが思い思いに叫ぶ。

 

「じい………」

 

「だが………」

 

 

 

 

 

 

「降伏はしないにしても講和はした方がよろしいと考える。」

 

「何⁉︎」

 

武花や、家臣たちは「講和」の二文字に唖然とした。

 

「幽田殿、あなた正気か⁉︎今敵は我々に勝った後だ‼︎なぜ勝てる戦を放棄して講和などしようか‼︎」

 

叫ぶ家臣に、老臣は冷静に答える。

 

「喜条はまだ帝位に就いて日は浅く、長期戦は望まないはず。それに五十万もの大軍となれば兵糧の調達は難しい。こちらから講和をもちかければ飛びついてくるでしょう。」

 

「なるほど………」

 

家臣たちが納得する中、一人納得できない人間がいる。

 

「じい、もし講和をしたら我々はなんの為に戦ってきたか分からんではないか‼︎最後までやるぞ‼︎」

 

逆上する武花をなだめるように幽田は語る。

 

「殿、家中のほとんどが戦に反対しているのに戦をしたって勝てません。士気が低すぎます。」

 

「で、では今武花城にいる月宮姫は⁉︎敵に捕まった名臣殿は⁉︎」

 

幽田はゆっくりと首を横に振る。

 

「彼らには申し訳ないが………私は我が国の国民のことを最優先します。兵たちを無駄に損じたくはない………」

 

 

 

 

「さすが幽田殿‼︎分かるお方だ‼︎」

 

「やはり武花家三代に仕えるお方は違うなあ。」

 

家中たちが次々と叫ぶ。

 

その叫び声の中、武花は声にならない声を発していた。

 

「じい、だが…」

 

武花が何かを言おうとしたその時、

 

「殿、戦に私情を挟んでもらっては困ります。恋心よりも大切なものが、殿の両肩にかかっているのですぞ。」

 

と遮られた。

 

武花は、自分が月宮姫に対して持っている感情が、幽田に見透かされていることに気づいた。

 

そして、急にそれを否定する感情が、武花を覆った。

 

「ち、違う。私は姫に恋心なぞ抱いてはおらん‼︎」

 

「ならば、降伏することに異論はありませんな?」

 

「………………」

 

武花は黙りこくった。

しかし、長年仕えている幽田には、これが武花にとっての「異論なし」のサインだと分かった。

 

「よし、講和の準備だ。」

 

 

 

名臣の悲願は、絶たれようとしている。

 

 




感想、評価、推薦、お気に入り待ってま〜す♪
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。