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「誕生、ティラノレンジャー」
太古の昔。
今の人類が誕生する以前、地上は恐竜とその恐竜から進化した人間「恐竜族」が共に暮らしていた。彼らの文明は高度なもので現代科学でもまだ成し遂げていなかったものも存在する。
だが、一億七千万年前に悲劇は突然訪れた。各部族へと枝分かれした恐竜族の長の一人が宇宙の悪の使者と契約、古代人類滅亡を画策したのだ。
魂を売った長は後に『魔女バンドーラ』と名乗り、部下たちを率いて各部族を攻撃、次々と犠牲者を出した。人々は絶望した。そのとき、宇宙から善なる存在が救いの手を差し伸べてきた。
名は『ゾードン』。他の惑星から来た彼は生き残った部族たちに五つの力を与え、五人の戦士と巨大なロボットを生み出し、バンドーラへの反撃を開始する。
長い戦いの末、ゾードンはバンドーラが作り出した時空間に幽閉するカプセルに封じ込まれたのを代償にバンドーラとその部下たちを封印することに成功する。戦士たちは封印したバンドーラたちを小惑星ネメシスへと追放、平和が訪れたと思われた矢先に氷河期に入り恐竜は滅亡、恐竜族も後を追うようにその姿を消した。ゾードンは来るべきに備え、部下であるロボット「アルファ5」に後のことを任せ、永い眠りへと着いた。
バンドーラとその部下たちはその後永久に宇宙を彷徨うはず・・・・・・・・・だった。
時は流れ、小惑星ネメシスは隕石衝突したことにより消滅、バンドーラたちが封印された部分を含めるネメシスの残骸は地球各地へと落ちて行った。地球ではこのときパワード・スーツ「IS(インフィニット・ストラトス)」が開発され社会状況は激変をしていた時代だった。
そして、時をして同じくバミューダトライアングルで人知れず一つの島が海上へと浮上した。島はバリアーに守られているようで中では建造物があることが伺えた。その建物の一室で一体のロボットが倒れていた。
「・・・・・・」
『・・・・アルファ、目を覚ますのだアルファ。』
一人の男性と思われる声で「アルファ」と呼ばれたロボットは動き出す。
「アイヤイヤイヤイ・・・・・お久しぶりですゾードン様。えっと・・・・・一億五千万年ぶりでしょうか?」
『正確には一億五千万九百九十六年ぶりだ。』
宙に浮かぶ青白い生首の映像・・・・ゾードンはアルファに向かって言う。
「ところで一体どうして今お目覚めに・・・・・・」
『良くないことが起きてしまった。ネメシスが消滅し、バンドーラの封印を含めるネメシスの残骸が地球に堕ちた。』
「あははは、そういうことで・・・・・・って一大事なことではありませんか!すぐに回収しなくては・・・・・」
アルファはオドオドし始めるがゾードンは呆れた顔で落ち着かせる。
『・・・・ほぼ戦闘力皆無のお前を向かわせたところで何ができる?』
「あ・・・・・・ひどいです、ゾードン様。」
『今の我々は無力に等しい。それに例え封印が落ちた場所に行けたとしてもおそらく今の人間たちが封印を解いてしまっているだろう。』
「ではでは一体どうするんですか!?アイヤイヤイヤイヤイヤ・・・・・」
『奴が完全に復活する前に正義感のある若者たちを集めるのだ。太古の時のように正義のパワーを与えるに等しい若者たちを。』
「また一億五千万年前のようにですか?コンピュータで調べてみましたけど今の人間たちはどうやら『ジョソンダンヒ』とかというものでまともな者はいないと思うのですが・・・・・・」
アルファはどこからの中継なのか呆れた態度で言う。
『どの時代においても必ず正義感の強い若者がいるはずだ。少なくとも五人、何としても探し出すのだ。』
「わかりました。取りあえず最初の若者を調べてみます。」
アルファはパネルを操作して世界各地の情報を探り始める。するとレーダーに大きな反応が一つ確認できた。
「一番大きな反応が確認できました!」
『よし、すぐにここに電送するんだ。この時代での最初の戦士だ。』
「アイヤイヤイヤイ了解!」
アルファは電送スイッチを押す。その瞬間アルファの姿は消えてしまった。
『・・・・・・・・ボタン押し間違えたか、アルファ。こちらで戻れるように調整せねばな・・・・・』
???
