vivid trans!   作:偽作者(ハザードフォーム)

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初めての方には初めまして、久しい方にはお久しぶりです偽作者です。

今回も色々詰んだりとしましたが試行錯誤して、約数年振りの投稿になりますがどうにか3時間で投稿出来ました。

(ただ昨日、猫ミーム動画を見ながらもアークナイツでは源石集め、崩壊3rdと原神とスターレイルで石集めをしつつも一次小説の方も作業をし、仮面ライダーエグゼイドのOP(曲の名前ってここ、引っ掛かりそうなので取り敢えず省略)を聴きながらも深夜テンションで書いたものなので所々色々とおかしな部分があるとは思いますが…加えて投稿してから結構経っているので恐らく多くあると思います…)

では始まります。


Memory:03「通りすがりのホームレス」

「――見ての通り、通りすがりのホームレスです」

 

ヴィクターの問いに屈託のない笑顔で答えるシャルル。

 

「え?ほ、ホームレス……あ、貴方ホームレスだったのですか?」

 

「え?はい、そうですけど――」

 

ヴィクターの問いに対して不思議に思ったのか、疑問符を浮かべながら小首を傾げるシャルルに対し、ヴィクターはシャルルの意外な返答に驚きのあまり、裏返った声が漏れてしまい口を開けたまま唖然とした。

 

少年がヴィクターと同じく、雷帝式を使った際に見た魔法はヴィクター程の実力の持ち主でもない限り、全て使いこなせないような魔法ばかり。

 

それどころか、かつて自分がインターミドルで使った魔法でもあった。

 

ヴィクター自身に憧れて雷帝式を真似ては己の物にしようとした輩も時折居たものの、当然使いこなせる筈もなく

 

仮に使えたとしても所々動きに無駄があって隙も大きく、ヴィクターのように容易に使いこなせてはいない場合が一般的であった。

 

だが目の前のシャルルと名乗る少年は自分の意識が朦朧としていたとはいえ、明らかに雷帝式を使いこなしていた。

 

あの3人のアジトを突き止めた事から考えれば――

 

恐らく管理局の関係者に相当するだろうとヴィクターは予想していた。

 

しかし返って来たのは現代社会において最も底辺に位置しているホームレスという返答。

 

ヴィクター自身の身近にも似たような境遇を持つ親友が居る……今はホームレスというより居候であるが、自分と出会う前まではまるで野生児のような暮らしをしていた。

 

彼女はヴィクターと互角に渡り合える程の実力の持ち主であり、その力はかつてU19にて死闘とも言えるほどの戦いを繰り広げた。

 

それでも彼らは上級魔導師で加えて次元犯罪者の中でも上位に位置する人物達であり、AMFを所有しながらも上級魔導師としての実力も高い。

 

AMFなしでの戦闘であればどうにかなるかもしれないが――

 

――DSAAやU19といった試合のような対等な状態にしてくれる程、この世界は優しく出来ていない。

 

「あの、どうかされましたか?」

 

「い、いえ……それより貴方は本当にホームレスなんですよね?」

 

「はい、僕は通りすがりのホームレスですよ。」

 

「本当にですか?」

 

「はい、本当にです。」

 

この少年はいったい何を言っているのだろうか――しかし嘘を言っている様子は見られない。

 

返ってきた少年の返答に自分の耳を疑ってしまっていたのか、気が付くといつの間にか自分らしくもなく二度も訊いていた。

 

魔法が普及しているこの社会において、魔力と高度な魔法を使える事はとてつもなく大きなアドバンテージとなる。

 

特に魔力容量が大きく、なおかつ高度な魔法が使えるのであれば、それこそもはやこの世界においては「天才的な才能」と「先天的な才能」と言える物へと昇華される。

 

それは断りを入れるか経歴に前科でもない限り、メリットしかない優遇的なオファーや所持している魔力容量や魔法に対する技術に比例して高待遇なスカウトが来るくらいである。

 

 

――ヴィクターとて例外ではない。

 

 

