(青葉視点)
高校3年になった。フェアリーズ2は去年ようやく発売された。英雄であるパピロニーティアがもたらした世の中が、新たな悪の出現で混沌が発生し、主人公のナイト君とコナー君が混沌を克服へ導く冒険に出る話。シバルバーのダンジョンが九層まで拡大された。でもなにかコナー君がいるときには闇の書を使えないなどの何か裏設定がありそう。
昨日進路希望調査があった。わたしは、小学校時代の作文を発表した時のことを思い出していた。
「夢...か...。」
わたしは、キャラクターデザイナーって書き込んで、進路希望調査の紙をながめていた。
(ねね視点)
わたしは、フェアリーズ2の設定資料集の発売日の前日、まちきれなくて書店へよったんだ。そしたらなんと、なんとあるじゃん。
表紙には蝶の羽をつけたパピロちゃんが描かれている。今回の主人公はナイトとコナーのはずだけど...
「おじさん。」
「なんだい、ねねちゃん。」
「これ一冊。」
「おお、前から発売するって言っていた本かい?」
「そう。なぜか発売日の前日なのに入荷してたみたいだから。」
「今日寄ってってよかったねえ。」
「うん。」
「では、まいど。」
へへん、あしたあおっちに見せびらかしてやろう。
「あーおっち」
「わ!?」
驚いてる、驚いてる。
「じゃーん!フェアリーズ2の画集だよ。」
「え?もう?今日が発売日でしょ~?。」
「昨日本屋さんにあったんだ~。見せてあげよっか。」
「うん、見せて見せて。」
あおっちの顔がぱあっと明るくなる。
「わあ、やっぱりいいなあ。」
八神さん、八神さんっていつも言ってるから。でも正直八神コウって私もすごいと思う。
でもあおっちの場合は、見たら幸せになれます、ってどこかの掲示板のセリフみたいな感じ。そのときあおっちの机の上から紙がひらりと落ちる。
「あおっち、何か落ちたよ。」
見ると進路希望調査の紙だ。
ぷぷっ。
あおっちったら、子どもみたい。
キャラクターデザイナーだって。
思わず笑ってしまう。
役職と進路の区別がついていないみたって言ったら
真っ赤になって
「わかってるよ。」
とむきになってた。
(青葉視点)
ねねっちが、フェアリーズ2の画集を見せてくれた。あれ?発売日明日のはずだけど...
昨日お店にあったらしい。
八神さんの絵、いつみてもすばらしい。ほれぼれしてしまう。
ねねっちも同意見みたいで、いいよね~って言ってた。
そのときわたしの机の上の進路希望調査の紙がおちた。
わつ、見られる!
ねねっちがひろって、あんのじょう、ぷぷぷって笑い始めた。
「あおっちたら、子どもみたいなの~。」
って笑う。もう。そして例のドヤ顔で
「キャラデザってのはねえ、役職であって進路じゃないんだよ。」
って言う。ああん、だから見られたくなかったのに。
「わかってるよ。ちょっと書いてみただけ。」
「でも、あおっち、キャラデザってことはゲーム会社?」
と真顔で問い返してくる。
わたしは、一年きっているはずなんだけど、どうも就職ってことが想像できない。
「じゃあ美大なのかなあ。」とねねっちがつぶやく。
美大かぁ...。考え込んでいるとねねっちは
「なら放課後に先生に聞きに行こうよ。」
と突然言い出す。
「ええ、まだ決めてないしいいよ。」
「聞くだけでもいいじゃん。あおっち絵上手いんだし。けってーい。」
なんかこうと決めたらねねっちは行動が速い。もっとも決まらなくても走り出すことがあんだけど。もっと落ち着いて行動すればいいのに。
忘れ物は多い、落ち着かなくてよく転ぶ、当番や宿題もよく忘れる、おっちょこちょい、左右の区別がつかなくて視力検査は指でさす、だけど勉強は決して苦手じゃない、テストの解答欄はよく間違えたり、名前書き忘れたりするけど。こうと決めたときの突進力はピカ一だ。
わたしは、あいまいに返事するしかなくて、放課後美術準備室へ美術科の日高先生に会いに行くことになった。
美術準備室を開けると誰もいない。
するとねねっちが
「あおっち、これ見て見て!」
と叫ぶ。
見ると横2m、縦1.5mはあるだろうか、巨大なキャンバスに風景画が描かれている。
フェルメールのデルフトのようにもフィレンツエの街並みにも見える絵だ。
「すごいね、これ...。」
「そうだね。先生のかな...。」
そのとき、ガタって物音がした。