日常の破滅
この世界は
あらゆるものが物質となって物事を動かす。
情報が流れるのにも機械を使うし、ビッグデータを活用するのにも機械が使われる。政治や経済では金が動くし、それに伴って人間も動いていく。
そう、人間でさえ物質でしかない…
そう、全てが物質なのだ…
そう、物質が全てなのだ。
…この不思議な夢は俺がいつも見る夢だ。俺は神谷 迅。ちなみに現在のこの世界は夢のように物質が全てではなくて、今や超能力が全ての世界へと変わっている。
昔の頃のような機械はほとんど必要がなくなっているのだ。
俺とて例外ではなく超能力を持っているのだが、俺の超能力は頭の中で考えた事をそのまま口に出すと具現化させることが出来るというものだ。ただ、同じ量程度の密度のある物質を触った状態が条件でその考えたものが変わるといった地味でもあれば、少し便利でもある能力だった。
「さあ、歯でも磨きますかな〜」なんて一人暮らしのこの家で誰も聞いてないのに呟いた。いつものように歯ブラシで濡らして、水の部分を歯磨き粉に変えるべく、歯ブラシの濡れた部分を触って「この水は歯磨き粉に変わる!」と宣言した。
この超能力を知らない人が見たら頭がおかしいと思うかもしれないが、俺がさっき説明したとおり、水は一瞬で歯磨き粉に変わった。
「さっきから、なにブツブツと考えているの!」
「うおぉー!! びっくりした… いるなら言ってくれよ。ナツ。」
俺を驚かせたこいつは俺の家の隣に住む木暮 ナツだ。超能力は風を作り出すこと。性別は女性で性格はまぁ…元気なやつってことだけ話しておこう。
「だって、起きるのが遅いそっちがわるいんだよ。起こそうと思ってきたら、鍵かかってなかったし。のんびり歯を磨いてるなんて…。今日は学校だよ!」と笑顔を向けながら俺に言ってきた。
「えっ?ナツ、今日は休日だよ。今日は日曜日だ! だからのんびりとしてたんだよ」と俺はまたかよって思いながら言ってやった。
「えっ、そんなことは…」と言いながら携帯の画面で日にちを確認したナツは明らかに顔を赤くしながら凄い早さで俺の家から出て言った。そう、あいつは元気なやつなのだが、それ以上にネジが一本抜けている。いや、3本くらい抜けていると言っても盛っているとは思えないほどの抜けっぷりなのだ。そして、自分が抜けていることに自身が気づくと恥ずかしくなって、さっきのようにその場から全力で逃げていくのだ。
今日はゲーセンでも行くかと考えて、外にでたらすぐ前にナツがまたいた。
「どこいくの?」
「うーん、暇だからゲーセンでも行こうかなってさ」
「私も一緒に行っていい?」目を輝かせながら俺に聞いてきた。
「お前は断ってもついてくるだろ。なら、別に最初から一緒にいてもらった方が面倒じゃないし、いいよ」はぁ〜と溜息をつきながら俺は言った。
ゲーセンでナツがUFOキャッチャーのプライズ品を取ってほしいとせがんできたので、能力で変えてやるよと言ったらむすっとした顔をしながら「私はUFOキャッチャーで迅が取ってくれたのがほしい」と何故か不思議なことを言っていたので仕方なく取ってやったら、物凄いはしゃいでいたから、そんなに欲しいものだったのかと少し驚いた。数時間後…「いっぱい取れたね〜!今日はありがとね、迅。」
「お前、どれだけ欲しいものあるんだよ…
まぁ、お礼言ってくれたからいいとするよ」と軽く話しながら家に帰った。今日は楽しめたし、明日は学校だから寝るとするか…。
夜中に俺の家の扉が思い切っり開けられた音が聞こえて俺は目が覚めた。
「助けて、迅。今、よくわからないやつに捕まえられそうになって…
逃げてきたんだけど。超能力はなんなのかわからない。」と走って逃げたのか息を上げながら俺に話してきた。
「落ち着けよ。こんな夜中に悪いやつなんか出やしないって。
