この愛くるしい王子に祝福を!   作:猫愛好家No.580

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遅くなってすみません!
最近テストやらで忙しく遅れました!

ではどうぞっ!


共同墓地での出会い[後編]

「冷えてきたわね。ねえカズマ、引き受けたクエストってゾンビメーカ討伐よね?私、大物のアンデッドが出そうな予感がするんですけど」

 

アクアがそんなことを言った

 

「おい、やめろよ、それがフラグになって出て来たらお前盾にすっからな。自称女神様だしアンデッドの攻撃くらい平気だろ?」

 

「いやよ!?まって、本当に無理だからね?カズマさんやらないわよね?」

 

「大丈夫!お前ならできるさ!」

 

カズマが満面の笑みでそう言っていた

カズマ、それは女の子に対する態度じゃないよ....

 

「アクア、大丈夫僕も一緒に頑張るからさ」

 

「シャルぅー!シャルだけよぉ!私に優しくしてくれるのは。その点カズマはゴミね。まじであのヒキニートはないわ。あんなんだから童貞なのよ」

 

「はぁー!?ど、童貞ちゃうわー!?お前なぁ!シャルの前でそんなこと言うのやめろよな!?シャルが穢れるだろうがぁ!」

 

あれ?なんか気配感じるんだけど

 

「ねえ、カズマ、なんか敵多くない?」

 

「ん?あれ?本当だ。敵感知に4体ぐらい引っかかってるな」

まさかこれってフラグ回収?

 

そんなことを考えていると墓場の中心で青白い光が走った

それは、怪しくも幻想的な光を放つ大きな魔法陣

その魔法陣の隣に、黒いローブの人影が見えた

 

「あれ?ゾンビーメーカーじゃないような気がするのですが....」

めぐみんが自身無さげに呟いた

 

「突っ込むか?ゾンビメーカーじゃなくとも、こんな時間に墓場にいる以上アンデッドに違いないだろう。最悪私が盾になろう!」

ダクネスが大剣を持ちながら何故か息を荒げながらそう言っていた

 

「あーーーっ!あれリッチーじゃない!私の前に現れるなんて生意気ね!成敗してやるわっ!」

アクアが叫びながら黒いローブの人に突撃して行く

 

「ちょっ!?アクアッ!?ダメだよ!危ないって!」

 

「この駄女神ぃぃ!戻ってこぉーい!」

アクアは僕たちの呼びかけを無視して大きな魔法陣を踏みつけていた

 

「やめてええぇぇ!誰なの!?いきなり現れて、何故私の魔法陣を壊そうとするの!?やめてください!」

その黒いローブの人はアクアを必死に止めようとしていた

 

「うっさい!黙りなさい!リッチー!どうせこの怪しげな魔法陣でロクでもないことを企んでいたんでしょう!こんなものこうよ!」

リッチーの取り巻きのアンデッド達は、そんな揉みあう2人を止めるでもなくボーッと眺めていた

 

どうしよう、なんかあんまり悪い人そうに見えないなぁ

 

「やめてー!この魔法陣は、成仏できない魂達を天に還してあげるものなんです!ほら、沢山の魂達が魔法陣から空に昇って行くでしょう!?」

 

リッチーさんのいう通り、青白い人魂のようなものが魔法陣に入ると、そのまま魔法陣の青い光とともに天へと吸い込まれて行く

 

「リッチーのくせに生意気よ!そんな善行はこの私がやるから、あんたは大人しくやられなさい!この共同墓地ごと浄化してあげるわ!」

 

「ええっ!ちょ、やめっ!?」

アクアの宣言に、慌てるリッチーさん

アクアは手を広げ、大声で叫ぶ。

 

「『ターンアンデッド』ー!」

墓場全体が、白い光に包まれ、リッチーさんの取り巻きのアンデッドたちに触れるやいなや搔き消える様に、その存在を消失させる

その光はリッチーさんにも及び...

 

「きゃー!か、体が消える!?止めて止めて、私の身体が消えちゃう!!成仏しちゃうぅ!」

 

「あはははは、愚かなるリッチーよ!私の力で欠片も残さず消滅するがいいわ!」

 

「おい、やめてやれ」

アクアの背後に立っていたカズマが、後頭部を剣の柄で

ゴスッと小突いた

 

「ッ!?い、痛、痛いじゃないのよ!あんた何してくれてんのよいきなり!」

そうしてる2人を放置してうずくまるリッチーさんに僕は声をかけた

 

「大丈夫ですか?リッチーさんでいいんですよね?」

見てみると、リッチーさんの足元は半透明になっていて、軽く消えかかっている。やがて徐々に半透明になっていた足が元に戻り、フラフラしながらも立ち上がった

 

「だ、だ、だ、大丈夫です。心配してくれてありがとうございます。おっしゃる通りリッチーです。リッチーのウィズと申します」

 

「ウィズ、君はこんな墓場で何をしてたの?魂を天に還すのはリッチーのやることではないんじゃないのかな?」

 

