「----え?」
少女は意味が分からないというような表情をしている。
まぁそうだよな……。こんな夕日の中公園で、美少女と言ってもいいし女性に告白される。彼女とかいない独り身ならOKって即答するだろう。
でもさ……
「なんて言うかな……目が異常なんだよね」
「目?」
「俺を見ていない。いや、何を見てるんだ? まるで小石を見てるようで、気持ち悪い目だ」
俺がそういうと少女……いや違うな。《《堕天使》》は顔を覆い、体を震わせた。
「……ふふふ、あはははははは!!! これは傑作ね!!! 最後にいい思いさせてあげようと思ってたら自分で拒否するなんて」
次の瞬間、堕天使の姿が変わる。正直変態としか思えない格好だ。
――ドライグ、堕天使ってこんなんなの?
――大概あんな感じだ。自分達以外は下等、これが共通意志だろう。
「まぁ、気付いて機会を逃したことは諦めなさい」
そう言って堕天使は光の槍を作り出す。今更気が付いたが、ご丁寧に結界を張っているようだ。(俺は気が付かなかった。ドライグは気づいてた。
「それじゃあ……私のために死んでくれるかしら?」
そう言って堕天使は微笑み……いや、正直醜悪に笑い槍を投擲した。
そして俺はそれを半身で避け、キャッチする。
「なっ!!!」
「あぁ、光の槍って言っても光速じゃないんだな」
「にっ人間如きがなんで私の槍を!?」
正直ティア達の手加減した攻撃よりは遅いし。いや、みんなが異常なのか? レイアさんも大概だし……。
「く、くそっ!!!!」
堕天使は連続で何本も槍を作り出し、そしてそれを投擲してくる。
しかし俺にとってはあの
槍を避けながら、当たったとしても服を破る程度で済ませながら突進する。そして、眼前まで接近した。
その瞬間、公園に紅の魔法陣が現れた。
『あれは悪魔の転移魔法陣だな。紋章からしてグレモリー……。ここの管理者だろう』
「グレモリー?」
……そういやそんな名前の先輩がいた気が……。
「これは……!! 覚えてなさい、兵藤一誠!!! このレイナーレに屈辱を味合わせたこと、いつか後悔させてあげるわ!!!」
そう言って飛び立つ堕天使、レイナーレ。
正直助かった。接近したのはいいがその後にやる行動が、全く思いついていなかった。
「……さて、これはどういうことか説明してくれるかしら?」
現実からは逃げられないのね? 魔法陣から現れた人物からそんな質問が投げかけられる。
どう説明しようか?
「どういう事って言われても……変質者から襲われそうになってたら、先輩のおかげで助かったってだけですよ?」
振り返るとそこには紅髪を靡かせ、高校生とは思えないスタイルを持つ女性。そうリアス・グレモリー、悪魔が立っていた。
「あら、そういうわりに驚かないのね? 私がこうやって登場したことにも……」
「まぁ、同じようなことする人?知ってるんで」
俺の頭に浮かぶは自由奔放な後見人?
うん、きっと後見人。
「ふ~ん……。とりあえず状況だけでも確認したいのだけれどいいかしら? えっと……」
「あぁ、俺は兵藤一誠て言います。リアス・グレモリー先輩ですよね」
「知ってるなら話が早いわ。貴方に確認を……」
その瞬間俺は昔、10年前に感じたものと同じことに襲われた。体の自由が利かなくなり、視界が薄れていく。
「ちょっと? どうしたの!?」
膝をついたであろう俺に先輩は驚いて近寄ってくる。そしてその懐が輝き始めた。
「えっ駒が……」
視界に移るはチェスで見る駒。それも八つのボーンの駒が宙に浮き、輝きと共に俺を貫き潜り込んできた。
「っ!!! があああああああああああ!!!」
「ちょっと!! しっかりしなさい!!!」
不快感、激痛に悲鳴を上げる俺。そしてその俺を見て焦ったように魔法陣に何かを話してる先輩。
激痛に意識が切り離される中思う。
神様、ひっかきまわすにしても限度があるぜ……
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数時間後。
「お兄様、彼の容体は……」
冥界のある病院で、リアスは自身と似た紅い髪をした男性に声をかける。
「あぁ、アジュカ今見ている」
男性、サーゼクスはそわそわしているリアスを落ち着かせるように微笑んだ。
「ところで再度確認だが……駒が勝手に彼に飛んでいったのかい?」
「……はい、サーゼクス様。私の意志と関係なく駒が彼に潜り込み、それによりあのような状態に」
「そうか……」
