IS/F91   作:フリーダイアル

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プロローグ

海軍戦略研究所(通称サナリィ)はIS技術研究のため五菱重工兵器部門の一部を公社化したものである。

防衛省技術研究本部がその成り立ちに密接に関係してるといわれ、主に根幹技術の検証、理論実証、実戦を想定した戦術開発等を行っていた。

しかし遅々として進まない国産第三世代型IS開発に業を煮やした日本政府はサナリィに第三世代型ISの開発を目的とした「フォーミュラ計画」を発令する。

 

 

 

IS/F91 プロローグ

 

 

 

富士仮設演習場

ビル郡を模して作られたハリボテの間を縫うように2機のISが飛翔する。

それを操るのはまだ成人も迎えていない少女だ。

 

「辻谷准尉、新型の調子はどうだい?」

 

「PIC機能良好、問題ありません」

 

形式ばった固い口調とは裏腹に少女は満面の笑みを浮かべていた。

先行していた彼女は後ろに追従する機体を振り切るイメージを作る。

それに答えるように機体は急制動、そして加速。

一瞬で最高速に達しそのまま速度を緩めずに最小の弧を描いてひねりこみながらターンする。

少女は限界を確かめるようにしかし大胆に機体を振り回していた。

後ろの機体も追従しようとするものの常軌を逸した機動にまるでついていけない。

モニターをしている研究者たちから歓声が上がる。

 

だがこんなものじゃない。

 

コアが少女に告げてくる、限界はもっと先だと。

 

「出力を50パーセントまで上げます」

 

「処女飛行なんだ、手加減してやれよ」

 

機体をさらに加速させる。

ハイパーセンサーによって強化された知覚能力をもってしても障害物が自分に向かって撃ち出されてくるように見える。

それでも少女はスピードを緩めない。

集中すればするほどISとの境目がなくなっていく。

無駄なものが削げ落ちてひとつになっていく感覚。

人と機械がひとつになって稲妻のように疾駆する。

これならさらにもうひとつ先へ踏み込める。

そう思った瞬間、虚脱感とともに機体が急に失速する。

あれほどあった一体感が失われていく。

気づかなかったが警告アラートが騒がしく機体の異常を訴え、みれば熱量モニターが真っ赤になっていた。

どうやらバイオコンピューターのセーフティーがかかったようだ。

 

「よし機動テスト終了、帰等してくれ」

 

「了解、辻谷准尉帰等します」

 

機体を仮設ピットに下ろすとメカニックが機体に群がった。

邪魔にならないように離れつつ今まで乗っていたISを眺める。

ぴかぴかの白い機体を見ていると充実感と達成感、そしてこの機体のテストパイロットである誇らしさがない交ぜになって湧き上がってくる。

ぞわぞわと来る感覚におもわず肩を抱いて震えた。

少女の名は辻谷文香。

海軍戦略研究所所属のテストパイロット、そして15歳にして准尉の階級を与えられたれっきとした自衛官である。

 

「どうだったこの子は?」

 

白衣を着た妙齢の女性がドリンク片手に話しかけてきた。

ドリンクを受け取りながら少女は堰を切ったかのように話し出す。

 

「主任!すごいですよ!私がやりたいことを先読みしたかのように動作してくれますし、挙動も素直でほんといい子です!」

 

話を聞きながら主任、モニカ・アノーは苦笑いをした。

3.5世代型試作IS開発コード"F91"、それがこの機体の名前だ。

元よりサナリィは機体開発より根幹技術の検証を行っていた組織である。

今までに蓄積されたデータを生かすため、この機体は基本性能の向上、イメージ・インタフェースの発展をコンセプトに製作されている。

まず新型インターフェース、バイオコンピューターによってISコアとの同調をより高めつつハイパーセンサーの性能を上げることに成功した。

またフレームや装甲の構造材に電子機器としての機能を持たせるマルチプル・コントラクション・アーマーによって機体の軽量化、小型化に成功した。

その結果、PICの性能自体は他の第3世代ISとさして変わらないにもかかわらずF91はそれらに比べて圧倒的な機動性を獲得している。

しかし高まった機体との同調性はパイロットに繊細で正確な操作を要求し、圧倒的な機動性は瞬間瞬間での判断能力を要求する。

つまりF91は彼女の言ったような素直な機体などではない。

次世代を目指し最高の技術をつぎ込んだがゆえに、乗り手を選んでしまう欠陥ISなのだ。

 

