食事は、人生の楽しみの一つである。
味を楽しんだり、見た目を派手にしたり、友達と楽しんだりと人それぞれの楽しみ方がある。
もちろん私、五反田蘭もその一人である。
実家が食堂と言うこともあるけどそれとは別に家では味わえないスイーツを友達と楽しんだりする。
五反田食堂 夜
「はい、もしもし・・・・・あっ、お兄ぃ?どうしたの、こんな時間に?」
蘭は、髪をとかしている最中に電話をしていた。
『実はお前に聞きたいことがあってよ。』
「私に?一体何の話よ?」
『今度家に帰るとき、一緒に連れてくる人になんかおいしいやつを紹介したくてよ。ほら、お前よく友達と一緒にそういう関係の店に行くだろう?だからさ・・・・』
弾は何か言いづらそうだった。
「もしかしてお兄ぃに彼女でもできた?まさかだとは思うけど・・・・・」
『バッ、馬鹿言うなよ!パワーレンジャーの俺がそんな暇あるわけねえだろ!ちょっとした心のケアをする必要がある人がいるからだよ!勘違いするな!』
「あははははは、まあいいわよ。どうせ、少ない時間での一時帰宅なんだし、今度の日曜にでもおすすめの店検索しとくから。」
『すまねえな!俺ってこういう事に関して無知だからよ・・・・』
「だからいつまでも彼女ができないんでしょ。」
『ぐはっ!』
「あはははははははっ・・・・・」
数日後 月 バンドーラパレス
「はあ・・・・・はあ・・・・・・おいしそうだな・・・・・」
ブックバックはドーラスコープを覗きながら涎を垂らしていた。隣にいるトットパットは興味津々で変わってもらうのを待っている。
「お、おい!何見てんだよ!?ブックバック!?俺にも早く見せてよ!ねえ!?」
「ショートケーキにマンゴープリン、いちごシュークリームと杏仁豆腐・・・・・」
「人の話を聞け!この馬鹿!俺にも早く見せろ!」
二人が騒いでいる中、バンドーラがふらついてやってきた。
「ハァ・・・・・・・目が回る・・・・・」
「!?どうなさったのですか!?バンドーラ様!」
ふらついてやってきたバンドーラをトットパットは心配して来る。
「ハァ・・・・・一億五千万年ぶりに目覚めてから食欲が出て・・・・・・あっと!いう間に五キロも増えて・・・・・ねえ?あたし、キレイ?」
「えっ、ええ!?あ・・・・・あの、あの私は今眼鏡の度が合わなくって!」
バンドーラの突然の質問に対してトットパットは何とか誤魔化そうとする。そんなトットパットを無視してブックバックはまたドーラスコープを覗く。
「だから今ダイエットで食べるの我慢してんのよ。・・・・・・ん?何覗いているんだい、ブックバック?」
バンドーラはドーラスコープを覗いているブックバックを避けさせ、覗き込む。ブックバックが覗いていたのはとある洋菓子店の客席で女子学生たちがおいしそうなケーキやプリンを食べている姿だった。その中には蘭の姿もあった。
「あぁ~!食べてる!何なのよアレ~!」
バンドーラは魔法で聴力を上げて蘭たちの会話を盗み聞ぎする。
『へえ、生徒会長のお兄さんが・・・・・』
『そうなのよ~。』
『でも、大変なんじゃないんですか?IS学園って今まで女子校同様だったし。』
『そして、今度お家に帰ってくる時に・・・』
『なるほど、それで今回一緒に来ないかって言ったわけか~わざわざ下見に行くなんて生徒会長って意外にお兄さん思いなんですね。』
『ち、違うわよ!私はちょっと・・・・・・』
『でも羨ましいな~連れてくる人ってやっぱり女子だからほぼ彼女みたいなもんじゃないですか!うちは女子校でそんなことできないし・・・・・』
『きゃあ~!!私も早く恋したい!』
「うぅ~~~!!!私は食べるのを我慢しているというのに!!」
バンドーラは腹を鳴らしながら言う。
「我慢してる?」
「お前には関係ないよ!」
トットパットとブックバックが言っている中、バンドーラは不機嫌な顔でプリプリカンの仕事部屋へと向かって行く。
「プリプリカン!プリプリカ~ン!」
部屋の中ではプリプリカンが相変わらず粘土でドーラモンスターを製作中だった。突然入ってきたバンドーラにプリプリカンは呆れた顔をする。
「全く、今度は何ですか?」
「ほら、この間ドーラキルケ作ってたろう?あれを窯にお入れ!」
「嫌だなぁ・・・・あれは失敗して自信がないんじゃよ。」
「いいから早く!」
「は、はい!」
バンドーラの謎の気迫に押され、プリプリカンは仕方なくごみ箱に捨てた人形を取り出し、窯の中へと入れる。
「あぁ・・・・・思い出しただけで目が回る・・・・」
「バンドーラ様は言うといつもきりがない。」
