dream and reality   作:ボッチ

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1話「夢」

俺は至って普通の人間だ。

 

普通の人と何も変わらない。

 

ただ少し普通の生活に飽きてしまって刺激が欲しいと日頃から思っているだけだ。

 

そんな俺にはある不思議なことが1日のうち1回だけ起きる。

 

 

それはーーーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

世界の8割以上がゾンビになってしまい人々は追い回され食べられたらそいつらになってしまうという夢を見ることだ。

 

 

とてもリアルで現実味のある夢。

 

目が覚めてもどこか現実味が無い。

 

どっちが現実なのか分からなくなってしまうほどに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また....ここに来てしまったのか」

この夢を見るときは俺の意識はハッキリとしている。だがひとつだけ心に繰り返し呼び掛けられることがある。

 

 

それは死なないこと。

 

それは噛まれないこと。

 

 

「マサキどうしたの?」

俺が魘されているように見えたのか高校の友達のリサが話しかけてくる。

おっとりとした性格でとても優しい女の子で毎回救われている。

 

「あ、ああ何でもないよ。皆は?」

 

「見回りだって、周囲に人影が無かったからここの倉庫に忍び込んだけど奴等はいつくるか分からないもの....それに」

 

「ああ、これの残り量も少ないしな」

俺達の武器。それは奴等になった奴に振りかけると溶け出す水だ。タンクにいれて肩にかけて持ち歩きスプレーのように振りかけられるようにしてあるがもう残りが3分の1程にまで減ってしまっている。

もうひとつ倒す方法は奴等の首から頭を切り離すか頭をズタズタに切り裂くかだが恐ろしく硬くなっているので本当に最終手段になっている。

今の状況では誰かが頭に包丁で攻撃を仕掛けて怯んだ隙に水をスプレー状に振りかけて奴等を消すことだ。

 

 

別に不思議とも思わない。何故この水を掛ければ消えるのか?なんて疑問は全く浮かんでこない。

強いて浮かんでくるのはこれで噛まれなくてすむという安心感だけ。

 

1つ問題もあった。

この水は何回目かの夢で俺が作ったはずだったのだがその夢以来作り方だけが全く思い出せないでいた。作っている所は思い出せるのに何を使ったのか全然思い出せない、まるで思い出すことを拒まれているように。

 

 

「マサキが作ったんだよね?どうして思い出せなくなっちゃったんだろ?」

 

「いやその時リサもいたからな?」 

 

「えーそうだっけ?」

 

「おいおい、お前ら何か楽しそうな話してるじゃねーか。こっちは残り少ない集中力を削ってまで見張りしてたってのにさ。なあカズキ」

 

「全くだ。だがマサキは頑張り過ぎてたからな。休めたならそれでいいさ」

 

「ちょっ!カズキそれは甘すぎないか!?」

 

「リョウ少し静かにね」

 

「マナミ...だけどお前も疲れただろ?」

 

「んー奴等に追い回されるより100倍ましだったよ?」

 

「皆すまないな....それでどうだった?」

 

「うーんとね。結果から言うとあまり芳しくはないかな....」 

 

「というと?」 

 

「奴等の数が増えていっている。今日中にもここを脱出したほうが良いだろうな」

 

「脱出は考えていたさ...食料も残り少ないしな」

 

「クソッ!どうしてこんな目に!」

 

「リョウ止めろって騒いでも奴等が迫ってくるだけだ」

 

「ああ。そう、だな」

 

「それでマサキ。どこに逃げるの?」

 

「・・・ベストだと鍵がかけられて結構なスペースがあり食料もあるところ、か」

 

「そんなところ.....」

 

 

「「「「「ある!」」」」」

 

「全員...そこで良いよな?」

 

「うん。他になさそうだしな」

 

「しゃーないだろ」

 

「うん私もそこしかないと思う」

 

「心配と言えば奴等がどのくらいいるか...よね」

 

「でもここには要られないなら行くしかない」

俺達は移動することを決めて支度をして扉をゆっくりと開けて目的地である。総合記念アドベンチャーワールドに向けて歩き始めることにした。

総合記念アドベンチャーワールドは、数多くのアトラクションや映画館がありお城のようなばかでかいホテル施設まで完備してある。だがあまりの利用料が高過ぎて誰も使えず1年も立たないうちに潰れたのだ。

 

距離にして1.5㎞あるがあそこには非常食なども完備されているので今の状況では一番現実的な場所だった。

 

「1.5㎞か....走れば10分くらいで着けるのによ」

 

「馬鹿言うな。走る体力があるなら周囲に気を配れいつ襲ってくるか分からないんだぞ?」

奴等は視力と痛覚が死んでいるが聴覚だけは生きている。だから音に反応して群がってくる。

 

