「初めまして、橘少佐。私は大石。貴方の上官になります、大佐です。トラック泊地は、貴方の任官を歓迎します。」
物腰の柔らかい、30代前半くらいの男性から歓迎の言葉をもらっていた。
僕がいるのはトラック泊地の総司令執務室。
ウォルコットさんの司令艦『アルテミシア』に連れられて2日。
僕の任地であるここ『トラック泊地』へとやって来た。
「歓迎いたしますわッ!わたくしの後輩として頑張っていただきますわッ!」
「後輩ではあるけど、同僚だからね?そこは間違えちゃいけないよ、ウォルコットくん?」
「大石総司令、この『オルドレイ・ウォルコット』ッ!先輩として模範となるよう全力でその姿を見せつけますわッ!!」
「そうだね、模範となるよう精進してね?」
ウォルコットさんと叢雲さんはここまでの行程2日とも、僕の司令艦に居座り、自身の司令艦へ帰ることはなかった。
曰く「第1補佐官のネルソンに任せれば全て解決ですわッ!!」らしい。
まだ見ぬネルソンさん、頑張ってください・・・
まあ、僕の司令艦にいる間、司令官として覚えておくこと、司令艦のクルーのフォローのやり方や、叢雲さんは、アーガス・夕立の訓練を見てくれたから助かったと言えば助かったけどね。
2日後、トラック泊地に到着し、ウォルコットさんに連れられて、ここ『トラック泊地総司令執務室』までやって来たのだ。
「大石総司令はお優しい方ですが、敬意はしっかりはらうのですわよ?」
わかっております。
そして冒頭、大石総司令から挨拶をいただいたのだった。
「橘優、新任少佐ですッ!本日をもってトラック泊地へ着任しましたッ!」
「よろしくお願いします。さて、早速だけど、トラック泊地の方針と最前線『マーシャル諸島』の現状、我々の任務について説明するよ・・・そこのソファーへどうぞ?ビスマルク、データを。」
「はッ!モニターへ投影します・・・こちらをどうぞ、お飲みください。」
僕と響ちゃん、あと何故かウォルコットさんがソファーへ座り、ビスマルクと呼ばれた蒼眼の黒い軍服を着た女性から飲み物をもらった。
コーヒーだね、うん。
座った左側にあったモニターがつき、トラック泊地からマーシャル諸島周辺海域の図面が広がった。
「改めて説明するよ。見てわかるようにトラック泊地からマーシャル諸島周辺海域の図面だよ。私たちの主任務は最前線マーシャル諸島『クェゼリン基地』の後方支援及びオーストラリア方面への物資輸送が任務だよ。まあ、こっち側は『豪円寺くん』と『七瀬くん』がやってるから橘少佐はトラック泊地の北部と西部の哨戒任務が主になるね。西部はウォルコットくんの管轄だから詳しく聞くといいよ?」
「西部の事はお任せくださいッ!」
「お願いします。現在、クェゼリン基地には35人の士官と、ここトラック泊地に5人・・・橘少佐を入れて6人が駐屯しているよ。本来ならこっちにも数人いるんだけど、前線総司令のセルゲイ中将が元気な方でね・・・ほとんどの士官をクェゼリン基地に連れてっちゃって・・・大佐なんだけど、私がここの総指揮官になってるんだ。」
1艦隊6名編成のバックアップで4名、少佐は2艦隊の指揮ができるから20名の艦娘。
中佐以上の位から1艦隊ずつ指揮できる艦隊が増えるから、少なくとも700名以上の艦娘があっちにいることになるのか・・・
ここでも100人の艦娘がいることを考えると、本当に大艦隊だよね・・・
艦娘じゃなくて本当の戦艦が700とか海の上に並んだら回れ右の全力疾走ですわ。
「補給の際にはこちらへ人を寄越すから、こちらが手薄になることはあまりないからいいけどね。戦況だけど、拮抗状態、かな?『鬼』や『姫』クラスの深海棲艦も多数出現してるし、何より『新型』の敵艦も出てきてね・・・現在、情報の精査も行ってるけど、こっちだけじゃなくて『深海棲艦側も攻撃してる』から別枠になると思う。まあ、こちら側も攻撃されてるから『敵』であることには間違いないけど。」
ウォルコットさんからもらった情報にはなかったことだ。
多分、本当に最近現れたんだろう。
深海棲艦まで攻撃するなんて、第3勢力の出現、ということなのだろうか?
