艦上OVERDOSE   作:生カス

4 / 32
今回もあまりガルパンキャラ出てきません。
許してください、なんd(ry


3 wonderwall

- 夕方 学園艦 郊外の空き地 -

 

背の高い草むらに囲まれ、埋もれていながらも、そのクルマはあった。

特徴的なリトラクタブルヘッドライト

家庭用ではあまり見ないクーペタイプ

それらの特徴で、ぱっと見でもスポーツタイプであることがわかる。

 

ボディや内装、足回り、更にはボンネットを開いて内部を見てみる。

どうやら見た目に反してそれほど損傷はない様だ。

そこまでやって、ようやく車種が分かった。

 

180sx

 

たしか90年代に流行ったクルマだったか。今でもたまに若い人が走らせているのを見かける。

結構前からある車だし、そんなに希少な車種でもないから、こういう場所に1台や2台あっても

何ら不思議ではないだろう。

 

そのはずなのに、

 

なんでか、俺はこのクルマから目が離せないでいた。

さっきの声の主が、このクルマであるような気さえしていた。

 

「このクルマがどうかしたのか?」

 

気づくと、いつの間にか小山が後ろにいた。

 

「ああ、なんか気になってな…」

 

「ふーん、随分ボロボロだな。でもまあ…確かに妙な雰囲気があるな、色もあまり見ないタイプだし。」

 

小山がそう言っているのを聞いて、ようやく気付いた。

 

言われてみれば、珍しい色だ。

一見はガンメタルだが、それにしては妙にくすんでいる。

それよりは鉄、そう、ボディを塗装もせずに組み立てたような

そんな色だった。

 

「君たち、こんなところで何しているんだ?」

 

後ろからそんな声が聞こえた。

振り返ってみると、初老の男性がいた。近所の人だろうか。

そういえば、探し回っているときに何度か見たっけか。

 

「勝手に入ってもらっちゃ困るよ。一応は私有地ってことになっているんだから。」

 

「す、すみません。すぐに出ていきます。」

 

「すいませんこの180sxてこれからどうなるんですか?」

 

「おい雨水!」

 

「ワンエイティ?ああ、その車かい?どうなるって…こっちもそのクルマには困っていてね。

誰かが不法投棄していったらしいんだ。明日には業者さんに引き取ってもらって、スクラップに

してもらうことになっているんだよ。おかげで廃車費用を支払わなくちゃいけなくなってねえ…」

 

「あの…レストアする予定はないんですか?見たところエンジンも無傷だし…

見た目ほど損傷はないように思えるんですが…」

 

「まあ、できればそうしてやりたいが、私は乗らないし、きれいにするのにかかるお金も

バカにならないしね…買い手でもいりゃ別なんだろうけど…」

 

「!つまり、買い手がいれば直してもらえるってことですか?」

 

「雨水、お前何する気だ?」

 

小山の抑止も聞かずに、俺はつづける

 

「それって、どの位かかるんですか?」

 

「…なあ雨水、まさかと思うがお前……」

 

「キミ、買い取る気かい?私が言うのもなんだが、あまりお勧めはしないぞ?」

 

「お願いします。必要なお金は…すぐには無理ですが、なんとか工面してみます。」

 

「…ちょっと待ってて、今連絡してみるから。」

 

「ありがとうございます!」

 

「マジかよお前…」

 

結局その日は、相談やら何やらですっかり遅くなってしまい、

某中古ショップには行き損ねた。

 

 

 

 

- 翌日 昼休み 大洗学園 屋上 -

 

「お前ってたまにすげー考えなしなとこあるよなぁ」

 

「ハハ…」

 

「良かったな、かかる金が修理分だけで。しかも、ボロボロの見た目に反してダメージは

ほとんど無いときたもんだ。クルマ1台手に入れるにしちゃ信じられないほど

破格だったな。」

 

「それでも貯金は全部とんでしばらくはバイト三昧だけどな…。」

 

「良かったじゃんか、その程度で済んで。もう少しで親に土下座して

借金するところだったんだろ?ラッキーだったな、債務者にならずにすんで」

 

「そう言わんでくれよ…俺だって考えなしだったなと思っているよ…」

 

「どーだか」

 

そうなのだ。あの後交渉の末、何とかあの180sxを譲ってもらえることになったのだ。

しかも、修理費と、その他手続きにかかる諸経費をこっちで負担すれば、クルマ自体

はタダで譲ってくれるというのである。

もちろん、何があっても責任はとれない、という前提でだけど。

 

「つーか、なんでお前がそこまで怒るんだよ?お前別に損してないだろ」

 

「昨日お前に付き合ったせいで門限大幅に過ぎちまったんだよ!おかげで姉ちゃんに怒られたんだぞ!」

 

「ああ…怒ると超怖いもんなお前の姉ちゃん…。でも先に帰っていいって言ったろ?」

 

「いや…だって…怖いじゃんか…あんな暗い道…」

 

「えぇ…」

 

お前高校生だろ? そんな言葉が出そうになったが、何とか飲み込んだ。

 

「しかし、よく親御さんも許してくれたよな」

 

「結構説得に骨は折れたけどな…」

 

あの後、両親の許可がないと売れないと言われたので、親に相談すると、

ものの見事に反対された。その後しばらく交渉が続き、なんとか「購入費、維持費含め、

両親は一切金を出さない。自分だけで工面する。」という条件で、何とか購入を許可してくれた。

かくして、俺は見事あの180sxを自分のものにすることができたのだ。

正確にはまだだけれど。

 

「で?いつぐらいに終わんのよ?修理」

 

「2週間後ぐらいには終わるみたいだ。受け取った後に名義変更とか、他の手続きもやって、

晴れてゲット、て感じ」

 

「そっからは大変だな。ガソリン代に維持費、金が飛んでいきますなあ?」

 

「そんな皮肉言わんでくれって…」

 

悪かったよ、そう言おうとした瞬間、グラウンド方面から音がした。

昨日もしたGT86(多分)のエンジン音だ。

俺たち2人はグラウンドの方向を見る。昨日と同じようにドリフトの練習でもしているようだ。

 

「土屋か。」

 

「そうだ。お前、土屋にアドバイスでも貰ったらどうだ?もしかしたらいいバイト、紹介してくれるかもしれんぞ?」

 

「あれって自動車部の備品じゃないのか?さすがにあんな新しいクルマ買える高校生は少ないだろう」

 

「そうだな、どっかの誰かみたいに金もないのに衝動買いするほど馬鹿でもないわな。」

 

「しつこいなお前も…」

 

ひとしきり練習が終わったのだろうか。土屋がクルマから出てきて思い切り背伸びをする。

それをぼーっと見ていると、昨日と同様に、土屋が屋上のほうに顔を向け、また目が合った。

また顔をそらそうかと思ったが、どうにもタイミングを逃してしまったような気がする。

土屋も何やらこちらのほうをじいっと見ている(気がする)。

このままにらめっこするのもあれなので、試しに小さく手を振ってみた。

そうしたら、土屋はいやに大げさに手をブンブンと振り、此方に返事した。

あいつ目いいな…。

 

「なんか犬みてえだな。」

 

「やめてくれ小山、なんか妙にしっくりきちゃうからそれ。」

 

アドバイスね…土屋に運転の仕方教えてもらおうかな…

 

 

 




学園艦にも郊外とか空き地はあるんでしょうか?
あの大きさならあってもいい気がしますが…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。