八神 統夜は勇者である   作:速瀬 順士

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1話が勢いに任せて作ってしまった為、設定の色々足らない点があったので調べなおし等など・・・(汗

感想等のコメントをしていただけるとありがたいです。
(※2016/3/20記入文)


[2話 私に答えてください]

夕暮れの琴弾八幡宮(ことひきはちまんぐう)に私はいた。

夕日が、海岸線に沈もうと徐々に落ちていく中、海から来る風が非常に気持ちがよかった。

どうしてここにいるかといえば、大赦側から呼び出しを受けていた。

例の端末を一度大赦側に返納するという話になった。

私たち、勇者適正のあったものでは誰も起動できなかった端末で、通常であれば機能を使用できるはずが誰一人として機能しない。

原因も不明な上、私たち全員に元々使用している端末もあるため一度返納しようと話でまとまった。

そして今所持していたのが私の為今ここに・・・・。

 

「ない・・・。」

 

落ち着いて・・・部屋に忘れたことはありえない。

確実に外出する時に鞄の中に入れて外出をしたことは確かなのに・・・。

 

「すいませーん。」

 

「えっ?」

 

少し焦りながら鞄の中を探していると不意に少し離れた所から男性の声が話しかけてくる。

年的には自分自身と同じくらいだが、見覚えのない顔だった。

右手には例の端末を持っているから、不覚にも近場で落としていたのを彼が拾ってくれたようだ。

これで一安心だと思ったつかの間、私と彼の手元にある端末から何度きいてもなれない警告音がなる。

周りの時間は止まり、風や無音とまでは行かないが音がやんだ。

この後どうなるのか理解している彼女の中ではお役目の為緊張感が高まりだした。

 

『こんなときに・・・せめて彼の握ってる端末だけでも回収しましょう。』

 

気持ちを切り替えて彼のほうを見ると、彼は私の近くまで来たあたりで異常に気がついて周りを見渡していた。

 

「いや、間違いなく俺たち以外止まってる・・・。」

 

ありえないと思った。

いくら彼が端末を持っていたとはいえ、お役目に関わる者以外は、結界が発生する前に動きが止まる。

結界が次の段階に移項が始まり、地震のような揺れののちに壁側から光が迫ってきている。

結界の進行自体は正常で、私自身何度も目の前で経験してきたことだから、これが異常なことだとわかる。

 

「なんで・・・動けてるの?」

 

私が不意に出した声は彼は気が付くも、回答を聞く前に結界の光が私たちを飲み込んだ。

 

 

[2話 私に答えてください]

 

「なにがどうなってるんだよ・・・。」

 

樹海化したことに対し統夜は驚きを隠せずに居た。

元々ここら一帯は自然が多い地域であったが、今の状態は建物からなにから何までもが木の根などで覆い隠されていた。

 

「樹海化です。」

 

「あんたさっき神社にいた人。」

 

「森峰 綾目(もりみね あやね)です。

あんたじゃありませし、あなたこそ何でここにいるのですか?」

 

「えと森峰さん?俺は速瀬 統夜。

さっき一緒に光に飲まれて、その時近場にいたじゃないか。」

 

「確かに近くに居ればそうなりますが、あなたが結界の中に居ることが異常なんです。」

 

「いや、状況が全くわからないんだけど・・・。」

 

「はぁ・・・仕方ないですね。」

 

統夜は簡略的な説明を受ける。

神樹様に選ばれた人間しか入れず、何事もなく住んでいれば一生知ることはない場所ということ。

表ざたにはなっていないウイルスの海から生まれ、神樹さまを目指すバーテックスの存在。

そして、神樹様を守るためバーテックスを迎撃する勇者のこと。

 

「つまりは、神樹様が・・・その勇者?の適正の高い人間をこの結界に集めて、外から来る敵のバーテックスとか言う敵を、勇者になって迎撃させてるって事?」

 

「大まかにはそうなります。そしてここから問題なんです。基本勇者になれる適性を持っているのは無垢な少女のみになります。」

 

「いや・・・俺男ですけど・・・。」

 

半ばあきれ顔で返した統夜。

 

「だから!なおさら問題なんですよ!

