第3章はまだしばらく時間がかかるので閑話を入れました。
今年ものんびり書いていきますのでどうぞよろしくお願い致します。
カチカチカチカチ・・・ポーン・・・カチカチカチカチ・・・
「あー年が明けましたー。明けましておめでとう、響ちゃん。」
「おめでとうございます、橘司令官。本年もよろしくお願いいたします。」
現在、1月1日マルマルマルヒト。
本土からの補給物資輸送任務中。
海の上、司令艦の執務室。
軍属だしね~、年末正月関係ないです。
まあ『あっち』にいたときも、仕事で年末年始なんて関係なかったけど。
「今年もよろしくお願いします・・・それにしても、年が明けた、って感じしないよね?」
「海の上ですからね。時間も曜日も関係ありませんから・・・本土や泊地ではお祭り気分になっていると思いますよ?トラック泊地には神社もありますから。」
「そっか~。輸送任務終わったら神社にお参りに行こうかな?響ちゃんもどう?」
「お供しますよ?でも他の皆さんも呼ばないと、あとが怖いですよ?」
「うん。せっかくだから、みんなでお参りに行こう。アーガスやティルピッツは来るかな?」
あの2人は日本の艦じゃないから、神社、っていってもピンとこないだろうし。
「アーガスさんは遠慮するかもしれませんね。ですが、連れていきます。ティルピッツさんはめんどくさがるでしょうが、最近、日本の文化と言う本を読んでいるので来ると思います。」
響ちゃん、強引ですね。
それにしてもティルピッツはそんな本も読んでるんだ。
ビスマルクやプリンツ・オイゲンが載ってる雑誌ばかり読んでると思ったんだけど・・・
「人前では読まないだけです。あの人は結構色々なジャンルの本を読んでいます・・・出撃や哨戒に出ない分、知識は豊富ですよ?」
「何かと理由つけて出ないもんね・・・けど練度的にはみんなと大差ないんだよね・・・隠れて訓練して『コンコン』・・・ん?どうぞ?」
こんな時間に誰でしょう?
「失礼します。司令官、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。」
ドアを開けて現れたのは、白い着物の銀髪女性、翔鶴だった。
「おめでとうございます、翔鶴。今年もよろしくお願いします。」
「おめでとうございます、翔鶴さん・・・どうされたんですか?てっきりお休みされていると思ったのですが・・・」
「響さん、明けましておめでとうございます・・・いえ、本土では年も明けましたし、折角ですから、司令官が起きていればご挨拶を、と・・・(誰よりも早く)」
綺麗な笑顔を見せながら挨拶をしてくれる翔鶴。
・・・ただ、一瞬、眼の光が消えた気がするけど気のせいだろう、うん。
「あ、翔鶴もこっちおいで?輸送任務前に運んでおいたんだ。もう年越しちゃったけど、お蕎麦もあるから一緒に食べよう?」
そう。
今いるところは執務室だが、その一角に『炬燵』を持ってきたのだ。
海上で年明けになるのがわかってたから、せめて雰囲気だけは、と用意しておいたのだ。
炬燵の上には年越し用のお蕎麦とみかんを用意してある。
完璧である。
「よろしいのですか?ご挨拶だけと思ったのですが・・・打合せか何かされていたのでは?」
「ん~ん~?僕らの業務は結構前に終わってるよ?一人でお蕎麦食べようと思って用意してたら響ちゃんが来たんだ。」
「橘司令官が、こそこそ何か用意されてたんで確認のために見に来たんです・・・言ってくだされば、響が用意したのに・・・」
「いつも通り、みんな夜間交代員と代わったらすぐ部屋戻って行ったから、呼び掛けるのも何だかなぁ、って思ったんだよ。」
「そうでしたか・・・(もう少し早く来ればよかった)私も混ぜてもらっても?」
「どうぞー。あ、取り皿用意してくるね。ちょっと待ってね、部屋から取ってくる。」
僕の私室は執務室のすぐ横にあるから歩かないんだよね。
まあ、1日のほとんどは『ここ』にいるから、ここも私室と変わんないんだけど。
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「抜け駆けはいけませんよ?響さん。」
「いえ、そんなつもりは・・・すみません、少し調整させていただきました。」
実は、ここに響がいるのは偶々ではない。
予め、作戦指令室のメンバーには夜間交代後は『いつもより早く』帰るようにお願いしていた。
最初は指令室のメンバーは業務終了後、カウントダウンパーティを食堂で開く予定だった。
響からの願いで、食堂からコミュニケーションルームで現在、新年のパーティをしている。
パーティ開催の要請書は響『だけ』が確認しているため、橘はそれを知らない。
更に船員用のコミュニケーションルームの為、司令官である橘はそちらへ行くことはほとんどない。
執務室からも遠く、その事を知らない橘は、現在は皆眠っているだろうと思っているのだ。
ついでに、他の艦娘たちは・・・
「新年明けたのに夜間哨戒って悲しいですぅ・・・」
「司令官さんに挨拶したかったっぽいッ!!」
「帰ったらできるだろうが・・・トラック泊地への物資なんだから、気を抜くなよ?明日にはアルテミシアも補佐に入るから楽になる。」
「っぽいッ!!深海棲艦出たら速攻で倒すっぽいッ!!」
「吹雪もこの鬱憤は晴らすのですッ!!」
「元気なのはいいことだが・・・は~、響のやろう、自分が出ろっつうの・・・」
木曾、夕立、吹雪は夜間哨戒任務に出ていた。
「ティルピッツさんがこの時間に艤装の点検って珍しいですね?」
「夕方まで寝てたけど、22時くらいに響から『夕方まで寝てた分、代わりに朝まで皆の艤装チェックお願いします。終わったら夜間哨戒組と交代で哨戒に出てください。』だって?私が出たら、資材の消耗激しいのに・・・」
「2人でチェックするので早く終わりますよ・・・それにしても響さんに命じられたんですね。普段はわたくしたちにはあまり指示しないのに?」
「知らないよぅ・・・あー見たい番組あったのに。」
「何が見たかったんですか?」
「紅白。」
「・・・こんな海上では観れませんよ・・・」
アーガス、ティルピッツは交代要員として艤装チェックと準備をしていた。
唯一、翔鶴は朝から日が落ちるまで哨戒に出ていたため、部屋で休んでいるだろうと、響は思っていたため、特に指示は出さないでいたのだ。
「まあ、最初に挨拶したのが司令官だったのでよしとしましょう・・・それにしてもよくやりましたね?」
「皆さん、年末年始、と言うことで少し浮かれていたので、ちょっとお灸を据えただけです・・・お茶、どうぞ。」
「ありがとうございます。司令官の事だから気が付いてないんでしょうね。」
「あの人は抜けてますか「あれ?なんか盛り上がってる?僕も混ぜて?」ら・・・女の子の話に入ってくるのは無粋ですよ、橘司令官?」
「そうですよ、司令官?女の子には秘密な話がいっぱいあるんです。」
「うぇぇ・・・納得いかねぇ・・・」
取り皿を持って現れた司令官に、少し辛辣な言葉を与える艦娘2人。
帰ってきた司令官と2人は炬燵に入り、机の上にあった蕎麦とみかんを一緒に食べて見回り組が帰ってくるまで過ごした。
輸送任務の中、のんびりとした空間がここにはあった。
Tips:日の出は橘司令、艦娘一緒に見ました