王朝戦乱記   作:藤種沟

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実は今回最終回です‼︎

………

驚いた?

はい、驚きませんでしたね〜………

では最終回、どうぞ‼︎




臣の務め

「我ら武花家は喜条家との争いを好ましく思ってはおらず、早急に双方の友好関係が回復することを望む。ひいては我々はすぐに喜条家との講和を申し入れたい。ご返事をいただきたい。」

 

「………」

 

今、武花家の使者が洛城に来ている。

喜条家に講和を申し入れるためである。

 

「ほう………講和か………なぜまた?」

 

新帝喜条 長隆はまるで珍しい動物を見るかのような目で使者を見る。

 

「武候王も死に、その家臣名臣 翔彦も貴家に捕まりました。我々は単なる援軍。助ける相手もいないのになぜ戦をしましょうか。」

 

使者が説明をしている間、長隆は顔をピクリとも動かさない。

 

「………なるほどな、そういうことか………」

 

「もし講和を受理して下さるならば講和の条件を決めていただきたい。」

 

長隆はまじまじと使者を見る。

そして側近の耳打ちを聞いて、しばらく考える仕草をしてから口を開く。

 

「こちらからの講和の条件はこうだ。

 

一、武花家は軍を我が国から撤退する。

 

一、武花家が占領した砦は我が皇帝家に速やかに返還する。

 

一、武花家が保護している月宮姫及びその母公は速やかに我が皇帝家に引き渡す。

 

一、我が皇帝家と武花家は今後より兄弟のように仲良くしていく。我が皇帝家を兄とし、武花家を弟とし、武花家は年に一回我が国に朝貢すること。

一、人質(名臣 翔彦)の返還には応じない。

 

以上だ。

そちらからは何かあるかな。」

 

「………………」

 

使者はしばらく考えた後、こう言った。

 

「………ではこちらからも条件を………

 

一、武花家は喜条家を新たな皇帝家と認める。

 

一、皇帝は武花家に賠償金を払う。

 

一、人質は返還する。

 

一、皇帝は今後武花領を攻めることはしない。

 

以上。

これを飲んでくれるのならあなたが示した条件を飲みましょう。」

 

「………人質の返還には応じないと言ったはずだ。その他の三条件は飲んでも良いが人質の返還は断じて応じん‼︎」

 

長隆の勢いに圧倒され、使者はどうすることもできなかった。

 

「………分かりました………人質の返還は求めません。」

「ふふふふ、ようし。講和は成立だ。これからは仲良くしよう、兄弟。」

 

「よろしくお願い致します。」

 

 

 

後日、長隆と武花は国書を交わし、正式に講和が成った。

 

そして、幽田ら武花家家臣たちによって、月宮姫とその母は洛城に連れて行かれた。

 

その時、武花の目には涙が浮かんだという。

 

 

 

 

「皇帝陛下、なぜ武花との講和に応じたのです。我々は勝っていました。このまま勢いに乗って武花を攻めればよかったものを………」

 

長隆の側近が不思議そうな顔をして長隆を見つめる。

 

「ふふふ、おぬし何も分かっておらんな。まだ我が家が帝位に就いて日が浅い。それなのにいつまでも武花との長期戦を繰り広げ、この洛城を空にしていては、地方の諸侯が隙を見て洛城を乗っ取りまたクーデターが起こってしまう。

ことに朕は兄を殺して即位した。諸侯どもの動揺を抑えるためにも今は戦の時ではない。」

 

「なるほど………」

 

「あとは兄のクーデターの後始末だな。」

 

 

 

 

 

 

〜名臣の地下牢〜

 

「名臣 翔彦‼︎出てこい。今からおまえへの刑罰を決める。」

 

看守に連れられ、名臣は長隆の前に出る。

 

「よう名臣君、元気にしとったかね?」

 

長隆が不気味な笑みを浮かべる。

 

「つい先日おぬしの支援者だった武花が講和を申し入れてきたよ。」

 

「何⁉︎」

 

