vivid trans!   作:偽作者(ハザードフォーム)

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初めての方には初めまして、久しい方にはお久しぶりです偽作者です

試行錯誤の末、ついに一話が完成しました!

でもやはり自分は未熟者だなぁ…結局色々抜けてるし


では始まります


Memory:01「出会い」

「君の力、借りるよ?」

 

そう言って少女の肩に触れた少年は、自分より遥かに屈強な大男に向って果敢に挑んだ

 

少女は、自分が襲われるのとは違った感覚で血の気が引いた。

 

3対1。しかも相手は誘拐をビジネスとする裏社会のプロ。対するのは、女の自分よりも細い体の少年。無理だ。絶対に殺される。少女は少年が目の前で惨殺されてしまうビジョンのイメージしてしまう。

 

「やめ…っ!?」

 

やめて!!

 

そう叫ぼうとした瞬間、落雷が落ちたかのような爆音と衝撃が少女の意識を刈り取った。

 

薄れる意識の中、眩い閃光の僅かな隙間から少女は確かに見た…

 

 

少年の手の甲の表面に、蒼き紫電が駆けていた事に

 

 

* * *

 

 

「悪く思うなよ?クソガき…ッ!」

 

少年は大男の迫り来る拳を紙一重で回避すると後ろへと回り込み、片手で男の頭部を掴み上げる。

 

「ガッ…!アガガガガッ!!」

 

大男は頭部を掴まれた事に仰天するがすぐさま抵抗する。だが少年の手が離れる事は無かった。それも束の間、大男の身体に強い激痛が走る。その痛みは見覚えのある痛みでそれはまるで雷に打たれたかのような痛みだった。大男の抵抗が止まったのを合図に少年は力の向く方向へと流しつつも、その場で大男の顔面を地面に叩き付ける。

 

「ゴガッ…」

 

鈍い音と共にその細い腕に合わない程の腕力を見せるかのよう、地面に亀裂が入り、大男の顔面がめリ込む。

 

(あれは…『六十八式・兜砕』…!?)

 

蒼き紫電を纏う少年は立ち上がり…少女にとってそれは見覚えのある光景だった。少年が大男を倒したその技はーー

 

見間違える筈がないーー今まで幾度と使ってきた自分だからこそ言える。

 

 

「て、テメぇガハッ!?」

 

小柄な男がデバイスを手に反撃に出ようとしたが、その瞬間小柄な男性はその場で突如に倒れる。小柄な男性が倒れた事で隠れていた少年が姿を現す。

 

金色の髪、翠色の瞳、迸る蒼き紫電。

 

(ヤバい!)

 

穏やかなスーツ紳士を気取っている青年だが、その実は裏社会で人身売買のブローカーとして暗躍し、時には管理局の魔導師、時には敵対組織との抗争で修羅場をくぐってきた身。そんな彼だからこそ、僅かな攻防で悟ってしまった

 

目の前の少年に潜む、得体のしれない何かを

 

(こうなったら…)

 

青年は、幻影魔法で大量の分身を作り出した。戦うためではなく、逃亡するために。高度な幻影魔法で生み出された分身は、巧みな動きで少年を翻弄する

 

今のうちに逃走を図ろう。そう画策したときだった

 

「何ッ!?」

 

強力な雷撃が辺り一帯に放電され、大量の分身は一瞬で殲滅されてしまった。雷撃の余波で、建物内の電気系統が異常をきたし、強すぎる負荷でブレーカーがショートを越した

 

「百式・神雷……だと…」

 

本体の青年は、無様に尻餅をついて、少年が使った魔法名を口にした

 

「ば、バカな!?雷帝の血筋に、こ、こんな奴はいないはず!?」

 

青年は焦り始める。突如に現れた少年が、紛れもない雷帝の魔法を使っているからだ

 

「な、なんなんだ!何者なんだお前はっ!」

 

「見ての通り。通りすがりのホームレスです」

 

薄汚れた服、ボサボサの髪。どこからどう見ても、社会ヒエラルキーの底辺、ホームレスの少年にしか見えなかった。

 

少年は青年へとゆっくりと迫り、青年との距離を縮めて行く。

 

「ぶざk!?」

 

混乱が頂点に達し、逆上した青年が懐から小刀を取り出した瞬間、少年の全身から、これまでの比ではない激しい雷が迸った

 

(そうですわ…雷帝の血縁者で彼の顔に見覚えはない。でも、彼の使っている魔法は…雷帝の……かれは…いったい)

 

雷帝の血縁者ではない少年が、雷帝の魔法を使っている。それは、矛盾した不可思議な光景。激しい雷鳴が建物全体に轟き、少女は少年に対する疑問を抱きながら意識を失った。

 

 

* * *

 

「これで良し。あとは、この人を安全な所に運ばなきゃ」

 

黒焦げになった誘拐犯達を縛り上げた少年は、意識を失った少女をお姫様抱っこで持ち上げた

 

女性とはいえ、意識を失った人間は相当な重量を持つ。線の細い少年はふらつきながらも少女を抱え、人目に付きやすい場所まで運んだ

 

その後、少女が無事の保護されたのを草葉の陰から確認した少年は、安心して姿を消した

 

 

 

 

「お…さま……おじょうさま……お嬢様!」

 

「!?」

 

目を覚ました少女が最初に見た光景は、幼い頃から自分を世話してきた執事の必死な顔だった。いつもクールな笑顔を絶やさない彼が、これだけ焦った顔を見せるのは、少女にとって初めてのことだった

 

「エドガー」

 

「良かった。意識がお戻りになって」

 

少女に「エドガー」と呼ばれた青年の執事はホッと胸をなでおろした

 

「どこか痛い所はありますか?」

 

エドガーと一緒にいた女性局員が、穏やかな口調で訪ねてきた。

 

「お腹と、腕周りに鈍い痛みが」

 

「分かりました。これは、応急処置レベルの回復魔法ですが、もうすぐ医療班が到着します。それと、アナタを誘拐したグループは、全員逮捕されましたのでご安心ください」

 

「そうですか。それを聞いて安心しました」

 

絶望的な状況の中、助けに現れたホームレスの少年

 

朦朧とする意識の中、自分が見た物は紛れもない「雷帝式」の技と不自然もなくそれを使いこなす少年の姿

 

あの子は一体何者だったのか?

 

雷帝の血縁者に彼は居ない…それなのに何故?

 

 

回復魔法を受けながら、少女は少年のことを考えていた。

 

 

これが少女「ヴィクトーリア·ダールグリュン」とホームレス少年の初めての出会いだった。




Next Episode


「今日も、居ないのですね……」

少年を探し続けるヴィクター……それでも、どれほど探そうと彼は姿を現さない――

だが、自身が考えてもいなかった思わぬ形で再会する事となる。


# 02「ホームレス少年」
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