僕の知らない『艦隊少女』のいる世界   作:酔いどれリンクズ

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第3章・3話

「橘司令官、レーダーに機影を確認しました。」

「七瀬少佐の司令艦?もう少し先だったと思うけど。」

「いえ、司令艦にしてはサイズが小さいです・・・照会出ました。艦娘のようです。」

「ん~所属わかる?」

「それが・・・ヘンダーソン基地所属でも七瀬少佐の司令艦『こたつ』でもないみたいです。」

 

 

トラック泊地を出て5日目、間もなくヘンダーソン基地に到着する。

一応、その前に七瀬少佐と合流して、ヘンダーソン基地に入る予定だったんだけど・・・

所属不明の艦娘って何だよ?

 

 

「深海棲艦が偽装してる可能性ある?」

「流石にそれは・・・この辺りはヘンダーソン基地の管轄ですが、ほぼ深海棲艦が現れる可能性はない海域です。」

「そっか・・・迂回しよっか?」

「あっ、こっちに来るみたいです。」

「何だろうね、本当に・・・速度下げて?今すぐ出れる艦娘は?」

「木曾と翔鶴です。出しますか?」

「うん。目視範囲に近付くまでは司令艦の近くで待機、相手確認後、向かって?」

「了解です。木曾、翔鶴に指示します。」

 

 

何だろうね?

 

 

『木曾だ・・・何かよくわからんが、気が付いたらここに居たみたいだぞ?』

「名前と所属は?」

『あーちょっと待て・・・クインシーって名乗ってる。所属は・・・アメリカ海軍、CAー39ニューオーリンズ級重巡洋艦6番艦だとよ。』

「アメリカ、ねぇ・・・とりあえず、司令艦に来てもらおっか?木曾、お願い。」

『わかった。おい、行くぞ?あ?何処にだって?目の前に司令艦あるだろ、そこにだ・・・司令艦って何、だと?説明してやるから、とりあえず来いッ!』

 

 

今まで聞いた中で、一番しっかりした所属を言うね。

 

 

「げ、原点の艦娘、ですか・・・」

 

 

初めて聞く単語だぞ?

 

 

「響ちゃん、原点の艦娘って?」

「艦娘の取得方法はご存じですね?」

「うん。工厰ボックスと深海棲艦との戦闘後に発見される、だよね?」

「はい、それともう1つ・・・前例も数件しかないほど珍しい方法があります。それは『艦娘の原点となる戦艦が沈んだ場所で発見される』ことです。」

「戦闘後の発見とどう違うの?」

「一応、原点の戦艦が沈んだ場所で同名の艦娘が発見されることはよくあります。ですが一番の違いは、今、木曾さんが話した中に答えがあります。」

「ん~?司令艦がわかんなかったこと?」

「そうです。ほとんどの艦娘は朧気ながら、自身が『艦』だった頃の記憶があります。そして、自身が『艦娘』である、ということも理解しています。ですが・・・」

「『原点の艦娘』はその事がわからない。」

「はい。これはかなり重要な案件です。すぐに大石総司令に連絡を取りましょう。」

「響ちゃんが言うならそうだね。アニエルさん、すぐに大石総司令に連絡を。」

「了解ッ!」

「あ、橘司令官、木曾ちゃんたちがカタパルトに入りました。」

「えーと、通常の発見時と同じでいいかな?検査の後、執務室に連れてきてもらえる?」

「はい。そのように指示します。」

 

 

『原点の艦娘』か・・・

何か式典どころの話じゃなくなってきたぞ?

 

 

「◯v◯」

「??」

「◯o◯」

「?え、えーと?」

「◯v◯ッ!」

「ッ!!??」

 

 

・・・なんだこれ

 

 

「あー・・・司令官も駄目か・・・」

「どういうこと、木曾?」

「翔鶴もそうだったが、こいつの言ってることわかんねーんだよ。」

「木曾はわかるの?」

「あ?ああ、そうだな・・・最初のは『初めまして』だな。次が『あなたはこの艦の司令官ですか?』、『私の言ってることわかります?』だな。」

「そうなんだ・・・えーと、初めまして、クインシー。僕がこの艦の司令官、橘です。どうぞよろしく。」

「(^v^)」

「『初めまして、よろしく』だとよ。」

「こっちの言葉はわかるんだ。」

「◯v◯」

「『わかりますよー』とさ。」

 

 

ん~どういうことだろ?

原点の艦娘、ってのが関係してるの?

 

 

「関係ありませんよ?」

「・・・声に出てた?」

「いえ、何となく顔に書いてありました。」

 

 

そうですか・・・。

 

 

「◯v◯?」

「『ここに来れば、私がどうなったのか教えてくれると聞きましたが?』」

「何か木曾の通訳可愛いね?」

「か、かわッ!?こいつが言ってることをそのまま言ってるだけだッ!!それよりッ!!そいつのこと説明してやれッ!!」

「うん、そうだね・・・うーん、どう説明すればいいか・・・?」

 

 

僕もよくわかってないんだけどね。

『僕』自身の事についても。

 

とりあえず、響ちゃんが『今の世界』のこと『艦娘』のこと『クインシーという戦艦のこと』など、木曾の通訳を介してクインシーが聞きたいことを説明していった。

最初は難しそうな顔をしていたクインシーだけど、終わりの方は何か楽しそうな顔をし出していた。

 

 

「◯v◯ッ!」

「『つまり、今は私が沈んじゃった後の世界、と?で、新たに艦娘って存在になって共通の敵である深海棲艦と戦っている、と言うことですねッ!!』」

「そういうことだね。理解してもらえるかは難しいけど・・・」

「◯v◯♪」

「『もう一度、この世界に生を受けて、戦艦として戦えるッ!人々を守れるッ!!こんなに嬉しいことはないですよッ!!』」

「◯v◯ッ!!」

「『司令官ッ!!クインシーを使ってくださいッ!!戦艦相手は辛いけど、同じ重巡や空母相手はクインシーにお任せですッ!!』」

「うん、やる気があってとても頼もしい事なんだけど、こっちにも事情があって、すぐには戦いは起こらないんだよねぇ。」

「(._.)」

「『そうなんですか・・・でしたらしばらくご厄介になりますね。必要とあらばすぐに呼んでくださいね♪』」

「うん、ありがとう・・・木曾、申し訳ないんだけど、彼女部屋を充ててあげて?ぶっちゃけ、木曾と同じ部屋がいいけど・・・」

「あー・・・まあ、他のやつらじゃ言葉通じねぇもんな。世話してやるよ。おい、クインシー、行くぞ?」

「◯v◯」

 

 

木曾が部屋を出ようと合図するとクインシーもトテトテついていった。

ドアが閉まり、しばらく執務室に静寂が包まれる。

 

 

「・・・とりあえず、大石総司令の返事待ちかな?」

「・・・そう、ですね。その前に間もなく七瀬少佐との合流地点ですので、そちらの対応をしましょう。」

「そっか、ちょっと遅れちゃったけど、もうそんな時間か。じゃ、準備しよう。」

 

 

問題は後回しである。




Tips:第1次ソロモン海戦
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