僕の知らない『艦隊少女』のいる世界   作:酔いどれリンクズ

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第2章・6話

トラック泊地から出航して3日。

ウォルコットさんと初めて会った海域周辺までやって来た。

今のところ敵も哨戒に引っ掛からず、海も穏やかで問題らしい問題も起きていない。

午前中に響ちゃんと実務を行い、昼前から艦の設備を見て回ったり、アーガスたちの訓練状況を確認したりする毎日だ。

今は特にすることもなく、あんまり歩き回るのもどうかと思い、執務室で過去の戦闘報告や海域図面を見たり勉強している。

 

 

「ね~しれーかん?」

「何?ティルピッツ?」

「この『艦』の名前とかつけないの?オードリーの『アルテミシア』とか総司令の『ラグナレク』とかさ?」

「あ~そういえばつけてないね。あった方がいい?」

「そりゃ~他の艦と間違えないようにつける方がいい。てか貰ったときにつけなかったの?」

「僕も余裕があった訳じゃないし、今まではこれでなんとかなったし・・・」

「響も指摘しなかったんだ。あの子、微妙に抜けてるよ。」

「ん~細かいところも指摘してくれるから抜けてる、って訳じゃないと思うけど。」

「そーかな?」

「そうだよ。」

 

 

執務室にあるソファーでゴロゴロ本を読みながらティルピッツが話し掛けてくる。

 

偶々、響ちゃんは哨戒に出ていて今はいない。

出航してからずっとティルピッツは執務室に入り浸っている。

聞いてみると「カリカリ、ポンポン音がするけど、ここが一番静か」らしい。

夕立ちゃんや吹雪が突撃してきてたまに騒がしくなるけど、許容範囲らしい。

 

 

「てか、ティルピッツは哨戒や訓練しなくていいの?」

「哨戒できるほど索敵能力ないし、訓練でも燃料使うでしょ?私は他の皆より弾薬や燃料使うから利用はできるだけ抑えるべき。」

「大石総司令から結構資材は貰ってるから、ティルピッツが訓練する分くらいあるよ?」

「戦闘あったら使おう、それは。」

 

 

・・・サボりたいらしい。

 

 

『橘司令、アルテミシアより通信が入っています。』

「はい。こっちに繋げれる?」

『繋げました。どうぞ。』

「ありがとう・・・はい。橘です。」

『わりと余裕そうですわね。』

「え?そうかな?そんなつもりはなかったけど・・・」

『アルテミシアの索敵能力は他の司令艦より1段も2段も違うので仕方ありませんか・・・右舷、2時の方向に敵駆逐艦タイプ4隻を発見しましたわ。』

「えッ!?こちらへ来るんですかッ!?」

『いえ、まだこちらは把握されていませんわ・・・なのでこちらから先制をしようと思ってますの。それで折角ですから橘少佐に出てもらおうかと思いまして。』

 

 

こっちには話来てなかったし、たった1艦で西側海域を哨戒しているアルテミシアはそういうのに鋭いんだろうね。

この辺は今後の課題か・・・

 

 

「わかりました。こちらに敵機の位置情報を送ってください。響ちゃんたちを迎撃に出します。」

『駆逐艦4隻ですから問題はないと思いますが、こちらからサポートの艦娘を出しますわ。速やかにお願い致しますわ。』

「はいッ!ありがとうございますッ!」

 

 

・・・通信終了、っと。

さて、哨戒に出ている響ちゃんたちを戻して、迎撃の編隊組みますか。

 

 

「ティルピッツ、出てね?」

「え・・・私が出るほどの相手じゃない。」

 

 

いや、仕事しよ?

 

 

「響、アーガス、夕立、ティルピッツ、出ました。」

「うん、確認した。吹雪、木曾は本艦の護衛に、位置情報は常に確認して?」

「了解。」

 

 

ちゃんと指示できるかな?

ここからだと相手も目視できないし、アルテミスから来る位置情報でしか現状を把握できない。

ゲームだとマス移動して、交戦してる状況わかるけど、現実はそんなことできないね。

 

 

「出撃部隊の索敵範囲に敵が入りました。アーガスより、艦載機発艦準備は整っているとのことです。」

「艦載機発艦指示、その後、ティルピッツを先行させて砲撃を。響ちゃんと夕立ちゃんに後詰をしてもらって。」

「了解。アーガスより艦載機発艦。爆撃機の攻撃後、ティルピッツの砲撃開始します。」

 

 

問題はないね。

よほどのことがない限り、これでこちらに被害はでないよね?

 

 

「アーガスより入電。目標2隻撃破・・・撃破ポイントより新たな敵影捕捉。軽巡タイプ2隻ですッ!」

「ティルピッツの位置から軽巡は狙える?難しいなら響ちゃんと夕立ちゃんで敵を撹乱。アーガスに準備でき次第、再度発艦の指示を。」

「アルテミシアより入電ッ!交戦ポイントより11時の方向、新たな敵影捕捉・・・重巡タイプですッ!!」

「脈絡もなしに出てくるんだね、深海棲艦は・・・対応は可能?」

「重巡タイプはアルテミシアより出撃している艦娘が対応するそうです。我々は当初の予定通り、駆逐艦と新たに表れた軽巡タイプの撃破をするように指示が来ています。」

「なら、そっちはお任せして、こっちはこっちの仕事しよう。」

「響及びティルピッツ、駆逐艦、軽巡洋艦1隻ずつ撃破。残りの駆逐艦、夕立により中破、アーガス、艦載機発艦準備完了、発艦します。」

 

 

もう消化戦だね。

また出てこなければ、これで戦闘は終了かな?

 

 

「アーガス、軽巡撃破。駆逐艦撃破確認・・・アルテミシアより、重巡タイプの撃破報告。周辺に敵影なし・・・戦闘終了です。」

「アルテミシアはもう捕捉してるだろうけど、通信入れて。ウォルコットさんに報告するから。」

 

 

了解、と言葉をもらって、作戦指令室の前方モニターにウォルコットさんが映った。

 

 

『レーダーに敵影はありませんわ。速やかな対応でした。』

「ありがとうございます。」

『今回はわたくしの方から敵影捕捉の情報を伝えましたが、今後はあなたの方でしっかり索敵を行ってくださいな?』

「はい。今回は助かりました。」

『あのしゃべる妖精さんに言って、司令艦のレーダーを改良するように要請するといいでしょう。哨戒は如何に敵よりも早く相手を見つけることですわ。艦娘の索敵能力にも限界があります。司令艦の索敵能力を上げれば、哨戒の負担も減りますわ。』

「重ねて指摘ありがとうございます。直ちに改良を要請します。」

『通信履歴を見る限り、指示もしっかりしていましたし、わたくしと別れてもやれそうでしたからよかったですわ。明日にはわたくしは別任務につきますので、明日からもこんな具合に頑張ってくださいな。』

 

 

モニターのウォルコットさんが嬉しそうに笑顔を向けている。

いろいろお世話してくれた人だし、こんな笑顔見せてくれるんだから、これからも頑張らないと。

 

通信を終了し、作戦指令室のみんなに労いの言葉をかけ、帰ってくるみんなを迎えるため、カタパルトへ移動するのだった。




Tips:司令艦も混ざった艦隊戦以外は、レーダーやモニターを使って状況精査
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