外の世界
さてと。
鎧を着込んで武器を持って…
また狩りに出るみたい
ミツネ。また留守番頼むよ。
さぁ、行こうか、スズ
あぁ、さっさと終わらせるか。
お気をつけて。
二人はリオレウス亜種を狩りに行った。無事に帰って来てほしいな。
私はまた本を読んでいる。
これしかやることがない。
農場に行こうかな?
そう思った時に、あの声が聞こえた
ミツネちゃんいるー?
タチバナさんかな。多分そう
はい。いますよ
少し控えめに扉を開けてみる。
どうしました?
ミツネちゃん、ここ来てからあんま外行った事ないよね。
はい、昨日の渓流ぐらいですね。
それならちょっとおいでよ。
また連れられて出掛けることに。
おばちゃん、ソウマ帰ってきたら、ミツネちゃんはタチバナと居るって言っといて!
あいよー。
どこ行くのかな。
連れられて村を出て。
森に入って。それから…
ここは…
こんな場所初めてみた…
綺麗でしょ!私のお気に入りの場所なの!
無数の花。黄色の花が風に靡いて揺れて。とても綺麗。
いつかソウマにも見せてやろうと思ってるんだけど。あいつ、なかなか乗り気になってくれなくてね。
あら、呆気に取られて聞いてない
父親のことを思い出した…
ねぇお母さん?
ん?どうしたの?
お父さんはどこにいったの?
お父さんは私達を守るために遠くにでかけたの。だからしばらくは帰ってこないのよ。
そっか、早く帰ってこないかなぁ
…あの時、母は涙を流していた。つまりその時には既に、父は亡くなっていたのか…
私は母と約束をした。強くなって守ってみせると。でも。それは叶わなかった、
私がいない間に、母はハンターに殺されてしまった…
私はそのハンターが許せない
でも…今私は…人の姿…
不意の葛藤に耐えれず涙が出てしまった。
ミツネちゃん?どうしたの?
タチバナさんがなにか言ってるけど私には届いてないみたい…
今はただ。昔の事と、葛藤で頭も心もいっぱいで、何もできない…
膝から崩れ。声も出ずに俯いて泣いた
ミツネちゃん、ねぇ、どうしたのって。
確か、最後に父親に会ったのはこんな感じの花畑だった。両親と一緒にのんびり過ごしてたはず…
私にはもう。獣の姿も両親もない。
今この弱々しい姿のまま、守られて生きるのだろうか。
いつも私は、仲間とともに居て。守り守られて。頼られて。
なんで…
言葉がこぼれてしまった。
ミツネちゃん?戻る?
今どうすれば…私はどうすれば…
ミツネちゃん?ねぇ。
一つ新しい記憶がよぎった。
人よこの者を守れ
あの獣の言葉。私を守れって
そうか、私は生きている、守られて生きるのは人間も獣も変わらない。
そうだ、私だって守られて生きて、いつか守る立場になった。
それなら、この姿でも、今はただ守られても。いつかは守っていくことになる。それなら今はただ生きているのが大切なのか
そう思うといろいろと決心がついた
頑張ってみよう、人として生きることを
ミツネちゃん?大丈夫?
はい、心配かけさせてすいません
戻りましょうか。この景色を忘れません。
そ、そうか、それじゃ、戻ろうか!
森を抜け道を歩き、村に戻るとソウマさんが家で待っていた。
少し怒ってそう…
どこ行ってんだ?
ちょっと景色の良いとこにー
ミツネちゃんあんま外行かないから。たまにはと思ってねー、
そうか。どうだった?
とても綺麗な景色を見せてもらいました。
おう。それ、見せてくれよ
やっとソウマも乗り気になった!
よし今からもう一回行こう!
さっきの道を通ってまた花畑についた
ここの景色とても綺麗でしょ!
こんなとこがあったなんて知らなかった。いつからここを?
一年前ぐらいかなぁ。雪が降ると花が枯れて一面雪景色なんだよ、
その景色も綺麗だよ
ほぅー。その時になったらまた来るか。
そうだね、見にこようか。
この景色。私にとっても忘れられない。
村に戻るとスズさんが荷物を抱えて走っていた。
おう。ちょっと手伝ってくれ。
なんだそれ?