「前方100メートル奴だ...数は1人、だな。マサキどうする?」

 

「・・・出来るだけ水を使いたくない、出来れば無視して通りすぎるのがベストなんだろうな....でも」

 

「ええ。あんなに真ん中にいるんじゃ端を通るしかないけどそれだと....」

 

「急に横から奴が出てきたときに対処が間に合わずにヤられる可能性がある...か」

 

「倒そう...ただし水は使わない」

 

「それって!?」

 

「ああ、武器だけで戦う」

 

「マサキ本気か!?」

 

「ああ、あとリョウお前はもう少し声のボリューム落とせ」

 

「お、おお。悪い」

 

「いつかは水が無くなる。なら倒すしかないだろ?」

 

「でも...」

怖がるのも無理はない。俺達が持っている武器は出刃包丁が1つに包丁が1つ、トンファーが1つに、木刀が1つ。初めてやりあうならリーチが短すぎる物ばかりだ。

 

「俺がヤってみるよ」

 

「っ!マサキどうして!?」

 

「待てよ。マサキが行ったら指揮は誰がとるんだよ?」

 

「・・・カズキお前にしか頼めない」

 

「俺には荷が重すぎる...それに作戦を考えるのは苦手だ」

 

「作戦はマナミに頼むよ。きっといい作戦を思い付いてくれる」

 

「マサキ....」

 

「おいおい...何も死にに行くってわけじゃないんだ。そんなに泣くなよ...声ももう少し落としてな」

俺は出刃包丁を右手に取り肩にかけていたタンクをカズキに渡す。

 

「頼んだぞ。カズキ」

 

「・・・分かった」

俺はカズキの返事と共にゆっくり近付いて奴との距離が50を切った所でなるべく音を出さないように足に力を入れて走り出す。奴は気付いたようで口を大きく開けて此方に噛み付こうとしてくる。俺は速度を一瞬で殺してその反発力を利用してバックステップで噛み付きを回避して出刃包丁を振り上げて左脳辺りにおもいっきり降り下げる。

ガギッとおよそ人の頭を出刃包丁で叩いたときにする音じゃない音がして出刃包丁は半分くらい刺さった所で止まっていた。俺は慌てて出刃包丁を引き抜き体制を整えるために1度離れて奴を見ると先程刺さっていた所から血が出ていた。

 

「固いけど...倒せないこともない」

俺は深呼吸を1度してもう一度近付いた。

奴は俺の足音を聞いて口元をにやけさせながら走ってくる。その姿に一瞬恐怖したことで体が固まり反応が遅れてしまった俺は反発的に奴の噛み付きを右手に持っていた出刃包丁で防ごうと前に出すとあまりの力で出刃包丁は弾かれてしまった。

一瞬の時間稼ぎになったので後転の勢いを利用してなんとか脱出して胸を撫で下ろす。後ろに弾かれた出刃包丁を拾って集中して相手の動きを思い出す。

 

「そう言うことか....」

俺は石のつぶてを1欠片拾って左手で持ち脱力しながら奴に近付く。後ろを振り向くとマナミとリサが叫びそうになっているがカズキとリュウが必死に口を手で押さえてくれていた。

俺は一瞬ニコッと笑顔で返して左手に持っていた石のつぶてを奴の後ろに投げた。

 

石のつぶてはカラッコロコロと音を立てながら転がると奴は俺に背中を向けて石のつぶての方に歩き始める。

出刃包丁を両手で握り奴にギリギリまで近付きジャンプしてそのまま出刃包丁を後ろから脳天を真っ二つに切り裂いた。

 

グシャッ...ベチャッと不快な音を立てながら右半身と左半分身が別れながら倒れていく。

 

「やった.....」

安堵してると俺の左肩が叩かれて振り向くとマナミとリサは半泣きになりながらも笑顔を俺にリュウとカズキは親指を立てながら俺に笑顔を見せてくれていた。

 

「お前達と生き残れてて良かった...」

 

「ん?なんだって?」

 

「何か言ったかい?」

 

「マサキどうしたの?」

 

「何でもないよ」

俺の目の前は少しずつボヤけていく。

いつも通りだ。これでいつもの退屈な生活に戻る。

 

 

 

「ん...」

真っ白になった視界が少しずつ自分の部屋の天井を映し出していく。

 

「戻ってきたのか...まあ俺にあんなに仲の良い友達はいないしな」

 

 

 

 

 

ーーーあの世界とこの世界...俺はどっちの世界を望んでいるんだ?

 

 

 

 

 

 




あくまで夢で見た話です。実話ではありません。
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