サーゼクスは考え込んでいるとドアが開き緑の髪の男性、アジュカが出てきた。
「アジュカ、どうだい?」
「アジュカ様……彼は……」
「何の要因かわからないが拒絶反応が起こったんだろう。今調整して落ち着いているよ」
「そう……ですか……」
「しかし不思議なものだよ」
「不思議とは?」
「彼に取り込まれた駒、2個ほど
「なに……?」
アジュカの言葉にサーゼクスは驚きを隠すことができなかった。彼の術式プログラムについては、友人とし見ても恐ろしいの一言。そんな彼の術式がはじかれたと言っているのだ。
「多種多様な術式を組み立てたんだがね……こんなことは初めてだよ。駒を調整する術式は通ったからね。数日くらいしたら目覚めるよ」
「ありがとうございます、アジュカ様」
リアスはアジュカに礼を言う中、サーゼクスはアジュカの言ったことを考えていた。そしてアジュカは……
(なるほど……彼がティアマットの言っていた少年か……面白い)
自身の術式を打ち消す一誠に興味を示していた。
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「っで……この状況は何?」
あまりの激痛に気を失い目覚めるとそこには、鎖で雁字搦めにされたドライグの姿があった。
『見たまんまだ、相棒』
「いや、わかんないから聞いてるんだろ」
ぐったりと地に伏せるドライグを見て何を分かれと? と思いながらも……
「もしかして……そういう趣m」
『それ以上言えば相棒だろうと許さんぞ……』
「あっはい」
すごいドスのきいた声になったよ……
『しかしだな……それは
「え? ドライ……君は……誰」
僕はドライグと話していたはずだ。なのになぜか、そこに縛られているドライグが彼だと認識できていない自分がいる。いや、さっきまでは確かにドライグと……
『……くくく、それでいい……』
次の瞬間、ドライグだったモノは溶け黒いモノになり果てた。そしてそこから手が這い出し、そして人型のモノが姿を現す。
「それでいい。ちゃんとわかっているならそれで」
「き、君は……っ!!」
その人型はゆっくりとこちらに近づき、手を頬に添えてくる。そしてそれを避けようとして俺は気が付いた……
まるで磔に、雁字搦めにまとわりついた鎖。そんな俺に触れる人型の姿がはっきりしだした。
黒の長髪、過激ともいうようなメリハリのついたボディーライン。溶けた黒をまるでドレスのように纏った美女……
「クゥ……じゃないね」
「二度目の人生、楽しみなさい。精一杯生きて、苦しんで絶望して……楽しんで、希望を持って」
「何を言ってるんだよ……?」
「……いつも、いつでも見てるわ。ずっと近くにいるわ。だから……
精々物語をひっかきまわして、一生を楽しんでくれ」
そう言って女性は両頬をつかみ、顔を近づける。そして……
「っ!!!!!!!」
がばっと飛び起き、俺は周りを見る。そこは見慣れた自分の部屋だった。
「っ……はぁ……はぁ……」
息が止まっていたかのような感覚。何とか整えようとしても荒れる呼吸。全身から汗が吹き出し、嫌悪感が背筋を這う。
「くそっ!!! なんだよ、アレ!!!」
先ほどまでの夢……いや夢じゃない。だが本当に現実か?
そう思いながらふと腕を見る……
「……マジかよ……笑えねぇぞ……」
その腕を這っていたのは鎖のような跡だった。いや、刻印だった。一瞬それはひかり、消えた。
「なんなんだよ……人生楽しめだとか言いながら、メッチャクチャ邪魔してんじゃん」
はぁっと溜息をつき頭を抱えているとドアが開いた。
「……一誠君?」
「レイアさん……」
レイアさんは俺を見ると水の入ったボールを落としてしまった。えっとこの場合なんて言えば……
「っとただいm」
言葉の途中で強い衝撃に襲われた。一瞬呼吸が止まったかと思ったがそれはレイアさんが抱き着いたためのようだ。
どうしようかと判断に困っていると嗚咽が耳に届く。
「……心配しました……目覚めなかったらどうしようかって」
「……ごめんなさい」
「お願いだから、心配かけさせないで……突然いなくなりそうなことはしないで」
何時もの無理してるような、従者のようにしてるわけではない
何かに悩もうとした。理解できない恐怖に背筋が凍ってた。得体も知れない存在の感情に恐怖してた。
しかし……
「大丈夫だよ……意味もなしにレイアの目の前から消えたりしないから……」
男は女の涙に弱いとはよく言うもので……先の問題はそっちのけで慰めるように背中を撫でてあげていた。