[カストロプ会戦2]
生き残る事が出来た…それ以上に少将に武勲を積んでもらった…
これで私も中尉に昇進出来るであろう事は疑いようが無かった
そして、恒星ヘイムルダルを回る首都星ヘイムルダルには、まだ抵抗を
諦めない現カストロプ公が控えていた。
ライザ提督は、こちらの陸戦隊に引き連れられ、ロイエンタール少将との
降伏会見が先ほど行われた。
私も幕僚の下っ端として、同席したのだが、ちらちらと見えるライザ提督の
胸元には悩まされたものであった。
ベルゲングリューン大佐などもシドロモドロになっていた。
ロイエンタール少将に関しては驚いた事がある。
まったく、女性に対しての、男なら持つであろう崇敬や幻想が無く、まるで
一段低い生き物をいびるかのように接していた事であった。
私のような下っ端にも比較的暖かい視線を向ける、同じ人とは思えなかった。
ライザ提督が涙目になり、俯いても言葉による追撃を緩めない。
クナップシュタイン少佐やグリルパルツァー少佐もどこかネズミをいたぶる猫
のような側面があったように思われる。
同盟のいうフェミニストが観たら、ここはフェミニズムの地獄であったろうに
思う。
更に驚いた事に尋問と称して、ロイエンタール少将は私室にライザ提督を連れ、
1日籠ったことである。
まだ、カストロプ公が完全降伏していなく、惑星ヘイムルダルを周回するアルテミス
の首飾りも健在である以上、まだ戦時下であるのに、いや、敵将といえど女性
を凌辱するなど、私には理解出来なかったが、それで少将の価値が下がるとも
又、思えないのも事実ではあった。
悄然としたライザ提督を独房に入れ、ロイエンタール少将は再び艦橋に立った。
「降伏せよ。抵抗は無意味である。そなたの姉の身も案ずるならな」
これも又、両脇にまだ成人前と思われる薄着の女性を2人はべらせながら、カストロプ
公は不愉快げな表情を浮かべる。
「姉だと…!? ライザ姉さまは生きているのか!?」
「ああ…健在だ」
舌舐めずりし、カストロプ公は続ける。
「どうだ少将、取引をしないか?俺たちを反徒の元に逃がしてくれるなら金は幾らでも
払おう、そんなに悪い話ではあるまい?」
表情一つ変えず、ロイエンタール少将は先を促した。
「それにまだアルテミスの首飾りもある、負けるのは少将、卿かもしれないのだぞ」
「そうだな…だがな、金で買えないものもある」
「なんだそれは?」
「大切なものの命だよ、宜しい、ブラウンシュバイク公を関して、貴殿らの命だけ
は助かるよう、努力しよう、金は…そうさな、ブラウンシュバイク公に回して貰おう
どうだ…?」
事前に少将と私で相談していた一件であった。
この際、彼らの命云々よりも、アルテミスの首飾りが難攻不落である以上、策略によって
落すべきと意見が一致していた。
兄には事前に話を通し、金額の設定がブラウンシュバイク公からあったあと、それを
全て飲む形で事は終わった。
こうして、カストロプの乱は、無駄に双方の兵の血を流しながら、ブラウンシュバイク公
と、私達ロイエンタール一向だけが得をする形で終わりを迎えた。
これで私の死後のヴァルハラ行きは無くなった訳でもあった。
両手はべっとりとした血で染まった。
洗っても落ちない、血によって。