0から始まる2週目の物語   作:雨扇

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奏の部屋は1週目では物置だった(設定)部屋です。
ちなみにストーリーは基本漫画、たまにアニメとなっております。
マリーちゃんは絡みません。記憶復活してるので。ただ鳴上兄達と遊ぶためだけに出てきます。


4月ー②

【04/12 火】

 

 目覚めると1週目と同じ部屋だった。ちなみに奏は1階の1週目では物置だった部屋だ。たぶん奏はあの夢を見たのだろう。

 

 

 横を見ると無惨にも積もっている段ボールの山。……早く片付けなければ。

 

 

 

 

「おはよ……あさごはんできてるよ」

 

 

 下に降りると既に菜々子が朝ごはんの用意をしていた。流石菜々子、早起きだ。

 

 

「ひとり? お父さんは?」

 

「ジケンだって……。いつものことだから」

 

 

 うつむく菜々子。

 

 

「ふぁ~ おはよう兄さん、菜々子ちゃん」

 

「……まだパジャマなのか」

 

「おはよ。今日から学校でしょ? とちゅうまでおんなじ道だから、いっしょに行こ」

 

 

 俺たちは朝ごはんを食べ始めた。俺は既に制服を着ていてバックも用意していた。そんな俺とは逆で奏は学校に行く用意を何もしていなかった。

 

 

「早くしてくれ。遅れるぞ」

 

「ま、待ってぇ~! に、兄さん! リ、リボンどこ!?」

 

「そこだよ」

 

「ありがと菜々子ちゃん~!」

 

「……はぁ」

 

 

 何故だろう。ため息しか出ない。かなりの慌てん坊と見た。

 

 

「兄さん髪結んだ方がいいかな!? そしてリボンどうやんの!?」

 

 

 ……助けるべきか「自分でやれ」と厳しくするべきか。奏の髪は俺と同じ色で長さが腰まである。

 

 

「結んだ方が楽なんじゃないか? リボンのやり方は俺にもわからん」

 

「うぅ……。おっ、リボン出来た」

 

 

 出来るじゃないか。これなら髪を結ぶのは流石に自分で出来るだろう。

 

 

 俺と菜々子は先に学校に向かうことにした。奏にはゆっくり結びながら来いと伝える。

 

 

 

 

 河川敷。天気は雨だった。

 

 

「学校、あそこの道まっすぐだから。わたしはこっち……。それじゃあね」

 

 

 菜々子と別れて1週目ぶり、八十神高校への道を進む。ここを進むのはとても新鮮な気持ちだ。

 

 

 それにしても奏遅いな。女子の髪結びって時間がかかるものなのか?

 

 

「兄さんー!」

 

 

 あ、来た。ーー? 髪を結んでない。

 

 

「髪結ばないのか?」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

 

 まさか、まさか。違うよな? 奏は女子だぞ? 流石にこれを俺には“勇気”が5あろうと無理だ。それに今日は雨。やるには学校内の必要がある。

 

 

「やれと?」

 

 

 違ってほしい、と思いながら訊いてみる。

 

 

「……えへっ」

 

 

 舌をペロッと出しにっこりした。「えへっ」じゃないよ。何てことさせるんだお主は。

 

 

「……学校着いてからな」

 

「はーい」

 

 

 ……妹ってホントはこんなに辛いのか。菜々子、改めてスゲェ。よし、今度ジュネス連れていってやろう。

 

 

 

 

 八十神高校。到着すると下駄箱の端っこで髪を結ぶ。こんなこと1週目ではしたことなかったから戸惑った。だけど“知識”が5のお陰なのか意外とすんなり出来た。ふむ、どこからこんな知識手に入ったのだろうか。……恐らくりせ辺りかもしれない。

 

 

「あの2人どんな関係なんだろう……」

 

「恋人? 兄妹……?」

 

 

 変なヒソヒソ声が聞こえてくる。とても恥ずかしい。俺は終わるとすぐに奏と職員室へ向かった。

 

 

 もちろん、ヒソヒソ声をした生徒の近くで俺を「兄さん」と奏に呼ばせるのを忘れずに。

 

 

 

 

 2ー2組。諸岡先生ことモロキンについていき教室に入る。1週目と同じ席順で少し安心した。

 

 

「ただれた都会からへんぴな地方都市に飛ばされてきた哀れなヤツ。いわば落武者だ」

 

 

 誰が落武者だ。助けてやらんぞ。夏に哀れに死んでいけ。

 

 

 ……冗談だ。

 

 

「わかるな? 女子は間違っても色目などは使わんように」

 

 

 自己紹介を促されたので半分仕方なく名を名乗る。

 

 

 正直早く終わらせたい。陽介や里中、天城とお話ししたい。何なら1週目より早めに完二と喋ってみたい。

 

 

「鳴上悠です」

 

 

