戦姫絶唱シンフォギア~星巡る光の戦士達~   作:夢の翼

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癒しが欲しい。


プロローグ3「初めての空」

『S.O.N.G』での緊急招集が終えたその頃、次元航行によって時空移動を行った一颯達は『クラーコフ』内に設置されている作戦会議室に集まっていた。会議室では現在の状況について報告が行われていた

 

 

「『神獣鏡』によるW.R.S(ウィザード・リィ・ステルス)は問題なく機能してるよ、これならしばらくは問題ないだろうね」

 

「ありがとう、シンジ。次の報告を頼む」

 

席に一人机に両肘を立てて寄りかかり、両手を口元へ押し付けている一颯がシンジの報告に耳を傾けながら左側に座るシンジから右側に座るアルトとスウェンに視線を向ける。

現在一颯達はW.R.S(ウィザード・リィ・ステルス)で『クラーコフ』の姿を隠した後、海上から離陸し近くの無人島の地下に出来ていた『クラーコフ』全体が入る程の巨大な洞窟へと身を潜めていた。そして先の世界で連れてきた少女達は現在、医務室にて万が一に備えて拘束している。

 

「メンバーは全員確認したよ、怪我人もいない様だったし今の所問題ないって所だけど……」

 

「”子供”達は相当怯えていたわヨ。あれだけ大きな揺れが数分続くト」

 

「……そうだよなぁ」

 

一颯は次元航行による強い揺れ等をあらかじめ注意として”子供”に伝えていたが、やはり無理があったと後悔し顔をしかめた。自分達でも感じながら移動していたがあの揺れは地震で例えると震度5~6並みレベルだったと推測していた。

 

キリエさん、ドクター達は今どうしていますか?

 

シンジの横に同じく立つ身長は180cm程ある腰まで伸びた金髪の女性『暁 キリエ』は頬に手を当ててまるで困った母親の様な表情を浮かべる。

 

「それなんだけどぉ、いつもの様に部屋に籠っちゃってねぇ~。『今ちょっといいところだから邪魔しないでもらえます!?』って言われちゃって、どうしましょう、困ったわぁ」

 

「心配しなくてもいいんじゃね?あのドクター達だし・・・・・」

 

「ん~お茶でも持って行った方がいいと思うんだけどぉ」

 

キリエの言葉に一颯の隣に立つ剣は呆れた表情で手を顔の前で振り、変わらず心配性なキリエは「でもやっぱりお茶でもぉ」と首を斜めに傾げる。

 

「まぁ取り敢えず、皆無事だという事は分かった。それでこれからの事についてなんだが……」

 

「・・・・・・なぁ兄貴」

 

「どうした?」

 

一颯は横に立つ剣に顔を向ける。剣の顔は何処か”何かを見たくてたまらない”といった表情をしていた。そんな剣は一颯にと会議室にいるメンバーに聞こえる様に声を上げた。

 

「外に出ないか?あんな綺麗な空・・・・・・生まれて初めてなんだ、俺」

 

「「「・・・・・・」」」

 

「・・・確かにそうネ、あんなに綺麗な”空を見たのは久しぶり”だものネ」

 

スウェンも剣と同じ思いを抱いていた。この世界に着いて状況確認する為、着地地点の確認の為、外部監視カメラを起動させモニターに映させた際、モニターに映った外の景色に全員目が離せなかっのだ。剣の言葉に続いてアルトが一颯に視線を向ける。

 

「一颯先輩、一度船から降りてみようよ、確かに今の状況的にはそれはマズいかもしれないけど……此処にいる子供達にも見せてあげようよ?空はこんなにも綺麗なんだって」

 

「アルト・・・・・・」

 

若干まだ幼さが残る表情で不器用な笑みを浮かべるアルトに一颯は悩んだ末、椅子から立ち上がる。

 

「……俺も少しばかりあの景色には目を奪われてた。・・・・・・よし、ならドクター達以外の搭乗員を第一格納庫に集まる様に伝えてくれ、剣」

 

「っ!!!ありがとう!兄貴!!!今すぐあいつらに伝えるぜ!!!」

 

剣は一颯の言葉に青年より、少年らしい笑みの表情を浮かべると駆け足で会議室を出て行った。それに続いて「あらあら、つーくんったら!」とキリエと「やれやれ、子供だなぁホント」といった呆れた表情を浮かべたシンジも剣の後を追う様に会議室を後にしていく。残った一颯・アルト・スウェンはその光景に苦笑しながら三人が出て行った会議室の出口を見つめる。

 

「僕たち、本当にこれたんだね。別の世界に」

 

「えェ。この世界でも私たちガ戦う事がない事ヲ祈りたいわネ」

 

「あぁ……そうだな」

 

一颯とアルトはいつか見た夢の、母親達の笑顔で過ごす光景を脳裏に思い浮かべながら、一颯達も会議室を出て行った。

 

 

 

 

 

 

「「「「「「わぁぁぁぁ!!!」」」」」」

 

『クラーコフ』から小型の潜水艇で無人島の砂浜へ上陸した一颯達が連れ出した子供達は目の前に広がる初めて見る海の光景に目を奪われていた。同時に剣達も声には出してはいないが子供達と同様に目を奪われていた。

 

「わ~い!」

 

「ねぇねぇ!あそこなにかいるよ~!」

 

「うへぇ~お水がしょっぱいよぉ~!」

 

「うわっ冷たぁぁい!」

 

「えへへ~!あいかけっこ~!」

 

「おそらになにか飛んでるよぉ~?」

 

