インフィニット・パワーレンジャー   作:赤バンブル

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事情で少し話がずれました。


「魔女が残した爪痕」

私はハルフォーフの話を自動販売機で買ったコーヒーを飲みながら聞いた。

 

話によると数日前ある任務で彼女たちの部隊はドイツ郊外にある森に行ったのだという。それは森で確認された奇妙なエネルギー反応でドイツ軍上層部は他国が密かに自分たちの国で新型兵器の実験をしているのではないかと推測、軍の中でも最強を誇るボーデヴィッヒの部隊「シュヴァルツェ・ハーゼ」を調査に送ることにした。最悪な場合は破壊・殲滅も許可されていた。

 

ところがその正体は彼女によると魔女と言うらしい。私も半信半疑だが彼女の姿を見ると信じざるを得ない。彼女たちの部隊はその魔女の一撃の攻撃で隊員の殆どが死亡、生き残った数名も重傷・意識不明で意識があるのは彼女のみだという。彼女の場合は病院に運ばれたときは既に右腕両足が炭化しかけており切断を余儀なくされたそうだ。ちなみに乗機は大破で修理のしようがないらしい。

 

「・・・・それだけ恐ろしい敵だったのか。」

 

「上層部にも報告したんですけどどうしても信じてくれませんでした。だからあの出来事も新型試験稼働の事故として処理されましたし・・・・・」

 

彼女はすでになくなってしまった両足を見ながら言った。

 

「それで・・・・・・ボーデヴィッヒもそれだけ重傷なのか?」

 

「いえ、隊長は私が庇っていたということもあって軽傷で済みました。ですが・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

集中治療室

 

「うわああああああああ!!!!来るなああああ!!」

 

「落ち着きなさい、私たちは君を治療するために・・・・」

 

「うわああああああ!!!」

 

一人の少女が悲鳴を上げながら医師たちを困らせている。その光景を千冬とクラリッサは窓の外から見つめていた。

 

「いったいどうしたというんだ?ボーデヴィッヒは。」

 

「意識が戻った後、あのバンドーラと言う女への恐怖心が原因で周りにいる人間さえも奴に見えてしまっているそうです。」

 

「一種の幻覚症状か。」

 

「ええ、それっきりあの状態でいつも鎮静剤で落ち着かせるのが精一杯なんです。」

 

千冬は複雑な心情で治療室で取り押さえられているラウラを見た。自分が知っている彼女は表情は乏しかったものの自分のことを慕い、軍に誇りを持っていた少女だった。その彼女が助けを求めるかのように悲鳴を上げていた。

 

「上層部もこれではもう軍に復帰するのも絶望的だと判断して、隊長をほぼ廃人扱いにしてこの病院に私と他の隊員たちを押し込めました。当然生きている者は私も含めて全員ヴォーダン・オージェを眼球ごと取り出されて、隊はほぼ解散状態・・・・・・・教官?」

 

クラリッサが話している最中に千冬は集中治療室の方へと入って行った。

 

「あっ、君ちょっと・・・・・・」

 

医師に止められるものの千冬はラウラの方に行く。

 

「なんなんだ君は!今この患者は・・・・・・」

 

「ボーデヴィッヒ、私のことがわかるか?」

 

「!きょ・・・・・・教官?」

 

ラウラは一瞬我に返ったかのように千冬の方を見るがやはり幻覚が見えるのかすぐに元の状態に戻ってしまった。

 

「うわあああああああ!!!魔女おぉぉぉお!!!」

 

「落ち着け!私は織斑だ!」

 

千冬はラウラを落ち着かせようと近づくがラウラは周辺に散乱した医療器具を投げつける。

 

「来るな魔女!私を殺す気か!」

 

「私は魔女じゃない!」

 

「殺される!殺される!!助けてください教官!!!きょうかああんんん!!!」

 

ラウラは暴れながら目の前にいる千冬に助けを求める。千冬はラウラを抱きしめるがそれでもラウラは暴れるのをやめない。

 

「助けて!助けて!!」

 

「私は何もしない!だから、落ち着け!」

 

「助けてええええ!!」

 

彼女は大泣きしながら助けを求めて暴れ続ける。医師たちにはもう止めようがなかったが千冬は殴られようが蹴られようがラウラを離そうとしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どのくらい暴れていたのだろうか?