さっき商人旅団が村を出てったんだけど、宿を借りたお礼ってことで、旅先で手に入れた珍しい食品をいくつか置いてったんだよ。
そんなに?
匂い的に。肉と果実。
山菜も少しありそう。
あぁ、次の駐留場所まではそんなに遠くないから、置いてくって。
わかった、どこに運べばいい?
ばぁさんとこでいいかな。
スズさんとソウマさんが大きな荷物を屋敷まで運んでいく。
タチバナさんも手伝ってる。
私も何かしないと!
重たい…
これは大きすぎるか…
んしょ、これぐらいなら。
後ろついていこう。
おおぅ、ミツネや、あんたまでありがとうねぇ。
あれ。お前は休んでていいのに、
良いんです、手伝わせてください
守ってもらってばかりでもいけないです。せめて恩返しはします。
そうか、無理はするなよ
でも、重たい物は持てないですからね…
しばらく運搬作業?が続いた
さてと。これで最後。
どれも見たことのないものばかり
えっと。これはそのままでも食べれそうだな。
美味しそう。甘い匂いがする、、
あっ、これがお菓子なのか
それ、食べてみていいぞ。
えっ、いいんですか?
あぁ、少しぐらいはいいぞ。
クッキーというらしい。箱から取り出して食べてみる。
口の中がパサパサして、少し不思議
焼けた香りと砂糖の甘み。それと少し混ざっている果実の味
美味しいです!
そうか、それは良かった。
でも、こんなにたくさんのお菓子をどうして置いていったのだろう。
保存期間は長いから旅にはうってつけのはずだが。
よく見てみ。それはあと一週間もすれば味が損なわれるものだよ。
ん?あっホントだ。
だから、村に渡してすぐ食べてもらおうと。
賢い考えだと思った。自分たちは長く食べれるものしか要らないから。それが保証されなくなったものは明け渡すのは確かに得策だと思う。
でも。これだけ多いとこの村でも消費しきれるかね。
お菓子は子供たちが喜んで食べると思うよ。
それなら、心配なさそうだね。
他にもこの村の付近では取れないものばかりだ。これだけ貴重なものを置いてくなんて。ありがたい限りだ。
村の外の食べ物。普段有りつけないもの、つまり。貴重ということ?
とは言ってもこの村のどこに保存するかだよ。
それはある程度配って。余ったら農場の保管庫でいいと思うぞ、
間にあうのかい?あそこで。
あぁ、かなりのサイズで作ってある。入り切るさ
それから村長さんと私達で村の人たちに食べ物を配った。お菓子は貰った途端に子供達が喜んで食べてた。私も少し貰ったけど。チョコレート?というお菓子がとても美味しい。甘いものもあれば苦いものも。これに関しては村でも作れるらしい。
余ったお肉野菜などは先ほどの通りソウマさん達の農場の裏の倉庫にしまうことにした。
残念ながらお菓子は私と子供達がその日のうちに食べ尽くしちゃいました。
おいミツネ。口の周りにチョコがべったり付いてるぞ。
これは…恥ずかしい、、、
あっ、えっと。
どうしよう。
ちょっとこっち来て。
布で拭き取ってもらった、、、
あの、ありがとうございます。
チョコを口の周りにつけたままにするなんて、可愛い一面もあるだね!
大声…タチバナさんはいつも大声
勿体無いから指でとって食べようかとおもったんだがな、
まぁ、女だし。それは流石にダメだよな。
それって……恥ずかしいじゃないですか、、、
おっ、顔真っ赤にして俯いて。
おいソウマ、お前がそんなこと言うから。照れてるじゃねぇか
スズさんも茶化さないで欲しい、、、
あ、いや、悪意はないんだが。
大丈夫か?ミツネ?
むぅ、もうソウマさんなんて…
それから私へのちょっとした茶化しは続いた。もう、恥ずかしい、、、
ここは私が今まで生きてきた世界とは全く違う。新しく新鮮でちょっと怖い。でも。とても嬉しい。
姿形は違ってもこうやってまた仲間と触れ合うのはとても楽しい。
それと同時にちょっとした好奇心もまた出てくる。
ソウマさんの発言にはちょっと気を乱してしまったけど。でも。少し嬉しかった。
こんな私を受け入れてくれることが。