名臣は思わず叫ぶ。

 

「そ、そんなバカな‼︎武花城には姫もいるんだぞ‼︎」

 

「ふふふ、姫とその母公は先日この城に来た。」

 

「何ィ‼︎」

 

名臣はさらに大きな声で叫ぶ。

 

「なぁ名臣、朕はもうこれ以上犠牲を出したくはないんだ。もう天下は取ったし戦も終わった。どうだ、朕の家来にならぬか。」

 

「死んでもなるものか‼︎なぜ自分の兄を殺すような不届き者に頭など下げれようか‼︎」

 

「おぬしは朕と互角にやりあうほどの槍の使い手だ。かつての好敵手として殺したくはないんだ。」

 

「何を馬鹿なことを‼︎それならばいっそのこと首をはねられた方がマシだ‼︎」

 

「ふふふ、強情っぱりめ。ならば本当に死ぬかね?」

 

長隆が玉座から降りてきて、名臣の手を握って言った。

 

「姫のことは朕が生涯面倒を見る。おぬしがもし本当に家来としての道を全うしたいのなら生き延びて朕の傘下になり、姫を守るべきではないのかね?」

 

「………………‼︎」

 

名臣は先ほどまでの勢いが嘘のように黙りこくる。

 

「考える時間をやる。明朝までに答えを出せ。もし明朝までに答えが出なかったら首をはねる。

名臣を連れて行け‼︎」

 

「御意‼︎」

 

名臣は屈強な看守に連れられ、牢に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

名臣は悩みに悩みぬいた。

 

長隆は主君を殺した黒幕である。

彼に仕えるなど武士として面目が立たない。

 

ただ彼が言ったとおり、忠義の心があれば、姫を死ぬまで守るべきではなかろうか。

ここで首をはねられて死ぬというのは犬死ではなかろうか。

 

命は大切にしなければならない。

その命を捨てるに見合うものが示されないかぎり、自分は命を守らなければならない。

 

ここで意地をはって死ぬより、生きて姫を守り、恩に報いるべきではなかろうか。

 

「看守、」

 

「なんだ?」

 

「決心がついた。『陛下』に合わせてくれ。」

 

 

 

 

名臣は、正式に喜条 長隆と主従の契りを結んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

名臣は、長隆の家来になった後、真っ先に洛城内の月宮姫の部屋へ向かった。

長隆と主従の契りを結んだ時の条件として、姫の護衛として仕える、という条件をつけたのである。

 

「姫様、名臣でごさいます。」

 

「………入りなさい。」

 

名臣は失礼しますと言って部屋に入る。

 

「あら、長隆の家来になったという噂は本当だったのね。」

 

姫がそう呟く。

 

「噂………?」

 

「あたしが武花城にいた時に聞いたのよ。名臣は喜条に捕らえられてから自分の命が惜しくてすんなりと喜条の家来になったって。」

 

確かに自分は長隆の家来になったが………今日家来になったばかりである。噂が流れるほど時間は経っていない。

 

「姫、それがしは今日喜条めの家来になったのです。」

 

「え?今日?」

 

姫が素っ頓狂な声を出す。

 

「御意。囚われの身の姫を護衛する役目として喜条に仕えた次第。昨日まではこの城の地下牢にいました。」

 

「………‼︎」

 

姫は名臣に疑いの目を向けた後、

 

「誰か‼︎名臣の言っていることが本当かどうか調べてらっしゃい‼︎」

 

と言って使いの者を放った。

どうやら、本当に信頼されていない様である。

 

 

 

 

 

 

「姫、名臣殿の言っていることは本当です。本当に名臣殿は昨日まで地下牢にいて、姫の無事を保証するなら、と今日喜条の家来になったそうでごさいます。」

 

使いの者の言葉に、姫は言葉を失う。

 

「………下がっていいわ。………………………じゃあ誰かがデマを流したんだわ。きっと………」

 

しばらく天井とにらめっこをした後、姫は名臣の方を向く。

 

