シャドーの日記   作:汐入 那月

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どうも鐳波です。
二ヵ月ほど空いてしまって申し訳ないです。
では、お楽しみください。


#7 到着!宇宙大陸。前線狩り

長い事操縦に集中していたが、それもそろそろ終わりそうだった。

 

「やっと陸地が見えてきたな」

大きく息を吐きだしてもう疲れたといわんばかりに目尻をつまむ。

気張って陸地に船をつけてシャルを刀に戻して陸を踏みしめる。

 

「さて、どうしたものか...」

辺りを見回し、おもむろに建てられた看板に目をやる。

 

『ようこそホールヴィレッジへ!無限に続く大きな穴をとくとご覧あれ!』

穴の村...この孤島は盆地になっていて中心に直径1Kmの穴がある村らしい。

ただ、村というには少し大きいと俺は思う。

その穴の中は下に行けば行くほど魔物が強くなっていくらしく、腕試しにはちょうどよかった。

 

「まずは拠点だな...」

レミーとロゼッタを担いで大穴に飛び込み、浅い所にある洞窟へと入り横穴を作る。

10分ほどで四つの部屋とかまど、外の様子を伺える穴などを創り各部屋にベッドなど家具を置いていく。

 

「わー、結構広めに作ったね」

ロゼッタは満足そうに全ての部屋を走り回る。

レミーはリビングにあたる部屋でソファのふかふか具合を確かめてから、満足そうにソファで横になる。

うん、結構みんな満足してくれたようでよかった。

最後にあらゆる力を干渉させないように結界を張る。

この中ならばシャドーがフルパワーでいても皆爆散しないようになっている。

 

「今日からここがアジトとなる。これからは戦場は俺一人で出向くから、お前たちはここで俺のバックアップを頼みたいんだが、大丈夫か?」

シャドーのコートの中にある収納スペースにつながるクローゼットをリビングの端に置いて、中から飛び道具を取り出す。

 

「おっけーだ。存分に頼るといい」

ロゼッタはドヤ顔でグッドポーズを取り、奥に創った部屋に入る。

中は俺の視界を同期させたり、レーダー、俺が発する妖気により辺りの地形情報を読み取り、マップを自動作成するなど、あらゆる技術を詰め込んだ、バックアップをしてもらうための部屋だ。

 

「俺はカナル型の通信機でお前達と連絡を取る。万が一も考えてお前から買った例の電話もここに置いておく」

早速といった風にアジトから飛び出てさらに下へと降りていく。

空からの太陽の光が薄くなってきたところでアジトから通信が入る。

 

『シャドー、近くに生命反応がある。牙獣タイプだな、体が岩の様な物質で覆われているから防御は硬そうだ』

 

「分かった」

シャドーが構えると同時に岩の壁を突き破り、不意をつかれて砲弾の様な突進を食らう。

体勢を整えて飛び散る岩を飛び、岩の牙獣の真上から拳を振り下ろす。

しかし衝撃は岩が全て受けたらしく、その牙獣についていた岩はどんどん崩れ、全身が露わになる。

そいつは大きい咆哮と共に先程よりも速く動いてシャドーの後ろから腰を絞めて地面に頭を叩きつけられた。

 

「いっ、てぇ!」

創刀を抜いて天井に刺すと、シャルドニュクスが実体化して、創刀を握りしめて牙獣諸共斬りかかる。

結果牙獣は倒れ、シャドーは無で体を守った。

 

「ありがとよ、進もう」

途中で休憩したりしながらすすみ、途中で横穴から空を見上げるとすっかり朝になっていた。

 

「結構進んだみたいね。ほら、空があんなに遠いわ」

 

「おー、通りで少し眠いんだな。よし、今日はここまでにしよう」

岩に転送用のポータルを創ってアジトへ戻る。

 

「おー、お疲れ。あれから2~3度同じ奴に襲われたけど余裕だったみたいだな」

ロゼッタは倒した本人より嬉しそうに胸を張る。

 

「まぁ、一匹目はちょっと油断して一度攻撃を受けたけどな」

苦笑しながら頭を掻いて冷蔵庫の中からコーヒーを取り出してガムシロとミルクを混ぜてソファに腰かける。

 

「今日はどのような予定ですか?」

レミーがあくびをしながら伸びをしてから尋ねる。

2人でかわりがわり寝て対応していたのだろう、お互いに少し寝不足らしい。

 

「今日は村に繰り出す。これだけ大きなダンジョンだ、ここの人間が進むための道具やら団体などあってもおかしくない」

あるのであればあのダンジョンに出てくるモンスターの種類くらいは知っておきたいのだ。

あとは地形にあった飛び道具なども有ったら買いたいと思う。

 

