僕の知らない『艦隊少女』のいる世界   作:酔いどれリンクズ

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第3章・4話

『こちら司令艦『こたつ』の天草です。橘少佐指揮下の司令艦で間違いないですか?』

「こちら、橘。間違いありません。ご指示願います。」

『ヘンダーソン基地入港前に一度顔合わせをしましょう。こちらへ来ていただけますか?』

「わかりました。こちらからは私と補佐官の響が行きます。よろしくお願いします。」

『了解。到着後、執務室へ来てください。案内を待機させます。よろしくお願い致します。』

 

 

・・・やっぱり、司令艦に名前いるよね?

 

 

「この任務が終わってトラック泊地に着いたらつけましょう?」

「声に出てた?」

「顔に書いてあります。それにティルピッツさんに前、指摘されてましたしね?」

 

 

・・・あのとき響ちゃん、哨戒出てていなかったよね?

何で知ってるの?

 

ちょっと響ちゃんが怖いです。

 

 

司令艦『こたつ』にやって来た。

ヘリって初めて乗ったけど、結構楽しいね。

乗りたがる人多いのわかる気がする。

出来たら自分で運転してみたい、無理だけど。

 

ヘリを降りて、お出迎えしてくれたのは通信で出た天草と名乗った男性だった。

白い軍服をきっちり身に纏い、佐官以上の階級に許されるサーベルを帯刀し、僕たちの前に歩み寄ってきた。

どうやら、この艦の副司令官らしく、司令官の七瀬少佐の代わりに業務を引き受けてるんだって。

艦娘を秘書官とかにしてやってる訳じゃないんだ。

一応、そういうことも可能なのね。

 

天草副司令官についていき、司令執務室までやって来た。

丁寧だけど、軍人、って感じの人だよね、この人。

天草さんがドアをノックするが、返事を待たずにドアを開け放った。

え?いいの?

 

 

「艦長。橘少佐をお連れしました・・・またですか・・・」

 

 

開け放たれたドアの向こうは真っ暗闇でした。

え?何でこんなに暗いの?

天草さんは少し肩を落としながら、いつもの事なんだろう、迷いもせず電気をつけに動き、部屋が明るくなった。

明るくなった部屋を見ると、窓には遮光カーテンらしきものがかかって、外からの光を塞ぎ、僕の執務室と同じような間取りになっているが1個違うものがあった。

 

炬燵が置いてある。

 

これまた天草さんが何の迷いもなく炬燵へ移動すると、炬燵をきれいにひっぺがす。

中から中学生か高校生くらいの黒髪単髪の少女が現れた。

 

 

「眩しいよ、天草?」

「先程ご連絡したように橘少佐をお連れしました。顔合わせと打ち合わせを行いますよ?」

「顔合わせは今やったからいいでしょ?打ち合わせは天草とやって?天草が決めたことはやるよ?外に出ること以外なら。」

 

 

天草さんの言葉に返答しながら、ひっぺがされた炬燵の毛布にくるまりだす。

・・・引きこもりさんですか・・・

 

 

「引きこもりじゃない、こたつ警備員だよ。」

「えっ?」

「やれやれ・・・申し訳ありません、橘少佐。彼女がこの艦の司令官『七瀬 さとみ』少佐です。ご覧の通り、外に出たがらないため、私が基本的に業務を引き受けています・・・私は妖精を見ることができないので、艦娘たちへの指示はできませんが。」

「嘘はよくないよ、天草?君も妖精見えるじゃないか。僕の代わりに司令官やって?僕が補佐やるから。」

「・・・仮に私が司令官になれば、艦長と離れ離れになるので、全ての業務を艦長がやることになりますがいいのですか?」

「やっぱ今の話なし。橘、だっけ?今の話は聞かなかったことに。」

「あ、はい。何も聞いていません。」

 

 

毛布にくるまりながら顔だけを出した状態で七瀬少佐がウンウン、と頷いている。

 

 

「でしたら、いつも通り私が打合せしますよ。こちらを使っても?」

「いいよ。お茶くらいは用意するよ・・・今誰がいたっけ?」

 

 

ごそごそと端末を出して、誰かに指示を出し始める七瀬少佐。

とりあえず、僕と響ちゃんはソファーの方へ促される。

っと、その前に。

 

毛布にくるまってる七瀬少佐の近くへ移動し、腰を下ろして、改めて挨拶をする。

 

 

「着任時に挨拶できず、申し訳ありません。橘優少佐です。これからよろしくお願い致します。」

「・・・君は僕が怖くないの?」

「え?」

 

 

どういうこと?

毛布にくるまってる子が怖い?

ティルピッツみたいに眠そうな目と黒い単髪、顔立ちは童顔っぽいけど少女から大人の女性に変わる前くらいの可愛らしい顔してるし・・・

可愛らしいって言葉は出てくるけど、怖いって感情は出てこないよなぁ。

オルドレイ少佐は10人中10人が言うであろう綺麗なモデルって感じだったけど、七瀬少佐はおすわりぬいぐるみみたいな可愛らしさがあると思う。

 

眠そうな目が見開かれ、こっちを見ていた顔をふいっと背けてしまった。

 

 

「知らないはずないのに・・・一緒に来た子を立たせっぱなしはよくない。天草も待ってるからあっちいきなよ・・・僕のことは気にしないで。」

「あ、はい・・・すみません、天草副司令・・・響ちゃんもごめん・・・それでは始めましょう?えーと、あっちに着いたらどのように動けばよろしいですか?」

「そうですね・・・基本的には私が一緒に行動しますので・・・」

 

 

少し気になることはあったけど、七瀬少佐にも挨拶できたし、天草副司令と打合せできたから、それでいいかな?

 




Tips:秘書官は艦娘とは限らない
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