夏合宿
(ねね視点)
美術部の夏合宿は山も海も近い民宿だった。
ほたるんとあおっちは、美大受験のため手の絵を描いている・
ちなっちが講評してるようだけど、すぐあきそう。
わたしは、美大なんて関係ないから虫さがしをはじめる。山も海も近くにあるんだから遊ばなくっちゃ。
民宿の裏手にはなぜかクヌギ、シイの林がある。
虫取りは幼稚園の時から好きだったし、よく見つけた。
危ないこともあったけど...
あ~いたいた、かぶとむし。
つ~かまえた。みんなに見せてやろう。
「ねえ、ねえ、すごい、すごいよ~。」
「ほらほらカブトムシ。」
あおっちとほたるん驚いてた。
「すごーい。天然でいるんだ。」
「ねー、わたしもはじめて。」
ほたるんがさそうけど、なぜかちなっちはよってこない。
「あれ?もしかして?ちなっち虫苦手?」
かぶとむしを近づける。
ちなっちの顔から血の気がひいている。
おなかにかぶとむしをくっつけたら
「ぎゃあああああああ。」
と悲鳴を上げてわたしは殴られた。
虫くらいで...。
砂浜でスケッチすることになって。ちなっちが最初モデル。
だけど、つぎはわたしがモデルになった。
(青葉視点)
ちなつ先生にかわってねねっちがモデルになった。
一分もたたないうちにもぞもぞしはじめる。
「ねねっち、動かないで。」
「え~、だって退屈~。」
「動くと描けないじゃん。」
「ねねちゃん、わたしもちょっと今のは...。」
「そうそう、もとのポーズ。」
「あ~ん、また、動いた。」
「ねねちゃん、もう一度だけいい?」
「わかった。」
しかし、また一分もたたないうちにもぞもぞ、足の位置とか変わる。
描けなかった...。
ほたるちゃんは描けているようだった。
「まだ、青葉はみたまま描いてるね。」
「ねねっち、動くから。」
「ほたるちゃんは描けてるじゃん。」
うう~-ん。
(ねね視点)
「つぎ青葉。」
「私もですか。」
「そう、行って。」
あおっちがモデルになったけど、わたしはやることがない。
う~ん退屈だあ
あついからかき氷買ってこよう。
かき氷を買ってくると、
あおっちは「すとっぷ!」と言ってわたしを見つめる。
スケッチする気みたい。
とけちゃうよ。
ほたるちゃんが休憩しようと言ってくれてやめるのかな、
と思って食べ始めると
わたしが食べているところをじっと見つめている。
あおっちは、もう...
それを見てちなっちとほたるんは苦笑していた。
(青葉視点)
ねねっちは落ち着かない。
「ねえ~今日はお絵かきしないの?」
「一般科目の試験もあるし...。ってか、ねねっち勉強しなくていいの?志望校は決まったの?」
「まだだけど...。」
「私は、入れそうなところに入るからいいよ。」
「適当だなあ。将来にかかわることなんだからもっと真剣に考えたら?」
「だって...わたしは美大無理だし...。どっちにしてもあおっちやほたるんとはお別れだし...。」
「...。」
ほたるちゃんとわたしは無言になった。
「ずっとこのままだったらいいのに...。」
「二人はどうしても美大じゃないといけないの?普通の大学じゃ絵描けないの?」
「それは...。」
「...ごめん...二人とも頑張ってるのに変なこと言って...。」
「ねねっち...。」
「わたし、ちょっとお菓子買ってくるね。」
「ねねっち!」
ちなつ先生が立ち上がって
「二人はそのまま勉強してていいよ。わたしが行ってくるから。」
「先生...。」
「行く大学が違うくらいで、友情の輪は切れないって。」
(ねね視点)
お菓子買ってくるって飛び出してきた。
コンビニがある。
えびせん、ポテチキザギザカット、コカ・コーラは落とせないな...
あれ...
飛び出してきたはいいけど、お金持ってない...
だめだ...
戻れない...
戻れなくてもいいかもしれないけど...
わたしは、思わずため息をつく。
とりあえず海辺へ行くことにした。