古代ベルカの名家の一つとして知られる御令嬢であり並みならぬ努力で手に入れたものではあるものの、実力と高度な魔法、そして魔法に対する博識な知識を持つ時点で既にこの社会において優秀な人材と言っても過言ではない。

 

その噂を何処かで嗅ぎ付けたのか、15歳になった時には既に、当時では大手企業とも言える所からこちら側にとってメリットしかないようにしか見えないオファーとスカウトが周に数十件近く来るくらいである。

 

加えて最近ではU15の優勝経歴の上書き、パーソナルデータの更新と共に追加された事で案件は日を追って増えてきている。

 

それもこれでもかという程の血が滲む程の努力のお陰で成し遂げれた物であり、ヴィクター本人にとっても今までの苦労が報われたとも言える"良い事の一つ"である。

 

 

しかし、そんなヴィクターとは違い、目の前に居る少年は自分はホームレスであると答えている。

 

ヴィクター自身が驚く程雷帝式を同等なレベルで使えるにも関わらずに、である。

 

出生は今の所不明ではあるものの、今目の前に居るこのシャルルというホームレス少年は真ベルカ式の魔法を使える時点で知的財産と大金を持ち歩いているようなモノだというのに、ヴィクターとは真反対な生活を送っている。

 

この少年については捜索の最中に調べていたものの、前科といったもの、ましてや経歴すら存在しない。

 

以前からホームレスであった故か、もしくは何かしらの理由があってなのか――

 

――だが身分を証明出来るような情報自体が一つも存在していなかった。

 

では何処で彼は雷帝式を――

 

 

「あの、大丈夫ですか?……何処か疲れているように見えるのですが――」

 

声を掛けられて、ふと気が付くといつの間にか、シャルルが心配そうな表情でこちらを覗き込んでいた。

 

「いえ…何でもありません――少し考え過ぎたようです」

 

また深く考え過ぎていたのだろう、前の件の事もあってか、ヴィクターを何処か心配そうな表情で見ている少年であったが、ヴィクターの返答を聞き、安心したのか僅かながら表情が安らいだ。

 

「それで、貴方を探していたのはお伺いしたい事があって……」

 

「お伺いしたい事…?僕にですか?」

 

ヴィクターからの答えに首を傾げるシャルル。

自分に訊きたい事が何なのかを考えるものの、記憶に心当たるモノがないといわんがばかりの素振りを見せる。

 

「お伺いしたいのは二つ。貴方がホームレスである事と雷帝式を使えるようになった経緯について。」

 

「貴方の戦い方は本来そう簡単に習得できるモノではありません…そう思えてしまう程に貴方は強かった――」

 

一つ目、まず本題でもあり、このホームレスと名乗る少年を探す要因にもなったヴィクターが最も気にしているモノ…それは雷帝式を何故使えるかについてであった。

 

意識が朦朧としていたとはいえ、自分が見たのは雷帝式を使いこなし圧倒的な強さを見せつけた少年シャルルの姿は今もヴィクターの記憶に刻まれている。

 

それが真実なのかは判らない…意識が朦朧としている中で見た幻覚なのか、それとも――

 

「だから訊きたいのです、何故貴方はそれ程にまで強いのかを――」

 

それを確かめたいからこそヴィクターは少年に訊く。

 

数日も諦めずに捜索して、ようやく偶然にも巡ってきた確かめたかった事の答えを知れる機会を得た事で興奮し、少し上がり気味で訊くヴィクター。

 

しかし直ぐにその事に気付いたのか、ゴホンと咳払いをして気を落ち着かせる。

 

「意識が朦朧としていたとはいえ…私は見ました、貴方が雷帝式を使っていた所を――」

 

『六十八式・兜砕』、『百式・神雷』…二つともヴィクターにとって馴染みのある魔法であり、雷帝式の魔法に属する魔法の一つ――

 

――雷帝式との付き合いが長い自分だからこそ見間違えるはずがない。

 

自分が落ち着けない程、一度も会った事のない彼の技術と魔法は自分の良く知るモノと瓜二つだったのだから――

 

