てゐをたっぷり懲らしめた夢幻たちは3人で永遠亭へと向かっていた。
その途中で静かな竹藪の中から不思議な声が聞こえてきた。
ミンミンミンミンミンミンウーサミン!ミンミンミンミンミンミンウーサミン!
……なんだ?この妙に頭に残る声。
てゐとか妹紅なら知っているのだろうか?
「妹紅、てゐ。この声なんだ?」
「私は知らないよ?」
「妹紅は知らないか。てゐは?」
「……」
「てゐ?」
てゐから返事がない。
不思議に思っててゐのほうを見てみると、とても苦い顔をしていた。
「え、てゐ?どうしたんだ?」
「心当たりがある……」
呆れているような声でてゐはそう返してきた。
てゐは知っていたのか。
「それで?この声はなんなんだ?」
「新入りの兎だと思う」
「兎なんて次々入ってくるもんじゃねぇのか?」
「いや、まぁそうなんだけど。あいつは兎の中でも多分一番キャラが濃いから頭の中にしっかり残ってる」
まぁ確かにこんな声を出している奴なのだからキャラは相当濃いのだろう。
「ふーん?まぁいいや。害はなさそうだし、さっさと行こうぜ」
霊夢から音や唄で人を惑わせる妖怪とかもいると聞いていたので警戒していたが、それなら大丈夫だろう。
そう思い歩き出した所でてゐから呼び止めてきた。
「ちょっと待って」
「ん?どうしたんだ?」
そう言ったてゐの顔は先程までのふざけている顔でなくキリッとした顔になっていた。
「わたし、これでも兎を束ねる立場だから。ちょいと説教してやりたいんだけど。いい?」
なるほど。そういうことか。
正直さっきまでのこいつだったらそんなことは信じられなかったが今の顔つきを見ると確かに兎のボスなのだろうと思うことが不思議と出来た。
「まぁ、別に構わんが……」
「じゃぁちょっと呼んでくる」
そういうとてゐは声のするほうへと走り出していった。
「うーい」
「わかったー」
俺と妹紅はやる気のない返事をして、てゐを送り出した。
その直後に
「安部!ちょっとこっちこい!」
てゐの怒号が静かな竹林に響いた。
そんな大きな声出すなら、別に草むらのほういかなくてもよかっただろ。と俺は心の中でツッコミを入れたがだからどうと言うこともない。
しばらく経った後にてゐと共に先ほどの声の持ち主は草むらからそいつは現れた。
「てゐさん。もうわかりましたから。そんな怒らないでくださいよー……」
「うるさい安部!まだ説教は終わってない!」
「ウサミンかナナって呼んでくださいってば!」
「今はそんなことどうでもいい!」
「良くないです!」
ウサミン?とか言うやつはてゐにいろいろ説教されたようでボロボロになっていた。
「えーと、まぁなんだ。お疲れ様」
「いえ、お気遣いありがとうございます。それでは、仕切り直して、コホン。ナナは歌って踊れる兎目指して、ウサミン星からやってきたんですよぉっ! キャハっ!」
「……」
「……」
「……」
「なにか言ってくださいよぉ!」
これは……思ってた以上にキャラが濃いな。
てゐが頭の中にしっかり残ってるって言ったのも納得だ。
だがお気遣いありがとうございますとか言ってきた辺り案外真面目なのかもしれない。それならなぜこんなことになってるのだという疑問は残るが。
「ま、まぁがんばってるんだね!応援してるよ」
妹紅はウサミンに対して哀れむような目をしながらそう言った。
「お前は普通に発生したただの妖怪兎だろ」
「ちょ!?違いますって!」
妹紅の目に気が付いて少し悲しそうな顔をしていたウサミンにてゐが止めを刺していった。
キャラを作る姿勢を崩さない辺りは好きだな。
「んで、ウサミン?ナナ?はあんなとこでなにしてたんだ?」
「どっちでもいいですよ!ナナは歌って踊れる兎になるためにレッスンをしてたんです!」
先ほど俺の前であれほど盛大にぶっちゃけられていたというのに心が強いなこの子。
「へー。あ、俺は夢幻な」
「興味ないなら聞かないでくださいよぉ!夢幻さんですね。わかりました!」
