あれは!紫毒姫!
お願いです!どうか!
グルルルルルル
いつ来るかわからない。
早くにげて!
襲ってこない。なら。
ミツネちゃん!近寄っちゃダメ!
タチバナさん落ち着いて。
私に任せてください。
でも!
大丈夫です。
わかりますか。話しかけているのが。
交渉できそうだな。お願いがある。
どのようなことでしょう。
次の夜明けまでここに留めて貰いたい。もちろん。襲いはしない。
わかりました。伝えます。
あなたの監視をさせていただきますがそれはよろしいですね?
構わない。
タチバナさん。武器を収めてください。彼女に戦闘意欲は無いです。
待て、付け足せ。もし、かくまってくれた場合。この村は襲わぬ、必要とあらば助けにも来る。
次の夜明けまでかくまってくれたら、今後はこの村を襲わず危機があれば助けてくれるそうです。
そりゃあいい案じゃねぇか
ソウマにスズ。戻ってきたんだ。
ミツネ、今のは本当なのか、
はい、確かに。
でも、確かにこっち見ても襲ってこなけりゃ血眼ってわけでもなさそうだしな。
触らぬ神に祟りなしってやつだ。
このまま見守るのが筋だろう。
なにせ。今後はここの守り役にもなってくれるんなら。尚更この交渉に乗る。
全員一致で承諾です。
一応の警告ですが、ここにはハンターが数名います。応援が来ることだってありえなくはありません。下手な真似だけはしないようおねがいします。
もちろん承知だ。こちらとて勝てないことはわかっている。それ故のお願いであるからな。
みなさん!この獣は危険ではありません!ですが手出しは無用です!
少し違和感や恐怖感があるかもしれませんが。普段通りで問題ありません!
ざわついてる。無理もないよね
半信半疑、か、まぁ仕方ないだろ。
私達が、見張っておこう。
お前、タマミツネか
ええ、そうですが。
半獣か。例のベルナという村での件だな。
知っているのですか!
あぁ、あの付近は私の縄張りの近くでもある。耳のその傷見覚えがあるぞ、
どこかでお会いした?
いや、ただ私が見かけたというだけだろう。
そうですか、ベルナの事知っているんですか?
それを聞くのはそこの二人の男に聞くのが早いであろう。
お二人が?
先ほどまでベルナにいたようだ。なにか知っておるかもしれんぞ?
後で聞いてみます。
なぁ、それにしてもなんでこいつはここを選んだんだ?
ミツネ聞いてみてくれるか。
はい、わかりました。
あなたはなぜこの村に隠れることにしたのですか。
人に恩があってな。私は昔人に助けられた、
人に?
そう。まだ私が幼体であった頃、母が海竜に殺され、残った私はハンターに救われた。
広大な草原に連れてこられ、そこで人に育てられた。人も獣も成長すれば体が大きくなる。そういう意味であの草原は適所だった。
そうなんですね、それでその人はどうなったんです?
彼は死んでしまった。老衰とかいう死、らしい。年老いてしまうのも人も獣も同じか。
それは…仕方ないことですね…
彼に救ってもらった命、無駄にしない。人は恩を返す生き物だと聞く。私も人に救われたからにはその恩は返すつもりだ、
なるほど。話が大きくずれてますよ
すまないな。理由だったな。
ここの村はもともと知っていてな。
ここなら問題ないと思ったのだよ。
どうして知っていたんですか?
彼がこの村で住んでいてね。幼体の頃何度かこの村の話を聞いた覚えがある。今思えば彼も獣と話すことが出来たようだ。
その人は一体…確かに人間だったんですか?
見た目は完全に人だったが。
もしかしたら、獣の血が混じっているのかもな。
なるほど、ありがとうございます。
この村のことを知っていたようです。
昔来たこともあるとか。
ほう。襲ったわけでもなさそうだな。
なんでも、幼体の頃に人に助けられ、ここには何度がきたことがあるそうです。
なるほど、それでここを選んで、恩返しに助ける、ということか。
そうだと思います。
なら、こいつは信用しても問題なさそうじゃねぇか?
あぁ、大丈夫そうだな。
スズ、食事持ってくるね。
みんなもいるでしょ。私達で行ってくる。
おう、頼んだ。
さてと。
ソウマさんが剣を構えて。何をするつもりなのかな。
ミツネ。この武器に見覚えはないか。
な、何を急に?
どういうことなんだろう?
お前を執拗に追いかけていたハンターを覚えているか
…なんでそのことを?あっ!
…そうか。そうなんだ…
はい。今思い出しました…
そうか、後で話がある、
ん?どういうことだ?説明してくれよソウマ。
これは俺とミツネの問題だから、手は出さないでくれ。
お、おう。わかった。
身近にいた…答えはすぐ近くにあったんだ…
この男はお前の…そうだな
はい。その通りです。
私にとって最も憎むべき存在。
私は彼に傷つけられ。そして助けられた。この耳と腕の傷でわかったんだと思います。
時間の問題だったのだろう。彼も薄々気づいていたはずだ。
答えはもう出てます。どうなろうと、私は覚悟は出来ています。
その体で戦おうというのか。
いえ。もちろん元の姿で。
そうか。争うこともないだろうに
その覚悟が無駄になることを祈っているぞ。
どうなるかは私にもわかりません。
すべてはこの男次第だな。
……………………………
夜明けか。世話になった、
そう伝えてくれるか。
みなさん、もうじき紫毒姫が飛びさります。彼女は皆さんにありがとうと、そう思っているそうです。
これからもご無事で。
あぁ、そなたも無事でな。
はい。お元気で
バサッバサッ。
行ってしまったな。
そうですね。私はもう少し寝ていますね、
あまり寝ていないから…
あっ、そうか。ならまた後でな、
夢を見た…
あのハンターの夢を
私に傷を作った…あの人間の…