 ちゃんと名乗ったのにモロキンは何か言ってきた。特に訊く気がなかったため忘れた。でも里中が助け船を出してくれたのは覚えてる。俺は里中の隣の席に座った。すると里中が話しかけてくる。

 

 

「最悪でしょアイツ。あ、あたしは里中 千枝(さとなか ちえ)ね。ヨロシク! まー このクラスんなっちゃったのが運のツキ。1年間がんばろ」

 

 

 俺は小さく頷く。

 

 

 

 

 帰りのHRが終わると放送が流れた。

 

 

『全職員・生徒にお知らせします。学区内で事件が発生しました。通学路に警察官が動員されています。それに伴い緊急会議を行いますので至急職員室までお戻りください。また全校生徒は各自教室で待機、指示があるまで下校しないでください』

 

 

 放送が止まるとモロキンは一言言って教室を去った。すると天城と里中が話だす。

 

 

「はー……いつまでかかんだろ」

 

「さあね」

 

「あ、そういえば雪子前に話したヤツやってみた? 「雨の夜中に……」ってヤツ」

 

「あ、ごめんやってない」

 

「ハハいいって。けど隣の組の男子、俺の運命の相手は“山野アナ”だー! とか叫んでたって」

 

 

 こそこそと陽介が里中に話しかける。……あぁ、アレか。陽介、御愁傷様。骨は拾ってやる。

 

 

「あ、えーと里中……さん」

 

「何よ花村。なんで“さん”づけよ」

 

「この前借りたDVDスゲーおもしろかったです。技の繰り出しがさすがの本場っつーか……。申し訳ない! 事故なんだ! バイト代入るまで待って! じゃ!」

 

 

 さて、面白そうだからここで少し1週目とは違うことをしてみよう。

 

 

 俺は教室から出ようとする陽介の肩をつかむ。陽介が振り向く。俺は真顔で言った。

 

 

「教室から出るなって言われてただろ。……何となく予想はつく」

 

「……じゃあ離してクレナイ?」

 

「骨は拾ってやる」

 

「お前そんなキャラだったっーーふげぇ!!」

 

 

 あ、蹴られた。俺は心の中で合掌しておいた。

 

 

 それと陽介。俺はそんなキャラだ。覚えとけ。

 

 

「あたしの“成龍伝説”があぁぁ!」

 

 

 俺は天城の近くに戻って言う。

 

 

「……なんか楽しいお友だちだね」

 

 

 天城はクスリと笑って「そうね」と俺に同意した。

 

 

 そうこうしてる内に帰っていいと放送が流れた。里中と天城は倒れている陽介を避けて帰る。他の人は前の方から出ていく。

 

 

>そっとしておこう……。

 

 

 まるでそんな声が当たり前のように心の中で響いたのであった。

 

 

「いや無視しないで!」

 

「……生きてたか」

 

「骨拾う発言もしかして……」

 

「……」

 

「……」

 

「嘘に決まってるだろう」

 

「で、デスヨネー」

 

 

 俺は鞄を持ちついでに陽介が倒れた際に弾かれた鞄を陽介に投げた。陽介は若干慌てながらもキャッチした。ナイスキャッチだ陽介。

 

 

「帰るぞ、花村」

 

「お、おう」

 

 

 流石に出会って2日目で「陽介」呼びは不味いだろう。しばらくは名字呼びに徹するしかないかもしれん。

 

 

 俺は1階で奏を拾って3人で帰った。ちょっと陽介が戸惑っていたけど、まぁ平気だろう。ついでにメルアドと電話番号を交換しておいた。

 

 

 ちなみにこれは寝る間際に知ったが、あの陽介の戸惑いの理由は「奏が俺にくっつきすぎ」だということだった。言わばりせみたいな感じだ。

 

 

 ……1週目でのりせの対応に慣れてしまったのが原因だな。

 

 

 

 

 

 

 夜。夜ごはんを食べてる最中に堂島さんが帰ってきた。菜々子にニュースにしてくれと頼む堂島さん。不満げに菜々子はニュースに変える。

 

 

 すると第1発見者である女子生徒のインタビューが流れていた。顔は映ってないがあれは俺や陽介にはわかる。陽介の思い人。「小西 早紀(こにし さき)先輩」だ。

 

 

 ついに物語が本格的に始まる時がきたと今実感する。まぁ、俺はテレビの中に入るつもりはないし、今のところ何処かの探偵王子みたいにわざとテレビに映って生田目のヤロウに無理矢理入れられる気もない。

 

 

 ……ゴメンな直斗。直斗は悪くないよ、ウン。直斗のお陰で事件はまだ終わらなかったってことが知れたんだから。

 

 

 明日は里中からマヨナカテレビの噂話を教えてもらう日だ。奏を必ず誘って聞かせなければ。

 

 

 俺は今日早めに寝ることにした。……もちろん、荷物を片付けてから。




主人公がとんでもないギャグキャラになっていく……。
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