僕の知らない『艦隊少女』のいる世界   作:酔いどれリンクズ

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プロローグ・4話

マルハチマルマル。

うん、軍では時間の指示はこう言うんだよね。

 

響ちゃんにも手伝ってもらって、何とか執務室を綺麗にした翌日。

霧島さんと響ちゃんに連れられて大本営の人事部までやって来た。

軍施設なためか施設配置図なんてなかったし、昨日の今日『ここ』に転移?した僕が何処にどんな施設があるかなどわかるはずもない。

幸い、いつもの事なようで朝、僕の宿泊室へ霧島さんがやって来て「行きますよ?」と食堂へ連れてってくれて、そこで響ちゃんと一緒に朝食を食べた。

そしてそのまま2人に連れられて人事部までやって来たのである。

朝食は意外に美味しかったのである。軍施設だから美味しくないと思ってたけど。

 

事務の人に声をかけ、とある一室に通された。

 

通された部屋には威厳に満ちた壮年の男性が様々な資料に目を通していた。

 

 

「橘優大尉、参りました。」

「そこに座りたまえ。」

 

 

こちらには目もくれずソファーに座るように促してきた。

ちゃんと敬礼できていた、はず?

響ちゃんと共にそのソファーへ座り、霧島さんは男性の側へ移動していった。

 

 

「斉藤中将、こちらをお願い致します。」

 

 

霧島さんは先程、事務の人に貰っていた資料を男性に渡した。

 

『中将ッ!?』

 

心の中で叫んでしまった。

部屋のプレートには執務室としか書かれていなかった為、人事部のお偉いさんの部屋としか思ってなかったけど、まさかの中将の部屋だったとは・・・。

霧島さんの言葉を聞いて、そのまま立ち上がってしまった。

・・・うん。響ちゃん、ごめん。驚くよね?座ったと思ったらいきなり立ち上がったら。

 

斉藤中将と呼ばれた男性は特に気にもしなかったが、霧島さんはやれやれ、と言わんばかりに手を頭にあてた仕草をしていた。

男性は霧島さんに貰った資料に目を通し、それを持ったまま僕たちの対面のソファーまでやって来てそのまま座った。

 

 

「立ったままでは話はできん。座りたまえ。」

「はッ!失礼しますッ!」

 

 

一般中小企業の会社員だった僕が軍関係者の行動なんてわかるはずもない。

けど、とりあえず、失礼がないように動かないと・・・

既におかしなところ満載だろうけど、気を付けよう。

促されソファーへ座ると、中将は口を開いた。

 

 

「周知の通りだが、本日付で君は少佐へと昇進、司令艦と艦娘が授与され新たな任地に就くこととなる。ここまではいいか?」

「はッ!ありがとうございますッ!」

「これが階級章と指示書だ。受け取りたまえ。」

「拝見します。」

 

 

そう言って僕に階級章と持っていた数枚の資料のうち指示書と思われる1枚を渡してきた。

・・・貰い方とか変じゃないよね?大丈夫だよね?

 

階級章は響ちゃんが付けてくれた、ありがとう。

出来損ないな兄を介抱する、しっかりものの妹な感じですね、これ。

 

指示書の方に目を通すと自分の名前と『上記の者、トラック泊地へ赴任するものとする』内容、中将のサインと印鑑がA4の紙1枚に書かれていた。

・・・紙の無駄遣いである。

 

 

「君の赴任地はトラック泊地・・・現在の最前線はマーシャル諸島、クェゼリンだ。その意味がわかるな?」

 

 

トラック泊地はマーシャル諸島のすぐ隣に位置し、クェゼリン基地やソロモン諸島への補給拠点となっていた、はず?

つまりは・・・

 

 

「重要拠点である、と言うことですね。」

「その通り。本来であれば、そのような場所に君のような新米少佐を送ることはあり得ないのだが・・・」

 

 

ホント、何でそんな重要な場所に新米送るんですか?

歴戦の猛者はいっぱいいるじゃないですか?

 

 

「・・・まあ、前線指揮官からの要望だ。彼のたっての要望なのでな、我々も無下にはできん。それに君は前回の防衛戦で自身の『艦隊少女』を持たないにも関わらず、素晴らしい戦果を残した。評価されるべき事だ。」

「自身ができることを行っただけです。評価していただき恐縮ですが、仮に同じような状況であれば誰もが同じことをしたと思われます。」

 

 

3ヶ月くらい前に呉鎮守府に空母と戦艦級の深海棲艦が急襲。

大規模な防衛戦が繰り広げられた。

その時に『橘優大尉』は目覚ましい戦果を残したらしい。

 

一応、日記にも書いてあったんだけど『疲れた』『しんどかった』『軍もう辞めたい』と簡潔な感想しか書いてなかった。

機密で書けない内容なんだろうけど、もう少し何かあったろ?

そのあとの日記はかなり『適当なこと』しか書いてなかったし、よっぽどだったんだろうね。

 

 

「謙遜する必要はないが・・・いずれにしろ、その結果から彼から要望があったわけだ。幸い、君は素質があった。妖精と艦隊少女を扱える『素質』がな。」

 

 

少佐以上の士官で『司令艦』を与えられる要素は2つある。

 

1つは『妖精が見えること』。

深海棲艦にダメージを与えることができる兵器を作成でき『艦隊少女』を作成できる『妖精』を見ることができること。

実は軍の中でもあんまり数はいないのだ。

どういう要素で、妖精を見ることができるのかは研究中らしいけど、現状はうまくいっていない。

一時、爆発的に増えたけど、いまは減少傾向にあるようだ。

 

もう1つは『艦隊少女と意思疏通ができること』

これはまあ、大体の人間ができるらしいけど・・・

適正がないと彼女らの言葉がわからない、理解できないのだ。

一応、軍に所属する人間は最初の適正検査で、ふるいにかけるらしいです。

『兵器』として扱われてるけど『少女たち』なのだ。

『意思』のある女性たちなのだ。

意思疏通が出来ない人間を近くに置いとくわけにはいかない。

 

この辺は教本に書いてあった。

 

 

「要らぬ話だったな。君には私も『期待』している。職務に励んでほしい。」

「はッ!この身、全身全霊をもって職務遂行に励みます。」

「よろしい。君の私物は既に『司令艦』に運んである。本営工厰へ行き新たな艦隊少女と共に艦へと乗船せよ。」

「はッ!失礼しますッ!!」

 

 

そう言って響ちゃんと一緒にソファーを立ち敬礼、部屋を出ていくのであった。

よしッ!これから頑張るぞッ!!

 

 

工厰って何処?響ちゃんわかる?

あ、よかった。

ごめん、案内お願いします・・・




Tips:戦闘力について
ArmoredCoreを知ってる人は理解できると思いますが、妖精さんが作った兵器がノーマル、艦娘がネクスト、って感じな認識と考えてもらえれば
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