プリプリカンは文句を言いながらレバーを引く。すると窯から奇声が鳴り、パイプがうねうねと動き、出た瞬間爆発する。爆煙が晴れるとそこには、巨大なナイフとフォークを持ち、古代ギリシャの兜を被った豚の頭に手足を付けたようなモンスターが立っていた。
「ドーラキルケ!ブウブウ、腹減った!何か食べたい食べた~い!!」
ドーラキルケはフォークとナイフを持ちながら叫ぶ。
「ハァ・・・・・・・なんだこりゃあ?」
「・・・・言わんこっちゃない・・・・・」
自分から誕生させろと言ったバンドーラは唖然としながらドーラキルケを見る。
日曜日 五反田食堂
「確か、昨日の基地での打ち合わせでは九時半に来るようにって言ったけど・・・・・お兄ぃ、ちゃんと来るのかしら?」
蘭は時計の針を見ながら確認する。隣の厨房では既に蓮と厳が料理の下ごしらえを終えているところだった。時計の針はもうすぐ九時半になろうとしている。
「そもそもお兄ぃが連れてくるって子どんな子のかしら?詳しく聞かなかったけど・・・・・」
そのとき、ちょうど食堂の戸が開いた。
「ただいま~!」
声からして入ってきたのは弾だ。
「お、お邪魔します・・・・・」
聞き覚えの無い女性の声が聞こえた。蘭は入り口の方へと行く。
「お兄ぃ!一体どんな人・・・・・・・」
弾の目の前に来た蘭は思わず言葉を失った。弾の隣には私服の姿をした虚が少し恥ずかしそうに立っていた。
「母さん、じいちゃん、蘭。紹介するぜ、IS学園生徒会会計の布仏虚先輩だ。」
「始めまして、布仏虚と言います。」
虚はお辞儀をして挨拶をする。蘭は予想以上に美人だったことに唖然としている中、蓮と厳が先に挨拶をする。
「家の弾がお世話になっています~。」
「孫がご迷惑をお掛けして申し訳ごぜえません。」
「い、いえ・・・・私こそ、五反田君には本当にお世話になっているので。」
「ちょっと、お兄ぃ!」
「な、なんだよ!?」
蘭に手を引っ張られ、弾は外に連れ出される。
「あれのどこがケアする必要があるのよ!めちゃくちゃ綺麗な人じゃないの!」
「色々あったんだよ!危うく人を殺しそうになったんだぞ!」
「あんな美人が人を殺しかかるなんてことあるわけないでしょうが!って言うか一夏さんたちはどうしたのよ!?一緒に来るんじゃなかったの!?」
「それがよう・・・・・なんて言うか、『虚先輩はお前に任せるわ。』って言われて俺と虚先輩の二人と別れて行動することに・・・・・」
「何よそれ!せっかく一夏さんが来るって言っていたから服装も整えていたのに!」
「先に街の方に行っているだけだから問題ねえだろ!と言うかむしろ・・・・・」
「あの・・・・・・」
「「何!?今、取り込み中・・・・・・・あっ。」」
二人を心配して出てきた虚に思わず怒鳴ってしまった。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・お邪魔でしたか?」
「い、いえいえ!滅相もない!ちょっと兄と一緒に今日行く店を打ち合わせしていたところなんです~!!アハッハッハハハハ!!」
「そ、そんなんですよ!先輩!ご心配かけてすみません!ハハハハハ・・・・・・」
「そ、そうですか・・・。」
商店街
一方、一夏たちは弾たちより先に商店街に来ていた。メンバーは一夏、鈴、シャル、簪、本音、そして、ラウラの6人だ。本音と簪に関しては、この間の楯無の件に関してでの精神的疲労を考えての気分転換(本音はそこまでひどくないが)、ラウラは精神がだいぶ安定したことと洋菓子などに興味津々だったため一緒に行くことになった。
「・・・・・・」
ラウラはとある洋菓子店の前で立ち尽くしていた。この店はケーキ専門店で特に複数のフルーツを使用したロールケーキが売りだったのだが開いているはずの店は閉まっていた。
「きゅ、休業だと・・・・・・・そんな馬鹿な・・・・まだ店が開いたばかりの時間帯だぞ!?それに今日は休みでもないのに・・・・・」
店の看板には閉店という字があった。
「このケーキ屋・・・・・私が中国に戻る前にやっていた店だけど・・・・・こんな時間帯に締まるなんておかしいわね?」
鈴も不思議そうに言う。それは一夏たちも同じだった。と言うよりもここに来て、開いているはずの店の殆どが閉まってしまっていることに違和感を感じていた。
「わ、私が調べた店が全部閉まっているとは・・・・・・・私はそこまで未熟だというのか・・・・。」
ラウラはショックのあまりに跪いてしまう。
「ラウラが未熟なわけじゃないよ!?だから、元気出して!」