「あーでも、冷却機能が十全ならもっと鋭く飛べるのになぁ」

 

なのに目の前の少女はこんなことをのたまう。

そしてそれを聞いた周りのメカニックの目の色が変わった。

きっと最高を目指す彼らはまたいつものようにがんばりすぎてしまうのだろう。

万人に乗りこなせないISとして完成しつつあるF91にモニカは頭を抱えた。

 

 

二月某日

 

F91のテストパイロット文香は主任室を目指していた。

聞けば緊急の案件が上から降りてきたらしい。

正直いやな予感しかしない。

パイロット向きの小さな体の小さな歩幅がさらに小さくなる。

 

そのコスプレにしか見えないちんまりとした自衛官は主任室の扉をノックした。

 

「IS学園への出向ですか?」

 

「ええ、上の意向でね 表向きはF91の実戦データ収集ということになっているわ」

 

「ってことはなにか、本当の理由でもあるんですか?」

そう主任に聞き返しながらも、文香はその理由の大体を察していた。

今世間、いや世界を騒がせているあれについてに違いない。

 

「織斑一夏って名前は知っているわよね?」

やっぱりと少女は静かに心の中で毒づいた。

世界初の男性IS適格者発見の報は連日報道され彼の名を聞かない日はない。

 

「辻谷文香准尉には彼の護衛をお願いしたいそうよ?」

つまりはそういう事だ。

第三世代機の開発より男性ISパイロットが優先されたのだ。

当然といえば当然だが納得いかない。

まるで"この子"に価値がないといわれているような気分だ。

 

「・・・私にハニートラップの真似事でもしろっていうわけですか?」

 

IS学園は建前上国家や組織からの干渉を受け付けない。

ゆえにIS学園へ送り込む駒が必要だ。

織斑一夏を他国の諜報員から守り、こちらに必要な情報を手に入れられるそんな駒が。

対象と同い年の15歳でなおかつそういった訓練を受けている人材として私に白羽の矢が立ったのだろう。

諜報は専門じゃないんだけどなぁ・・・。

 

「それを期待した人選ではないと思うわよ」

ちんちくりんで悪かったな!

パイロットは小さいほうがいいんだよ!

 

「それにね、これはチャンスなの」

主任が真剣な顔になる。

倉持技研が織斑一夏の専用の第三世代ISを開発中との噂もある。

場合によっては次期国産主力機選考にも関わってくるかもしれない。

こちらのF91は8割完成しているものの、サナリィ内での実験だけでは頭打ちなのが現状だ。

そんな中、他国の第三世代機との実戦を行えるIS学園への出向は渡りに船だといえる。

 

「了解しました、IS学園で私がこの子の最強を証明してくるついでに王子様も守ってきます」

サナリィのみんなと私の思いの結晶、F91の価値を全世界に認めさせてやる。

百合の花を模った髪留めを手でなぞりながらそう決意した。

 

決意したのだったけど・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「教科書、古い電話帳と間違えて捨てちゃいましたwwwwww」

 

「代表候補ってなんぞwwwww」

 

「部屋からたたき出された助けてwwwww」

 

 

なにこれ

 

もうやだ

 

続く

 




お目汚し失礼いたしました。
SSを書いて投稿するのは生まれて初めてなもので目に付くことが多々あったかと思います。
もしお手すきでしたらご指導のほうよろしくお願いいたします。

さてこのSSはF91のコンセプトを持ったISをぶち込んでみようという衝動のみで書いています。
多少は先のことも考えていますが、基本は行き当たりばったりな感じになりそうです。

主人公の苗字はシーブックの中の人から。
名前は理奈(リィナ)とかでもよいかなと思ったのですが、主人公が理奈という感じではなかったので
シーブック>本>文 とかそんな適当な連想ゲームで決めました。

それでは次回もまた読んでいただけるとうれしいです。

5/6 加筆修正
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