横須賀より出航して4日が過ぎた。
特に大きな問題もなく、安全な航海を続けている。
2日目くらいに硫黄島基地を経由して、進路を南へと進んでいた。
・・・そして僕は仕事に忙殺されている。
いやいやいやいや、確かに僕がこの艦の艦長なんだから、必要な決済とかあるんだろうけど、弾薬とか燃料、補給物資の管理とか知るわけないですよッ!?
さらに、搭乗員の訓練状況の確認やストレスチェックとか、もう僕の頭はパンクしますッ!!
響補佐官ちゃんッ!!ヘルプッ!!
「弾薬や燃料などの軍備関係は響に渡してください・・・と言うより、それらは判を押すだけです。響がチェックしてますよ?訓練状況についてはトラック泊地に着いてから総司令官と相談しましょう。あと、医務室のカウンセラーと相談しましょう?司令官はアーガスさんと響の訓練についてご指示ください。」
響ちゃん、マジでありがとうございます。
響ちゃんが補佐官にいてくれて本当に助かります。
霧島さん、斉藤中将、この采配、本当に感謝です。
現状、響ちゃんは僕の秘書官的な立ち位置にいてくれる。
秘書官と補佐官は若干の業務の違いはあるけれど、やることはほぼ同じらしい。
唯一違うところは、任命できる規定と、戦闘に参加するかしないか、である。
秘書官は、戦闘に基本的には参加せず、司令艦の運営を主に請け負い、司令官の補佐をする。(霧島さんは斉藤中将の秘書官らしい)
補佐官は、戦闘に参加し艦隊の指揮を行い、軍備関係を取り扱うとの事。
秘書官は艦娘が10名以上指揮下に入れば1名任命でき、補佐官は、大体5名くらい任命できるらしい。
「通信部より伝令で、明日ヒトサンマルマルにトラック泊地より、護衛の司令艦がこちらに合流するそうです。合流後、硫黄島基地の随伴艦は帰投します。」
「そっか~。じゃあ、各所に通達しないとね。そういえば、アーガスはそろそろ帰ってくるかな?」
「はい、間もなく帰投する連絡が来ています。」
「じゃあ、お迎えに行こう?休憩がてら、お昼を食べに。」
ささっと片付けて席を立ち部屋を出る。
響ちゃんの無言の圧力を感じるが知らない。
業務内容についてはいろいろ話してくれるけど、普段は口を開くことほとんどない響ちゃんである。
無表情ってほどではないけどあまり表情も変わらないし、僕、嫌われてるかなぁ・・・いろいろお世話してくれるし、違うとは思うけど・・・
僕が出てすぐに響ちゃんも部屋から出てきて、一緒に移動する。
移動中、僕が話しかけるけど、首を縦に振ったり横に振ったりで口を開くことはほぼありませんでした。
まあ、いつもの事なので・・・
司令艦の後方に位置するカタパルトハッチ。
ガン○ムで出てくる戦艦のカタパルトくらいの大きさがあり、司令艦の中で一番大きい。
まあ、ここで艦娘たち使う艤装の整備や開発もするんだからそれなり大きくないとダメよね?
見渡すと、妖精さんが各々作業している。
ハッチも間もなく開くみたいであっちに多くの妖精さんが動いている。
あ、二人ほど人間もいます。妖精さんが見える整備班志望の方々です。
「おむかえですか~?それをりゆうにしごとほっぽりだしてきましたねぇ。まあ、たいみんぐはちょうどいいかんじです、はっちひらきますよ。」
喋る妖精()である。
アーガスを迎えた時にいた妖精で僕の専属工厰妖精だそうです。
基本的に艦娘たちは妖精さんたちの言っていることを理解できるらしいが、人類は声を聞くことはない。
たまにこうやって人間と話すことができる妖精さんもいるらしいけど、極少数なんだそうだ。
・・・何でこんな珍しいのが僕の専属なんだろうね?
ちなみにこの工厰妖精、微妙に口が悪く、さらに勝手に開発をして資材をガツガツ減らしていく。
一応、妖精の采配で使える資材があるんだけど、その枠などあっという間に無くなっている。
追加装甲や改良型エンジン、ソナーなど便利な物作ってくれるのはいいんだけど『今』は必要じゃないです・・・
半分、遠い目をしながらハッチの方を見ていると、ハッチが開き、外・・・つまり大海原が見える。
戦況や海の状況により、海面ハッチやクレーンでの引き上げ、甲板からの出撃などいろいろやり方がある。
今は海も穏やかなため、海面にあるハッチが開いている。
そこを海の上でスケートをするかのような軽快な動きで滑り、艦内に入ってくる少女がいた。
少女が入艦するとすぐにハッチが閉まり、整備班も妖精も次の作業に移っていく。
「あ、司令官、お出迎えしてくれたのですかッ!?ありがとうございますッ!アーガス、ただいま帰還いたしましたッ!」
僕を見つけるや否や、すぐ目の前にやって来て、その言葉と共に敬礼してくる少女。
少女・・・アーガスの笑顔は訓練で外に出ていて疲れているはずなのに、とても輝いていた。
Tips:仕事の効率が悪い主人公