彼は夢を視る 作:夜深
夢を見た。
自分じゃなくて、自分の夢。
何を言っているのかわからないと思うけど、実際のことなのだ。
その夢の俺は、すっげー我が儘で、親大好きで、レアカード大好きで、スイーツ大好きな奴だった。
まるでダメ男の模範解答みたいな奴で、正直こんなやつがいるのかと引いたが、何処からどう見ても俺だったので、何とも言えなかった。
しかも、今夢の俺がいる場所は、俺が通っている小学校。
何とも……何も言えない。何故自分の夢など見なければならないのだ。どうせならスイーツの夢を見て幸せになりたい。
その日の二時間目の授業は体育だった。偶然だな。明日二時間目に体育があるのは同じだ。
そして、その授業内容がサッカーだった。まぁ運動は大抵出来るから、別に困らない。
「いくぜ!俺のシュート、ちゃんと見とけよぉ!」
夢の俺は自信満々にボールを蹴り上げる。
意外と上手かったのが悔しいが、こいつは夢の俺だから上手いのは当然だ。何で自分を非難しようとしたのだろう。
結果は俺が二回ゴールを決めて、後半戦に突入した。
クラスの女子が応援する中、俺がボールを取りに行った時だった。
「危ない!」
「へっーーーーーーぶへぇ!?」
ボールを持っていたクラスメートが誤って俺の顔面にシュートをぶち込んだ。
それをまともに受けた俺は、ぴよぴよとふらふらしながら倒れる。
「きゃああ!!さ、沢渡くん!?」
「おい!大丈夫か!?さーーーーーだれーーーーー」
……あれ、先生の声が聞こえ辛くなった。
俺を保健室に運ぼうとしているのか?
もう少し、もう少しで聞き取れそうなんだ。
なぁ、周りは何て言ってーーーー。
「…………あれ?」
気づけば朝だった。
■
……昨日は変な夢を見た。サッカーの時間で、クラスメートにボールをぶつけられ、それを心配した皆が何か言っている所で夢は終わってしまった。
何とも後味が悪い。しかも、次は二時間目で体育だ。
俺は持ってきた体操服に着替え始める。
その最中に、隣の男子が「なぁなぁ」と、俺に声をかけてきた。
「今日の体育はサッカーだってよ!まじ楽しみだなぁ!」
「……そうだなぁ」
「あれ?お前嬉しくねえの?いつもこういう時って、『俺がシュート決めてやるから安心しやがれ!』って大声で言うんじゃねえの?」
「………………」
何こいつ怖い。何夢の内容と同じこと言ってるの。まじ怖い。
驚きすぎて言葉も出ず、同時に不安になる。
まるで、夢の出来事が現実になろうとしていることに。
こういうのなんて言うんだっけ……正夢?
いや、まだ断定することは出来ない。この後のサッカーで、何が起こるかわからないんだ……!
ノリで二点決めちまったよ。
しかも配置も声もボール持ってる奴も、全部夢の通りで怖いよ。
「よーし行くぞ!」
「沢渡ー!次も期待してるぞー!」
「……ああ、うん」
もう俺に期待の声を投げてくるのはやめてくれ。ただでさえ夢で混乱しているのに、俺に変なプレッシャーを投げかけるのはやめてくれ。
俺が棒立ちをしていると、走ってきたやつに背中を叩かれて半ば強引に取りに行かされる。俺はディフェンスだ。だから俺はここで守りを固めるんだ(震え声)。
そして、夢の通りに俺がボールを取りに行こうとした時だった。
「あ」
「あ」
思わず俺も声が漏れ、その瞬間がスローモーションになる。
ボールを持っていたクラスメートが、誤ってボールが俺の顔面に向かってくる。
ーーーー本当の、夢のように。
向かってくる、ボールが。
ボールが、俺の顔面に。
「ッ!!」
ぶつかることはなかった。
俺は直前で横に避けることで、ボールをぶつけられることを回避した。でも尻餅はついたが、仕方がない。
「だ、大丈夫か!?」
「す、すまねえ沢渡!」
先生とクラスメートがこちらに駆け寄ってくるが、同時に俺の不安は再骨頂に達していた。
あれは、あの夢がなければ俺は保健室送りだ。
なら、あの夢は、何故見れたんだ?
これは正夢?いや、違う。
これは、まるで。
ーーーー予知夢のようじゃないか。
その後何事もなく、俺は無事に帰れたが、あの夢が気がかりであまり食欲が進まず、大好きなスイーツにも手をつけられなくて、パパに心配された。
初めまして、夜深と申します。
今回は、彼は夢を視るをご愛読してくださりありがとうございます。
さて、今作の主人公は沢渡さんです。その沢渡さんが予知夢を見て、その予知夢通りにならないように奮闘する話になっています。
デュエル描写は暖かい目で見てくれると有難いです。
では、次回も閲覧よろしくお願いします。
魔界劇団新規だやったぜやっふうううううう!!↑↑
しかもカワイコちゃんだぜFooooooooooooo!!↑↑