見渡す限り
赤 赤 赤 赤 赤 赤 黒 赤 赤 赤 赤 赤 赤 黒 赤 赤 赤 赤 赤 赤
赤と黒の2色に分けられているが何方も熱を発し物を燃やす炎それが1つの国を覆い尽くしていた。泣き叫ぶ国民、我先にと国民を放り出し逃げ出す国の上層部。空の黒は炎の赤によって不気味さがより際立つ。既にその国は落ちたと見ていいほどにボロボロになっていた。明らかに人災。いや、人災は相応しくない何故なら黒き炎を生み出すは空に翼を広げる1匹の竜なのだから。黒き炎は国を焼き壊れた建物が赤と黒の炎に包まれる。そこはもう国などではない、地獄と名乗るに相応しい状態だ。その竜は全身を黒に染め所々の青いラインがより恐怖を与える。其処には階級など関係なく、皆平等に死を与えられるそれに慈悲は無く、王は民を見捨て、国は王を守らず、神は人を殺すのだ。そして黒き竜の上には1人の少女、薄い金の髪に黒の鎧、黒の旗それがこの地獄を作り出した犯人だとそれを見たものは瞬時に理解した。いや、理解させられた。目の前の少女の放つ憤怒によって。そう、少女は怒っていた。自身が身を粉にして助けたというのに、自身が神を信じて国を信じて守ったというのに、魔女としてその命を消した彼らに。
『私を魔女として否定した貴方達が、その魔女である私が守った国で、自分達の罪も知らずいけしゃあしゃあと生きる。誠に矛盾しているとは思わないのですか?まぁ良いです、貴方達が私を魔女として否定するならば、私は貴方達を罪人として否定しましょう。民ではないモノを守る必要は無く、民の無い国は国ですら無い、のであればまたそれを守る必要も有りはしない。なにより罪人を守る者が、罪人というモノを守る者がいると思いますか?』
その言葉に国のモノは自身達の罪を問うた
『私の名は、ジャンヌ・ダルクです。とでも言えばわかるでしょう?殺しといて後からこの方は偉大だなどと持ち上げられても、ねぇ?』
その答えに、反論できたモノは無くただただ己達がその身を憤怒に焼かれるのを待つしかなかった
「はぁっ!?!?!?うっ!?」
ジャンヌは手洗い場に走る。寝起きで体は重いがそれどころでは無い
ゲボォ!!!おぇ!? バシャバシャ!!!
嘔吐した物が手洗い場にぶち撒かれる。その音に起きたのかジークはジャンヌのもとへ行く。其処には顔を青くし、体を恐怖で震わせる姿。呼吸は荒くまともに酸素を取り入れられてなく、目には涙を浮かべていた。それを見たジークはジャンヌに近付くが怯えてジークに触れようとしない。ジークは少しづつ彼女の頰に手を近付け瞳から流れる涙をそっと拭きゆっくりと背に手を回し抱きとめる。ジャンヌは、
「御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい」
とただただ謝るだけだった。週に2回ほど朝に手洗い場に駆け込む彼女を見る。幼少の頃から家族である刀華や泡沫に隠し1人震え怯えていたらしい。そしてそれを知られるのを彼女は1番恐れた。其処にはただ、愛する人に自身の弱さを見られ軽蔑されたり嫌われたくなかったというだけ。それすらも恐れる程に彼女の心は先の悪夢に、光景に、英雄の怨念に蝕まれていた。元は戦争のせの字も知らない人間だった彼女がジャンヌの負の感情を怨念を真っ向から受けれるだろうか?炎に包まれ苦しく踠き、肺や喉を焼かれ呼吸も満足には出来ず、最後は負の絶叫と共に倒れる。そして残ったのは白い白い骨のみとなる。寝る事が出来なくならないのは、ジークがいたからだろう。小さい頃は見栄のようなものだった、当時の泡沫がやっと心を開いた頃から悪夢に魘されると同時に彼を不安がらせないという理由があったのだ。もしこの学園でジークが彼女のこれに気付けなければ、彼女に歩み寄らなければ、想像するだけでゾッとする。
これがある日は2人とも部屋を出ない。ジャンヌをジークが一度抱きしめると彼女は1日寝るまで彼を離さなくなるのだ。黒乃には持病があると言い時頼休む事があると伝えてあるので、変に勘ぐられることはない。その間食事に洗濯、挙句に風呂まで一緒にと頼んでくる。風呂は最初断ろうとしたが、薄っすらと瞳に宿っている恐怖と涙によって入らざる得なくなった。
こうして2年の天災2人の平日が過ぎる時もある。果たして彼女にこの悪夢を乗り越える事ができないのか?答えは否だ。ジークは自分の命を持って彼女をジャンヌを助けようと決意した