僕の知らない『艦隊少女』のいる世界   作:酔いどれリンクズ

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第1章・5話

響ちゃんが出撃後、アーガスと連携をとり、すぐに正面にいた2艦の駆逐艦は撃破された。

響ちゃんは実践経験はない、とのことだったけど、そんな姿を見せることなく華麗に駆逐艦を翻弄、主砲で撃破していた。

すぐにアーガスを『開けっ放し』のハッチに戻し、艤装を実弾の入った物に換え出撃していった。

 

そのあとはあっという間だった。

改良された艦載機を駆使して1機ずつ駆逐艦を容易く撃破していくアーガス。

アーガスが戦いやすいように残っている駆逐艦を翻弄する響ちゃん。

2人の活躍により、長いようで実働30分の初めての戦いは被害はなく終わった。

 

 

「アーガス、敵艦撃破。周囲に敵影ありません。」

「・・・そっか・・・みんなお疲れ様。戦闘終了の旨をみんなに伝えて?進路は規定航路に戻して。ありがとう・・・」

 

 

そう言ってその場に座り込む。

疲れた・・・

 

指令室のみんなも安堵の表情を浮かべ、次の指示から各々の仕事をしていく。

観測士の人が僕に声をかけてきた。

 

 

「司令官、お疲れ様です・・・立てますか?」

「あ、ごめん、ありがとうございます。」

「いえ・・・響補佐官たちが帰投します。お迎えに行ってあげてください。」

「うん、そうするよ。あとはお願いします。」

 

 

そう言って立ち上がらせてくれた観測士の女性に伝え、おぼつきながら指令室をあとにした。

 

戦闘が終わったからと落ち着くはずがないカタパルトへ移動した僕だが、近くにあった椅子に座り込んで動くことができない。

体や手が震えて、まだ戦闘の余韻が残っている。

 

 

「ゲームのように一定の位置に敵がいる訳じゃない・・・この海に『安全な』場所なんて『ない』んだ・・・」

 

 

初めての実践

敵『深海棲艦』

艦娘

司令官という立場

司令艦という海の上の孤独な船

 

様々な事が頭のなかを駆け巡り、疲れているはずの体にその現実を見せつけてくる。

ボーッとカタパルトを走り回る妖精さんや整備班の人たちと『開けっ放しのハッチ』を見ていた。

ハッチの方から水飛沫をあげて『3人』の女の子たちが戻ってきた。

 

・・・3人?

 

 

『響補佐官、アーガス、他1名帰投。状況確認。艤装のチェック入ってください。担当の妖精さんは新規艦娘さんの案内お願いしまーす。』

 

 

整備班の人のアナウンスで慌ただしかった妖精さんたちがさらに忙しく動き回っている。

『金色の長い髪と黒いセーラー服な少女』は数名の妖精さんに連れられ艤装の調整室の方へ向かっていく。

響ちゃんとアーガスも数名の妖精さんに艤装のチェックを行っている。

少しすれば、艤装を外しに行くんだろう。

その前に労いの言葉をかけに行こう。

 

未だに言うことを利かない体を無理矢理動かし、2人の近くへ移動する。

妖精さんたちが気付いたようで、それと同時に2人もこちらに顔を向け僕を確認すると同時に敬礼してくる。

流石だなぁ・・・

 

 

「橘司令官、響、帰投しました。」

「同じくアーガス、遭遇戦終了につき帰投しましたッ!」

「お疲れ様、2人とも。ありがとう。2人のお陰で被害は全然なかったよ。」

「いえ、わたくしたちは当然のことをしたまでですッ!こちらまで足を運んでいただき、恐縮ですッ!」

「・・・初の戦闘お疲れ様でした、司令官。後程、執務室へ伺います。こちらのことは響にお任せください。」

「そっか・・・さっきの子のこと、よろしくお願いします。執務室で待ってるね?」

 

 

・・・響ちゃんはわかってる感じだな。

顔に出てたかな?

言われた通り執務室へ戻ろう。

体は士官学校の出身だけど、精神は一般社会人のそれだからね。

もう、いっぱいいっぱいだよ・・・

 

 

執務室の椅子に座ってからしばらく経つ。

未だ何にもやる気がしない。

出来ない、というのが正しいか。

 

 

「追い討ちをかけられたかな・・・」

 

 

医務室での会話でやる気を出したかに見えたけど、いざ『戦いの場』を見ると萎縮してしまう。

あのときは場の雰囲気もあり、何とかやれた気がするけど戦闘が終われば、このざまだ。

 

 

「意思が弱いなぁ・・・これからやっていけるかなぁ・・・」

 

 

目を積むってこのまま寝れば『元の世界』に帰れるような、そんなはずないのに期待して意識を落とそうとした。

 

が、外からドタドタっと音が近付いて来たため『それをすること』は阻まれた。

音は執務室の前で止まり、ドアが勢いよく開け放たれた。

 

 

「ここっぽいッ!?」

 

 

ドアを開けたのは先程の『3人目』の金髪ロング少女だった。

少し遅れて響ちゃんとアーガスもやって来た。

2人は息があがっていた。

 

 

「ま、待ってください、早いです・・・」

「はぁ・・・はぁ・・・司令官の執務室です・・・せめてノックしてください・・・」

「提督さんに早く会いたかったのッ!」

 

 

遅れてきた2人を確認したあと、僕の方を振り返り『太陽のような笑顔』を浮かべ、その子は挨拶してきた。

 

 

「こんにちは、提督さんッ!C系白露型駆逐艦『夕立』よ。よろしくね!」




Tips:平和な世界にいた一般人が、実戦を見ればこんな感じのはず
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