「ごめんッ!遅れたッ!状況はッ!?」
「訓練で出ていたアーガスからの報告です。艦載哨戒機より駆逐艦タイプの深海棲艦が3機、本艦左舷より進行中。あと20分で目視圏内です。」
「響ちゃんとアーガスはッ!?」
「響補佐官は現在、カタパルトにて艤装装着中です。アーガスは哨戒機を操作、警戒中で左舷にて待機しています。」
「離れているとはいえ戦闘を回避するのは無理か・・・次・・・次の一手は・・・」
駆逐艦タイプとはいえ3機でしかも今回が初めての戦闘だ。
緊張する。
一歩間違えれば皆死ぬ。
さっきの医務室での会話が頭のなかで繰り返される。
重い、気持ち悪い。
こんなにも弱いのか、僕は・・・
どんどん気持ちが暗くなる僕を、他所に通信官から新たな情報が報告される。
「新たに2機、駆逐艦タイプッ!!正面ッ!!目視範囲より浮上ッ!!」
「アーガスッ!!迎撃ッ!!響ちゃん来るまで粘ってッ!!響ちゃんとアーガスの直通ラインこっちに回してッ!!」
情報端末を貰いながら、正面の窓から外を見る。
浮上してきた駆逐艦タイプを確認し、アーガスが迎撃に動いているのが確認できた。
どこかに拠点があって、そこから出撃しているわけではないのかッ!?
深海棲艦たちが何処から来て、何を目的にしているかは現段階ではわかっていない。
研究機関がずっと研究してるが成果が得られていないのが実態だ。
深海棲艦が現れる『前』に、1つの小隕石が太平洋に墜ちた。
その後から『深海棲艦たちは現れるようになった』。
ので『地球外生命体』が海に沈んだ『艦』たちに取りつき『怨念を持って』人類に戦いを挑んでいる、というのが俗説だ。
本当にそうであるかは証拠もなく、証明されていないが・・・
いずれにしても突然海より現れ、近くにいる船を襲ってくるのがほとんどである。
戦略級棲鬼たちや高位の戦艦・空母が拠点を作って、そこから出てくるやつらもいるのだが・・・
「(ここはほぼ解放された海域じゃなかったのかッ!?)響ちゃん、出れるッ!?」
『あと2分で出れます。ハッチのチェック中だったので、直ぐに開きません。甲板から直接出ます。』
「わかったッ!アーガスッ!2分後に響ちゃんが出るッ!持ち堪えてッ!!」
響ちゃんと応答し、アーガスと連絡をとる。
ちょうど2艦のうち1艦が黒煙を吹いて今にも沈みそうになっている。
『問題ありませんッ!現在、1艦大破させましたッ!しかし訓練中だった為、使える艤装がもうありませんッ!!響補佐官が来るまで敵を翻弄しますッ!!』
初めての戦闘にも関わらず、軽快に海の上を滑り敵駆逐艦を翻弄しているアーガス。
敵駆逐艦は主砲を撃とうと何度か試みているが、全て訓練用の艦載機に阻まれ使えていない。
「艦の進路とハッチの開閉状況教えてッ!?」
「現在、本艦は正面に敵出現のため、速度を落とし右へと旋回中。ハッチは復旧中ですが、あと10分かかります。」
「艦はそのまま現状維持ッ!ハッチはこの戦闘まで使えればいいから5分で開けてッ!!前の2艦撃破後、アーガスの艤装交換ッ!準備させてッ!!艦搭載の武器は使えるッ!?大破している方に撃ってッ!!」
観測士と通信士、操舵士から「了解ッ!」と返答を貰いながら外の戦況を眺める。
ちゃんと出来ているか?
ガクガクと体が震える。
目の前では『本物の戦闘』が繰り広げられている。
初めて『観た』演習ではない。
『命』が掛け金になる『本物の戦闘』。
幸い、まだこちらに主砲も魚雷も来ていないが、撃たれれば下手すれば『死ぬんだ』。
『響、出ますッ!橘司令官、安心して?響たちが艦を守るから。』
情報端末から、響ちゃんの出撃表示が出た。
初めての実践で不安だろうに、僕を心配してくれる。
皆、自身ができることを精一杯やっている。
僕も僕ができることをやらないとッ!!
Tips:戦闘描写は今後の課題