前の君と今の君   作:おもちゃん

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意味深なサブタイトル…


第十一話 お前のことは忘れない

 永琳と共に、てゐと鈴仙の元へ向かう。

 が、その途中にあるT字になってる廊下で永琳が立ち止まりこう聞いて来た。

 

「二人のところへ行く前に、寄りたいところがあるんだけどいいかしら?」

「別に構わんよ」

「ありがとう」

 

 断る理由も無いのでそう答えた。

 すると、永琳は玄関とは反対の方向へと歩き出した。どこへ行くのだろう。

 

 少し歩き、廊下を一回曲がったところで永琳はまた立ち止まった。

 

「じゃあ、ちょっとここで待っててくれる?」

「なぁ、ここ……なに?」

 

 俺がそう言ったのには理由がある。

 その理由とは、立ち止まった目の前の襖が他の襖とは全く違う雰囲気を放っていたからだ。そもそも見た目からして違う。

 他の襖は金をふんだんに使用した豪華な和風の襖なのだが、この襖だけはどぎつい黄色と黒が交互に並べられているのだ。

 

「ここはいろんな薬品が置いてある部屋よ」

「いや、薬品置いてるだけだったらこんな襖にする必要なくないか?」

「いろんな薬品と言ってもいろんなものがあるのよ?」

 

 永琳が意味深な笑みを浮かべながらそう言ったことに対して恐怖を感じた。

 だがそれ以外にもなにか理由がある気がするのだが……しかし永琳が教えてくれなければわかるはずも無いので諦めた。

 

「てか、なんでお仕置きの前にここに立ち寄ったんだよ」

 

 そこまで口にした瞬間、俺の頭に一つの仮定が浮かんできた。

 

「なぁ、永琳。まさかとは思うけどその薬品をお仕置きに使ったりするなんてことはないよな……?」

「そのまさかよ?」

 

 サラッと言った辺りに永琳のSさがわかってしまった気がする。

 それにしても薬品でお仕置きされるてゐと鈴仙に少し同情してしまった。

 まぁ何度も言うが自業自得だししょうがない。

 

「じゃ、待っててね」

 

 そう言い残すと永琳は異様な雰囲気を放っている襖を開けて奥へ入って行ってしまった。

 

「なぁ、妹紅。永琳ってドS気味のやつだったのか?」

「気味っていうかドSそのものだよ」

 

 そう妹紅が口に出した瞬間、開きっぱなしの襖の向こうから注射器が2本飛んできた。

 

「妹紅~?夢幻~?聞こえてるわよ~?」

「「ご、ご、ご、ごめんなさい!!!」」

 

 二人ピッタリ息を合わせて大声で謝った。

 すると永琳が慌てたような声で言ってきた。

 

「ちょ、ちょっと!夢幻はいいとして妹紅、あなたがそんな大きな声を出したら…!」

「ん?」

「あ……」

 

 なんのことか理解できてない俺とは裏腹に、妹紅が真っ青になっていった。

 その直後、廊下を走ってくる音が聞こえた。

 

「妹紅!いるんだったら出てきなさい!」

「か、輝夜……!」

 

 その単語を聞いてようやく気付いた。妹紅と仲の悪いらしい輝夜だな。

 しかし声はとても近いところから聞こえているしどうしてもエンカウントは避けられないはずだ。

 そう考えた直後襖の向こうから手が伸びてきて、妹紅を引きずりこんでしまった。

 そして襖も閉められた。

 

「あ……」

 

 俺は廊下に置いていかれてしまった。

 その直後、輝夜らしき人物が角を曲がってき、その姿を現した。

 

「貴方……誰?」

 

 そいつは俺のほうを見てきょとんとしながらそう問いかけてきた。

 

「俺か?俺は黒露夢幻。夢幻って呼んでくれ」

 

 出来るだけ自然にふるまおうとしたのだが失敗した。逆に不自然だ。

 しかしそいつは気にした様子もなく続けて質問してきた。

 

「そう。それで夢幻はなんでこんなところにいるの?」

「永琳に着いてこいって言われたから言われるがままに着いてきただけだが?」

「……本当に?」

 

 非常に疑われているがそれも仕方ないだろう。いくら医者の家だからと言って休診日にしかもこんなところに不審人物以外の何者でもない。

 ここで俺は一つ思い出した。先ほど永琳に貰ったパスポートだ。

 永琳に信頼されているとなれば信じてもらえるだろう。そう思い、俺は先ほど永琳に貰ったパスポートを見せた。

 

