もしもベル・クラネルにこんなスキルがあったなら:短編集 作:自堕落キツネ
『弱肉強食』
・モンスターのドロップアイテムに食材が追加される
・美味いモノを食べることでもアビリティ成長
・調理技術に補正付加
『ダンジョンに食材を求めるのは間違っているだろうか』
商業系ファミリア「ヘスティア・ファミリア」
団員は少ないが従業員が大勢いて、約八割が女性であり、食材の下処理、店頭での販売等から、主婦や出会いを求める若者が大半を占めている。
男性はオラリオ内外の顧客へと商品を運搬するのが主な仕事だ。
もう予想はついてるだろうが、団長であるベルは、毎日専属サポーター数名と共に食材確保(ダンジョン探索)に奔走していた。
「団長~、なんで
本日最後の必要な食材がミノタウロスの赤身なのだ。
わざわざ獲物の方がやって来たのだから、中層まで行かずにすむかもしれない。
ベルは、専属契約した鍛冶師、ヴェルフ・クロッゾに特注した大剣のようなサイズのナイフを右手に、三叉槍のようなフォークを左手に持ち、散歩でもしているかのようにミノタウロスに歩み寄った。(なお、ヴェルフは「まさか食器を頼まれるとは思わなかった」と宴の席で語っていたそうだ)
痛めつけると食材の質が落ちるので、あっさりとナイフで胸を切り裂き、フォークで器用に魔石を回収した。
灰の塊から床に食材が落ちる前にサポーターの一人であるリリルカ・アーデが回収する。
「お~、流石リリルカ先輩ですねぇ、自分にはそんな器用なこと出来ませんよ~」
「うん、流石リリだよね」
「ベル様、倒す前に一言は言ってからにしてください!!
落とした食材では、値段を下げなくてはいけないじゃないですか!!」
後輩のやる気の無さそうな態度にイラッとしつつ、リリはベルに苦情を言うが、褒められて緩みそうな頬を隠しきれていない。
「リリ、食材は赤身?」
「はい、これで今日必要な分の回収は終わりです」
「それじゃぁ、帰ろうか」
ベル達が帰ろうと振り返ると、遠征中の筈のアイズとベートが居た。
「遠征終わったんですか?お帰りなさい、アイズさん」
「ただいま、ベル」
「おい、何
「あれ、いたんですか(告白もできない)ヘタレ狼」
「あぁ!?」
会うたびにこのやり取りを繰り返す二人(兎と狼)に見慣れてるのかアイズとサポーター達はミノタウロスについて情報交換した。
「そのミノタウロスなら、この赤身を落としてくれましたよ」
「そう、良かった、じゃあもう戻らないと」
「分かりました、ベル様~!!帰りますよ~!!」
「ハーイ!!」
「待てヒョロウサギ!!」
「ベートさん、早く戻らないとフィンに…」
「チッ」
「それじゃぁ、アイズさん、ヘタレ狼」
「このクソウサギ!!」
「ベル様!!」 「ベートさん…」
渋々二人は離れ、目的地へと向かう。
数日後、酒場『豊穣の女主人』にて
遠征の慰労宴会、いつもに増して機嫌が悪そうなベートに、事情を知っている幹部達は 呆れた目を向けていた。
「会うたびにヒョロウサギなどと呼ぶからだ」とリヴェリア
「だよね~」と同意するティオナとコクコクと頷くアイズ
「下手に突ついてヘソを曲げられたら困る」とよく酒を購入しているガレスとロキ
ワイワイと騒々しくも楽しげな雰囲気の店内に店員であるシルの声が響いた。
「ヘスティア・ファミリアからベルさんと食材が届きました~!!」
一瞬静まり、途端に「「「ウォォォ~!!!!」」」と歓声が響いた、スキルのお陰でとはいえ、絶品料理を作れるベルが来たことで注文が殺到する。
今日のために、嫌々ながらもヘスティアに頼んでおいたロキも満足げだ。
ベルのスキルによってドロップする食材は、強いモンスターほど美味しいことが多い。その為に注文次第では深い階層まで潜る必要があるため、必然的にベルも強くなる。
初めは大変だったファミリアの運営も順調に進み、今では広く知れ渡ったファミリアの団長であるベルは、今日もダンジョンに潜るのであった、早く同じスキルを持った後輩が現れるのを心底願いながら。
空腹が原因ですとも、えぇ