インフィニット・パワーレンジャー   作:赤バンブル

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楯無ファンの方はすぐにお逃げください。






「姉妹の決別」

IS学園 生徒会室

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

生徒会長、更識楯無はイライラしながら仕事をしていた。ここ数日、各部屋に設置した盗聴器が不調なのか情報が一切手に入っていないのだ。特に大量に設置したはずの簪の部屋からは何一つ音すら掴めない。

 

(まさか見つかった?・・・・いや、それは考え過ぎか。暗部の仕事にはかかわったことがない簪ちゃんが見つけるはずがないし・・・・・やっぱり、故障なのかしら?それにしてはこうも一斉に・・・・)

 

考え込みながら仕事をしている楯無を虚は不思議そうに見ていた。そんな楯無に対し、本音は少し楯無の様子を見ながら仕事をしていた。いつもは集中するにも拘らずである。

 

(いつもなら集中して仕事を消化するのに・・・・・本音にしては何かおかしいわね?)

 

そんな中、生徒会室のドアを誰かがノックをした。

 

「はい。」

 

「お仕事中すいません。布仏さん、ちょっとよろしいですか?」

 

虚がドアを開けると外では真耶が立っていた。

 

「何の用件ですか?こちらも仕事が・・・・・」

 

「実は重大なお話がありまして・・・・・・」

 

「重大なお話・・・・ですか?」

 

「はい、少しお時間をいただけませんか?」

 

「は、はい。」

 

虚はまた楯無の後処理かと思い、生徒会室を後にして行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別室

 

「どうぞ入ってください。」

 

真耶に言われるままに虚が部屋に入るとそこには各国の代表候補生たちが腕を組んで立っていた。ちなみに一同の前には一夏たちとアルファ、簪が立っている。

 

「あの・・・・・代表候補生の皆さんがこんなところに集まって何を・・・・・妹様まで。」

 

「布仏さん、落ち着いて聞いてください。実はここに入る代表候補生の皆さんの部屋に多数の盗聴器が発見されたんです。」

 

「・・・・・・えっ?」

 

「アイヤイヤイヤイヤイ・・・・最初は私が数日前に偶然、簪さんたちの部屋で見つけたんですけどそこから捜査範囲を広めてみたら・・・・・・」

 

アルファは虚の前で何かが入っている袋の口を開けて中身を出す。中には発見された盗聴器が大量にあり、虚は言葉を失った。

 

「これが各国の代表候補生の大半の部屋に設置されていたんです。」

 

「虚・・・・・この盗聴器って家の暗部で使っている物だよね?」

 

簪が一つを取って虚に見せる。調べる限り、明らかに更識家仕様の物だ。

 

「こ、これが・・・・・・・妹様や皆さんの部屋に・・・・・・・」

 

虚はふと思い出した。

 

何故、本音が落ち着かない様子で楯無を見ていたのか。

 

どうして、楯無がイライラしながら仕事をしていたのか。

 

目の前の現実で辻褄が合った。

 

同時に自分の妹まで巻き込んですべてを監視していたことに怒りが込み上げてきて、目から涙が出てきた。

 

「どうして・・・・・・・どうしてこんなことを・・・・・・」

 

自分の妹のプライベートまで盗聴されたあまり普段の落ち着いた態度が崩れていた。

 

「許せない・・・・・・いくら私たち一族が更識家に仕えるためとはいえ・・・・・・・本音にまで・・・・!」

 

虚は、堪忍袋の緒が切れたのか部屋から勢いよく出て行った。

 

「行っちゃった・・・・・・あんな虚、初めて見た。」

 

「不味いな・・・・あの状態だと人殺してでもおかしくない状態だぞ。」

 

一夏は気まずそうに言う。

 

一夏だけではない。

 

文句を言おうとした被害を受けた代表候補生たちさえも虚の態度を見て思わず驚いた。

 

「・・・・・って、そんなこと言ってる場合じゃねえよ!早く止めねえと豪いことになるぞ!」

 

弾は急いでバックルを外す。

 

「サーベルタイガー!」

 

黄色の光に包まれると同時に弾はタイガーレンジャーに変身し、急いで彼女を追って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室

 

「お姉ちゃん、やめてよ~!!」

 

本音は、必死になって虚を取り押さえようとしていた。虚の目の前では頬を手で押さえる楯無が怯えながら尻餅をついていた。どうやら殴られたらしい。その証拠として床には割れたティーカップの破片などが散乱している。

 

「離しなさい本音・・・・・・・私は・・・・・・お嬢・・・・・・この女を・・・・・」

 

「私はもういいから!だからこんなことやめてよ~!」

 

本音の拘束を振りほどいて、虚は楯無に近づく。その顔には怒りのあまりに楯無を殺さなければ治まらないと感じさせた。

 

「う、虚ちゃん?いきなりどうしたの?そ、そんなに怒って・・・・」

 