シャルは必死にラウラを励ます。簪は周りを見ながら一夏に聞く。
「一夏、この辺ってそんなに休みの店ってあるの?」
「いや、こういう休みの日でもこの通りは、どの店も普通にやっているぞ?第一この店はメニューも豊富だからこの時間帯なら既に行列になってもおかしくないはずだ。」
「私もその件に関しては保障するわ。他の店だって同じ日に一斉に閉まるなんていくら何でもおかしすぎるわ。」
「じゃあ、どうする?虚と五反田君もそろそろ合流するのに・・・・・。」
「そうだな・・・・取りあえず近くのマッ〇で時間でも潰すか。あそこなら二十四時間で休みじゃないはずだし・・・・・」
「おりむーの意見にさんせ~い。私はもう胃袋に何か入れておきたいのだ~。」
本音は近くのマッ〇へと直行しようとする。
「本音ったら、別にハンバーガーならなくならないのに・・・・・」
「お~い!」
そこへ丁度弾たちが合流した。
「よう、蘭!今日も服装に力入れているな。」
「へへへ、似合います?」
一夏に言われて蘭は少し照れくさそうな顔をする。
「それじゃあ、早速おすすめの店に・・・・」
「悪いけどちょっと別の場所選べないか?」
「えっ?いきなりどうしたんですか?」
「実はこの辺の店どういうわけかみんなお休みなのよ。だから少し離れた店でもいいから少し話し合って・・・・・・」
「きゃあ~~!!」
鈴が言いかけたとき、マッ〇の方から本音の悲鳴が聞こえた。
「本音!」
簪は、店の中へ入っていく。
「いったい何の騒ぎだ!?」
一夏たちも店へと入っていく。
「えっ!?ちょ、ちょっ・・・・・・・。」
弾は隣にいる虚を見る。
「う、虚先輩!ちょっとここで待っていてくださいね!すぐに戻りますんで!蘭、頼んだぞ!ボーデヴィッヒさんも。」
「お、オッケー・・・・・・。」
「わ、分かりました。」
そう言うと弾も急いで店の中へと入って行った。店に入るとドーラキルケが無差別にハンバーガーを平らげていた。
「うまい!うまい!安いけどうまい!」
「ぶ、ぶ・・・・豚?」
弾は思わず言う。ドーラキルケは続いて本音が持っているハンバーガーに目を付けた。
「それもいただきま~す!」
「あ~!これは私のだからあげないよ~!」
本音はカウンターに代金を置くと逃げる。
「ブウブウブウ!待て~!!」
ドーラキルケはフォークとナイフを持つと止まらぬ速さで本音の後を追う。近くでは一夏と鈴が納得したような顔をしていた。
「・・・・・・これで近くの店がみんな閉まっていた原因が分かったな。」
「みんな、あの豚の仕業ね。」
「おい!お前らいつまで納得してんだ!早く追いかけるぞ!」
弾はそう言うとバックルを外して構える。一夏たち三人もバックルを外す。
「今日は千冬姉がいねえけど仕方ないか。変身だ!ティラノサウルス!」
「トリケラトプス!」
「サーベルタイガー!」
「プテラノドン!」
四人は一瞬にしてパワーレンジャーの姿になる。
「「「「パワーレンジャー!!」」」」
「学園で何度も見たけど変身するのは初めて見た・・・。」
簪は隣で何故か感動していた。
「あの豚野郎・・・・・・見つけたらダガーで裂いて焼き豚にしてやる!」
パワーレンジャーたちは急いでドーラキルケの後を追って店を出る。店の外では泣いている本音を泣き止ませようとしている虚たちの姿があった。
「うわあ~ん!!袋ごと食べられるとは思ってもみなかった~!」
「たかがハンバーガーで泣くことじゃないでしょ。」
「やっ、やっぱりあの魔女の作ったモンスターの仕業だったのか・・・・・・。教官お助けを・・・・・」
「大丈夫!大丈夫だから!すぐにお兄ぃたちが退治するから!ねっ!ねっ!」
「虚先輩!あの豚野郎は!?」
「あっちの方へと走り去って行きました。」
虚が指を指した方角を見てタイガーレンジャーは驚く。
「あっちって、家の方じゃねえか!まさか・・・・・・・させるか!」
タイガーレンジャーは急いで走って行った。
「お、おい、待て弾!」
ティラノレンジャーは急いで追いかけて行く。
「えっ!?ちょっ・・・・・・・か、簪。悪いけど蘭たちをよろしく!」
「えっ?」
「そう言うわけでじゃあ!」
トリケラレンジャーとプテラレンジャーも急いで走っていく。
「・・・・・・・これを私にどうしろと言うの?」
簪は後ろの四人を見ながら途方に暮れた。
本当はセシリアも出したかったけど多すぎると大変なのでやめました。ドーラモンスターを出そうとすると日常回作らないといけないんですよね・・・・。
次回「激辛料理を食べさせろ!」。
お楽しみに。