難易度ハードな人理修復   作:村正 ブレード

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 かなり遅い更新となってしまいました。

 今回は最初の敵サーヴァント戦。お相手は……?


第四節

 火柱が小屋の辺りに立ち昇ったのを見た俺達は、早足に、それこそ駆ける様にその場から離れた。

 少しでも距離を稼ごうと、俺を抱えて走っているマシュが俺に聞いてきた。

 

 「あの、先輩。先程の火柱の件ですが…、あれを敵と決めつけるのは早計では無いでしょうか」

 

 マシュの問いは、やはりというか先程の火柱の件だった。確かに、味方かもしれない可能性もある以上、そそくさと逃げていったのは間違いだったかもしれない。只でさえ人手が足りていないこの状況でもある、戦力の増加は願ってもない事だろう。

 でも、もしも敵だったら?その時は、こちらの生存は絶望的だ。マシュの戦闘能力を疑っている訳ではない。仮にもし戦闘になった場合、まず間違いなく俺を狙ってくるだろう。素人の一般人がサーヴァントの攻撃を凌ぐのはほぼ不可能に近いだろう。例え、マシュが守ってくれていたとしても。

 その事をマシュに告げると、渋々と納得してくれた。とはいえ、逃げたといっても充分に追って来られる距離だ。気を抜けば、殺られるのはこちらだ。

 思考の海に沈み込んでいた俺だったが、マシュの制止によって意識を引き上げられる。

 

 「どうしたんだ、マシュ。着いたのか?」

 「はい。ですが……」

 

 その歯切れの悪い返答に前を見るが、何かがある訳ではない。一体如何したのだろうか。

 

 「おう、遅いじゃねえか。随分待ったぜ」

 「―――――!?」

 

 突然、前方に人影が現れた。黒いローブを纏い、色素の抜けた金色の瞳でこちらを見つめている。

 

 「"キャスター"のサーヴァント…!」

 「…へぇ、一般人の素人と聞いてたが、少しは見所があるじゃねえか。なら話は早い。

 ―――構えな、そこのサーヴァント。仮にも英霊の身なんだろ?ちったあ楽しませてくれよ?」

 

 マシュは俺を降ろし、前に出る。その姿を見たキャスターは口角を上げると、此方に向かって声を張り上げる。

 

 「おい、坊主!勝負の邪魔だ、すっこんでろ!

 ……安心しな、手前のサーヴァントを片付けたら次はお前さんの番だ」

 

キャスターの言葉を聞いて、マシュの顔付きが変わる。不安気な少女の顔から、意思の強い戦士の顔へと。

 此処は意地でも残るのが格好いいのだろうが、俺にはそんな勇気は無い。大人しく、戦闘を見守っていよう。

 

 「ごめん、マシュ。頑張って」

 「はい、マスター。必ず守ってみせますから」

 

 俺はその場から離れ、近くの瓦礫に隠れる。キャスターは俺が離れると、棘の付いた杖を出現させ、槍のように構える。マシュはその身体よりも大きい盾の角を地面に叩き付け、己を鼓舞させる。

 

 暫く睨み合っていた二人だったが、近くの廃墟が崩れた瞬間に戦闘が開始された。

 

キャスターはそのクラスとは思えぬ速度でマシュに迫り、炎を纏った杖を突き出す。マシュはそれを難なく防ぎ、お返しとばかりに盾を振るう。

 自身の首を刈り取らんと迫る盾を姿勢を限りなく低くした状態から杖で逸らし、次の瞬間跳ね起きる様に杖が切り上げられる。

 マシュは飛び退くことで回避し、着地とほぼ同時に突撃する。流石のキャスターもこれには反応出来なかったのか、押し出されるようにして吹き飛んだ。

 だが、それで気が緩んでしまったのだろう、キャスターの次の攻撃をモロに喰らってしまう。驚くべきことに、キャスターは自身の得物である杖を放ったのだ。杖は信じられない速度で迫り、マシュの鳩尾を綺麗に穿った。

 

 「ぐぁっ!?」

 「マシュ!」

 

 マシュは咄嗟に踏ん張った事で吹き飛ぶことは無かったが、それでも盾を支えに蹲ってしまう。杖はマシュを穿ったあと、回転しながらキャスターの手の中に収まった。

 

 「なかなか筋は良かったが、気が緩むのは頂けねえな。“この”俺相手だったから良かったものの、槍があったならあれで終いだったぜ」

 「ぐ、ぅうっ……!」

 

 マシュは治まらぬ痛みに耐えながら、必死に体勢を立て直そうとする。しかし、上手く立ち上がれず、倒れてしまう。

 

 「無駄だ。先端接触と同時に発動するようにルーンを仕込んでおいた。俺としちゃあこんな手は使いたくは無かったんだがよ、上からの指示でな。まあ、恨むんなら俺を恨みな」

 

 キャスターは杖を逆手に持ち換え、マシュの頭部目掛けて振り下ろした―――――

 

 

 半ば叩きつけるように降り下ろされた杖は、あっけない位にマシュの頭部を砕いた。

 

 「ぁ、―――――」

 

 その段末魔はあまりに静かで、苦痛に歪んでいた。

 

 「……………」

 

 キャスターは静かにこちらに歩いてくる。彼が一つ歩を進める度に、自分の寿命が縮んでいくのが分かる。

 せめて一子報いようと辺りを見回すが、これと言った武器は見付からなかった。

 

 キャスターが目の前で歩を止めると同時、ゆっくりと顔をあげていく。

 息が荒くなっているのが分かる。冷や汗が止まらない。

 首元に杖が添えられる。切れ味を強化したのか、少し触れただけで少し血が流れる。

 

 「じゃあな、坊主。もし次があれば、俺と敵対しないこった」

 

 先程マシュを砕いた杖が、自身の脳天めがけて振り抜かれた。

 

 

 

 だが、それが俺の脳天を砕くことは無かった。

 




 次回、決着
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