名臣はとっさに姫に自分の言い分を伝えた。

 

「………それがしは王朝を守ることも、再興することもできませなんだ。ここで自害することは容易けれど、姫の信頼を裏切ったことの罪は消えませぬ。

私は生涯をかけて罪滅ぼしとして姫を守る所存………」

 

「名臣殿、陛下がお待ちです。急ぎきてください。」

 

名臣が姫に自分の意思を伝えきる前に長隆から呼び出される。

 

「………今行き申す。それでは失礼します。」

 

名臣は姫に一礼すると部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「名臣殿。」

 

皇帝長隆は玉座でふんぞりかえりながら名臣に語りかける。

 

「今からおぬしには武花城に言ってもらいたい。」

 

「………⁉︎」

 

「今、武花城で戦の準備をしているのではないか、という噂が流れている。それの真偽を確かめてきて欲しいのだ。」

 

「………」

 

できれば行きたくなかった。

かつては共に戦った仲間だが、もはや自分は喜条家の家臣に成り下がってしまった。

 

武花城で自分が裏切ったとか、そういうデマが流れていたらしいが結果的にその通りになってしまっている。

 

自分は卑劣な裏切り者である。

 

かつての協力者に合わせる顔がない。

 

「ぜひおぬしに行って欲しいのだ。おぬししかやれないのだ。もし本当に武花が戦の準備をしていたら我々の使者を斬る可能性がある。

だがおぬしはかつて武花と苦楽を共にした。まさか斬られることはあるまい。」

 

「………しかし………」

 

断ろうとする名臣に、長隆が近づき、耳元で囁く。

 

「………姫が、どうなってもよろしいのかな。」

 

「………‼︎」

 

名臣は思わず後ろに下がる。

 

「言っておくが姫を殺すも生かすもおぬし次第なのだぞ?もちろんおぬしの命もだがな………敗者は勝者に従う。これは世の常ではないのかね?」

 

「………………」

 

「敗者」である名臣に、拒否権はなかった。

 

「………行かせていただきます。」

 

「おおそうか。では頼むぞ。」

 

長隆は満面の笑みで名臣の肩を叩いた。

 

 

 

 

 

 

「姫、私は武花城に行くことになりました。」

 

「え?」

 

「長隆の使者として行くのです。」

 

「でも………あそこはあなたへのデマが流れていた所よ。」

 

「………」

 

「あたしが武花城を出た時、武花殿はこう言っていました。

 

『あの裏切り者め‼︎我々がなんの為に戦ったと思ってるんだ‼︎次奴の顔を見たら首を刎ねてやる‼︎』

 

と。あなた、行ったら殺されるわ。行っちゃダメよ。」

 

姫は厳しく助言する。

 

しかし、もうどうにもならなかった。

 

おそらく、長隆が姫の命まで持ちかけて自分を武花城に行かせたいのは自分を殺すためであろう。目的は分からない。

 

ただ、何かしら事情はあるのだろう。

 

しかし、どんな事情があれ、姫が殺されてはならない。

王家の血を途絶えさせてはならない。

 

自分は、国を、王朝を、守ることのできた最後の人間であったのだから。

 

結局、自分は何もできなかった。

 

ただただ戦乱を大きくしただけであった。

 

死んでいった同志にも面目が立たない。

 

ならばせめて、せめて姫の命を守って死にたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、名臣は姫の大反対を押し切って洛城を出発した。

 

 

〜長隆の部屋〜

 

「名臣は出立したか。」

 

「御意。根回しも済ませてあります。我々の流したデマで武花は名臣を殺すでしょう。」

 

「うむ。そうすれば使者を斬った、ということで武花を攻める口実ができるからな。」

 

「はい。普通は使者を斬るなどという愚かな者はいませんが、理性を失わせるほどのひどいデマを流しましたから。」

 

「うむ。………武花領は貰ったな………ふふふふ………」

 

 

 

 

王国は、長隆によって統一が完成した。

 

 

 

 

 




今まで本当にありがとうございました‼︎(泣)
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