 

ラウラは叫ぶのにも疲れたのか抵抗するのをやめた。千冬は既にボロボロの状態になっていた。

 

「はあ・・・・・・・はあ・・・・・・・」

 

「私のことがわかるか?」

 

ラウラは恐る恐る千冬の顔を見る。

 

「・・・・・・・きょ、教官?」

 

「ああ、私だ。怖がらなくてもいい。」

 

千冬はそう言うとラウラの背中を優しく撫でた。

 

「教官・・・・・・う、うう・・・・・・ああ・・・・・・・・」

 

恩師である千冬だと分かったのかラウラは泣き出した。余程恐ろしかったのだろう。彼女はまるで年端の行かない少女が母親に抱き着くかのように泣いていた。

 

「もう大丈夫だ、だからもう安心しろ。」

 

千冬はラウラを撫でながらふと昔のことを思い出していた。

 

(そう言えば一夏が幼稚園の時も夜怖がっていた時こうしていたな・・・・・・・)

 

今のラウラはその時の一夏と一致していた。自分の弟も誘拐されたときこんな風に自分に助けを求めていたのかもしれない。そう考えるだけで胸が痛くなった。

 

(・・・・・無理にでもボーデヴィッヒを日本に連れて帰ろう。今のこいつは一夏と同じだ。助けを求めようにも助ける者がいない。もう、一夏と同じことを繰り返したくはない・・・・・・)

 

千冬はこのとき固く誓った。

 

弟と同じ悲劇は二度と繰り返してはならないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後 パワーレンジャー基地

 

『・・・・・・・・アルファ、これは一体どういう事だ?』

 

「アイヤイヤイヤイヤイ・・・・・その・・・・・」

 

ゾードンは何とも複雑な表情でアルファを見る。

 

鈴が新たなパワーレンジャーとして来たのはいい報告だった。しかし、問題はその後に起こった。

 

中国政府では鈴がいた基地が跡形もなく吹っ飛んだことからかなり問題になっていたのだ。更に生存者が鈴ただ一人だけだと知られると厄介なことになるため、鈴は自分の母親も基地に連れて行こうという提案をしてきたのだ。アルファは断固首を横に振ったのだがシャルロット親子の前例とパワーレンジャーの身元を知られる危険性も考慮してしぶしぶ了承したのだ。ちなみに鈴の母親は昨日荷物と一緒に基地に電送され、現在シャルロットの母親と意気投合して何やら楽しそうに話をしている。一夏たちはトレーニングルームで訓練中だ。

 

「申し訳ございません!でも、あちらのお母さんにも年頃の娘を怪しいところへ一人で行かせられないと言われてしまいまして・・・・・・」

 

『・・・・・・確かにあの事件なら止むを得んと思うが・・・・・・』

 

ゾードンはニュースで報道されている基地を見ながら言う。確かにあれでは鈴一人だけ生存しているのは明らかに不自然になる。

 

『だがこの基地は飽くまでもパワーレンジャーを支援するためとまだ回収・調整中のダイノゾードたちを格納するためにある施設だ。人がやすやすマンションのように住んでいいものではないのだぞ?』

 

「わかってます!でも、身元が安全になることと事件のほとぼりが冷めるまではどうか・・・・・・」

 

アルファは土下座しながら頼み込む。現代の地上も複雑なものになったと思いながらゾードンはこれ以上追及はしなかった。

 

『・・・・・・・では話を変えよう。バンドーラの復活が分かった以上、我々も急いで残り二人のレンジャーを集めなければならない。』

 

「しかし、今は強い反応が確認できません!迂闊に出動すれば・・・・・・」

 

『やはり、パワーウェポンの完成を急がなくてはな・・・・・・五体のダイノゾードの整備も・・・・・』

 

ゾードンたちが考えている中、バンドーラたちも恐ろしい計画を進めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数か月後

 

ここはIS学園。

 

世界各国の代表候補生とIS選手を目指す生徒たちがISに関して学ぶところである。しかし、ISは現段階では女性にしか扱えないため事実上ここは女子校扱いになっている。そして、今日は今年の新入生を迎え入れる入学式の準備中だった。新入生たちは教室で待機し、在校生と教師は式の最終確認をしている最中そこへ、バンドーラ一味がやってくる。

 

「ここがあの玩具を扱うための場所かい?しっかし、ずいぶん子供が多いね~~あ~嫌だ嫌だ。」

 

「全くその通りでございますね!どこを見ても女子供ばかり!」

 

トットパットも呆れたように言う。バンドーラは杖を構え、呪文を唱え始める。すると学園全体が謎の瘴気に包まれ始める。

 

「人間どもを怯えさせるには自分たちが無力だというのを証明させないといけないからね~~ふ~ふっふっふふふ・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

一台の車が慌ただしく駐車場に止まった。

 

「昨日書類の整理して疲れていたから寝坊しちゃった~!入学式で先生が遅刻するなんて恥ずかしい!」

 

スーツのサイズが微妙に合っていない眼鏡をかけた女性が急いで車から出てくる。

 

「急いで職員室に・・・・・・・って、あれ?ここどこ~!?」

 

女性は目の前の光景を見て唖然とする。

 

 

そこはただ広大な空き地が広がっているだけで学園なんてものはどこにもなかった。

 

 




次回こそは本当に宣戦布告。

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