この喋り方とか素直な感じなどがとても俺好みなのに気が付いた。一言で言うならばめちゃくちゃカワイイという感じだ。
「ナナってかわいいな」
「ふぇ?な、な、なにを言い出すんですか!」
照れている姿もとてもカワイイ。
「え?いや、普通にかわいいなーって思ったからそのまんま言ったんだけど……」
「てゐさん、この人いつもこんな感じなんですか?」
「そうなの?妹紅」
「うん、そうだよ」
「やっぱりですか」
おう妹紅。まぁ霊夢の時ですでに一回やらかしたのは否定できないがその一回だけだろうに。まぁいい。
「ところでナナ」
「はい?」
ナナは少し拗ねたような顔をしながらそう返事してくれた。
「ナナ、なんか一曲歌えたり踊れたりする?」
「ええ、もちろんですよ!」
歌って踊れる兎を目指しているナナにはそれを聞かれたのが嬉しかったのか拗ねた顔はどこへやら。にこやかな顔に戻っていた。
「じゃあちょっとここで見せてくれよ」
「はい!いいですよ!ちょっと待っててくださいね」
そう言いながらナナは先ほど出てきた草むらのほうへ歩き出した。
「ん?どこ行くんだ?」
そう俺が呼び止めるとナナは少し困ったような顔をしながら振り向き、遠慮気味に言った。
「さっきレッスンしてる最中にてゐさんに連れてこられちゃったので、CDとか置いてきちゃったんですよ~」
「ちょっと、わたしが悪いみたいな言い方やめろ」
あ、遠慮気味に言ったのはこいつのせいか。
「なるほどな。手伝おうか?」
「いえ、大丈夫です。そこで待っててください!」
「そうか?」
ナナはその言葉を聞いたか聞いてないのかわからないようなタイミングで草むらのほうへと走りだしてしまった。
ナナはその後手にCDとプレーヤーを両手に持ちすぐに帰ってきた。
「じゃあ、始めてもいいですか?」
「おう、いつでもいいぞ」
俺がそう返事をすると、先ほど手際良く用意していたプレーヤーの再生ボタンを押した。
そして、曲が始まった。
「そのとき空から、不思議な光が降りてきたのです・・・」
「それは…ナナでーっす☆
ああーっ、ちょっと引かないでください!
ウサミンパワーでメルヘンチェーンジ☆
夢と希望を両耳にひっさげ
ナナ、がんばっちゃいまーす☆」
思ってた以上に濃い曲でナナらしい曲だった。これはいつ聞いてもナナの曲だと一瞬でわかるだろう。
その後も歌は続いた……
ミミミンミミミンウーサミン!
「どうでしたか~?」
少し汗を掻いているナナは満面の笑みでそう聞いて来た。
「うん、ナナらしくてとてもよかったよ」
「ほんとですか!?そう言ってもらえてとても嬉しいです!」
めちゃくちゃ幸せそうな顔をしている。
そして俺はもう一つ持っていた感想を口に出した。
「あの曲すごい中毒性高いな」
「そうですか?」
「うん、今も頭の中でミミミンミミミンウーサミン!ってずっと流れてる」
これは忘れられる気がしない。
「あはっ!確かにそうやって仲間たちにもよく言われます」
「また機会があったらナナの歌、聞かせてくれよ。」
「もちろんです!」
「じゃあ、そろそろ行くか」
「そうだね」
「みなさん、どこへ行かれるのですか?」
「夢幻、記憶喪失みたいでさ。永遠亭で診ておらうと思ってね。」
「え?夢幻さん記憶喪失だったんですか?」
「みたい。」
「そうだったんですか……ごめんなさい……」
ナナは申し訳なさそうに頭を下げてそう言った。
「別に気にしてないからいいよ。まぁてことで、そろそろ行くわ。またな」
「いつでもお待ちしております~」
そうして俺たちはナナと別れ、歩き始めた。
ミミミンミミミンウーサミン!
以前からこの後書きでウサミンじゃないですよ!とか言ってたのに出すとかどんな神経してるんでしょうね。作者の顔が見てみたいですよ!(すっとぼけ
ウサミンの歌ったりしてる部分はどうしようかほんと悩みました…
ちなみに自分ははしぶりんと茜とウサミンの担当Pです。つまり……?