ひねくれ凡夫ワンサマー   作:ユータボウ

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 原作を買ったんだけど二次創作の見すぎで違和感を感じた
 とりあえず買ったんだし俺もなんか書こうって思って書きました。気に入ってくれる人がいれば嬉しい


1話 ワンサマー、入学する

 インフィニット・ストラトス、通称IS

 

 大天才篠ノ之束博士が生み出した、宇宙空間での活動を想定したマルチフォーム・スーツ。その性能は既存の兵器を軽く凌駕しており、ついでに『白騎士事件』なんていうぶっ飛んだ出来事のせいで、本来の目的とは全く別の使われ方をされることとなった憐れな存在である

 

 ISには特徴が二つある。一つは上で述べたように既存の兵器を軽く凌駕する性能をしていること。そしてもう一つが女性にしか扱えない、ということである。こちらは特徴というよりも欠陥といった方がいいかもしれないが……

 

 これらの要素を持つISは世の中にある風潮を作り出した。それが俗に言う女尊男卑と呼ばれる思想だ

 

 女はISを扱える。男はISを扱えない。ならばISを扱える女は男より優れた存在である。こんな感じの思想だ

 

 まるで小学生が考えたような頭の悪い発想である。しかしこんなものが世の中において当たり前のように受け入れられているのだから、この世界も存外に腐ってしまっているらしい。おかげで俺を含めた男連中は肩身の狭い思いをして生きていかなければならなくなった。女性有利の世の中では既に数多くの男が既にくだらない理由や冤罪でブタ箱にぶちこまれていたりする

 

 まぁこういった話はまた次の機会にでもしよう。今はともかくISが女にしか動かせないという事実を知っておいて欲しがったのだ

 

 IS操縦者育成特殊国立高等学校、通称IS学園

 

 ISが女にしか動かせないという欠陥上、通う生徒は当然皆女の子であるこの学園に……

 

 

 

 俺、織斑一夏は行かねばならなくなっていた

 

 

 

     △▽△▽

 

 

 

 「(ははっ……マジ笑えねえ……)」

 

 見渡す限り女子女子女子。女の花園たるIS学園へ強制的にぶちこまれた俺だが、初日が始まる前にして既にグロッキーな状態に陥っていた。苦し紛れに勝手に人の進路を決めやがった老害共を内心で罵倒しまくる

 まず背中に突き刺さる視線が辛い。中学時代にも訳あってかなり目立っていた俺だが、流石に今の状況は中学時代とは別の意味で結構酷いものだ。わざわざ別のクラスからも見に来るなんてお前らどんだけ暇なんだよ?この視線が質量を持っていたなら確実に全身が穴だらけになっていることだろう。いや、真の英雄は目で殺すのだ。質より量、俺だってこれだけ見つめられれば殺されてもおかしくないんじゃないか?

 極めつけはこの席だ。教卓に一番近い場所、つまり教室の真ん中の列の一番前なのだ。この見てくださいと言わんばかりの配置を考えた奴を、一発殴りたくてしょうがない。誰が好き好んで動物園のパンダにならなくちゃならんのだ

 他にも理性をゴリゴリ削る女子特有の甘ったるい匂いやら、十中八九俺のことが話題のヒソヒソ話やらがあるが割愛させてもらう。これ以上考えれば教室から逃げ出したくてたまらなくなってしまうだろう

 

 それもこれも本来の受験先であった藍越学園とこのIS学園が同じ会場で試験していたのが悪い。二つの学校が試験をやってるのに案内板の一つも用意しなかった責任者も悪い。俺みたいな男がいても摘まみ出さなかった無能な試験官も悪い。仮にも一機で国を相手に出来るようなISを適当な部屋に無防備にも放置していた連中も悪い。これらの要素が合わさって生み出された被害者が俺なのだ。つまり俺は悪くねえ、悪いのは全部向こうなんだこんちくしょう

 

 「おはようございます、皆さん」

 

 そんな時教室に天の声が響いた。教室に先生が入ってきたのである。これに廊下にいた生徒は蜘蛛の子を散らすように戻っていき、更にクラスメイトも席に戻ったことで突き刺さっていた視線が幾分か減った。ありがとう、名も知らぬ先生!