”茶髪・青髪・銀髪・ピンク髪・金髪・黒髪”の幼い少女達が砂浜を自由に駆け回りながら、遊んでいた。その子供達の後ろにいる一颯は子供達がキリエと共に心から明るくなり子供らしく遊んでいる姿に柔らかい表情を浮かべる。

 

「ん~っ!風が気持ちいいっ!!」

 

「確か潮風って言うのかな?この香り」

 

「海の香り・・・・・・ホント懐かしいワね」

 

一颯の周りに立つ剣達はそれぞれの感想を口に出しながら青い海と雲一つない空を見つける。今まで聞くことがなかった子供達の楽しく喜ぶ声と海が波打つ音を聞きながら一颯達はその光景を見つめる。

 

「あ、”兄さん達”!」

 

すると一颯達の横から剣と同じ青い髪の少女が現れる。ただその少女はある少女の姿と瓜二つの姿をしていた。

 

「お、”小鳥”!やっと来たか!」

 

「きゃっ!もう、剣兄さん!いきなり触りに来ないでよぉ!」

 

剣は現れた小鳥という少女に近づくと彼女の胸を両手でわしづかみし、モミモミと両手の指を動かして悪戯が成功した子供の様に表情を浮かべて小鳥の後ろへ回り込む。

 

「いいじゃねぇか、いつもやってる事だし!にしても小鳥、お前また大きく―――」

 

「ふんっ!」

 

傍から見たらどう見ても痴漢している様にしか見えない光景。小鳥は顔を赤くしながら剣の手を放そうとした瞬間、剣の脳天に一颯の拳が振り下ろされた。しかも金色のオーラを纏った拳を。いわゆるげんこつを受けた剣は頭に大きなたんこぶを作り、砂浜に身をちぢみこませた。

 

「いっつぅぅぅぅっ!」

 

「そういうのは部屋でやれ、剣」

 

「一颯先輩、それ僕のセリフ・・・・・・」

 

「小鳥も余り剣に調子に乗らせてはダメヨ?貴方は女の子なんだかラ」

 

「う、うん。そうなんだけど、別に”嫌じゃないの!ただ、皆がいる前ではしないで”ってだけで・・・・・・」

 

小鳥は自身の”大きな胸”を隠すように両手で覆うが、小鳥の言葉にスウェンは「ダメネ、この兄妹。早く何とかしないと」と片手を額に押し付ける。そんな中剣は再び立ち上がると小鳥の肩に腕を回して自身に抱き寄せる。

 

「なんだよぉ!スウェン!俺と小鳥の兄妹の嗜みに文句言うのかよ!」

 

「兄妹は普通そんな事しませン!胸を揉まれているのに嫌がらない女の子んているわけないでしョ!!」

 

「此処にいるけど?」

 

「ふんっ!!」

 

バルスっ!!!

 

「つ、剣兄さん!大丈夫?」

 

この兄妹の仲の良さは以前から知っていたキリエ以外のメンバーは呆れた表情をしながら、再び一颯にげんこつを食らわせれた剣は小鳥に「うぅぅ小鳥ぃぃ!」と涙目になりながら小鳥に抱き着き「よしよし」と頭を撫でる小鳥の姿に今度はため息をつくメンバー達。すると、一颯の服の袖を誰かが引っ張った。

 

「ん?」

 

「・・・・・・」

 

「”アキ”?どうしたんだ?」

 

一颯が袖を引っ張られた先に視線を向けると、そこには同じく青い髪の幼い少女が口をポカーっと開けた状態で立っていた、アキの視線に合わせる為、一颯は膝を曲げる。

 

「ん」

 

「・・・蟹?」

 

一颯の服の袖を掴んでいる手とは逆に持っていたのは赤い色をした小さな蟹だった。”母親の記憶”が正しければそれは海に生息する生き物だったと思い出す。

 

「すごいね、アキちゃん。初めて見るはずの蟹を捕まえるなんて」

 

「普通ならビビるはずなんだけどね」

 

「好奇心旺盛って事かしラ?」

 

「それで、アキ。その蟹さんをどうして俺達に見せたんだ?」

 

その一颯の言葉にアキは相変わらず言葉を出すことなく「見てて」と言いたげな表情をする。一颯達4人は首を傾げると。

 

 

 

 

あーーーーーーーーーーーー

 

 

 

なんと、蟹を自身の口の中に入れよう口を大きく開けたのだ。

 

「「「っ!!!???!????!??!」」」

 

「ちょっ!コラ、アキ!やめなさい!!」

 

余りのアキの行動に驚いた一颯達(剣とキリエ以外)はこんなにも焦った事がない一颯が焦った表情をしアキの行動を止めようとアキからポイっと蟹を強奪する。

 

「っ!」

 

「はぁ…はぁ…びっくりしたぁ」

 

「~~~っ!」

 

「いや、そんな顔してもダメだからな?蟹さんも怖がってる」

 

頬を膨らませて可愛げのある表情で一颯を見つめるアキ。一颯はそっと砂浜へ蟹を放すと、蟹はすごい速さで海の中へと潜っていった。

 

「・・・・・・よ、余程怖かったんだろうね、あの蟹さん」

 

「正直気持ち悪い位に足動かして海に逃げて行ったね」

 

「誰だってああなると思うわヨ、いきなり食べられると思ったラ」

 

この世界に来て早々に騒動が起きる一颯達。だが、その光景を”海の中から見ている者達がいる事に一颯達は気づいていなかった。

 

 

 

「どうやら、彼らが例の船の乗組員らしいな。友里!奏者達に連絡を入れてくれ!!」

 

 

 

彼らが彼女達と遭遇するのも、そう遠くわない。

 

 




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