「あら、本当みたいね。疑ってごめんなさい。ところでここら辺に妹紅いなかった?」

 

 思った以上に効果があったようだ。

 そしてやはり来たかこの質問。だが正直に答えるわけもない。

 

「いや?見てないけど」

「そう……妹紅を見つけたら教えて頂戴ね」

「わかった。ところで君は輝夜でいいんだよな?」

「ええ、蓬莱山輝夜よ。永琳に聞いたのね」

「ああ。じゃあな」

 

 そう俺が言うと輝夜は走り去ってしまった。

 

「ふ~」

 

 ぼろが出ないか心配だった。それにしても輝夜は和風美人という感じで妹紅とは別のベクトルで可愛かった。あの二人見た目だと結構対照的でいいと思うのだが。

 そのようなことを考えていると襖の向こうから妹紅の声が聞こえてきた。

 

「夢幻、もう行った?」

「ああ、もうどっかへ走って行っちまったよ。」

 

 襖の奥からの小声での永琳の問いかけに同じように小声で答える。

 

「はー……」

 

 俺の返事を聞いて、安堵した顔で永琳と妹紅が出てきた。

 永琳は謎の薬瓶を両手に持って。

 

「まったく。妹紅はもっと気を付けてちょうだい」

「はい。すいませんでした」

「さ、行きましょう」

 

 そう言うと、輝夜から逃げるように素早く玄関のほうへと向かった。

 

 

 

 

「あ、お師匠様ー。遅かったですね!」

 

 てゐがとてもにこやかな顔をして俺たちを出迎えてくれた。

 この後に地獄が待っているとも知らずに。

 

 そして何故か鈴仙はどこから持ってきたのかわからない木材を使って作られた吊るし台に吊し上げられていた。てゐは建築士かなにかなのだろうか。

 しかしてゐをどうやって捕まえるんだろう。あいつすばしっこいから簡単には捕まえられないと思う。

 そのような不安を込めて永琳を横目で見ると永琳はウインクで返事をしてきた。

 なにか策があるようだ。

 

「ところでてゐ」

「なーに?ご師匠様!」

 

 てゐがめちゃくちゃ生き生きしている。可哀想に。

 

「あれ、どう思う?」

「え?」

 

永琳の作戦が理解できたが、てゐは意外と賢い。そのような手に引っかかるのだろうか。

 そう不安に思っていたが予想に反しててゐは永琳が指差した方を向いた。永琳がそのてゐに永琳が素早く近寄る。そしてどこから出したのか、注射器をてゐに突き刺し中の薬品を注入した。

 

「あっ」

 

 そう小さく声を上げた直後てゐは崩れ落ちた。

 

「ちなみに永琳、その薬品は?」

「麻痺薬よ」

「くっそ~。いつもならこんなの引っかからないのに。浮かれてた……」

「馬鹿ね」

「?でもちょっと待ってよご師匠様。わたしなにもしてなくない?」

「夢幻を落とし穴に落としたらしいじゃない?」

「あっ」

 

 てゐが俺たちのほうに恨むような目を向けてきている。

 

「「自業自得じゃん?」」

 

 俺と妹紅が綺麗にハモった。

 

「で、でも!それだったら妹紅も一緒に笑ってたじゃん!」

「どうなの?夢幻」

「いや、確かに妹紅も笑ってたけど仕掛けたのはあいつ一人だし。妹紅は別にいいよ」

「贔屓だ!」

 

 そうてゐが叫んだ。しかし残念お前が悪い。

 

「さてと、麻痺が解けない内にてゐからやっちゃいましょうかね。妹紅も手伝ってちょうだい」

「うーい」

「あれ?俺は?」

「貴方がやるといろいろ問題になっちゃうからあなたは見といて」

「?まぁ、うん。わかった」

 

 俺がやると問題になるお仕置きってなんだろう。

 

「じゃあ、てゐ暴れないでね?」

「今回だけは許してー!」

 

 そうてゐが叫んだが、永琳は気にせずお仕置きを始めてしまった……




サブタイトルに深い意味はなかったです。むしゃくしゃしてやりました。反省はしていません。後悔もしていません。

もう少しで永遠亭の話は一旦終わる予定です。
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