横浜鎮守府の【提督】宝珠の戦士と【副提督】   作:シャイニングピッグEX

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おっしゃやるか

じかん取れる時に書くとかほざきながらこのザマだよ。

『それでは本編へ。今日は〜、え〜っと、最近使われることが無くて花壇に水をやってる事が多いバキシムがお送りしました。』



『これ毎回考えてるアイツらスゲーな…』


魔王ゼルガノス
悪夢は覚めず


医務室へ運ばれた零は、香取をはじめ数人の医師と共に応急処置が行われ、なんとか一命を取り留めた。

 

そのままでは危ないため、生命維持装置の装着を義務付けられた。

 

「アイツは…零はどうなったんだ…」

 

「香取さん…今の提督は…一体どうなったんですか…?」

 

ガイと電が香取に聞いた。

 

百合は部屋の外のベンチで一人座り、静かに肩を震わせて涙を零していた。

 

「副提督…」

 

「………」

 

日向が百合を見守っていた金剛と長門の肩に手を置き、無言でその場を離れる様に差し向けた。

 

「だが…」

 

「今は一人にさせてやれ」

 

日向に言われ、二人は百合の方を見ながら部屋に戻った。

 

 

 

「……落ち着いて聞いてください。今、彼の中にもう一つの命が宿っています」

 

「もう一つの命…?」

 

「宿っている、というのは少々語弊がありますね。正確には寄生している、と言った方が正しいでしょうか。彼の身体をじわじわと蝕んでいるのですから」

 

香取は一呼吸置いてからから二人に話した。

 

「一体何が住み着いているんだ?」

 

「それはまだなんとも言えません。科学班や化学班、生物学班などに資料を渡して解析を急がせていますが、結果は出ていませんので」

 

「それで、肝心の零はどうなるんだ?」

 

「……ハッキリとは言えませんが、このまま侵食が進めば…いずれ死を迎えるか、もしくは寄生生命体にいいように身体を作り替えられ、最悪命を取り留めても元の彼ではなく、寄生生命体が表面に現れ彼はただの器となる、と言ったところでしょうか……」

 

「………」

 

ガイは黙って拳を壁に叩きつけた。

 

「クレナイ提督…」

 

その顔には悔しさが表れていた。

 

「…ウルトラマンって何なんだ…怪獣一匹や宇宙人一人は簡単に倒せるのに人間一人救えやしない…」

 

ガイは昔の事を思い出していた。

 

その過去には救えなかった人間は数え切れない程居り、何度も助けられた筈の命が失われていく瞬間をこの目に焼き付けてきた。

 

今も時々昔の事を夢に見る。

 

その度に後悔の念が押し寄せて来る。

 

「……………」

 

電は何も言えず、部屋を出ていくガイの背中を見つめていた。

 

「…電ちゃんも辛いとは思うけど、零さんの事は私達が一生懸命治せるように努力するから…」

香取は電の頭を撫でた。

 

「本当ですか…?」

 

「ええ。約束する。いつか元気な零さんをまた見せてあげる」

 

「……約束、守ってくださいね」

 

そう言った電の顔はよく見えぬまま、香取は電が部屋を出るのを見送った。

 

 

 

「…!零は!?」

 

百合は部屋から出てきたガイを見つけて肩を掴んだ。

 

「………すまない…」

 

ガイは小さくそう呟いた。

 

それを聞いて百合はその場に泣き崩れた。

 

「俺がもっと強くあれば…こんな事にはならなかった…」

 

ガイが見つめる自分の手のひらに一つの涙が落ちた。

 

ガイはその手を強く握った。

 

 

「……ん…?」

 

零は運ばれて数時間後、目を覚ました。

 

いや、正確には夢の中でだが。

 

「ここは……?」

 

零はその場で立ち上がり、辺りを見回した。

 

「……!なんだよ…!これ…」

 

辺りは暗闇に包まれていた。

 

しかし、零はこの程度の事は慣れっこである。

 

彼が驚いたのは辺りにある不気味な人間達であった。

 

皆一同に青い髪をし、誰の髪も長く、腰よりも下に長く伸びていた。

 

誰も彼も皆一同に虚ろな目を向け、感情の無い笑みを零に向けていた。

 

背の大きさはまちまちで、子供の大きさの者も居れば大人程の大きさがある人間もいる。

 

「お前は……」

 

「俺だよ、柊零」

 

「俺…?」

 

一人の零が零に答える。

 

「そう。俺はお前。お前は俺。驚いただろ?」

 

「……ふざけんな!」

 

零は一人の零に殴りかかった。

 

しかし、零は身体を黒い霧にしてその攻撃を避けた。

 