「シャル、創刀になって寝ておけ。また明日はダンジョンに潜るからな」

返事の代わりに創刀へ戻り、シャル特有の覇気が薄らぐ。

創刀を腰に差して、アジトを出て穴の壁を走る。

日差しがうるさくなってくる時間まで村を歩いていたら途中で喧嘩にでくわした。

お互い冒険者の様な風貌だが...この穴の噂を聞いてやってきたのか、前から滞在しているのか、どっちだろうな。

 

「あいつらはなぜ喧嘩しているんだ?」

野次馬の一人に話を聞くと、冒険者に階級があるらしく喧嘩をふっかけた方はふっかけられた奴より上のランクらしく、バカにしたらしい。

 

「やれやれ、バカな奴が居たもんだ。退いてろ」

一歩進むごとに力を一段階ずつ上げながら喧嘩している二人に近づくとあと少しで殴れそうな位置でこちらに気づく。

 

「なんだ、気づいちゃったか。せっかく両方とも骨を折ってやろうと思ったんだが」

指をパキパキ鳴らして二人に笑顔を向けるが、返事は拳で帰ってきた。

 

「おっと、乱暴な奴め。冒険者とやらの階級がそんなに大事かお前ら。一番大事なのは基本的な戦闘力だろう?」

二つの拳を受け流して後ろに投げる。

 

「この野郎...」

階級が下の冒険者がシャドーの腹に渾身の一撃を繰り出すが、逆に手の骨が粉々になってしまう。

 

「やめとけ、お前らじゃ俺には勝てないぞ。ほら、さっさと散れ」

手を治してから二人の背中を蹴って離れるが、女性の声に呼び止められる。

 

「貴方!今日この村に来たのかしら?それなら宇宙海からやってきた旅人の話は知ってる?」

何だこの女、いきなり質問攻めとはタチが悪い。

真実を話して黙らせてやろう。

 

「それは俺だ。用があるなら早めにしてくれ」

仮面の位置を整えてタバコを取り出す。

返答が遅いと思い女の方を見ると唖然としていた。

 

「おい、起きろ」

デコピンを放って目を覚まさせる。

 

「あ、すいません。じゃああのこの島にいきなり現れた船は貴方たちの?」

 

「そうだな、俺の船だが」

 

「ありがと!!これでうちの新聞社も少しは大きくなるんじゃないかしら...」

メモにいっぱい文字を書いてどっかに走っていく。

...何がしたかったのかいまいちわからない。

結局飛び道具を適当に大量購入してアジトに戻る。

 

「ただいま~」

ボストンバッグを肩にかけて帰ってきたシャドーを見てロゼッタが驚く。

 

「え...それ全部飛び道具なのか...?」

 

「そうだ。俺は飛び道具は当てるのが苦手でな!無駄に消費しちゃうんだよ」

大きい笑い声を上げながら「いや~困ったな~」と飛び道具を入れる革袋に無造作に詰め込んでいく。

 

「さ~て、じゃあ行ってくる」

めんどくさがるシャルを引きずってポータルを潜り、中断した場所まで戻る。

更に下層へと進む過程で牙竜タイプや鳥竜タイプのモンスターが現れたが、気になるほどの強さではなく、片手だけで事足りた。

結局面白いことなど一切起きずに最下層と思われる場所までたどり着いた。

 

「やっとこさ最下層だな」

最下層へとつながる洞窟を抜けると、視界が急に広がる。

とても大きな空間の大半が淡い緑色に発光する湖だった。

 

『おー、これが地底湖ってやつか』

ロゼッタがやや興奮気味で話しかけてくる。

 

「なんだ、見たことなかったのか?今からこっちにアジトを移す。特に何も必要ないが心の準備だけしておけ」

タバコを咥え、チョークをもって地底湖フロアにあるとても少ない陸地の端っこに魔法陣を書いて第二階層にあったアジトと入れ替える。

 

「この場合...私がお帰りというのか?ただいまといえばいいのか?」

 

「くだらんこと考えてないで武器持ってこい。なんか生体反応が結構な数ここに向かっている」

煙を吐いてから結界を張り直し、全ての力を開放する。

タバコが一本吸い終るころに軍の様な出で立ちの男が大勢で押しかけてきた。

 

「おやおや、軍人さんが何の御用で?」

不敵に笑い創刀の先を向ける。

 

「あぁ、警戒させて済まない。私はこの島より北にある王都より貴方を呼べと命じられた兵士だ」

少し長い話になりそうだったので椅子と机を創り、レミーにコーヒーを淹れさせる。

 