「ちょっと!シャル!騙されちゃダメよ!あんなのと喋ったらあなた穢されるわよ!?ターンアンデットかけさせなさい!」

アクアがそう言いながら戻って来た

ウィズはアクアに怯えて、僕の背後に隠れ

 

「そ、その. . .私は見ての通りリッチーでして。私には迷える魂達の声が聞こえるんです。この共同墓地の魂の多くはお金が無い為ロクに葬式すらしてもらえず、毎晩墓地を彷徨っています。それで、一応はアンデッドの王な私としては、定期的にここに訪れ、天に還りたがっている子達を送っているです」

いい人?なんだなぁ

僕がそう思っているとカズマが

 

「それは、立派なことだし善い行いだとは思うんだが、そんな事は町のプリーストに任せておけば良いんじゃないか?」

確かにそうだよね

ウィズは言いにくそうにアクアをチラチラ見ながら

 

「そ、その. . . .この町のプリーストさん達は、拝金主義. . . .えーと、お金がない人達は後回し、と言いますかその、あの. . .」

アークプリーストのアクアがいるから言いにくいのかな?

それを聞いたカズマが

 

「つまり、この町のプリーストは金儲け優先の奴が殆どで、こんな金の無い連中が埋葬されてる共同墓地なんて、供養どころか寄り付きもしないってことか?」

 

「え、えと、そ、そうです」

僕達全員の無言の視線がアクアに集まる中、アクアはばつが悪そうにそっと目を逸らす

 

「それならまぁしょうがない、でもゾンビを呼び起こすのはどうにかならないか?俺たちがここに来たのってゾンビメーカーを討伐してくっれてクエスト受けたからなんだが」

カズマの言葉に、ウィズは困ったような表情を浮かべ、

 

「そうだったんですか...その、呼び起こしている訳じゃなく、私がここに来るとまだ形が残ってる死体が私の魔力に反応して勝手に目覚めちゃうちゃんです。その、私としてはこの墓場に埋葬される人たちが迷わず家に帰ってくれればここに来る理由もなくなるんですが. . . . . えっとどうしましょうか?」

 

 

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カズマside

 

墓場からの帰り道

 

 

「納得いかないわ!」

アクアはまだ怒っていた

 

「アクア、あんなにいい人討伐なんてできないよ」

流石シャルだ。何処ぞの駄女神よりよっぽど女神らしいぜ

俺達は、あのリッチーを見逃すことに決めた

そして、これからは毎日暇を持て余しているアクアが、定期的にあの墓場に浄化しにいくことで折り合いがついた

 

モンスターを見逃すと言うことに若干抵抗があっためぐみんとダクネスも、ウィズが1度も人を襲ったことがないと知りウィズを見逃すことに同意してくれた

俺はウィズに渡された1枚の紙切れを眺めながら呟く

 

「しかしリッチが街で普通に生活してるとかこの街の警備はどうなってんだ」

 

「確かに驚きだね。まさか街でリッチーが普通に生活してるとは誰も

思わないよ」

それは、ウィズの住んでいる住所が書かれた紙

あのリッチーは俺たちが住む街で普通に生活しているらしい

しかも小さなマジックアイテムの店を営んでいるそうだ

この世界に生きてから俺の持っていた世界観がどんどん破壊されていっている。この世界にきてよかったと思う事はシャルに出会えたことことくらいだ

 

「でも穏便に済んでよかったですいくらアクアとシャルがいると言っても相手はリッチー、もし戦闘になっていたら私やカズマは間違いなく死んでいましたよ」

何気なくめぐみんの言葉にぎょっとした

 

「リッチーってそんなに危険なモンスターなのか。ひょっとしてやばかった?」

 

「ええやばいです。強力な魔法防御に魔法のかかった武器以外の攻撃の無効化、相手に触れるだけで様々な状態異常をひき起こし、その間力や生命力を吸収する伝説級のアンデッドモンスターです」

まじか、俺はそんなのと戦闘することになっていたかもしれなかったとは

スキルを教えてくれるって言っていたから、行くときはシャルについて行ってもらおう

 

「カズマそのもらった名刺渡しなさいよ。ちょっとあの女より先に家に行って家の周りに神聖な結界を張って涙目にしてくるから、ふふふこれでリッチーも街からいなくなる日は近いわね」

なんでこいつはこんなにも残念なんだろう

 

「アクア、人にそんなことしちゃだめだよ?アクアは本当はいい子なんだからそんなことしないよね?」

 

「うっ、分かったわよ。シャルに免じて今日は勘弁してあげるわ」

やはりシャルは女神だな。アクアもさすがにシャルの穢れなき心の前では邪なことは出来ないらしい

俺がそんなことを考えていると、ダクネスがぽつりと言った

 

「そういえば、ゾンビメーカーの討伐のクエストはどうなるのだ?」

 

「「「「あっ」」」」

 

クエスト失敗だわこれ

 

 

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