僕の知らない『艦隊少女』のいる世界   作:酔いどれリンクズ

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第2章・終

「翔鶴型航空母艦1番艦、翔鶴です。一航戦、二航戦の先輩方に、少しでも近づけるように瑞鶴と一緒に頑張ります!」

 

 

・・・瑞鶴いないけどね。

 

先程の戦闘が終わって皆が帰艦した後、元の進行方向より一人の女性が海を滑ってきた。

白い着物に赤く短い袴、銀色の長い髪を靡かせてやってきたのはC系航空母艦の『翔鶴』。

彼女も他の艦娘と同じようにカタパルトから入ってきて、僕の下にやって来た。

現在、アーガスと夕立ちゃんは入粱させ、他のみんなも艤装のチェックでいない。

 

彼女が来て助かったとはいえ、こんなところになぜ、彼女一人でいたのだろう?

 

 

「始めまして翔鶴。僕は橘優、この艦の司令官です。君の援護のお陰で助かりました・・・えっと、聞きたいんだけど、何でこんなところに一人で?」

「あら?お分かりになりませんか?私が何なのか?」

 

 

え?何?どう言うことなの?

 

 

「あ、もしかして彼女は・・・」

 

 

後ろから響ちゃんがやって来た。

あれ?響ちゃんはわかるの?

 

 

「トラック泊地で待機してた『6人目』の艦娘ですよ、橘司令♪」

「えッ!?マジでッ!?あのときの艦娘ッ!?」

 

 

マジか~・・・

まあ、そうか~。

あの子は僕たちが出た後にボックスから出てきた子だから、自由に動いてるだろうね。

 

 

「いやいやッ!トラック泊地に近いとはいえ、こんなところに一人でいるとかどういうことなのッ!?」

「予定航路は総司令から聞きましたし、そろそろこの辺りを航行すると思いましたから・・・それに早く私の『司令官』に会いたかったですから。」

 

 

そっか~。

まだ見ぬ司令官と会うために一人でここまで来たのか~

嬉しいこと言ってくれるよ~

 

 

「って、あれ?僕、空母のレシピで依頼出したっけ?」

「いえ、重巡か軽巡が出るレシピでやってますよ?」

「そうなのですか?私以外にボックスにいた艦娘はいなかったと思いますけど・・・」

 

 

そう言えばあの時の工厰妖精、妙に元気なかったな

またなんかやらかしてたのかな?

 

 

「まあ、いいや。改めてよろしくね、翔鶴。今みんな艤装チェックやら入粱やらでいないけど、後で顔合わせしてね。ちなみにこの子は響ちゃん。僕の補佐官です。」

「R系駆逐艦の響です。今回は助かりました。これからよろしくお願いします、翔鶴さん。」

「よろしくお願いしますね、響さん。」

 

 

今回は本当に助かったよ、本当に。

・・・後でカウンセリング受けにいこう。

胃とか精神がヤバイ・・・

 

 

「flagship級?」

「うん。今回の奴ら、この海域で出てくるタイプの奴らじゃない。東側のマーシャル諸島で出てくるはずのタイプ。外側はnormal級だったけど、中身は別物。normal級重巡程度に手こずるほど練度低くないよ?私は。」

 

 

翔鶴との顔合わせも終わり、僕は響ちゃんと一緒に執務室で戦闘報告の処理を行っていた。

アーガスと夕立ちゃんは中破または小破だったけど、入粱したらすぐに回復した。

入粱、って言ってもカタパルトのすぐ横の一角にある、お風呂場に入るだけだけど。

男性以外の乗組員はみんないつも入りに来てるし、どういう原理なんだろうね。

高速修復材の入ったお風呂に入ると、肩凝りや冷え症が改善されるらしいけど・・・艦娘以外にも効能があるのかよ。

 

他のみんなも艤装に問題はなかったみたいで、今後も支障なく海に出られるとのことだ。

艤装から発生している力場のお陰で艦娘たちは海の上を走ることができ、致命傷となるダメージを受けることはない。

けれど、疲労はどうしても溜まってしまうし、小さな傷は出てしまう。

致命傷がないだけいいかもしれないが、力場が無くなれば、艤装の重さで海の底に連れていかれる、轟沈だ。

それは絶対にさせてはいけない。

 

話がそれちゃったな。

 

 

「響ちゃんの方はどうだった?」

「flagship程ではありませんが、それに近い動きだったと思います。響以外が対応していれば厳しかったと思います。」

「俺の方もそうだったな。あいつらは多分elite級だ。哨戒で相対した奴らより動きがよかった。」

「響ちゃんも木曾の方もそうだったか・・・この辺りにそれらが出る、って話はなかったはずだけど・・・」

「翔鶴さんが入ったとはいえ、7人で対応するのは少し厳しい相手です。帰りましたら戦力増強を提案しましょう。」

「そうだね。みんなを海に連れていかれるわけにはいかないし、それはすぐ提案するよ・・・みんな、今回はお疲れさま。警戒はしないといけないけど、翔鶴さんに哨戒してもらうし、少しの間、休んでて。」

「1週間分、働いたよ・・・」

「何かあればすぐ呼べよ?俺はまだまだ戦える。」

「響は問題ありません。報告書ができましたら、翔鶴さんと一緒に哨戒に出ます。」

 

 

響ちゃんも木曾も元気だな・・・戦闘終わってもすぐ動けるなんて。

僕はさっきの戦闘でもう疲れたよ・・・

直接戦闘した訳じゃないけど、精神的負担はヤバイよ・・・

何個も砲撃受けたし、魚雷も撃たれて生きた心地しないもん。

後で医務官の所でカウンセリング受けるもん。

 

あと、ティルピッツはこの戦闘しか出てないからね?

1週間のうち出撃1回だよ、あなたは?

 

その後は敵らしい敵も現れず、無事に初の哨戒任務を終え、トラック泊地に帰るのだった。

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