 

 「えっと、このクラスの副担任をさせて頂く山田真耶と申します。一年間、宜しくお願いします」

 

 「お願いします」

 

 ……

 

 …………

 

 ………………あれ?

 

 待て待て、なんで誰も何も言わないんだよ?先生の挨拶だぜ、返事くらいしろよ。失礼だろうが。ついでに俺だけ返事したのが変みたいじゃねえか。なんだか気恥ずかしくなってきて汗が出てきた

 

 「お、織斑君、ありがとうございます。そ、それじゃあ自己紹介でもしましょうか?」

 

 ほれ見ろ先生が涙目になってんじゃねえか……って、この先生、俺が実技試験やった時の相手の先生か!緑の短髪に童顔、眼鏡。そして最後に自己主張の激しい二つの果実。ああ、見間違える筈がなかった。覚え方が大変失礼なのは思春期真っ只中の15歳なんだし見逃してくれ。ISスーツって凄いんだぞ、身体のラインがすっげえはっきり分かるんだから

 

 「あの、織斑君?次は織斑君の順番なんだけど、その、自己紹介してもらってもいいかな?ごめんね?」

 

 「ん、あぁすみません」

 

 いかんいかん、どうやらもう俺の番へと回ってきたらしい。まぁ『あ』から始まれば『お』なんてすぐだからな。中学時代だって出席番号は常に一桁だったし。あと山田先生、そろそろ涙目から卒業してくださいよ……

 ガタッと席から立ち上がって振り返る。当然、クラスメイトは全員女子だ。しかも何気に全員ルックスのレベルが高い。これを親友の五反田弾が見たら狂喜乱舞してその辺りを転げ回っていそうなものだが、生憎俺は女という存在が好きではないのでただ辛いだけである。一先ず当たり障りのない程度の自己紹介にして、さっさと座らせてもらおう

 

 「え~……と、織斑一夏です。ご存知の通り、世界唯一の男性操縦者なんて言われてますが、はっきり言ってただのトーシローなんで過度な期待はご遠慮ください。好きなことは漫画読んだりゲームしたり……ダチと駄弁ったりすることです。一年間宜しくお願いしま~す」

 

 速すぎず、それでいて遅すぎず、すらすらっと自己紹介をして、最後には軽く頭を下げて席に座る。一応及第点ってとこじゃないですかね、100点満点なら65点くらいの自己紹介だ。これで俺のことをそんなに面白くない奴と思って興味をなくしてくれたなら幸いだ

 

 「ほう、てっきり随分参っているだろうと思っていたが存外に元気じゃないか」

 

 成し遂げたぜ、と謎の達成感に浸っていた頭が冷たい水をぶっ掛けられたような感覚に陥った。恐る恐る声のした扉の方へ視線を動かすと案の定、そこには予想通りであり、同時にその予想が最も当たって欲しくない人物が黒いスーツ姿で、かつ出席簿を片手に不敵な笑みを浮かべて佇んでいた

 まるで狼を思わせる鋭い瞳に艶やかな黒髪。すらりと伸びた手足に身内目線から見ても整っているプロポーション。嘗ては『ブリュンヒルデ』などと呼ばれてテレビやら雑誌やらに引っ張りだことされていたこの人の名前は……織斑千冬

 

 何を隠そう、マイシスターである。妹じゃないよ、姉だよ

 

 「ち……千冬姉!?って痛っ!?」

 

 「織斑先生と呼べ馬鹿者」

 

 光より速く振り下ろされた出席簿が見事に俺の脳天を捉える。そして一瞬遅れてやってくる鈍痛、これ絶対出席簿が出せる痛みじゃねえよ。「うごごご……」と呻きながら俺は堪らず机に突っ伏した

 

 「あ、織斑先生。会議はもう済んだんですか?」

 

 「あぁ。SHRを任せてしまってすまなかったな、山田先生」

 

 そんな俺など無視して千冬姉は山田先生へ声を掛けた。にしても織斑先生、ねぇ。ここ一年か二年、家に帰ってくる回数が激減したから何やってんだと思ったら、まさかこんなところで働いてたなんてなぁ。なんで俺に教えてくれなかったのかねえ?人に言えないような仕事してんじゃねえのかと不安だったんだぞ。隠すような疚しい仕事でもあるまいし……

 