「!!」

 

「言っただろ?俺はお前だって」

 

その言葉で周りの零達が零を嘲笑い始めた。

 

「……クソが!クソがァァァ!うぁぁぁぁ!」

 

零は夢の中で自分自身達に殴りかかった。

 

しかし、当然当たる事はなく、彼らはいつまでも夢の中で暴れ回る零を嘲笑っていた。

 

 

 

「零さんを助ける事は出来ないのでしょうか…」

 

電は窓から鉛色の空を眺めていた。

 

「…助けられるもんなら助けてあげたいけどね…」

 

「夕張さん…」

 

電の後ろには夕張が立っていた。

 

「電がいつも言ってるじゃん。敵でも助けてあげたいって。私はそれに賛成だよ。私だって、助けられる命があるならそれを助けたいし、ちゃんと生きられる様にしたいさ」

 

そう言って夕張は電の隣に歩を進めた。

 

「…けれど、私達は戦わなくちゃいけないんだよ…!いや、私達は戦うために生まれてきた様なものよ!敵を倒し、深海棲艦を沈め、人間の海を取り戻す!それが───」

 

電は夕張の言葉を遮って頬を張った。

 

「………え」

 

「…正義を振りかざして暴れるのは誰にだって出来るのです!けれど!それじゃあ何の解決にもならないのです!勝ったものが正義──私達は本当にそれで良いのですか!?」

 

「……それが私達艦娘よ!人類の平和を守るために生まれた…それが私達なの!余計な感情なんていらないの!」

 

「ならなんで…なんで電の心はこんなにも痛いのですか…?夕張さんを張った時も、深海棲艦を沈めた時も、どっちも心が苦しいのです。本当は助けられた…話し合えた相手だったかもしれない…正義という言葉なんて悪を綺麗に言っただけでやってる事はどっちも変わらないのです!」

 

「……」

 

「正義の味方、響きは美しいけどその肩書きを無くしてしまったらどうですか? お互いを理解せず戦い合い命を一つ奪う…私達も同じなのです。正義と言う言葉を掲げて合理的かつ正当化して誰かを傷付ける…傍から見ればただの偽善者なのです…強大な力を振りかざしているのは一緒なのです」

 

「電…」

 

「私の言ってることは誰かに取っては間違っているかもしれない…敵だと割り切って倒せばそれで良いという人もいるかもしれないです。けど、電は助けられるのなら助けたい…それだけで良いのです…」

 

「……そう、だね…。そうかもしれない。私ってば、何のために心があるか忘れかけてたよ…ごめん、ありがとう、電…」

 

夕張はそう言って電を抱きしめた。

 

「電の言う通りだよ。心が無ければ機械と同じだもん。…私って馬鹿だなぁ。こんな簡単なことも分かんないなんて…」

 

「…夕張さんはお馬鹿さんなんかじゃないのです。私達の事を考えていつも装備の点検や修理をしてくれるのです。私達なんかじゃ出来ない事をやってるんですから…」

 

電も夕張を抱き締め返した。

 

「……優しいね。電は。私ももう少し遅かったら心まで機械になる所だった」

 

「その時は私が叩き直すのです」

 

二人はそう言って笑いあった。

 

「さて、と。私は今の内に来るべき時に備えておくかな」

 

「何が始まるのです?」

 

「んー?ここ最近アイツらが来ないから、何か大きな事が始まると思うの。だからその時のために、ね」

 

「そう言うことですか…」

 

「ええ。何も起きないといいんだけどね…」

 

窓の外から除く木や花壇の花は風でざわざわと揺れていた。

 

 

 

百合は暗い部屋の中で布団を被ってベッドの上に座っていた。

 

その様子はまるで抜け殻のようだった。

 

泣きすぎて涙腺は腫れ上がっていたが、涙は枯れてもう出ていない。

だが、心の中はぽっかりと穴が開いた様に空虚感で一杯だった。

 

「……こんなことしててもどうにもならないわね…香取さん達を信じましょう」

 

そう言いながら百合は布団にもぐり、眠りについた。

 

 

(………ん?これは…?)

 

百合の夢の中に沢山の光る目が現れた。

 

その目の上の額らしき場所には細長い光が灯っており、紫や、赤、水色や青など様々だ。

 

(何…何なの…?)

 

その目は暗闇の中でゆっくりと進み、大きな足音を立てて歩いていた。

 

そして、それらは百合を追い越し、やがて一斉に飛び立った。

 

(何なの……何なのよ……!)

 

二人の夢が一体どう関係しているのか。

 

それは誰にも分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでです。

たまには怪獣がいないのもいいと思ったんだぁ。

ではまた次回!
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