通常であればあなたは結界が展開される段階で止まっているはずなのですからね。」

 

「なるほどね・・・俺は予定外というわけか。」

 

特別な存在とかにこの歳はあこがれるかもしれないけど、実際起こるとやはりろくでもないことなのだと思っていたら、何か声が聞こえてきた。

 

「綾目~!!!」

 

統夜の目の前に緑色の物体が落ちてくる。

服装は西暦時代にあったRPGゲームにでも出てきそうな格好をしており、おそらくこれが勇者の戦闘服なのだろう。

 

「斎木(さえぎ)先輩!!」

 

「おぉいたいた。

樹海化してから生真面目なあんたが、珍しくすぐに連絡こないからおかしいと思って飛んできちゃったわ。」

 

「その予想はあたりです。斎木先輩。」

 

ジト目で綾目は統夜のほうをみる。

 

「あぁ・・・本当にそうなんだ。ってことはあれか今私の目の前に居る男の子が・・・男!?」

 

「はじめまして。

明日から讃州中学2年に編入予定の速瀬 統夜です。」

 

「ずいぶんとあっさりしてるわね。

まぁあなたも転入前日からずいぶん付いてないわね。

私は讃州中学3年斎木 花奈(さえぎ かな)よ。」

 

「そうみたいですね。

それより、こんなにゆっくりしてていいのですか?」

 

「ん?バーテックス?今のところは問題ないわよ。」

 

そういって花奈は自分の端末を取り出して地図を見せる。

その地図からは現在の自分の位置と、自分たちの位置からはだいぶ遠い瀬戸大橋から同じ反応が5こほど出ており、壁のほうに近い橋からは赤い点が2つ浮かび上がっていた。

 

「まぁあっちが本隊で、格式の高い乃木家や鷲尾家が守ってるわけ。

それで私たちはもしものときの保険ってわけよ。」

 

「保険?ですか?」

 

「そう保険。

2年前くらいから結界が不安定でね、大橋の入り口にするように結界の弱いところを作って誘導してるのだけど、それが別のところから進入されるされることがあったのよ。

そのときは偶々勇者が居て、どうにかバーテックスを撤退したけどね。」

 

「それで四国を覆うようにいくつもの点が表示されているわけですね。」

 

納得した統夜は自分たちの点のところを見る。

そこには3つの点が表示されており、

 

斎木 花奈

森峰 綾目

八神 桃華

 

その記載に対して、2人は当人が居るから最後のが自分のだと理解してはいたが、聞き覚えのない名前に統夜は内心でつぶやいた。

 

『・・・八神 桃華?だれだそれ?実家の近くにそんな名前のやついなかったはずだけどな・・・ん?』

 

うっすらではあるが端末のほうに何かしらの反応が見え、その瞬間統夜は肌でわかるほどの殺気を放つ鋭い目つきをした花奈から感じ取る。

 

「来たわね・・・。

あいかわらずこのアプリ、空飛んでたり、極端に上下してるやつに対して反応薄いのよね・・・。

綾目準備!!」

 

「はい!」

 

その声とともに紫色の花びらのようなものが綾目の周りを舞い散り、いつの間にか既に戦闘服になっていた花華の手元には2mくらいの方天戟(ほうてんげき)を握り、隣には紫色系を中心とした戦闘服を身にまとって、頭のカチュ-シャが白の長いリボンに変わって、弓を握った綾目がたっていた。

統夜は花に対する知識はなかったが神樹様から力を与えられるため、戦闘服の一部を白と服の基本色で花のような模様が施されており、後に聞いた話では、綾目は文目の花、花華は胡蝶蘭のような模様が描かれていた。

 

「さて、準備完了ね!」

「いきます・・・。」

 

そういって花奈は人知を超えた跳躍して、数度の跳躍で十数メートル先の砂浜のほうに着地をして、綾目は統夜の3メートルほど前に立つ。

二人が武器を構えて待ち受けると、水辺から徐々に現れてきたやつは一瞬見ただけでわかったことは、30m以上の巨体をもつ化け物という認識だけだった。

3つの水を蓄えたような物体が浮遊しており、内部にフレームのような部品、中央の水をたくわた部分には上に小さい水の玉が浮かび、下は束ねた紐のようなぶら下がって途中一まとめになっているものが浮いていた。

アプリの表示では水瓶型と表示される。

 

「あれが・・・バーテックス・・・。」

 

統夜は右手が震えていることに気がつき、無理やり左手で押さえ込む。

統夜は恐怖を感じていた。

個体の大きさや、異型の姿を見て、人間の生理的にも本能的にもあんな化け物を誰にも知られず見て、恐怖しない人間は居るのだろうかと自身に言い訳をするかのように言う。

その中彼女たちはバーテックスに攻撃を加えて足止めをしている。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

「・・・。」

 

花奈の気合を入れた声ともに切り、叩き、綾目が冷静に矢を打ち込んで動かなくはいるものの、ダメージは一定時間がたつと体が修復して動き出す。

正直、ジリ貧などという言葉が出てきそうな持久戦になるような戦いである。

 