「わたくし、初耳ですわ。」
「情報自体は通達してたはずだけど・・・パラオ泊地で聞いてない?あっちでも全司令官に通達があったはずだし・・・」
どうやら通達不十分だったみたい。
ウォルコットさん「あの女ぁ・・・」って怖い顔してます。
美人さんだから迫力があります、笑顔、笑顔ですよッ!?
笑顔の方が素敵ですッ!!
「任務中に遭遇したら報告は確実に行ってください。難しいとは思いますが、データも取れればありがたいですよ。」
「了解しましたわ。発見次第撃滅致します。」
あの・・・大石総司令の話聞いてた?
大石総司令、苦笑いしてるよ・・・
「現状はこんなものかな?あとは方針だけど、①敵艦の情報収集②前線支援の為の錬度上昇③各司令官と綿密な連携を④月に数回ここ『トラック泊地』に帰ってくること、かな?」
「1~3はわかりますが、4はどういうことでしょうか?」
「哨戒や物資輸送が任務だから仕方ないし、司令艦で問題なく生活できるのが原因だけど、1~2ヶ月全く帰らないんだよねぇ、みんな。北方の『高崎』くんと『豪円寺』くんはクェゼリン基地で補給しちゃうし、南方の『七瀬』くんはソロモンいってしまうし、唯一、ウォルコットくんは帰ってくるけど補給物資持ってくるためだしねぇ・・・」
「皆さん、各方面でお忙しいのですわ。大石総司令に会いたくない訳ではありませんわ。」
「わかっているけどね。ただ、わかると思うけど、司令艦のクルーは女性が多いでしょ?たまには男同士で話がしたいんだよ。一緒にお酒飲んでバカな話したいんだよ。」
・・・前線でそんなのんびりしたこと言っていいのかな?
それが原因じゃないかな、帰ってこないの。
「まあ、それはいいとして・・・はい、これ。新艦娘配属許可証。確か橘少佐のところには3人艦娘がいたね?追加で3名分あげるから、これで1艦隊編成できるよ。」
「えッ!?こんなにもッ!?いいんですかッ!!」
「北部、西部はそんなに多くないけど、重巡級はよく現れる。『力』は多い方がいいよ。必要なら私の所属艦娘も出すから何時でも言ってください。」
「あ、ありがとうございますッ!ご期待に誠心誠意、全力で尽くしますッ!!」
「うん、頑張ってください。ウォルコットくん、部屋の案内とかお願いできる?」
「もちろんですわッ!先輩として後輩の面倒はしっかり見させていただきますッ!」
「よろしくお願いします。じゃあ、別命あるまで、しばらくトラック泊地で待機しててください。」
「「はッ!失礼しますッ!!」」
ソファーから立ち、敬礼してウォルコットさんのあとをついて部屋から出ていった。
3枚の建造許可証がもらえるなんて・・・
期待にはしっかり応えないとッ!!
「よかったのか?話さなくて。」
「ウォルコットくんもいたし、何よりまだ『完全覚醒』していない。しばらくは待った方がいいよ・・・ティルピッツを呼んで?」
「呼んでも来ないぞ、あいつは・・・」
「工厰の裏辺りで本を読んでるか食堂にいるかな?それなら、それでいいさ。」
Tips:1艦隊の基本編成は6隻、サポート随伴艦として最大4隻まで編成可能