楯無は状況を理解できないでいた。無理もない。戻ってきたかと思いきや避ける間もなくいきなり顔面に向かってグーパンチをされたのだから。そんな、楯無に対し虚は先ほど取ってきたのか盗聴器を楯無の前に見せる。

 

「・・・・・・・」

 

やっと理解したのか楯無は何も言わなくなる。

 

「私たち姉妹は更識家に仕える身だからあなたに仕えていた・・・・・・なのに・・・・こんなことまで・・・・」

 

虚は涙を流すと再び楯無に殴りかかろうとする。

 

「やめろ!」

 

そこへタイガーレンジャーが生徒会室に入ってきて虚を取り押さえる。

 

「離せ!」

 

「やめろ!こんなことしたってどうにもならないだろ!」

 

「この女は絶対に許さない!」

 

「落ち着けって!」

 

タイガーレンジャーに取り押さえられながらも虚は楯無に近づこうとする。

 

「本音まで巻き込んで!殺してやる!殺してやる!」

 

虚は床に散乱した破片などを楯無に向かって投げる。普段の彼女なら絶対にありえない行為だ。楯無は力が抜けた状態で受け続けた。

 

「お姉ちゃんもういいよ~!だからもうやめてよ、こんなお姉ちゃん見たくないよ~!」

 

本音は虚のあまりの行為にもう泣き目で抱き付いた。ようやく我に返ったのか虚は本音を見るなり大泣きしながら抱きしめた。

 

「ごめんね本音・・・・・こんなことに巻き込んじゃて・・・・ごめんね・・・・・ごめんね・・・・・」

 

落ち着いたと悟るとタイガーレンジャーは虚を離す。それと同時にティラノレンジャーたちが駆けつけてきた。

 

「大丈夫だったか?」

 

ティラノレンジャーは本音たちを一目見てタイガーレンジャーに聞く。

 

「なんとかな、でもあちらはもう駄目みたいだな。」

 

タイガーレンジャーは楯無の方を指で刺す。楯無はまるで人生が終わったのかのような顔をしてぐったりとしていた。

 

「織斑、五反田。少し下がっていろ。」

 

マンモスレンジャーが簪と共に部屋に入ってくるとティラノレンジャーたちは泣いている虚たちを連れて生徒会室から出ていく。部屋の外では代表候補生たちが心配そうにその光景を見ていた。

 

「か・・・・・簪ちゃん?」

 

力が入らないのか楯無はゆっくりと簪を見る。簪は、そんな楯無に対して全く無慈悲な顔をしていた。

 

「更識、聞いているかわからんが既に学園長から生徒会長権限の凍結と、身柄の拘束の通達が出ている。わかっているな?」

 

マンモスレンジャーは無言の対峙の中で言う。簪は、楯無をしばらく見つめるとそっぽを向いて生徒会室から出て行った。それを確認すると戻ってきたティラノレンジャーたちが四人がかりで楯無を拘束し連れて行く。

 

「アイヤイヤイヤイヤイ・・・・・・よかったんですか?何も言わなくて?」

 

アルファは心配そうに簪に聞く。

 

「いいの。あの人は今までたくさんの我侭を聞いてもらっていたんだから。その代償を受けるだけなんだから・・・・」

 

さりげなく言う簪の後姿はどこか寂しそうに見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・更識簪です。

 

姉は一夏たちに連行された後、すぐに退学扱いになりました。

 

その後もロシア代表の座を剥奪され、国籍もなくなったそうです。当主の座も。

 

当主がいなくなったことと私が後を継ぐのを放棄したため、更識家の取り潰しも決まり、私は晴れて自由の身になりました。ちなみに私は実家との縁を切ることになり、これから先どうしていくかは自分で考えていくつもりです。

 

姉がしたことはあまりにも大きくそれは、諜報一族の更識家を潰すという大きな出来事になりました。

 

確かに姉は、我侭で好き放題やったのだからその罰は当然だと思います。

 

でも、それは妹である私にも問題があったからかもしれません。

 

私がもっと早く姉と理解し合うことができていれば。

 

姉が自分の性格を見つめなおそうとしていれば。

 

 

こんな結果にはならなかったのかもしれません。

 

姉は今私が知らない場所で幽閉されているそうです。おそらくもう会うこともないかもしれない。

 

姉がやったことは決して許されることじゃない。

 

でも、私のことを愛してくれていたのは事実。それだけは理解できる。

 

ありがとう、お姉ちゃん。愛してくれて。

 

そして、さようなら。

 

 

 

 

 

 

 




本来最後のシーンでは簪が楯無に平手打ちをして、代表候補生たちに謝れというシーンにする予定でしたが連続で攻撃されるのといじめるのはかわいそうと言う判断で没にしました。

次回は「大食いモンスター」。

お楽しみに。
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