(ねね視点)
しばらく海を眺めていると
「ほい。」
と肩越しにソフトクリームが差し出される。
え、ちなっちだ。
「コンビニ行ったはずなのにいないんだもん。代わりに買ってきたよ。」
「お金持ってなかったんだもん...。」
「そっちかよ。」
ちなっちが先生になるまでの話をしてくれた。
すこし頑張れば勉強も美術もスポーツも人並み以上にできた、
そのため進学には苦労しなかった。
勉強も美術もスポーツも人並み以上にできたけど、どれも一番になれなかった。
高3のころ、興味のあった美大に進学した。
凄い上手い人がいてあきらめて、なんとなく先生になった。
先生になったのは成り行きだったけど、前向きに歩いてきたことだけは自信を持って言える。夢はないけど今が一番楽しいと思えるようになった。
大学が別々になって毎日会えなくなってもみんなどこかで歩んでるんだと思えばさみしくないって。
「そんなしけた顔してると、ほたると青葉ちゃんに心配かけちゃうぞ。」
「しょ、しょうがないじゃん。」
さびしくなるのは確かなんだから。
「自分のことはよくわからないけど、あおっちとほたるちゃん夢は応援したい。二人の夢がかなえば私は楽しい。だから心配かけないようにわたしも受験頑張る。」
「よし、じゃあ勉強しないとね。」
でも悩んだら疲れた。
「...明日からじゃだめ?」
「おいおい...だけどもう日が暮れるし...いいかな。」
「??」
「これな~んだ。」
とちなっちが見せてくれたのは花火だ。
コンビニで買ってきたんだろうな。
「ほたるたちも呼んできてくれるかな。」
ちなっち気が利いてる。
「了解。」
思わず敬礼してしまう。
(青葉視点)
ねねっちがうれしそうだ。いままでどうしてたんだろう。
「ねえ、ねえ、海行こうよ。」
あれ?手ぶらだし。お菓子買ってきたんじゃないの。
「もう夕方じゃん。泳げないよ。」
「いいからいいから。」
ほたるちゃんとわたしは顔を見合わせて浜辺へ行く。
「お~~い。」
ちなつ先生が呼んでいる。
呼ぶ方向をみると先生花火を回している。
「あ~ねねっち、花火につられて機嫌戻したんでしょう?」
ねねっち根は単純だし。
「ちがうし!。」
と必死に否定する。
「毎日会えなくても二人が頑張っていれば私は寂しくないから、私は頑張ろうと思ったの。」
おどろいた。ねねっち大人になったのかなあ...ほたるちゃんもおなじこと考えたみたい。
二人で話しているとねねっちの声がとびこんでくる。
「もう!二人ともやりたくないの?」
「あ~いくいく。」
ほたるちゃんとわたしは先生とねねっちのところへ行った。
海からの風は心地いい。
ぱちぱちと花火の音。
夏合宿のゆうべはすぎていく。