「織斑千冬の奴・・・・・自分の肉親よりも名誉を選んだのか。」
黒ずくめの男たちはテレビを見ながら呆れていた。
「せっかく出来損ないの弟を誘拐してきたっていうのに・・・・・・骨折り損だな。」
「弟の方はどうする?」
「奴が決勝に出場した以上用済みだ。」
そう言うと男たちはロープで拘束している少年、織斑一夏の方を見る。男たちの目的は一夏を人質にして姉である織斑千冬の第二回モンド・グロッソ決勝戦を棄権させることだった。しかし、日本政府に通達したにもかかわらず千冬は決勝に出場していた。こうなった以上一夏は見捨てられたも同然だった。
「今まで仕事で人に手を出したことはあるがこんな小僧まで始末しなくちゃいけないとはな・・・・・小僧、何か言い残すことはあるか?」
皮肉そうに言いながらも男は一夏に銃口を突きつける。一夏はしばらく目を閉じて黙っていたが目を開けると恐れることなく男たちを見る。
「じゃあ、一言言わせてもらう。邪魔な荷物が消えてよかったなって。」
「ほお、助けてくれと言うかと思ったら姉に対しての謝罪の言葉か。」
「意外と言うところだがあんな姉貴を持っちまえばそう思うだろうな。」
「確かに聞いた。あの世でせいぜい姉貴を恨んでな。」
男はそう言うと引き金を引こうとする。
ところがである。
「アイヤイヤイヤイヤイヤ~!!!」
男たちの前に一体のロボットが突然現れ落ちてきた。いきなりの出来事に男たちは対応できず、ロボットが落ちた衝撃で起きた煙のせいもあり、銃を一夏とは関係ない場所へと誤射してしまう。
「な、なんだ今のは!?」
「どう見てもロボットだよな?」
「おい、小僧は?」
「あっ!いない!」
煙が晴れたとき男たちの目の前には一夏の姿はすでになかった。
一夏が閉じ込められていた倉庫の外
「ひどいな、ゾードン様は。ボタン押したら電送したのは私の方であんなところに落とすなんて・・・・・」
アルファは文句を言いながらも一夏の体を縛っていたロープを解く。一夏も状況が呑み込めない状態だった。
「ろ・・・・・・・ロボットだよな?」
「はいはい、私は『アルファ5』。あなたを迎えに来ました。」
「はっ?」
「えっと、あなたはパワーレンジャー第一号として・・・・・」
「ちょっと待て!状況は全く理解できない!?そもそも何がどうなって・・・・・」
「おい!あっちにいたぞ!」
一夏がアルファに説明を求めようとしたとき、誘拐犯たちは外をマークさせていたIS部隊と合流して向かってきていた。
「ああ、不味い!」
アルファは胸のカバーを開けて赤く光る何かを一夏に渡す。赤い光は一夏の体を包み込んだと思いきや輝きを増し辺りが見えなくなる。
「何か光っているぞ!」
「構わん!撃て!」
IS部隊の射撃が一夏がいた場所に命中する。
「・・・・・・逃げずに殺されていればいいものを・・・・」
「早くここから引き上げるぞ。ドイツ軍が嗅ぎ付けるのも時間の問題・・・・・・・!」
部隊の隊長らしき女性が言いかけたとき一同は目の前の光景に驚く。一夏が立っていた場所には赤いスーツを纏った戦士が立っており、頭部は赤い恐竜の頭部を似せたものになっていた。
「何よ!?あれ!?」
部隊は思わず騒然としていたが一瞬にして赤い戦士は光となってその場から姿を消していた。
???
「うわあ!」
一夏は見覚えのない施設に堕ちた。隣にはアルファが転がっていて混乱状態になりながらも起き上がった。
「た、助かった~!!!」
アルファは周りを確認するとほっとしたように言う。一夏は自分の姿を確認する。全身は赤いスーツ、腰には銃のような物、ベルトにはティラノサウルスの紋章が書かれているメダルがはめられていた。
「この姿は・・・・・・」
『それはパワーレンジャー・ティラノレンジャー。君が戦うための姿だ。』
「え?」
一夏は顔を上げるとそこには青い生首姿のゾードンの姿が写されていた。
「な、生首!?」
「ひどいですよゾードン様!ボタン押したら私が現場に電送されたんじゃないですか!」
『それは私ではなくてお前の判断ミスだ。目標物をこちらに電送するのはお前が押したボタンの隣でお前が押したのは自分を目的地点へ電送するボタンだ。長い間機能停止したせいで押し間違えたんじゃないのか?』
「あっ・・・・・・・」
アルファは何も言えなくなってしまう。そんなアルファを他所に一夏はゾードンを見る。
「なんだよ?パワーレンジャーって?」
『魔女バンドーラと戦うために私が生み出した戦士たちの名前だ。』
「魔女バンドーラ?戦士たちって・・・・・・・」
ゾードンの話を理解するまで一夏はかなり時間がかかった。
ちなみに千冬は一夏の誘拐の件を知って急いで現場に行ったが当然一夏の姿はなかった。千冬は罪悪感に駆られ、日本に帰国後は自暴自棄気味な生活を送ったという。
ここでの登場キャラ
ティラノレンジャー/織斑一夏
パワーレンジャー第一号。
ゾードン
パワーレンジャーシリーズに登場する司令官的存在。写される姿はまさに生首。
アルファ5
ゾードンの部下。戦闘能力はほぼ皆無。
魔女バンドーラ
「ジュウレンジャー」に登場する魔女。パワーレンジャーではリタ・レパルサと言う名前でしたがストーリーをややジュウレン寄りにするのでこっちの名前にしました。
次回は未定。