さてと。ユクモ村に行くか、
ユクモ村?
そう、お隣さんの村かな。
ついてくるか?
またお留守番もつまらないし。行こうかな。
はい、行きます。
………移動中
綺麗な紅葉ですねー!
あぁ、この辺の紅葉は特に綺麗なんだよ。ほら、そろそろ着くぞ。
ここがユクモ村?
(所々から、お湯と湯気が、これも温泉?)
そう。さてと、こっちだよ
おっ、来よったか。
おじさん、依頼でしょ?
内容は?
場所は禁足地、対象はシャガルマガラじゃよ。
御主なら簡単なもんじゃろ
シャガルマガラ…そんな獣と
一匹とか言わないよな?
あんなものが二匹も出て来たら嵐が起こるわ。一匹に決まっておるやろ。
なんだ、つまらない
ところで隣のおかたは?
ミツネさん、わけあってタマミツネから人間になってしまったらしいんだ。
人間というよりは半獣。実験か何か…ん?お主、その姿になったのは最近か?
はい、そうですが、けど、何か?
うむ、ベルナの研究者が怪しい実験を繰り返しているという噂があってな、もしかしたら何か関わりがあるのかもしれん。
記憶の片隅にあるあの出来事…やっぱりあのあと私は…
調べて見る必要がありそうだな。
取り敢えずシャガルマガラやってきてくれぬか。上から排除を早くしてくれと催促されておるんや。
あぁ、まぁそっちが優先だな。
私もついていきます。
少し話がしたい…
……また移動中
ソウマさん、私この姿になる前。白衣を着ている人たちから、機械を使って実験とか言うのをされていました。
それは…ならさっきのおじさんの話は本当かもしれないな。
その人たちなら私をタマミツネに戻す方法も知っているかもしれません。
戻りたいか?タマミツネに。
できることなら。ですが、助けられた以上。何かお礼をしてからです。
優しいんだな。人らしくなってきたところじゃないか。
そ、そうですか?
うん、まぁ、今はまだわからないことが多いから、少しづつ調べていこう。
さて、着いた。
私はキャンプで待っていますね。
お気をつけて。
あぁ、手早く済ませてくる。
遠くで聞こえる獣の声、金属と獣の爪が鍔迫り合う音。どれも聞き覚えのあるものばかり、でも昔のそれは自分の声と自分の爪、
私はこの姿のまま、生きていくのでしょうか。
そうだ、私は元々タマミツネ、その姿は私自身、取り戻したいけれど、今はその方法がわからない。
彼はなぜタマミツネである私を受け入れたの?
人であるから?タマミツネという姿でないから?それとも、人間の持つ優しさから?
どれもわからない、何故ここでこう考えているのか。
今私は人として生きている
あれ?待って…
いつの間にか…体が…
これは人の手ではない…でもなんで私はいつの間にこの姿に?
人の歩く音…早く戻らなくては!
戻って…!さっきの姿に…!
目を閉じて願って……
目を開くと視線が下がっていた。
今戻ったよ。って、どうした?
いえ、な、何でも無いです。
そうか。まぁ、終わったから戻ろうか。
はい。お疲れ様でした。
………移動中
お帰り、どうじゃ。久しいシャガルマガラは。
弱い。もっと凶悪じゃなかったか?
うむ、どうも観測隊でも目立った行動は確認してなかったらしいんじゃ。
でもまぁ、いつ何をするかわからんからの、早く排除をお願いされたんじゃ。
ふーん。あいつ、戦っていて何か他のことを考えているようにも見えたな、
狩りに集中しない獣…
あの時の姿……なにか感じたあの時、もしかしてシャガルマガラには気づかれていた?
うむ、今となっては解りえぬことだ。
今度また何かあれば頼んだぞ。
おう、まかせとけ。
それじゃ、これまた久しいユクモノ温泉にでも浸かって疲れでも癒すとするか、ミツネ、ついてくるか?
おい、ミツネ?
願えば戻った体…もしかして、願えばあのタマミツネにもなれる?
ミツネ、おい?
あっ、はい?
温泉行くか?
えっと、はい!
…………
あの、ソウマさん。
どうした?
私がもし、タマミツネになったら容赦なく退治しますか?
んー、お前が自我を持っていない、または人間を襲うのであれば、そうなるな。
やはり、人間は優しい。
私は人であるべきなのかな。
わかりました。
私、先に出ていますね。
おう、俺はもう少し、お湯に浸かってるよ。
……
村の外、もう一度あの姿に、タマミツネに戻れるかな。
お願い。もう一度…
目を閉じて願う…タマミツネの姿…
やっぱりダメなのかな、人に戻ることはできたけど。タマミツネに戻ることはできないのかな。
少し寒い。村に戻って、ソウマさんを待っておこう。
……
あっ、いたいた。何処行ってたんだい?
ちょっと考え事で村のすぐ外に。
何か悩みがあるなら言ってくれな、協力できる事なら手伝うから。
はい。大丈夫です、
まだ、話すべきじゃない…
もう少しだけ…様子見かな。
それじゃ、向こうの村に戻ろうか。