それよりもなんで俺がUFOキャッチャーで取ったやつを右手に握ってるんだよ。」少し笑いながら、俺はそうやってあしらった。
ナツは顔を少し赤くしたが家から出ようとはせずに、俺の顔を真剣に見てきた。
「えっ?本当にやばいやつが来てるのか!どんなやつだ?絶対に捕まえはさせないよ、ナツ。俺がもし、そいつにやられそうになったらお前は逃げるんだ。」
ナツは正直に頷いた。
ドアが壊れる音が家全体に響いた。俺は布団に手を触れて「この布団は頑丈な剣に変わる」と呟いた。俺は剣道部で全国ベスト8には入っていたから剣をチョイスした。その剣を手にナツを攫おうとしたやつに対面すべく、ドアのある方向へと進んだ。
敵はすぐそこにいたが、顔以外は全て化け物を連想させるような筋肉の隆起、手はそのまま振っても物が切れるくらいの鋭さをも持っていた。
「おい、バケモノ!ナツを攫おうとしたらしいが、俺に勝ってからじゃないと絶対にさせないぜ。」
「お前に用はない。あの女の能力は可能性が高い。お前とゲームセンターにいたのを見た時から、俺はお前らの超能力がなにかが分かっているのだからなぁ〜。さぁ、今のうちに渡せばお前は一撃であの世に送ってやる」
「結局殺すのかよ。ナツにどんな可能性があろうと嫌がってるのなら俺はアイツを守る。そして、この剣でお前を倒す」
バケモノは俺に向かって鋭利な腕を振り下ろしてきた。剣でそれを弾きながら、やつが石になるところを想像しながら、左手でやつの腹を殴った。
だが、バケモノは全く効いていなかった。少しでも俺の想像の中にやつに対する恐怖が入ったせいだ。それどころか俺の左手はその場、殴ったその時点から動かすことが出来なくなっていた。
「まさか、お前の超能力は固定化…」
「お前は俺に触れた時点で負けが決定してたのさ。終わりだ」
俺に即死級のスピードでやつの腕は下ろされた。
俺の片腕が一瞬でもげた。血が激しく吹き出すも、敵は連続で攻撃を入れてきたため、辛うじてどうにか避ける。
思いっきり床を蹴って、敵との位置を遠くした。そして自分の家の壁にもげた片腕の断片を沿わせ「この壁は俺の左腕に変わる。」と痛みを堪えながら想像し、腕を治した。
「お前の能力が固定化なのは分かったが、なんで身体はそんなにも化け物みたいになっているんだ。」
「てめぇに答える義理はない。俺は女を捕まえろと言われたのみだ。」
「言われた…ということはお前には上のヤツがいるってことか。」
「あぁ、そうだとも。お前やあの女が知らないだけで俺達は組織として動いている訳だ。だから、万が一にもお前が俺を倒そうとも違うやつがやってきて、あの女を再び攫いにくるんだ。」
「だから、諦めろってか…そんなに俺は薄情じゃねぇ!攫いに来るやつがどれだけ来ようと何回でも倒してやる!」
俺は再び攻撃しようと間合いを詰めた。
「何度やっても同じだ。てめぇはここで死ぬんだよ!」
敵はさっきと同じように鋭利な腕を振り下ろしてきた。それを剣でさっきと同様に弾いた。やつはもう一つの腕で俺の腹を切りにきた。瞬時に俺は腹の部分を鉄に変換し、やつの腕をそのまま受け止める。そして、やつの腕をつかみ「この腕は人間本来の腕に変わる!」と叫び、そして刀でやつの腕を切った。
さっきとは逆にやつは血を激しく流しながらも、俺との間合いをとった。
「キサマァァァ!!ぶっ殺す!!」
怒りを露わにしながらやつは叫んだ。
「お前は俺に同じ目を合わせながらそんなことを言うのか。次でトドメをさしてやるよ。」
俺はそう言いながら、剣を中段に構えやつと対峙した。
バケモノはブツブツ何かを言いながら、俺に向かって真正面から突っ込んできた。「コロス!!絶対にぶっ殺す!!大人しく殺されればいいものをこの俺の腕を切りやがってぇぇ!!」