 「諸君、このクラスの担任を任された織斑千冬だ。君達新人をこの一年間で使い物となる操縦者に育て上げるのが、我々教師の仕事だ。我々の言うことをよく聞き、そしてよく理解しろ。出来ない者には出来るようになるまで指導する。逆らうのは構わんが言うことは聞け、いいな?」

 

 「きゃあああああああああ!!千冬様、本物の千冬様よ!!」

 

 「私、お姉様のファンで北九州から来たんです~!!」

 

 「私、お姉様のためなら死ねます!」

 

 我が姉の教師として如何なものかと思う台詞に、クラス中の女子が喚いて騒ぎ始める。確かに千冬姉は世界でも知らない者はいない程の有名人だし、そんな人を生で見ることが出来て興奮するのも分かる。ただ、もう少し静かに出来ないものか、今はSHRの時間なんだぞ。女子の叫び声特有の高音は頭に響くのだ。さっき出席簿で殴られた衝撃もあって頭痛が一層酷くなった気がする

 

 

 

 それにしても、これだけ皆が騒いでいると逆に騒いでいない生徒が目立つってもんだ。窓際の座るポニーテールの子とか、後ろの方の金髪ロールの子とか、のほほんとした雰囲気の子とか、ひっそりと座っている銀髪の子とか。てか、オッドアイってやつはゲームや漫画の中だけの存在だと思ってたんだがな……生で初めて見たぜ

 

 

 

 「……毎年毎年、よくもまぁこれだけの馬鹿者が集まるものだ、感心させられるな。あれか、私の受け持つクラスには馬鹿者が集中させられているのか?」

 

 毎年毎年って、アンタ多分教師生活二年目でしょうが。二年前までドイツにいたこと知ってんだからな?だからべしべし頭を叩くのは止めてください。頭痛が加速するから

 

 「きゃああああああ!お姉様、もっと叱って罵って~!」

 

 「でも時には優しくして!」

 

 「そしてつけあがらないように躾して~!」

 

 「……織斑先生、保健室に行っていいですか?頭が頭痛で痛いです」

 

 「気持ちは分からんでもないが入学初日の最初から保健室に行くなど却下だ。大人しくしていろ」

 

 「おぅふ……」

 

 切なる望みが一瞬で却下された、泣きたい。ついでに、今の会話で勘のいい生徒が俺と千冬姉の関係に気付いたようだ

 

 「え……織斑君って……千冬様の弟?」

 

 「じゃあ男でISが動かせるのにもそれが関係して……?」

 

 「いいな~代わってほしいな~」

 

 

 

 

 

 

 ……代わってほしい?

 

 代わってほしいだと?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──アンタなんていたから、千冬様が優勝出来なかったのよ!

 

 ──アンタのせいで!

 

 ──千冬様の優勝を邪魔して!いなくなっちゃえばいいのよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……っ!」

 

 手から感じる痛みと口に広がった血の味で俺は我に返った。そして同時に安堵する。痛みは誰かを殴ったからじゃない、自分で強く握りすぎたせいだ。口に広がった血の味は自分の唇を噛んだからだ

 

 俺は、誰にも手を上げちゃいない。だから大丈夫だ、落ち着け

 

 「(……あぁ、クソッタレが)」

 

 最低な記憶が蘇ったせいで溜め息と共に天を仰げば、ふと中学時代の友人の顔が頭に浮かんだ。三年間を一緒に過ごした最高のダチ、だが今そんな二人はここにはいない。千冬姉は身内だが教師という職業上中立だろうし、味方なんて皆無のようだ

 

 

 

 弾、お前は女子高は理想郷だって言ってたがな。ここはただの動物園だぜ。お前や俺が望んでいたような淑女なんざ誰もいねえよ

 

 鈴、やっぱりお前は最高だったよ。世界中どこ探したって、きっとお前以上の子は見当たらねえ。だから毎日酢豚を食べさせてくれ

 

 

 

 お先真っ暗なIS学園での生活は、こんな形で始まるのだった




 とりあえず1話はここまで。プロットは出来てるけど実際にやっていけるかは不明な模様、頑張る

 一応簡単な設定

 織斑一夏

 主人公。過去に色々あったせいで原作のヒーロー的な感じとはかけ離れた性格をしている。でも家事が得意だったり千冬さんに憧れているのは同じ。髪の毛は長く肩甲骨辺りまで伸びているものを括っている
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