 

どれくらい時間がたったかわからないが、何度目だかわからない水瓶型のが動かなくなってから変な違和感に気がつく。

 

「おかしいわね・・・。いつもだったらもうそろそろ引いてもおかしくないはずなのに・・・。」

 

綾目はそういいバーテックスに狙いを定めると、その言葉を聞いてた統夜はあることに気がついた。

いくら勇者の方が機敏に動いてるとはいえ、先ほどから相手は全く攻撃をしてこないで一方的にやられてだけといることに、統夜のことを上に浮いてる小さい水の玉が目のようにずっと見ていたことである。

最初は、恐怖心で頭が麻痺をしてそれどころではなかったが、それに気がついたときは恐怖心に一段と気持ち悪さを覚える。

修復が終わるとその巨体を反転して、敵は花華の攻撃を無視しながら統夜達居る方に向かってきた。

 

「まずい。綾目!彼をつれて逃げなさい!!」

 

「はい。」

 

バーテックスの目的に気がついた花華はすぐに指示を出した後に吹き飛ばす為叩き付けるように方天戟をバーテックスに当てるものの水がクッションとなって止まる気配を見せない。

 

「ちっ・・・やっぱり打撃はダメか・・・。」

 

綾目は統夜に駆け寄ると、軽く統夜を軽く持ち上げる。

 

「うわっ!ちょ!?」

 

状況を飲みこめない統夜は、いきなり持ち上げられ驚きの声を上げる。

 

「おとなしくしてて下さい!あなたが狙われてるんですよ!」

 

「なんで俺が!!」

 

「人間のみを襲うのがやつらの特性なのよ!!それより舌噛むから黙っててください。」

 

数メートルまで近づいてきて、距離を離すため跳躍する。

でもそれが間違いであった。

水瓶型は2人に向かって人2人分が入るサイズの水の弾を飛ばしてきた。

 

「くっ!」

 

咄嗟に空中で姿勢を変えて綾目は回避するが、もう1つが待ち伏せするように飛んで来て2人は水の玉に吸い込まれた。

 

「綾目!速瀬くん!くそが!!」

 

苦しかった。

水の玉は自分達を溶かしたりするものではなく、純粋な窒息死を狙う攻撃だった。

 

『まずい・・・泳いで出ることも出来ないし、まだ息はあるけどこのままだと間違いなく殺される。・・・って!!』

 

統夜は一緒に落ちた彼女のほうを見ると明らかに混乱状態になり、残り少ない息を無駄しているのがわかった。

 

『あいつまさかかなづちなのか!?』

 

統夜は彼女が手の届く範囲にいたため引きよせて押さえようとするが彼女は勇者になっている為そんなことは出来ず、水中で逆に殺されかねないから手が出せなかった。

花奈もこちらの助けに向かうどころか攻撃を始めた水瓶型に押されていた。

そして酸素がなくなったためか緩やかに隣の綾目の動きがなくなるのを確認した。

 

「まずいぞ・・・。もう四の五の言ってられない。」

 

助けが来る気配もなければ、自分もこのままでは間違いなく死ぬ。

でも、目の前に居た彼女は助けたいと思った。

自分が居なければ自分を抱えて逃げたり反撃に出るなり、もしかしたらこんな攻撃彼女なら回避できたはずなんだ。

 

『だったら。』

 

自身ももう余裕なんてないが、彼女を生存させるほうはこれしかないと思い自分の残りの空気を口移しで渡した。

 

『これで彼女は生き延びられるかわからないけど・・・。』

 

この行為がただの自己満足だし、無駄な足掻きだとは理解していた。

空気を渡し終えて、少しづつ意識がブラックアウトする中なぜかこんなことを思った。

アレだけ叔母の元で剣術を鍛えたのに何の役にも立たなかったな・・・と。

そして統夜の意識は落ちた。

 

 

「はっ!?」

 

「やっと起きたというか・・・、やっと繋がったと言うほうが正しいかな?13年で初のご対面とは長いよね。」

 

黒い空間の中自分ともう1人が立っていた。

 

「俺は・・・死んだのか?」

 

統夜の質問に対し、顔は見えないものの赤色の戦闘服を着込んだ自分よりも背の低い少女は、自分と似た口調と自分より少し高い声でしゃべり続ける。

 

「いや、まだ生きてるよ統夜。

あんたには2つの選択肢がある。ここで溺れ死ぬか、戦うかだ。」

 

「でも話では勇者になるアプリを使えるのは女性のみだ。」

 

その言葉に対しため息を付いた少女はいう。

 

