総司令執務室から退室して、ウォルコットさんに連れられ、僕と響ちゃんはトラック泊地の工厰へやって来た。
横須賀鎮守府よりは狭いけど、それでもかなりの大きさだ。
妖精さんや整備員の人たちが整備や開発をやっている。
「ここですわ、新しい艦娘をお迎えする建造ボックスですわッ!」
「ありがとう、ウォルコットさん。えーと、どうすればいいのか「まちくたびれたですよ、しれーかん。」な?」
横から聞き覚えのある声がしたので振り返ると、僕専属の工厰妖精がいた。
「そーしれーからきょかしょうはもらってますね?なら、しょうかんにわたしてほしいのです。」
「あら?しゃべる妖精は珍しいですわね?それに他の妖精よりもかなり大きいですわ、小人ですわね。」
「しょうかんいがいにもいっぱいいるですよ?みな、はずかしがりやなのですがたをみせないだけなのです。」
口も悪いし、でしゃばりだもんね、君は。
心でそう思いながら、妖精に3枚の許可証を渡す。
少し驚いた顔してる。
「ほう、3まいももらったのですか・・・こうそくけんざいのしようもきょかされているのです。すぐにさぎょうにとりかかるです?」
「お願いするよ。響ちゃん、戦力は如何程いる?」
「駆逐艦2の軽空母1ですから、軽巡洋艦と重巡洋艦がいれば安定すると思います。哨戒任務が主ですから軽巡2重巡1が理想ですね。」
「では、それにあわせたしざいをとうにゅうするです。いまはおひるなので、ゆうがたにはあえるとおもうのですよ。」
「でしたら、お昼をとって、トラック泊地を案内すればちょうどいいでしょう。行きますわよ?妖精さん、あと、お願い致しますわ。」
妖精から了解の言葉をもらい、1個のボックスへ資材を投入した姿を見たあと、僕たちはその場をあとにする。
あとの驚愕の顔と声を聞くことはなかった。
「あ、ありえないのですッ!?なぜ、このしざいすうでこのじかんになるですかッ!?」
・
・
・
訪れた食堂はガランとしていた。
ウォルコットさんに聞くと、ここは士官と艦娘専用の食堂らしく、一般の兵が使うことはないそうだ。
司令艦の食堂は皆が使うので、喧騒がないこの食堂は少し寂しい気がした。
「仕方ないですわ。他の司令官はほとんど『ここ』に帰ってこないですし、大石総司令の艦娘たちは現在、周辺海域への哨戒に出ていて、秘書官のビスマルクと数名の待機組がいるだけですから。」
ここがいっぱいになることはあんまりないんだね。
「明日か明後日にはまたここも騒がしくになりますわよ?わたくしは2日後に出発しますから、それまではご一緒しますわ。」
「あ、ありがとう、ウォルコットさん。いろいろやってくれてありがとう。」
「先輩として当然ですわッ!あ、ここの料理人は鳳翔さんですわ。お料理が上手で、たまに教えてもらうんですの。鳳翔さーん、わたくしですわーッ!今日のおすすめ3つお願いできますかーッ!?」
パタパタと食堂のキッチンへ入っていったウォルコットさん。
とりあえず、どこかに座ろうか?
響ちゃんと顔を合わせ、テーブルの方へ移動する。
ファミレスのテーブルの並びみたいになっている一角へ座ろうとしたら、ふと、椅子の上でコロコロ転がっている物体を発見した。
しっかり見てみると『ビスマルクと呼ばれた女性に似た黒い服とミニスカート、薄いピンク色の髪の』少女が本を読みながら器用に椅子の上で転がっていた。
「ん?誰?夕方まで誰も来ないと思ってたのに。」
「え、えーと初めまして?」
「ふぁぁぁぁ、眠たい・・・初めまして?戦艦ティルピッツよ、私は。あーめんどくさい。このまま貝になりたい。」
「初めまして、ティルピッツ。僕は橘優。今日からここに配属になりました。どうぞよろしく?」
「あービスが何か言ってた気がする・・・よろしくしなくていいよ~、部署も違うし、ほとんど会うことないし~。」
「部署は違うけど、同じトラック泊地の仲間だし、よろしくしてほしいな?」
「めんどい・・・ダルい・・・このままの格好でいい?」
「あーうん・・・僕は構わないと言うかなんと言うか・・・」
「ん~?」
言うべきか言わないべきか・・・?
いや、この子のために言うべきだろう、うん。
「えーと、とても言いにくいんだけど・・・その格好だと、その、なんと言いますか・・・」
「めんどくさい人だね。はっきり言うべき。」
「え、う、うん・・・その格好だと、その・・・スカートの中が見えそうで危ないです。」
ミニスカートで寝転がってるから、そりゃね。
絶対領域と言う強力な兵器は見えるけど。
その言葉を聞いて、顔を真っ赤に染めて、一瞬で立ち上がり、僕の顔に右ストレートを放ってきた。
それは僕の顔にきれいに入り、後方の壁へと僕を誘うには文句のない威力だった。
「・・・見た?」
「いえ、みでばでん・・・」
それしか言葉が出ません。
こんな華奢な少女からここまでの力が出るなんて・・・さすが艦娘・・・
前回の初陣よりもはっきりと艦娘の力を刻むのだった・・・この身に。
Tips:お色気枠はティルピッツ、いいね?