「で、なぜ俺を?」

コーヒーに角砂糖とミルクを入れて口をつける。

 

「貴方は宇宙海からやってきたと聞きました。こちらにくるには分かつことを命じられた神を打ち負かすことが必要だと聞いたことがありまして、神を退ける力をお持ちならわが軍を何とか窮地より救っていただけるのでは...というのが我が王のお考えです」

兵士は恐縮そうにコーヒーを飲む。

 

「なるほど。つまるところ俺を利用して富を得たいって腹積もりなんだろ。正直腹が立って仕方がないんだが、俺もこの星に来て日が浅い。戦い方などの理論も確立していないから、それの確率の糧として承諾してやる」

めんどくさそうにコーヒーを飲み干して立ち上がる。

 

「ロゼッタ、レミーと一緒に俺の船の中でバックアップを頼んだ」

全員を船の中に転移させ、兵士の話を聞きながら戦場へと進む。

 

「なんだ、それほど多くないじゃないか」

回りの見方兵士に奇異の目で見られ、邪魔だと思いながら敵陣の真ん中へと跳躍し、2人を砂の中へぶちこむ。

一瞬硬直したが、戦慣れしているのか動き出すのにさほど時間はかからなかった。

まず素早い目の動きで視界に入っている57人の兵士と後ろの79人の兵士を視認してとびかかってきた5人の敵をそれぞれ打撃で黙らせ、一人を振り回し敵の一人にぶつけて同時に爆破させる。

 

「突撃!!とぉつげきぃぃぃぃぃぃ!!」

槍を持った少しは強そうな兵士が突っ込んでくるが、槍の先をつまんで中心から人指しで胸まで貫いて天高く放り投げる。

それから敵軍が壊滅状態になるのはそう長くなかった。

戦が終わり帰りの馬車の中で自己紹介を軽く終えてから、あらゆる兵士から賞賛の言葉を受け取った。

 

「いやぁ、流石宇宙海からこっちにやってきただけはある!!」

この兵士は一昨日軍に入ったばかりでよくわからないのに国の大事をきめる戦争に駆り出されたらしい。

 

「お前達とは生きている年月も経験も違う。差があって当然だ」

不機嫌に答えて王都への到着を待つ。

 

「クライシスさん、王都へ着きました。王が呼んでいるので案内します」

露骨に嫌な顔をして案内に従って城の中を進む。

丁度謁見の間の前で怒声を聞いた。

 

「なんだ。もめているみたいだが?」

 

「恐らく今回の戦争で貴方を戦力に加えたことを咎めているのでしょう。意外とこちらの世界でも貴方の名前は有名なのです。宇宙海から来るには賄賂を渡す事で黙認されていたりするので、一部の人間からすればたやすい事でもあります。故に貴方の情報は法外な値段で売買されているのですが...その、申し上げにくいのですが、第六宇宙の大罪人として貴方を認めていない人間も多いものでして...」

ばつがわるそうに声をどもらせながら応える。

 

「なるほど。まぁ、仕方ないだろう。俺だって私欲のためにこっちに来たわけだ、認められようとも思わんがね」

待たされることを嫌になったのかわざと音を立てながら中に入る。

 

「シャドーエッジ・クライシスだ。わざわざお前の国を勝たせてやったのに待たせるとはどういう了見だ」

なんだろう、無の腕が調子悪いみたいで地味に痛む。

通常痛覚はないはずなのだが...下手したら錬創術が上手く組めていないかもしれない。

後で調整しなければ。

 

「あぁ、済まない。ちょっと君のことでこいつが不満を持っているようで、ね」

少し驚きながらも簡潔に述べる。

 

「文句があるなら俺を殺せ。それが出来ないなら黙っていてくれ、力の無い物は力ある者に消されるのが世の定めだと、俺は思うがね」

ある程度腕に覚えがありそうな兵士だ、きっと重役の一人だろう。

 

「...失礼いたします」

苛立たしい様子でこの部屋から去っていく。

 

「さて、報酬は何がもらえるのかね」

 

「この世界...と言っても私の領土でしかできないが、金銭的に援助してやろう。連絡をくれればすぐに金を渡そう」

 

「ふむ...わかった。私は基本的にどこにいるか分からないレベルでいろんなところをうろつく。この電話なら俺の知り合いに繋がるからそいつに要件を伝えてくれれば俺に情報が行く」

そう言ってタレアの店に繋がるようにした電話を置いて宇宙船に戻る。

 

「はぁ...資金源が出来たのはいいが...加減するのも疲れるもんだな」

その日は王都の中にある波止場に船を止めて、ゆっくりと過ごした。

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