「出来なきゃ俺は最初からこんなことするわけないだろ。

だからさ・・・俺が力を貸してやるよ。」

 

そういって彼女は右手に赤色の装飾された鞘の入った刀を出す。

 

「俺に答えてくれ八神 統夜。これを受け取ったら後は戦い続けるだけにはなるけど、今は死なずにすむぞ。」

 

統夜は迷わず鞘に入った刀を受け取る。

 

「御早い回答だな。」

 

「死ぬのが・・・怖いかもしれない。

この刀を取って生き残って、あんな理不尽場化け物に痛い思いして襲われるのも嫌だけど、出来る力があったとして何も出来ない自分がもっと嫌なんだ。」

 

鼻息で軽く笑うような動作をした彼女はいう。

 

「まぁ・・・今のところは及第点でいいや。がんばれよ統夜。」

 

「あんたは・・・誰なんだ?」

 

「俺?俺は桃華だよ。」

 

その言葉を聴いた瞬間夢から覚めるような感覚に襲われた。

 

 

現実の世界に戻った統夜目を見開く。

左手に感覚はあり、先ほどの出来事が夢ではないことを確信して抜刀と同時に水の玉を切断する。

すぐさま刀を鞘にしまいこむと刀は消え、2つに割れた水の玉から統夜は綾目を引き吊り出して抱えると脱出する。

綾目たちが変身した直後同様赤と白の花びらを散らしながら十数メートル上空を落下、統夜の姿は桃華の着ていたのと同じ赤色の戦闘服に身を包んではいるが、彼女のとは違い、下のインナー側方が赤ではなく白がベースとなっていた。

そして彼は気がついていなかった。

気にする余裕がある状況でもなかったともいえるが、変わってしまったのが自分の服装だけではないということを・・・。

 

「大丈夫か。」

「ゲホッ!えぇ・・・大丈夫です。」

 

意識があることを確認して、十数メートル上空を彼女を抱えたまま着地すると、水を思ったより飲んでいたのかむせる綾目を置き、納刀された刀を左手に出して握って水瓶型のほうを見る。

 

「いける・・・みたいだな・・・。」

 

体と直感がいけるといい、抜刀して構えると同時に一気に飛び込む。

元々巨体が近づくにつれて一段と巨体を現す。

いくら力を手に入れたとはいえ、こんなのを相手する恐怖心がぬぐえたわけではない。

 

「でも!やるしかないんだろ!!」

 

刀で水瓶型の本体に上段からの斬撃を入れていく。

水瓶型は反撃とばかり水の玉を飛ばすが、統夜は着地と同時に回避して右薙ぎの斬りから続行していく。

2太刀3太刀と次々と入れ、斬撃を受けるにつれて水の装甲が削ぎ取られるかのように飛び散っていき、一部内部の部品が露出する。

 

「速瀬くん伏せて!!」

「!?」

 

その言葉が聞こえて統夜が伏せると、同時に頭の上を太い棒状の物体が通り抜けて、方天戟が水瓶型の水で覆っていた部品に当たって鈍い音を立てながら砂浜のほうへと転がっていく。

 

「しゃ!どんなもんよ!」

『アレ食らってたら即死だろうな・・・。』

 

スッキリした顔の花奈の隣で統夜は頭の中でそんなことを考えたが、気持ちを切り替えて水瓶型のほうをにらむ。

先ほど同様修復を行っていき元通りになって浮遊し始めると、水瓶型は結界のほうに向けて体を反転させて出て行こうとする。

 

「ふぅ・・・どうにか引いてみてくれたみたいね。」

 

花奈は一息つき武器を消滅させる。

統夜も落ち着いたため刀を消滅させると、花奈はこちらに振り向きながら話しかけて来た。

 

「それにしても・・・まさか本当に勇者に・・・ってあれ?あんただれ?」

 

「いや先輩。速瀬 統夜ですよ?」

 

統夜は違和感を感じていた。最初先輩と話した時は同じくらいの目線だったはずなのに少し見上げているのと、髪の毛はショートのはずだったはずなのに明らかに肩付近まで延びている。

状況が全く理解できていない顔に対して花奈はポケットの中から鏡を取り出して統夜に渡しながらいう。

 

「私の知ってる速瀬くんは男だし、私とたいして身長差もなかった・・・けど、今のあなたはどこを

 

どう見たって女の子よ。」

 

鏡を見ると、目元や髪の色などは自分の顔には似てはいるが、自分のあの飽きるほど洗面所で見た見覚えのある顔ではなく、明らかに男の顔ではなく女だと言うことを理解しだし血の気が冷めていった。

 

「はい・・・?」

 

 

[3話へつづく]

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