俺も剣に勢いをつけようと地面を蹴ろうとした…しかし、地面を蹴ろうとした足は地面にくっ付いたままだった。やつの固定化は範囲が触っているものでなくてはいけないという規則は不確定のままだったのを忘れていたのだ。「しまっ…」と思わず声に出した時には、やつはもう鋭利な腕を振り下ろそうとしていた。
肉体が斜めに切られた音が聞こえた。
その時、俺は痛みを感じていなかった。薄く目を開けたら、ナツが目の前にいた…
「お前、なんで…。逃げろって言ったじゃないか。」
「わたしは…迅が死んじゃ生きても意味はなかった…
迅と一緒にいて、守ってもらったり…笑ったりするのが私の好きなこと…それを守りたかったの。でも、もう無理だね。君のこと…好きだったんだ…」
ナツの体から血が止まることなく流れていく。
「おいおい、目的が死んじゃったら意味がねーじゃねぇか。早く生き返らせろよぉ。なぁんてな、俺はその女が死んでても使えるからいいんだけどなぁ〜。お前には結局死んでもらうことになるし、無駄死にだったなぁ〜。」バケモノは怒り半分、笑い半分を見せながら、そういった。
俺は全身から怒りを発しながらバケモノに切りかかったが、バケモノはそれを跳ね除け、俺を足で本気で蹴飛ばした。
壁に思いっきり身体をぶつけ、体が動かない。骨という骨は折れ、至る所から血は流れていく。
…俺はなにも守れず、死ぬのか。 どっくんと心臓が大きく動く。
俺は日常を望んだだけなのに… どっくんと心臓がさっきよりも大きく動いた。
バケモノはナツを肩に担ぎ、連れていこうとしている…畜生!!守ると約束したのに!起き上がればまだ間に合うのに…なんで身体は動かないんだ…
なんでだ!!ただ、平和を望んでいただけなのに…なんで…なんで…
どっくんと一際心臓が大きくまた動いた。薄れていく意識の中、「あとは任せて…」という声が聞こえた。そして、それと同時に俺の意識は落ちた。もう一人の俺が覚醒しようとしていた…
…「シンキング・クリエイトを元の能力へ…」
「そこの君、待てよ。」
「あぁ!!まだ生きてやがったのか。何回やったって同じ事だ。殺してやるよ!」と肩に担いでたナツを下ろし再びバケモノは僕に対峙した。
「片腕を失った状態で威勢がまだあるとは。まぁ、数分後には君はもう死んでいるだろうけど。君との会話は楽しくもない。だから、もう死んでもらうことにするよ。クリエイト、家を鋼鉄に。ナツの血液の一部をナツの皮膚に変換、及び体を不導体へ。」まず家に触れながら家の形のまま素材を鋼鉄に。次にナツの血液に触れながら、ナツの傷を治していく。
「知っているかい?生命エネルギーを電気に変換すると電圧はものすごく高くなる。だから君が触れたら恐らく死んでしまうだろうね。もう逃れることは出来ないさ。ブレイク、指定されたオブジェクトを灰へ」一瞬で僕の体の一部を電気に変換して、超高電圧の電気がこの家全体へと広かった。
「なっ、なんだ…お前のその変化は!うわぁぁ!!…」
やつは叫びをあげて、僕が作り出した電気を浴びて灰となった。
「変わったんじゃなくて、元々がこれだったが僕自身が望んだのは平和だった…、だから僕は心の奥底に意思の残留という形で僕自身の体に残り続けた。」
「俺が見た時の能力とは違うってことか…?お前みたいな能力を持つやつは、今後はこの女と共に俺みたいなやつに襲われ続ける…だろう…な…」灰になったバケモノは最後にそう呟やいた。
「オールクリエイト・シンキングブレイク。これが僕の本当の能力だ。そして、ゲームセンターで君が見たと言う僕の能力はシンキング・クリエイトと言われる、平和の能力だったってことだ。狙われるのなら、それを破壊するまでだよ。」僕の本当の能力は全てを創造し、そして想像したものを壊す。平和とはかけ離れた能力だった。また、人格やIQも入れ替わるほどの強力な能力だ。でも、今回はナツと僕自身を守るために使えてよかった… そう考えた時、僕は多量出血によってその場に倒れた。