(りん視点)
コウちゃんの絵は、ラノベとか、ゲームのファンフェスタの入賞作品でみていた。すばらしいなあ、実際に本人に会ってみたいと思ってた。
わたしは、高校時代、学級委員や生徒会の会計をやっていた。RPGもけっこうすきだったせいか、数学のほかに、世界史の西洋史、生物と地学の古生物がすきで、興味がかたよっていて文系理系のどっちつかず。早稲田、慶応、上智へ行けるって言われてたけど、わたしの家はあんまり裕福ではなかったし、RPGがつくれたらいいなあ、コウちゃんみたいにキャラが作れる人と仕事してみたいと思って何社か受けたうち、イーグルジャンプに合格したの。やはり面接官は葉月さんだった。
入社式ではじめてコウちゃんに会ってうれしかった。しかも、優秀なだけじゃなくてなんていうのかな、奥に秘めた覇気というのか、ギラギラしている気迫のようなものを感じたの。その時点でコウちゃんに惹かれていたのかもしれない。
でも周囲に溶け込めてない感じはしたわね。
最初お母さんの手弁当持ってきていて先輩方に
「おいしい?」って聞かれたときに
「あげませんよ。」と答えたり、
先輩が
「コウさん、食堂でいっしょにお昼食べない?」と言っても、
「ここのほうが落ち着くので...。」
ってブースを動こうとしないの。
「それとも食堂でないと話せない用件でもあるんですか。」
って真顔で聞き返したりして、先輩たちがかえってバツがわるい空気になっちゃったり、先輩方も近づきづらいなあと思ってたのよ。
それからお土産。もらったときに「微妙すね。」って言ったり、
仕事のことで、
「先輩から指摘されたことはやってますし、もしかしてどこかダメなところありましたか。」と真顔で聞き返して、先輩方反論できなくてなんか浮いていたのは覚えてる。
そう、なんかいまの紅葉ちゃんみたいな感じかな。
先輩たちとの関係が悪化し始めた契機になったのが、フェアリーズ1のキャラコンペでコウちゃんのキャラが採用されたとき。そのキャラがフェアリーズ1の主人公パピロニーティアの素案になったんだけど先輩たちはやっぱり面白くなかったみたいね。仕事だからとNPCはつくってはくれた。予算も限られているし、どうせたいして売れないだろうと思っていたみたいだけど、見ての通りの大ヒット。公式設定資料集を作ることになったんだけど、取材の当日、コウちゃんたらいつもの格好で出社して何の準備もしていないの。ちょうど葉月さんが新人のころに来ていた服があったからあわてて着替えてもらったの。公式コンプリートガイドでコウちゃんがピンクのニット着てたのはその時の写真。何度見ても可愛く撮れてるでしょ。
ゆんちゃんは、フェアリーズ2が発売されて、フェアリーズ3の準備がはじまったときにアルバイトでモンスターをつくってもらっていたの。ふつうの女の子に、シュモクザメを知っていて絵までかけるなんて子はいないし、話していて動物に詳しいから葉月さんをはじめとする上司にかけあったの。そしてゆんちゃんは去年採用された。同じ年に採用されたのが、はじめちゃん。花男さんが気に入ったらしいんだけど、なぜか直前になってわたしたちグラフィックチーム配属にしてくれと言われたの。本人から聞いたと思うけど、去年の社内コンペでうまくキャラ案出せなかったこともあって、モーション班に所属変えになったんだけど、モーション班の席が足りないこともあって、席はキャラ班のブースのまま所属だけモーション班になったの。
※葉月さんが新人のころに来ていた服があったからあわてて着替えてもらったの。
本作外伝その1参照。