懲りずにまた新シリーズですよ皆さん。現在進めているシリーズの息抜きで書いたものをそのまま出していると考えてください。
それではご覧ください。
人間誰しも、恋愛感情を抱く。クラスには認識されていなく、暗くて目立たない俺でも、その感情はきちんと持ち合わせている。
そいつは誰に対しても分け隔てなく、笑顔で接し、いつも一人の俺に対してもみんなと同じ、笑顔で話してくれた。
そう、俺はその皆のほんの一部に過ぎなかったのに、俺は特別だと勘違いしてしまい、そいつに本気で惚れた。
折本かおり。そいつは俺に嫌な顔一つせず接してくれた。それだけ。たったそれだけで好きになってしまったのだ。
そして1週間もしないうちに告白をした。
結果は、見事にフラれた。
その時、遅からず気付いた。俺は、ただ理想を押し付けただけなのだと。
気付くのがあまりにも遅すぎた。所詮は幻想だったという事を。
だが、告白をしてフラれるというのはよくあることだ。人によってはトラウマになったり、この悔しさをバネにまた次の恋に向かって頑張る人もいる。俺もそうしようと思った。・・・・・・今日までは。
あの折本は、俺が告白をしたこと、自分がフったことをクラスの連中に言いふらしたのだ。それで教室に入ったら、嘲笑の的。ナルガヤなどの不名誉極まりないあだ名まで付けられた。
その一日は、笑われて過ごした。陰口などもわざと聞こえるようにされた。不愉快で、怒りを覚える。
自分、俺自身にも。あの折本も、上辺だったことを見抜けなかった自分に。惨めだと感じてしまった自分に。
そして今も、ショックで体育座りをしている自分に、少しばかり怒りがある。
「大丈夫?」
突然横から可愛らしい声が聞こえ、頭に何かが触れた感触がした。それは右、左にと動いて、まるで頭を撫でているかのようだった。
「はは、ちょっと大丈夫じゃねぇかもな」
今日は色々とありすぎて、頭がパンクしそうで、傷心中だ。小学校でも仲間はずれなんて日常茶飯事だったのに、俺はあまり強くなっていなかったな。
「そっかぁ。痛い思いをしてるんだね。じゃあ私がしばらくナデナデしてあげるよ♪」
・・・・・・ん?待て。冷静に考えてみろ。俺の横にいて俺の頭を触っている奴の正体は何だ?家族は家にいるが俺の部屋には基本入らない。
恐る恐る、ギギギと機械のように横に目をやると、ショートヘアに黒を基調とした着物の、小学生並の身長の幼女が、俺の頭に手を伸ばしながら佇んでいた。
所謂、座敷童子だ。
「うわあああああああああ!!!」
「うきゃあああ!」
いや、驚いたのはこっちなんですけど。何でそっちも絶叫あげてんだ・・・。
「どうしたの!?お兄ちゃん!」
突然ドアを勢いよく開けてきたのは、我が妹、小町だ。
「こ、小町。・・・座敷童子が・・・」
「はぁ?・・・・何もいないじゃん」
え?・・・・・・もしかして、見えていないのか?
「いやいやいや、そこにいるだろ・・・」
「座敷童子なんているわけないじゃん。疲れてるんじゃないの?もう寝たら?」
「えー・・・」
全く信じてもらえず、憐れんだ目で俺を見ながら行ってしまった妹。ちょっとは信用してくださいよ。
でも、そうだな。座敷童子なんているわけない。きっと疲れているんだ。今日は色々あったからな。幻覚でも見ているんだろう。
ベッドに入り、布団を被って目を瞑る。
「・・・」じ~
「・・・」
しかし、先程の座敷童子がこちらをじ~っと見ている。
・・・・・・もう認めざるを得ない。この座敷童子、突如俺の部屋に現れ、俺にしか見えていない。という、信じがたい事実に。
「な、なんだ?」
布団と少し怖い思いを背負ったまま、その座敷童子に話しかけると、パァッと眩しい笑顔になった。あれ?座敷童子ってこんなに可愛かったっけ?
「こんばんは♪」
「こ、こんばん、は・・・」
史上初、妖怪と挨拶を交わした。沈んだ心と高揚した心がぐちゃぐちゃに体中を犯して、今にも倒れそうだ。もう横になっているけど、そのまま気絶したかのように意識が無くなりそうだ。
「私の事、見えるようになったんだね♪」
・・・・・見えるようになった?もしかして、ずっと前からいたという事か。だとしたら何故今見えるようになったんだ。
「お、おい・・・」
その座敷童子は当然のように俺のベッドに潜り込んできた。見えなくて本当によかった。もし見えてたとしたら間違いなく俺は容疑者扱いされる。
突然現れ、ベッドに潜り込んだ少女、座敷童に少し恐れながらも、俺は眠りについた。
だけど、このありえない状況に何故か対応できている俺が、妖怪よりずっと恐ろしいと思う。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
実は3泊4日の修学旅行があって、PC使えなかったんです。でも、ネタはたくさん持ってこれた。と思う。
また次回。