無言でシャルルは聞き続ける。

反応からして恐らく間違っていないと思ったヴィクターは話を続ける。

 

「申し訳ありませんが、貴方を捜す為に色々と調べさせていただきました…そして二つ目は――」

 

「あっ、着きましたよ?」

 

ヴィクターが二つ目の質問を口に出そうとしたその時、シャルルが突如に口を開いた。シャルルの方を向くとそこにはいつの間にか自分の見慣れた光景が広がっていた。

 

(なっ、どうしてここに…)

 

目を疑うもそこには豪邸と言っても過言ではない自分が住み慣れている自邸があった。

 

しかしヴィクターの記憶では自分が先程まで居た場所からは遠く離れている筈でエドガーからの迎え、もしくは魔力で強化した足で走りでもしない限りは数時間程は掛かる――

その上何故自分の自邸の場所を…?と思いながらもまた一つ聞く事が増えた事でシャルルに聞こうとするも、いつの間にか自分の視野にはシャルルの姿は消えていた。

 

「それじゃあまた会いましょう!」

 

声のした方を振り向くとそこにはヴィクターに向かってさようならと云い、既に自分でも追いつけそうにない程遠くに走り去っていくシャルルの姿があった。

 

「あっ!ちょっと待って下さい!まだ終わってませんよ!」

 

走り去っていくシャルルを止めようとするヴィクターであったが、遠くから返ってきたシャルルの返答は

 

「さっきの伺いたい事については次の時にお願いします!それと寝不足はお肌の敵ですよ!」

 

自分にとって何時になったら出来るのか分からない事を次に延長するという旨と変な方向に気を使った答えだった。

 

このチャンスを逃すまいとヴィクターは直ぐさま走ってまで兎に角追い付いてでも止めに向かうが、既にそこにはシャルルの姿は無くそよ風のみが吹いていた。

 

「はぁ、はぁ…逃してしまいました。」

 

月の光に照らされながらも折角のチャンスを逃してしまった事に思わず溜息が出てしまう。

もしかしたら単なる息切れによるモノなのかもしれない…否、そこまで自分は貧弱ではない事くらい自分自身が良く知っている。

 

――だから前者でしかない。

 

「あれ?ヴィクター?こんな時間までどこで何してたん?」

 

突然後ろから声を掛けられて振り返る。自分の親友でもあるメイド服姿の「ジークリンデ・エレミア」と自分の執事である「エドガー」が居た。

 

「皆心配したんよ?結構来るの遅かったんだから」

 

「お嬢様がこのようなお時間になるまでお戻りになられるのは流石に初めてですね…前回の事もありますので一応他の方々にも御連絡を入れましたが、皆様はご存知では無かったので…皆さん総出で捜索してましたよ?」

 

前回の誘拐事件の事もあってか少し心配している表情を見せる二人。

ヴィクターは作り笑顔を見せながらも二人には前と同じく自分がシャルルについて調べていた事、今回は見つけたものの知れるチャンスを目前で逃してしまった事等、事情を話しながらも心配していてくれた事を謝罪する。

 

「ごめんなさい、こんな遅い時間になってるとは思っていなくて…明日皆さんにも謝罪しないと――」

 

「ううん、でもヴィクターが無事なら良かった――それじゃあ早く行こ?私物凄くお腹空いてるんよ」

 

さっきとは違い、ヴィクターの手を引っ張って普段とは違って遅い夕食の為に駆けていくジーク。

ですがその時の私は流石にあのホームレス少年を追いかける為にスタミナを消費し切っていたのかそこまで気に留められる程に思考は落ち着いていませんでした。ですが後ろから微かに聞こえてきたのです――

 

 

「おかしいですね…お嬢様と一緒に居ただなんて、反応すらもないのですが――」




Next Episode

再会し改めて礼を言いつつも雷帝式を使える事を伺おうとしたが、いつの間にか自邸へと送り届けては去っていったシャルルについて考えるヴィクター。

考えても謎は深まるばかり――


# 04「存在しない記憶」
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